国民性というのは面白いもので、その時代その時代に老若男女問わず、共通した意識というものが現われてくる。文部省系の統計数理研究所が国民性調査を実施したが、それによると、20-30代の若年層で「ここ一ヶ月間にいらいらしたことがある」と答えた割合は、統計を取り始めた93年以降で最高の6割を超えたという。また、仕事以外の上役との付き合いも「あったほうがよい」が大幅に増え、「自分の好きなことをしたい」よりも「人のためになることをしたい」という割合がこれも78年以降最高になったという。一方で「あの世」を信じる割合も激増している。これらは今の閉塞した孤独な社会状況をよく反映している。孤立感のなかでイライラし、やっぱり生きるのには人とのつながりが大切だと思い、生きがいは「人のためになること」という、国民の意識はオーソドックスな人間の原点に帰還しつつある。「あの世」を信じるという意識は現実からの逃避行動で、それだけ現実が厳しいことを現しているのだろう。アメリカの弱肉強食の自由主義をそのまま日本に伝来しようとした小泉元首相のつくった日本の現実は、実に孤立感のある寂しい社会だった。鳩山民主党代表は「コンクリートより人の絆が大事」と友愛理念を打ち出しているが、まさに政治がリーダーとなって、この孤立した社会を打破し、国民に夢と希望、人のつながりの温かさといったものを示していけば、また世の中も変わるだろう。政治は現実路線だけでなく、そういう理念も大変重要なものである。
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