飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

「ジャクソン・ポロック展」(東京国立近代美術館)を見た

2012-02-22 | 美術&工芸とその周辺

東京国立近代美術館で開催中の「ジャクソン・ポロック展」を見てきました。ポロックといえばそのイメージはまずは「アクション・ペインティング」です。絵の具をパッ、パッとキャンバスにかけて、はたしてこれを絵と読んでいいのか?という抽象絵画の極みまで行ってしまっている難解さがあり、逆にどう作品を鑑賞したらいいのかわからない困ってしまう画家という印象を持っていました。今回生誕100年を記念したこの展覧会は、日本では初めての回顧展であるとのことで美術界においては貴重な企画なのでしょう。 

絵の具を乱雑にぶちまけた絵、程度しか認識のなかったポロックですが、当然のように最初は具象的な絵を描いていますが、ネイティヴ・アメリカンやメキシコの絵画に、ピカソやミロの影響をうけそれらを超克するために、あのようなスタイルになっていったというのがわかりました。そうした流れの中であの「アクション・ペインティング」の作品を見ると、一味も二味も違って見えてきました。またポロック自信がユング派の精神分析を受けていたというのも興味深い点でした。

 

「くそっ!あいつが全部やっちまった!」とピカソの画集を投げたというエピソードは、ポロックが新しいスタイルを築きあげようと真剣に格闘していたという証拠でしょう。絵の具を垂らして制作しているポロックの映像が流れていましたが、それを見ていると単に絵の具を垂らしているだけではない、絶妙な手の動きによって絵の具の軌跡を作り出しているように見えました。それは偶然の所産ではない、ポロックの無意識の表出なのかもしれません。少なくともポロックの絵の前に立っていると、無数の絵の具の軌跡が様々なものに見えてきて私の想像力を刺激してくるのでした。見る人100通りの見方がある、そんな風に思ったポロックの作品でした。

 

 

美の20世紀〈15〉ポロック (美の20世紀 15)
Donald Wigal,山梨 俊夫,大島 徹也
二玄社
ジャクソン・ポロックとリー・クラズナー (岩波アート・ライブラリー)
Ines Janet Engelmann,杉山 悦子
岩波書店
ジャクソン・ポロック (ニューベーシック) (ニューベーシック・アート・シリーズ)
レオンハルト・エマリング
タッシェン
ポロック 2人だけのアトリエ [DVD]
エド・ハリス,エイミー・マディガン,ジェニファー・コネリー,マーシャ・ゲイ・ハーデン
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
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