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価値ある存在-吉本隆明74語より(2)

2005-08-20 13:37:53 | 価値ある存在
今日は、先週に引き続いて、勢古浩爾さんがまとめた「吉本隆明74語より」という本からの感想の抜粋です。青字は、吉本隆明の文章。黒字は筆者の感想。

市井の片隅に生まれ、そだち、生活し、老いて死ぬといった生涯をくりかえした無数の人物は、千年に一度しかこの世にあらわれない人物の価値とまったくおなじである。(「カール・マルクス」)

(人間の生き方において)自分の意志力が貫きうる範囲は、まあせいぜいいって半分です。あとの半分は外界が決定するのです。(「敗北の構造」)

のんびりやろうが、普通にやろうが、急いでやろうが、とにかく10年という持続性があれば、かならず職業として成立します。面白くても面白くなくても、コツコツやる。必死で頑張らなくったっていいのです(「ひきこもれ」)

◇コメント

吉本が「カール・マルクス」で述べたこのような言葉が吐ける人間は、あなたの周りにいるでしょうか?千年に一度しかこの世に現れない人物も、それに先立つ何百世代もの祖先の血縁の連鎖の偶然の結果で、この世に生まれ出ているにすぎないのです。それがたまたま本人が生きたその時代の環境と交わり、ある分野においてその時代が要請する「才能」が発揮されたにすぎないと言えます。何故に、市井の片隅で自分なりに素朴に生きる人間と価値を隔てる必要があるでしょうか。人類の連鎖としては同じ位置付けとして考えなければならないと思います。寒冷な気候に適応した白人と、熱帯の気候に適応した黒人の間に、外観による価値付けを行う人間がいるとしたら、いったいそれはどういう根拠からなのでしょうか?それとおなじで、人間の生き方もそれぞれの環境において、半分は外界に決定されながら異なっていくだけですね。そこには価値の序列において優劣を示す論拠はないのです。
こうした考えは、仕事を進めるに際しても肝に銘じた方がよいと思います。あなたがもつ言われのない「優越感」のようなものは、そのまなざしを受ける人間の直観に必ずや捕捉されているものであると考えた方がよさそうです。

市井の人でも、10年かけてコツコツやれば職業として成立するという吉本の意見は全くその通りですね。問題は持続するかどうかだけであり、これが「価値ある存在」となれるかどうかの分かれ目になるようです。
コメント (5)
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