豆豆先生の研究室

ぼくの気ままなnostalgic journeyです。

小津安二郎 “秋日和” を見た

2023年05月13日 | 映画
 
 久しぶりに、小津安二郎「秋日和」を見た。
 数日前の夜9時ころに、偶然つけたBS260ch (BS松竹東急)でやっていた。
 BSは104ch(BS-NHK)か、300ch(BS-TBS)から560ch(ミステリー・チャンネル)あたりを見ることが多く、200番台はほとんど見ない。ところが、この夜はなぜか260chに行き当たった。「秋日和」がぼくを読んでいたのだろう。
 母一人(原節子)、娘一人(司葉子)の母子家庭の娘を嫁がせるために、亡くなった父親の学生時代の旧友たち(佐分利信、中村伸郎、北竜二)が一計を案じ、原と北の再婚話をねつ造して、自分が結婚したら一人になってしまう母親のことを心配して、結婚を躊躇する娘に決断させようというストーリー。
 「晩春」の笠智衆、原節子、父娘の逆バージョンで、「秋刀魚の味」の笠智衆、岩下志麻、父娘とも同工異曲、「豆腐屋の豆腐」である。
 それでも構わないのである。2時間ちょっとの時間つぶしにはもってこいである。岡田茉莉子の唇を尖がらせたおきゃんな演技がいつみてもいい。
 「デジタル・リマスター版」とか称していて、画面もきれいだった。

     

 上の写真は、「小津安二郎名作映画集10+10」の第5巻「秋日和+母を恋はずや」(小学館、2011年)の表紙。
 2011年というのは、小津の没後50年を控えての出版だったのだろう。アッという間に10年が経って、今年2023年12月12日は、没後60年(かつ生誕120年)になる。
 しかし、全然そんなに時間が経った気がしない。小津映画はぼくが昭和に帰る「タイムマシン」なのである。

 この本の中に内田樹の映画評が載っていて、「秋日和」の中で、小津が登場人物の学歴にこだわっていることを指摘している。
 そう言われてみれば、級友たちは東大卒らしいし、司の相手(佐田啓二)は早稲田の政経出という台詞がある。戦前の小津映画には早稲田がしょっちゅう出てくるが、登場人物の学歴など、ぼくは気にしたこともなかった。
 本書には出演俳優たちの学歴も載っている。
 笠は東洋大学文学部中退(実家のお寺を継ぐ予定だったのだろう)、佐分利は日本映画俳優学校!、中村は開成高校、北は早稲田の文学部、佐田も早稲田(学部は書いてない)、司は共立女子短大、沢村貞子は日本女子大(小劇場時代に治安維持法で捕まった経歴があったらしい!)、桑野みゆきは法政女子高中退、三上真一郎は立教高校などなど、多様である。
 渡辺文雄の東大卒は知っていたが(ちなみに彼と湘南高校で同級生だった男が昔の職場にいた)、電通社員を経て俳優になっていたとは初耳だった。

 この映画に出てくるような、おっさんたちのお節介があったからこそ、当時の日本の婚姻率、出生率は保たれていたのだろう。
 実はぼくも今、友人の娘さんに誰かいないかと頼まれている。そしてかつての同僚の中に、年齢と趣味が合っていそうなのが一人いるのだが、彼に打診してみる勇気がおきない。
 40近くまで独身でいるその彼に結婚する気があるかどうかを聞くことは、どうも彼の私生活というか「婚姻の自由」に対して土足で踏み込んでしまうような気がしてしまうのである。
 もし彼にその気があったらと思うと、ダメもとで聞いてみるだけ聞いてみてもいいのではないか、とも思うのだが・・・。
 チャットGTPだか何だかに質問してみたいところである。

 2023年5月13日 記 
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