飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

漫画no乱歩#13⇒「お勢登場」池上遼一/小説新潮スペシャル

2006-11-09 | 江戸川乱歩


「お勢登場」池上遼一
小説新潮スペシャル杉本彩責任編集「エロティックス・官能文学名作選」/新潮社


池上遼一さんが江戸川乱歩の小説を原作にして漫画を描いていたとは。池上さんはリアルなタッチの絵なだけに、幻想的で非現実的な乱歩の世界をテーマにすると、より作品の底に流れている恐怖がより鮮明になってきそうです。

この「お勢登場」は、乱歩の作品を忠実に描き、お勢の中に眠る魔性と長持ちの中に閉じ込められた恐怖をとてもうまく書いていらっしゃいます。非の打ち所がないとはこのことなんでしょう。逆にうまくまとまりすぎていて、はみ出していく所、ズレて行く所のどうしょうもない性とでも云ったらいいのでしょうか、殻をこじ開けようとする一種破壊的なパワーが少ないのが、少々残念です。(なぜか期待してしまうんですね)



しかし、池上さんの描く女性はボクの中では成熟した大人の女、それも紙面の上からもフェロモンを醸し出すほどの。それで充分ではないだろうか。女が魅力的に描かれていないとどんな作品も半減してしまうのだから。

ところで、この漫画を掲載していたのは小説新潮スペシャルとして杉本彩責任編集「エロティックス・官能文学名作選」という雑誌だ。(数ヶ月前に購入した本なのでおそらくは今は出ていないと思うが)谷崎潤一郎、太宰治なんていう文豪の名前が並んでいる。その中に池上さんの漫画も収録されている。しかし、なんといってもすごいのは杉本彩さんが自らの筆による官能小説を掲載、おまけに自身の朗読によるCDまで付いていて、この中身が超過激なのだ。ここまでいってしまうか杉本さん。それに破壊的なパワーを感じ、拍手を送りたい気分になった。




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■小説(「お勢登場」所収)
江戸川乱歩全集 第3巻 陰獣

光文社

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