◻️353『岡山の今昔』岡山人(19世紀、徳兵衛)

2019-10-22 19:08:25 | Weblog
353『岡山の今昔』岡山人(19世紀、徳兵衛)

 徳兵衛(とくべい、?~?)は、備中出身の船乗り。この彼の名前を有名にしたのが、「北アメリカ州の話、備中国浅口郡勇崎村徳兵衛咄」(略して「徳兵衛漂流記」)の著者としてである。そうなったいきさつについては、森脇正之氏の「玉島風土記」(岡山文庫、1988)に、こうある。
 「嘉永三年(1850摂津国(兵庫県)大石村の栄力丸という一五○○石積み、十七人乗組みの船は、志摩国(三重県)大王崎沖で暴風雨にあい、太平洋を漂流すること五一日、アメリカ船に救助されて、(中略)。この間のことを乗組員の徳兵衛という人が、よく記憶していて、人々に物語りして聞かせました。」 

 次に、その本の一部が、解説付きで新聞に紹介されているので、二つ紹介しよう。

 「米牧畜事情、詳細に。日本最古の報告か。放牧や売買、解体も /岡山

 サンフランシスコ到着時について書かれた「漂流記」のページ。左から4行目に「山々うごき候」の記述が見られる=岡山県津山市の津山郷土博物館で、小林一彦撮影

 津山市で昨年見つかった、19世紀半ばの船乗りによる漂流体験の記録に、米サンフランシスコの牧畜の様子が詳しく記されていることが分かった。現地は当時、ゴールドラッシュで人口が急増し、食料需要が高まった時期。大量の牛馬が放牧されている様子だけでなく、家畜の管理・売買方法、肉屋での牛の解体・精肉処理なども詳細に触れられ、日本人による最古の米国畜産リポートの可能性がある。【小林一彦】」(毎日新聞、2016年10月1日付け、地方版)

 「米大統領選の記述発見 幕末の備中 4年ごとに「王」選ぶ 津山郷土博所蔵 /岡山
 岡山県津山市で見つかった「漂流記」の米国大統領選挙に触れた記述(ページ中央付近の2行)=同市山下の津山郷土博物館で
 2015年に津山市で見つかり、19世紀半ばの米国の様子を伝える日本人船乗りの漂流記に、米大統領選に関する記述があることが分かった。4年ごとに「王」を選んでいるなどと記され、米大統領選を紹介した県内最古の史料である可能性が高い。幕末の県内の町民が、世襲制とは異なるトップがいると知っていたことを裏付ける貴重なものだ。【小林一彦】」(毎日新聞、2017年8月20日付け、地方版)

 ここで後者に関連しては、大統領の人となりを紹介している、圧巻の箇所があるので、しばらく引用したい、
 「一、国王として代々相続する家、これあるにあらず、学問、才徳ある人を選出して王となし、四年目、丸三ヶ年にて相勤め、また才徳ある他人に譲り申し候。たとえば皇国にては大寺の住職の如し。さて王位に昇り候ても、権威を振るうこともこれなく、至って軽き暮らし方にて、往来には馬に乗り、ただ従者一両輩召し連れ候のみ。一国ばかりにあらず、それ以下大臣より県令、荘家に至るまで、みな三年その他に御座候。」(森脇、前掲書)

(続く)

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