飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

江戸川乱歩の研究?36⇒「化人幻戯」から

2006-06-16 | 江戸川乱歩
暗黒の空間において感覚が遮断された状態では、かえって己の内的な受動器が
敏感に働く。それは一種の退行であり、自己発見の内的な旅ともなる。そこに意中の女性が、絡みついてきたらどうなるのであろうか?乱歩は、白くて滑らかな一匹の蛇と表現しているが、私はそこに一種の神話的な感性を感じないではいられなかった。


◆感覚の拡張

“中心部に入るとき、一度懐中電燈をつけたけれども、すぐに消してしまった。曲折したコンクリートの壁で、外光と音響を隔絶された小天地、黒ビロードに包まれたような黒暗々の中の数十分は、武彦にとって、ほとんど一つの生涯に匹敵した。彼はそこで生まれ、そこで死んだかの如くに、想像を絶した愛欲の神秘を経験した。その暗黒の中では、由美子は白くて滑らかな一匹の蛇であった。その蛇は全身から不思議な香を放って、彼のからだに纏いつき、これを包み、これを締めつけ、血行もとまり、意識も失うかと思われるほどであった。”


人気blogランキングへ



■小説
江戸川乱歩全集 第17巻 化人幻戯

光文社

このアイテムの詳細を見る

■DVD
エマニエルの美女 江戸川乱歩の「化人幻戯」

キングレコード

このアイテムの詳細を見る


コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 江戸川乱歩の研究?35⇒「化... | トップ | 乱歩NO.32・・・<黒水仙の... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは (うみ)
2006-06-20 12:48:57
TBありがとうございます。

乱歩が好きだと言うわりには、読む作品は

偏ってます。

また、覗きに来させてください。
返信する
コメント (飾釦)
2006-06-20 20:57:28
ありがとうございました。また見てください。お待ちしております。
返信する

コメントを投稿

江戸川乱歩」カテゴリの最新記事