白隠和尚のブログ

今日より明日が幸せでありますように。好奇心旺盛な70代のブログ。

映画 "あなた その川を渡らないで"

2016-12-02 10:44:20 | 映画の感想

〈2014年 韓国映画〉

結婚76年目を迎える98才と89才の夫婦の日常を撮したドキュメンタリー作品の秀作。

二人はお揃いの韓国服に身を包み恋人同士のように歩くなど、川のほとりで仲睦まじく暮らしている。しかし、二人は愛に溢れた現在の生活に満足しながらも老いからくる体の異変に心を痛めている・・・

映画は幸せ一杯の暮らしから深い哀しみの生活に急転する。その落差が
大きい故に本物の哀感が観るものに伝わってくる。結婚70年目にして別れる哀しみや寂しさは、我々70代の想像を超えた深いものに違いないが、「あなた、橋を渡らないで、逝かないで、私も連れていて」と
亡き夫に語りかける声に観客も共感するのである。
韓国では封切り後、大きな反響があって老妻のところに大勢のマスコミが詰めかけたそうである。

この映画はドキュメンタリー作品と言われているが、映像はセットで撮影したように美しくカメラも些かもブレがない。しかも被写体の老夫婦が移動してもカメラは予めその動きを承知しているかのように待機している。普段ドキュメンタリー番組を見慣れた私の目には時々ドラマを見ているようだった。

私は韓国を観光したことがあるが、所謂観光名所だったのでこの映画で
初めて韓国人の普通の暮らしの一端が見えて興味深かった。例えば、板の間のごろ寝(オンドルに暖まる工夫だろうか)虫除けのカヤを吊って寝る、最も驚くのは衣類を燃して(新品ですぞ、勿体ない)冥土で待つ親族に送る風俗慣習、等々。

韓国は九州や北海道より近い国なのに、文化の違いは何処から来るのか、儒教社会だからかな。
映画を見終わっても不思議にこの疑問が頭から離れない。私にとって韓国は近くて遠い国である。


お わ り




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