昨日「MAKIKYUのページ」では、くま川鉄道のリニューアル気動車「KUMA」に関して取り上げましたが、くま川鉄道では「KUMA」を含め、現在定期列車で使用される車両は、1両を除くとNDCと呼ばれる軽快気動車で占められています。
しかし例外的存在と言える車両が1両だけ存在しており、この異色の存在と言える気動車が、KT-31形と呼ばれる車両です。
くま川鉄道では以前、肥薩線の優等列車がキハ58形などによる急行列車だった頃には、朝の通学時間帯にJRの急行形車両を間合いで増結し、NDCと併結して運転するという、他ではなかなか見られない編成が見られた事でも有名でした。
しかしながら九州新幹線開業と共に行われたダイヤ改正で、肥薩線の優等列車が急行→特急に格上げとなった際には、車種も特急形のキハ185形に変更され、そのままではNDCと併結出来なくなっています。
(四国では一般型に転用されたキハ185形が、他の一般型気動車と併結運転を行った事例が存在しますので、その気になれば不可能ではないはずですが…)
そのため朝の通学時間帯における輸送力確保策として、くま川鉄道ではJR優等車両の間合い運用に代わる代替策が必要となり、JR車両乗り入れの代わりに自社車両を増備する事になっています。
とはいえ第3セクター鉄道だけあって新車増備は容易でなく、JRの一般型気動車1両が移籍する事で、自社車両保有数1両の増加(それでもJR優等車両乗り入れ時は2両が乗り入れていましたので、1両の減車になります)を実現しています。
このJRからの移籍車両がKT-31形と呼ばれる車両で、JR九州で活躍中のキハ31形1両が、帯色だけを改めてくま川鉄道に移籍したといっても過言ではない車両ですが、多数のNDCに紛れて1両だけの活躍ですので、余所者がふらりとくま川鉄道を訪れて狙っても、当たるかどうかは運次第です。
MAKIKYUも以前に姿を見た事はあったものの、この車両への乗車は今月が初めてで、乗車した列車は単行ワンマン列車だったものの、通学時間帯などでは他のNDC(勿論「KUMA」が含まれる事もあります)と併結した彩り豊かな編成を見る事もでき、これも趣味的には面白いものです。
このKT-31形は、車体長17mとJR車両にしては小柄な部類に入るものの、NDCばかりのくま川鉄道では最も車体長の長い車両であると共に、唯一のステンレス製車体を持つ車両で、製造がくま川鉄道発足前の昭和生まれというのも特徴です。
車内も座席も転換式クロスシートを装備(座席の背もたれは転換可能ですが、専らボックス配置で用いられており、せっかくの機能は余り活用されていない様です)するなど、他の車両に比べてハイグレードな設備は、くま川鉄道の他車両とは大きく異なるもので、「KUMA」の様な派手さはないものの、列車好きが見れば非常に目立つ車両と言えます。
またキハ31形は国鉄分割民営化直前に大半が製造され、くま川鉄道に移籍した車両もこのグループに属しますが、JR九州の国鉄から継承した一般型気動車の中では最も新しく、JR化後に登場した新形式を含めても中堅格といった所です。
そのためKT-31形となった1両以外は、全てJR九州でローカル輸送に従事しており、くま川鉄道移籍車はキハ31形の中でも、極めて異色の存在と言えますが、JR九州ではもっと古いキハ40系列がゴロゴロしており、近年JR九州で観光列車用に改造される車両の種車も、近隣の肥薩線を走る「いさぶろう・しんぺい」号や「はやとの風」号の車両は、経年車で数も多いキハ40系列が用いられています。
これらの観光列車は、予想を超える人気ぶりに増車が相次ぐ状況ですが、この増車には片運転台で単行運転が不可能な事もあって、他の一般型気動車に比べ使い勝手の悪いキハ47形が次々と種車に充てられています。
JR九州で持て余し気味の一般型気動車はこの形式位…と言いたくなる程ですので、通学時間帯の輸送力を確保するための増結用途に限定するのであれば、キハ47形でも充分だったはずです。
昼間時間帯の単行運転などにも使う事を考慮しても、キハ40形を譲渡する方法もあっただけに、くま川鉄道への移籍話を聞いた時には、よくJR九州も古いキハ40系列ではなく、キハ31形を供出したと感じたもの(様々な事情が絡んでいるかとは思いますが…)ですが、こんな事を感じてしまうのはMAKIKYUだけでしょうか?