江戸川乱歩の研究？５⇒「双生児」から

細部に至るまで瓜二つの双生児、この２人が入れ替わる。容姿が窮めて似通った人間が入替わり別の人生を生きる、ちょっと考えればあまりにも非現実的ではあるが、思春期の夕暮れ時などに思いを巡らしそうなそんな他愛もない想像、そんなイマジネーションの世界。乱歩は『パノラマ島綺譚』においても入替わりのモチーフ
で作品を描いている。（現在NHKで放送中の稲森いずみが主演した『ブルーもしくはブルー』もこの入替わりのモチーフである。）


◆自分に似たもう一人の自分の命を自分が奪う、その倒錯

“私は矢庭に飛出して、用意の細引をうしろから、兄の－その私と少しも違わないふたごの片割れ－の首にまきつけると、死にもの狂いで締めつけました。兄はしめつけられながらも、敵の正体を見極めようと、首をうしろへねじ向け相にしました。私は渾身の力でそれをさまたげましたけれど、瀕死の彼の首は非常に強いゼンマイ仕掛けでもあるかの様に、じりじりと私の方へねじ向いてくるのでした。
そして、遂に、その真赤にふくれ上がった首が－それは私自身のものとちっとも違わないのです。－半分程私の方を向くと、白眼になった目の隅で、私の顔を発見して、一刹那ギョッとした様な表情を浮かべました－私はその時の彼の顔を死んでも忘れないでしょう－が、じきに彼はもがくことを止めて、ぐったりとなって了いました。”

それは吐き気をもよおしたくなるよな恐怖である。

小生投稿記事より
乱歩・・・＜双生児-GEMINI-／１９９９年＞

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