豆豆先生の研究室

ぼくの気ままなnostalgic journeyです。

映画『自転車泥棒』『アメリカン・グラフィティ』『ペーパー・ムーン』

2022年08月10日 | 映画
 
 8月1日(月)映画『自転車泥棒』(1948年、イタリア、ヴィットリオ・デ・シーカ監督)を見た。
 御茶ノ水駅前の丸善の店頭で買ったDVDだが、ケースにもDVDにも発売元の記載がない(ように思う)。“MANUFACTURED BY FINE DISC CORPORATION”とあるのがそれだろうか? 
 映像の冒頭に「著作権保護期間が切れた」云々とあった。イタリア語音声、日本語字幕版で見たのだが、時おり日本語字幕が省略されていた。ストーリーを追う分には困らなかったが。
 『自転車泥棒』もかなり昔(ひょっとしたら小学生の頃)に見た映画である。
 敗戦直後のイタリアが舞台。ローマだろうか。失業中の父親は、ようやく職安で映画のポスター貼りの仕事にありつく。家財道具を質に入れて仕事に必要な自転車を買うのだが、作業中にその自転車を盗まれてしまう。
 必死で探しまわってようやく犯人の自宅を見つけ出すのだが、証拠がないため警官は取り合ってくれない。思い余った父親はデモで混乱する街中で、止めてあった自転車を盗んでしまう。群衆に捕まえられてしまうのだが、子どもが哀願したため放免される。

 同じ敗戦国、日本でも起こったかもしれない事件である。1940年代のイタリアの町の風景と人情がふんだんに出てきて、イタリア・ファンには嬉しい映画だろう。
 ぼくが一番印象に残っているシーンは、主人公の貧しい父子がなけなしの金でレストランに入るのだが、隣席の金持ちの子どもがチーズたっぷりのピザを見せびらかしながら、とろけたチーズを30センチくらい伸ばしてから口に入れる場面だった。主人公父子はチーズの乗っていない粉をこねたパイ生地だけのピザを食べるのだが、父が「あんなピザは月に100万リラ稼がなくては食べられない」と言うのだった・・・。
 ところが今回見ると、主人公父子も金持ちと同じピザを食べているではないか。大事な商売道具の自転車を盗まれながら、何でそんな贅沢ができるのか。こんなあたりがイタリア人気質なのだろうか。ぼくの記憶のほうが戦後イタリア・リアリズムに忠実なように思うのだが。

     

 8月3日(水)には『アメリカン・グラフィティ』(1973年、ジョージ・ルーカス監督、フランシス・フォード・コッポラ製作)を見た。こちらはユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン発売(2005年)の正規版。
 この映画は日本公開時に見て、その後も何回か見た。今回印象的だったのが、『自転車泥棒』の1950年代のイタリアでは自転車が貴重品だったのに、ジョージ・ルーカスが描く1962年のアメリカの片田舎では自動車が、それもかなり高級車らしいアメ車が高校生の足になっていることだった。ただし、主人公のリチャード・ドレイファスは中古のシトロエン2CVの乗っていたが。高校生仲間の一人(テリー?)が友人から借りた高級車を盗まれてしまうエピソードがサイド・ストーリーになっている。
 特典映像の撮影秘話が面白い。ルーカス監督は素人俳優たちの「演技」が嫌いで、彼らが「演技」しそこなうまでNGを出しつづけたという。逆に冒頭で、テリーがスクーターで歩道に乗り上げるシーンでは、止まりそこなって建物わきの物置に激突してしまうのだが、このハプニング場面が採用されたという。
 今ではキューバでしか見られないようなアメ車のオンパレードで、これまたアメ車ファンにも嬉しい映画だろう。

    

 8月4日(木)には『ペーパー・ムーン』(1973年、ピーター・ボグダノヴィッチ監督)を見た。これもパラマウント・ホームエンタテインメント・ジャパン(2004年)の正規版。
 ライアン・オニール、テイタム・オニール親子が、劇中でも父子にふんして、1930年代のアメリカの田舎町(カンザス州だったか)を詐欺を繰り返しながらドライブする物語。娘アンディ役の9歳のテイタム・オニールが、周囲の役者を完全に食ってしまう名演技である。この演技でアカデミー助演女優賞をもらっているのも納得できる。
 このDVDも特典映像の撮影秘話が面白い。5分近くワンカットのシーンが多く、父親がワッフルを食べるシーンでは娘が台詞を間違えたり、ワッフルが切れなかったりして、ライアンは50枚近くのワッフルを食べるハメになったという。
 ただし、DVDのカバーの、巡業サーカスの写真屋で撮った紙の三日月(ペーパー・ムーン)に父子で座ったシーンは映画には出てこない。父親が行きずりの女をあさっている間に、娘が一人ぽっちで三日月に座って取ってもらうのである。テイタムは、大事なものを入れておくためにいつも持ち歩いている古びた菓子箱(?)に、現像されたこの写真をしまっておくのだが、このエピソードがエンディングにつながっていく。映画の題名にもなった。

 8月9日(火)からは、『エデンの東』を見はじめた。
 午前中は判例集の編集作業をし、午後は原武史『「昭和天皇実録」を読む』(岩波新書)を読み、夜はDVDで映画を見る日々である。
 『エデンの東』は後ほど。

 2022年8月10日 記

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« きょうの軽井沢(2022年8月3日) | トップ | 原武史『「昭和天皇実録」を... »

映画」カテゴリの最新記事