549の15『自然と人間の歴史・日本篇』消費税と所得税
消費税の増税を避けるには、それなりの歳入増を考えないといけないだろう。その検討項目の一つが、所得税の課税強化であって、ここではまず、この間の所得税の推移を紹介しておきたい。
◎所得税にかかる税率表
〇1974年(17段階)
10.5%(~60万円)
12%(60万1円~120万円)
14%(120万1円~180万円)
16%(180万1円~240万円)
18%(240万1円~300万円)
21%(300万1円~400万円)
24%(400万1円~500万円)
27%(500万1円~600万円)
30%(600万1円~700万円)
34%(700万1円~800万円)
38%(800万1円~1000万円)
42%(1000万1円~1200万円)
46%(1200万1円~1500万円)
50%(1500万1円~2000万円)55%(2000万1円~3000万円)
60%(3000万1円~4000万円)
65%(4000万1円~6000万円)
70%(6000万1円~8000万円)75%(8000万円超)
〇1984年(15段階)
10%,5%(~50万円)
12%(50万1円~120万円)
14%(120万1円~200万円)
17%(200万1円~300万円)
21%(300万1円~400万円)
25%(400万1円~600万円)
30%(600万1円~800万円)
35%(800万1円~1000万円)
40%(1000万1円~1200万円)
45%(1200万1円~1500万円)
50%(1500万1円~2000万円)
55%(2000万1円~3000万円)
60%(3000万1円~5000万円)
65%(5000万1円~8000万円)
70%(8000万円超)
〇1987年(12段階)
10%,5%(~150万円)
12%(150万1円~200万円)
16%(200万1円~300万円)
20%(300万1円~500万円)
25%(500万1円~600万円)
30%(600万1円~800万円)
35%(800万1円~1000万円)
40%(1000万1円~1200万円)
45%(1200万1円~1500万円)
50%(1500万1円~3000万円)
55%(3000万1円~5000万円)
60%(5000万円超)
〇1988年(6段階)
10%(~300万円)
20%(300万1円~600万円)
30%(600万1円~1000万円)
40%(1000万1円~2000万円)
50%(2000万1円~5000万円)
60%(5000万円超)
〇1989年(5段階)
10%(~300万円)
20%(300万1円~600万円)
30%(600万1円~1000万円)
40%(1000万1円~2000万円)
50%(2000万円超)
〇1995年(5段階)
10%(~330万円)
20%(330万1円~900万円)
30%(900万1円~1800万円)
40%(1800万1円~3000万円)
50%(3000万円超)
〇1999年(4段階)
10%(~330万円)
20%(330万1円~900万円)
30%(900万1円~1800万円)
37%(1800万円超)
〇2007年(6段階)
5%(~195万円)
10%(195万1円~330万円)
20%(330万1円~695万円)
23%(695万1円~900万円)
33%(900万1円~1800万円)
40%(1800万円超)
〇2015年(7段階)
5%(~195万円)
10%(195万1円~330万円)
20%(330万1円~695万円)
23%(695万1円~900万円)
33%(900万1円~1800万円)40%(1800万1円~4000万円)
45%(4000万円超)(注)税制の抜本改革の一環として、2013年3月に、所得税法と相続税の法の改正が行われたことによる。
(出所)税務研究会「税法便覧」各年度版、等
これによると、例えば2007年からの所得税額(国税)は、課税所得が
2500万円の人は、1800万円までの分についてはそれぞれのバケツ(5段階)が一杯になるごとにそれぞれの税率だけの税金がかかり、最後の6段階目、つまり1800万円を超え2500万円までの700万円について40%の税金がかかるように計算される。従って、この人の全体にかかる税額は6段階それぞれでかかる税額の合計額となる。
続いて、2016年分の申告納税者の所得税負担率が、国税庁から発表されている。その中では、所得の大きさにより負担の実際がどうなっているかが示されている。
具体的には、次のようである。
申告ベースでの合計所得金額が250万円のところでは2.8%、300万円のところでは3.1%、400万円のところでは3.8%、500万円のところでは4.9%、600万円のところでは6.4%、700万円のところでは7.9%、800万円のところでは9.2%、1000万円のところでは10.7%、1200万円のところでは12.8%、1500万円のところでは15.5%、2000万円のところでは18.5%、3000万円のところでは22.5%、5000万円のところでは26.6%、そして迎えた1億円のところで28.8%となるつている。
この負担率のピークを越えてからは、負担率が徐々に下がっていく。合計所得金額が2億円のところでは28.2%、5億円のところでは25.3%、10億円のところでは22.6%、20億円のところでは同じく22.6%、50億円のところでは20.0%、100億円のところでは17.0%、そして100億円以上になると15.9%へと下がる(国税庁「申告所得税標本調査(税務統計から見た申告所得税の実態)、2016年の数値」)。
すなわち、申告所得が1億円超の富裕層は、税負担率が下がることがわかっているのだ。それに至るまでの税率は徐々に上がっていくが、これは私たちがよく話をしているとおりである。ところが、1億円の山を超えると、そこはもう普通人にとっては「前人未踏」であるかのような税の世界であって、ここに捕捉されないでいる膨大な所得の手取り額こそが、年々にたまって巨額のストックへと成長を遂げていくのだと推察される。
(続く)
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