豆豆先生の研究室

ぼくの気ままなnostalgic journeyです。

小津安二郎 “落第はしたけれど”、“青春の夢いまいづこ”

2010年10月24日 | 映画
 
 小津の戦前のサイレント時代の作品を2本見た。
 最初が“落第はしたけれど”(1930年)、次が“青春の夢いまいづこ”(1932年)で、どちらも早稲田大学(と思しき大学)を舞台にした大学もの。

 “落第はしたけれど”は、同じ下宿で共同生活をしてきた学生たちのうち、3人は卒業できたのに、他の連中に勉強を教えていた斎藤達雄だけが落第してしまう。しかし卒業することができた3人も就職難のために就職できず、逆に留年した斎藤の方が、恋人の田中絹代に励まされながら元気にもう1年大学生活を満喫している、といった話。
 ストーリーに起伏がないし、試験のカンニングの方法も月並みなために、退屈する。
 サイレント映画とはこうも静かなものなのか・・・。フィルムの保存状態が悪いうえに、旧漢字・旧かな遣いの字幕が読みにくくて何度も巻き戻さなければならなかった。

                         

 “青春の夢いまいづこ”も同じく大学生4人組(江川宇礼雄、斎藤達雄、笠智衆、伊集院光[似の肥った男])の話。 中小企業の社長のボンボンである江川宇礼雄は急死したオヤジの後を継ぐために大学を中退する。残りの3人は何とか卒業にこぎつけるが、これまた就職難のために結局江川の会社に全員拾われる。江川は大学前のベーカリーの娘(田中絹代)にプロポーズするが、すでに娘は4人組の一人、斎藤達雄のプロポーズを承諾してしまっていた。
 貧しい母親(飯田蝶子、この人はこの時何歳なのか!)を助けるために必死で猛勉するのだが、頭が悪く成績は振るわず、性格も暗い斎藤を自分の明るさで支えてやりたいと田中は言う。ところが、江川に借りがある斎藤は田中をあきらめようとする。
 恋人さえ友人に譲ろうとする斎藤に対して江川は激怒して平手打ちを喰らわせる。

 “青春の夢いまいづこ”にはストーリーもあり、“落第はしたけれど”よりはだいぶ良かった。“落第は ~ ”の斎藤と“青春の ~ ”の斎藤の役が違いすぎるので、やや戸惑うが。斎藤に大学生役は無理なのではないか。あるいは、昭和初期にはああいうロートル大学生もいたのだろうか。
 “青春 ~ ”のラストシーン、新婚旅行の列車の窓から手を振る二人を、会社の窓から旧友たちが手を振って見送るシーンは、“早春”だか“秋刀魚の味”だったかにもあった。やっぱり小津は「豆腐屋」である。

 * 写真は、“落第はしたけれど”、“青春の夢いまいづこ”(松竹ホームビデオ・小津安二郎大全集)のケース。

 2010/10/24

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