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JR九州のSL列車「SL人吉」号(1)~肥薩線で再出発したSL観光列車

2010-06-19 | 鉄道[九州・JR]

   

先日MAKIKYUが九州へ出向く機会があったのですが、その目的の一つに、JR九州が走らせているSL列車「SL人吉」号への乗車がありました。

JR九州では以前から熊本地区でSL列車を走らせており、かつては阿蘇方面へ向かう豊肥本線の「SLあそBOY」号を中心に運行していました。

しかし豊肥本線は急勾配が続き、蒸気機関車(SL)には過酷な環境である上に、この列車に用いられるSL(8620形・58654号)自体も、日本で活躍中の車両で古い部類に入る事もあって、過酷な環境で走り続ける事で老朽化が進行し、近年重大な故障で運行が出来なくなった程です。

そのため一時は58654号の復活すら危ぶまれた程で、JR九州ではSL列車が長期に渡って運転休止を余儀なくされる程でしたが、昨年58654号は大修復を終え、奇跡の復活を果たしています。

ただ昨年の58654号復活後は、豊肥本線の急勾配区間がSLに過酷な環境という事もあってか、活躍の舞台を肥薩線に移し、熊本~八代~人吉間を結ぶ「SL人吉」号として新たに再出発して現在に至っています。

肥薩線は人吉以南で観光列車「いさぶろう・しんぺい」号(人吉~吉松間)や、特急「はやとの風」号(吉松~隼人~鹿児島中央間)が当初の予想を超える大成功を収め、既存気動車を改造した予定外の増車に追われる程になっています。

しかしながら絶景の球磨川沿いを走る人吉以北では、これらの観光列車に匹敵するインパクトを持つ列車がなかった事(一応この区間を走る「九州横断特急」などは、九州外の人間が乗車すればそこそこインパクトを感じる程度の改装はされていますが…)から、この区間での観光列車登場が待ち望まれていました。

そのためこの区間に設定されたSL列車「SL人吉」号は、ただでさえJR九州の観光列車の評判が良い事に加え、SL列車と言う事や、3つの観光列車を乗り継いで肥薩線を全線踏破する事も可能となっている事もあって大好評を博しており、全席指定席で運転日も限られる「SL人吉」号は、指定席が取り難い列車として有名になっている程です。

しかもMAKIKYUは確実に土日休みが確保できる状況ではなく、来年には九州新幹線の全通を控え、九州新幹線全通後は更に指定席が取り難くなる事も想定される事から、以前から「SL人吉」号運転日で、都合の良い日に指定券が確保できれば…と思っていたのですが、1週間程前の運転日に人吉発片道の指定席券が確保でき、乗車に至った次第です。
(MAKIKYUの乗車日も、熊本発の列車は既に満席と言う状況でした)

この「SL人吉」号運転に当たっては、SL(58654号)と共に以前豊肥本線の「SLあそBOY」号で活躍していた50系客車の改造車3両も、共に肥薩線に舞台を移して再活躍しているのですが、こちらは「SL人吉」号での運転に当たり、再度大きくリニューアルされているのが特徴です。

この客車は以前「SLあそBOY」号用に大改造された事もあって、再度のリニューアルでは車両形状自体はさほど大きく変わっていない様に感じられますが、両端に位置する車両の客ドア付近などに50系原型の面影を感じるものの、両端車両の展望室部分や、折戸となった中間車の客ドアなどは、50系客車の原型とは大きく異なるものです。

装いは「SLあそBOY」号の洋風のイメージから、旧型客車を連想させる鄙びた古風な列車を連想させる装いに様変わりし、塗装が変わった事でこの改造客車も大きく異なる印象を受けるものですが、この装いは写真が撮り難い事が難点です。
(写真が撮り難いと言っても、同じ肥薩線を走る特急「はやとの風」号よりはまだ良いのですが…)

またJR九州の各種列車などで有名な某デザイナーが関わっている事もあり、鄙びた古風な列車を連想させる装いに見える外観も、「SL人吉」号の列車名やロゴ、牽引機(8620形・58654号)名が客車の随所に書かれているのも特徴で、SL列車ならではの古風な雰囲気を持ちながら、今日のJR九州らしさが幾つも見られる点も、大きな特徴と言えます。

この列車はJR九州だけあって、車内も大きな特徴が見られるのですが、そちらに関しては近日中に続編記事で公開したいと思います。