乱歩NO.３０・・・＜白い乳房の美女～地獄の道化師／１９８１年＞

白い乳房の美女～地獄の道化師

放送：１９８１年テレビ朝日
監督：井上梅次
出演：天知茂、岡田奈々、片桐夕子、白都真理

おなじみの天知＝明智小五郎の「美女シリーズ」。今回のヒロインは岡田奈々と白都真理、でも影のヒロインは片桐夕子です。彼女は、前記の美女たちを押しのけた白熱の演技で、その存在感を誇示します。

片桐夕子はロマンポルノ出身の女優、つまりそれはお茶の間のサービス、ヌードシーンを披露するといういわばアテ馬的役割。しかし、彼女の演技は、地の底からの演技、つまるところ一番の存在感を示すことになってしまいます。

本ドラマは、乱歩の原作をベースにしながら現代風にり・アレンジしています。程よいテンポでの演出はなかなかの出来です。疑惑が疑惑を呼ぶ、明智小五郎は助手たちに道化師から連想する言葉は？と投げかけ謎解きのヒントとします。それは視聴者の推理参加の手法とも見えます。リアルタイムにその疑惑の解決に加担するのです。

そして、明智に見破られた包帯で覆われた人物。その瞳に映る涙。この演技は、おきまりの音楽と共に悲しい哀愁を誘います。それは原作には魅られなかった味け。世の中に絶望した者の気持ちがわかるのか・・・その台詞（乱歩の原作にもあります）が、涙と共に深く余韻を残します。

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