新8『岡山の今昔』岡山の山(中国山地)

2022-01-17 10:22:44 | Weblog
8『岡山の今昔』岡山の山(中国山地)

 まずは、この辺りの山の形成を振り返ると、大まかにはどのようであったのだろうか。一説には、そもそも海底で山地なりが形成されていたのが、プレートの移動と相俟って隆起してユーラシア大陸の東端に張り付いていたところ、その一部が、新生代の新第三紀(約2303万年前から533万3000年前)中のおよそ中頃のある時期(一説には、2000万年前、別の説では1500万年前とも)に、大陸から離れて弧状列島になったのではないかと考えられている。
 その時には、両者の間に海ができた。その海がだんだんに広がっていく。しかも、その前の大陸縁の南西部は九州西部付近を要として時計回りに回転して西南日本になる一方、東北部は反時計回りに回転して東北日本になったというから、驚きだ。
 このような日本列島の回転がいわれるようになったのには、現在の日本列島各地において、岩石が獲得した地磁気の方向を調べたところ、ほぼ1500万年前前後を頃を境にして、代の古地磁気の方向がどこでも異なることからわかったことがある。
 それはさておき、岡山県の最高峰とされているのは、後山から船木山、駒の尾山(こまのおやま)辺りと見えて、「後山連山」とも言い慣わされる。そのまま暫く西へ向かえば、那岐山があって、この辺りまでは「氷ノ山後山那岐山国定公園」の峰続きとなっており、まさに壮観である。
 次に見えてくるのが人形仙(にんぎょうせん)だ。この山は、鏡野町上齋原にあって、鳥取県にまたがる。 山頂からは、南西には津黒山、北東には三国山とある、そのほぼ中間にある。名前が一風変わっているのは、江戸時代の「伯耆民諺記」に登場する人形仙越に由来するという、この宿は、倉吉・三朝のある東伯耆と津山を結ぶ「津山往来・伯耆往来」の一つだったことからだという。
 それからも、さらに西へ行っての新庄(しんじょう、真庭市)の毛無山(けなしがせん)は、鳥取県にまたがる、大山隠岐国立公園の一部を成す。こちらの山頂から北東へは、大山(だいせん) の南壁、右へは三平山(みひらやま)、蒜山の三つの山へとつながっていく。天候が良ければ、壮大な景色を満喫できるとのこと。
 この山について、郷土史家の小谷善守は、次のように紹介している。
 「出雲街道の四十曲峠と嵐ケ乢に挟まれた二ツ橋地区を山一つを隔てた田浪の岡山・鳥取県境に毛無山(仙)が穏やかな山容を見せている。ブナ、スギの自然林で知られ、保護もされているが、元禄2年(1689)の「村古事名物書上ケ御帳」(「新庄村史」前編を参考)と「作陽誌」は「新庄村の多並(田浪・たなみ)山のうちに毛無山(けなしせん)というこの村でいちばん高い山がある。この頂上から西は伯州(鳥取県西部)になるが、北に大山一帯が近く見える。西北には米子とその近辺の村、海、三保の関の山まで見える。西に高い山が見えるのは、石州(島根県西部)の三部山(さんべ)山で、この山は、日本で5番目と聞いている。
 また、晴れている日は、隠岐島(おきのしま)の山も見える。南のほう、備中の山が多く見えるが、なんという山か知らない。東には、奥津、上斎原の山が見える。このほかにも山が多い」と記している。四十曲、嵐ケ乢の峠道からも見える高峰。ブナの自然林を抜けると、頂上一帯は、クマザサが続き、毛無(けなし)と呼ばれたのもうなずけるが、四方に県境の山が連なり、東南の谷に小さく集落が点在している。嵐ケ乢のふもとに広がっていく戸島から新庄の家並みか。」(小谷善守著「出雲街道」の第1巻「松江ー米子・新庄・美甘」、「出雲街道」刊行会、2000)

 それと、最近では登山やトレッキングで人気があるようで、例えば、次のように紹介されている。

 「岡山と鳥取の県境に位置する毛無山は、両県から登山道があり、360度の展望と尾根を彩(いろ)どるカタクリの群落などで人気の山だ。
 俣野川(またのがわ)を挟んで15km(キロメートル)先にある大山をさえぎるものはまったくない。
 特に鳥取側の四号目にある展望台からは、俯瞰(ふかん)するように谷底の集落が眺められ、山裾から中国地方の最高峰、伯耆(ほつき)富士頂稜まで見渡せる絶好のビューティーポイントだ。タタラの痕跡(こんせき)やブナの森を楽しめる、白馬山(はくばやま)を周回する岡山県側からのコースもよいが、大山展望をメインにするならサージタンク広場から登るコースがオススメ。」(写真と文は岡本民治氏、山と渓谷社「山と渓谷」2021年8月号)に所収から引用)
 なおも西へ向かえば、剣山(けんざん)を経て花見山(はなみやま)が見えてくる。これでもって、かれこれ岡山県の北西、新見市千屋花見(ちやはなみ)まで来たことになろう。この辺りは、鳥取県日南町にまたがり、1000メートル級の八つ8連山の最高峰(1188メートル)とのこと。
 山の概要あるや、どっしりち構えて見える。山頂には、一等三角点が設置されているという。そこからの展望だが、南西には三国山、北の向こうに伯耆大山、そればかりか天候が良ければはるかに目を凝らすと島根半島やら隠岐の島まで眺められる。

(続く)


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