551の5『自然と人間の歴史・日本篇』ベーシック・インカム」の財源巡って(消費税との関連)
その財源を何に求めるかは、ベーシック・インカムを導入する場合の最大の課題と言って差し支えないであろう。その提唱者で知られるドイツのヴェルナーは、2005年に刊行の経済誌での対談に臨み、財源につきこんな考えを述べている。
「私たちはとうに消費税を持っているのですから。(中略)つまり、私たちはこの税制をさらに発展させて、消費税にのみ課税して、貢献(価値創造たる生産)に対しては非課税にするのです。たくさん消費する者はたくさん税を払い、つつましく生活する者は少ない税を払う。なぜなら、後者は前者よりも道路や飛行場を利用することが少なく、エネルギー消費もゴミの排出量も少ないからです。つまり、共同体から要求するところが少ないからです。
ーしかし、消費税が唯一の財源だとすると、低所得層は現在よりも大きな打撃を受けるのではありませんか?
そのためにベーシック・インカムを導入するのです。その額は、個々の市民に最低限度の生活を保障しうる額、人間的な生活を可能にする額でなければなりませんもちろん、付加価値税[消費税]も支払うことができる額です。」(ゲッツ・W・ヴェルナー著、渡辺一男「ベーシック・インカム」現代書館、2007)
なるほど、消費税を20%を超えるくらいに税率を上げていけば、「とりっばぐれ」はないと仮定しての税収の見積もりはかなりの額になっていく。そのすべてを社会保障費に関係するベーシック・インカムの必要給付額に充てるならば、かなりの可能性が開けてくるのかもしれない。
ちなみに、2018年度の我が国の社会保障費として計上されているのは、約32兆9732億円であって、そのうち年金給付費が約11兆6853億円、医療給付費が約11兆6079億円、介護給付費が約3兆953億円、少子化対策費が約2兆1437億円、生活扶助等社会福祉費として約4兆524億円、保健衛生対策費として約3兆5142億円、そして労災対策費として約373億円となっている。
(続く)
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