中国吉祥航空のアモイ(厦門)行きHO1388便に搭乗するため空港に入る。
早速周りを見回してそれとおぼしき女性を探した。
旅行会社の係員が旅の説明をしているあいだも私は彼女を探し当てる
手掛かりを求めていろいろ聞いたものだ。
「一人で参加している女性はいますか」「名前がわかったら教えて」とか・・・
私の矢継ぎ早の質問に相手はだんだんと怖い顔になってきて最後に
「其れにはお答え出来ません」と質問を打ち切った。
今考えると全く愚かな質問を繰り返したものである。
果たして彼女は来ているや否や、出発ロビーにボンヤリ座っていると、
「和尚さんお久し振りです」と声が懸かった。
見上げると見覚えのあるお顔が二つならんで微笑んでいるではないか。
「ああ、あなたでしたか」
「お会いできて嬉しいです」
斯くして私達ブロ友は再会を果たしたのである。
私達の飛行機は上海を経由してアモイに飛んだのだが、
上海の乗り継ぎの際に不可解な運航上のトラブルが有ったので、
アモイに着いたのは予定より遅れて深夜を過ぎていた。
一行は13人。予想どおり私が最高齢だった。
アモイは雨模様で寒かった。移動するバスの温度計は13℃を示していたが、
寒がりの私にはもっと凍えているように感じた。
ホテルの部屋も寒かった。私はダウンジャケットだけを脱ぎ、ズボンは履いたままベッドに入った。
つ づ く
今年最初の海外旅行先に選んだのは中国・コロンスと福建省の[福建土楼]を巡るツアーである。僅か四日間であるが、凍える寒さの日本を離れて束の間南国の太陽を浴びて来る積もりである。
この度の旅では空港で女性と落ち合って一緒にツアーに同行することになっている。
私は彼女を知らないが、以前別のツアーで顔を会わせたことが有るとブログを通して自己紹介があった。お互いの旅好きが高じて今日の初対面に至った次第である。
この齢になって、初対面の女性と一緒にツアーが出来るとは、これぞサプライズ、信じられない、果たしてどのような女性が現れるやら、今から緊張気味、ドキドキもしている。
コロンス島には険しい地形の観光地が有るとパンフレットに書かれているので早速娘から贈られた杖を持参してある。準備は整った。
もうすぐ対面します。行ってきます。
白隠和尚
娘に「散歩の途中に息が切れて立ち尽くす事が時々あるよ」と話したら早速宅配便で杖が届いた。
私は軽い気持ち気持ちで話した積もりなのに娘にとっては大事に聞こえたらしい。
父親が散歩の途中に転んで大騒ぎになることを心配して「転ばぬ先の杖」との洒落の積もりかも知れない。
しかし、私は流石に「杖はまだ早いよ」と戸惑っている。私にとって杖から連想されるのは後期高齢者、介護を必要とする人達の道具だ。
まだ足腰はしゃんとしている(と自分では思っている)からであるが、娘には私が後期高齢者に見えるのだろう、つまり世間の私を見る目も娘と同じだとすると、うーん些か憂鬱である。
杖の使い勝手とはいかなるものかと、こっそり杖を突いて自宅近くを歩いてみたところ、これが意外に難しいのだ。杖に凭れると杖が逃げて行くようで身体のバランスが上手くとれないのである。
自分がもう少し年を取って本当に支えが必要な時にならないと杖は私に馴染んで呉れないのだろうと思った。。
近々、杖を持参して電車に乗ってみようかと思っている、乗客の皆さん席を譲って呉れるか楽しみだ。
本日も平穏なり
私は循環器科と呼吸器内科で定期診断を受けている。
循環器科の方は数年前に自宅で心筋梗塞で昏倒して救急車で病院に運ばれて以来の病、
今も複数の常備薬を服用している。
心配なのが呼吸器内科のほうだ。
現在、私の肺は肺気腫と肺癌が進行中ということであるが、肺はボロボロ、
手術も生体検査も出来ないらしい。
もはや手の施しようもなく治療も病の回復も無理だという。
昔の不摂生の付けが回って来た感じである。
そんな次第で定期診断と云っても、ただ病気の進行を教えてもらい
「後何年位生きられますか?」と聞く場になっている。
今年から担当医が変わった。診断の方法はこれまでと同様、
CTスキャンで撮影した画像に依って行われた。
医師は画像を見ながら「肺癌は少しずつ大きくなっているようだし・・・肺線維症も見える」と
新しい病気の発見も口にした。
私の肺は肺気腫と肺癌と肺線維症という病気で犯されているというのだが、
今のところ痛みも無く苦しくもないから私は医師の説明を他人事のように聞き流した。
だがしかし、今年になってから少し体調に変化を感じ始めている。
何もしていないのに息苦しい事があるし、
散歩の途中で苦しくなって立ち止まった事もある。
そんな時私は秘かに「私の肺に潜む敵がそろそろ動き出したのか」とじんわりとした恐怖感を感じる。
本日も平穏なり
毎日寒くてたまらん。年のせいか、食べ物か又は財布の軽さか、
それぞれ思い当たるが、この冬はやはり寒いね。
水道管が凍結した日も有ったし・・・。
過日、トイレで寒さと便秘で立ち往生したとブログで告白したら、
早速友人からトイレにはヒーターがお勧めですよと御教示頂いた。
成る程と思い早速量販店に向かったものの、
商品を眺めているうちに「もう暫く我慢すれば暖かくなる」と
もう一人の私が財布の紐を締めたので買うのを思い留まった。
部屋の中では灯油ストーブが主役だ。
〈やもめ暮らしの匂いがする灯油ストーブ〉
このストーブ、もう何年も使い込まれた年代物だから、
点火にはライターが要るし余り暖かくない。しかしいつもボンヤリ赤い灯を付けて灯っている姿が好きだ。
天辺に鍋を載せればコンロになるし、
居ながらにして餅も焼ける便利も捨てがたい。
窓際で日向ぼっこをしていると娘が現れた。
私の口癖になった「寒いね」を言うと娘は体を動かせば暖かくなるよと、思い出したように
パソコンを立ち上げてNHKの「ラジオ体操第一」のメロディーを出して
私に一緒に体操をしようと促した。
娘と私はしばし部屋の中でラジオ体操に興じた。
何十年か昔、小学校の校庭で毎日のように聞いたあの懐かしいメロディーである。
聞いているうちに私の身体も自然に動き出すのがわかった。
娘は帰り際に寒い時は何度も体操をして身体を温めたほうがいいよと
言い、私はうんと生返事をして見送った。
♪はーるよ来い はーやく来い♪
本日も平穏なり