MAKIKYUのページ

MAKIKYUの公共交通を主体とした気紛れなページ。
初めてアクセスされた方はまず「このページについて」をご覧下さい。

JR東日本・五能線を走る観光列車「リゾートしらかみ」(2)

2010-06-08 | 鉄道[東北]

数日前「MAKIKYUのページ」では、先月MAKIKYUが乗車した五能線の観光列車「リゾートしらかみ」号に関する記事を取り上げましたが、今日はその続編としてMAKIKYUが乗車した「青池」編成車内の様子などを取り上げたいと思います。

現在「リゾートしらかみ」号は3編成存在していますが、MAKIKYUが乗車した「青池」編成をはじめ、各編成共に3両で1編成を構成しています。

各編成は外観と共に車内も色彩を変えているものの、両端の車両が運転席寄りに展望スペースを設けた座席車、中間の2号車がボックス席という構成になっています。

MAKIKYUは「青池」編成の後に登場した「ブナ」「くまげら」の2編成には乗車した事がないのですが、各編成を一定期間毎にローテーションしている事もあり、大きな設備差はないものの、「青池」編成だけは改造から結構な年数を要している事もあり、身障者用座席を設けていない関係で座席数が1席だけ多いなど、若干の差異が存在している様です。


座席車内は特急列車などで一般的な、背面テーブル装備の回転式リクライニングシートがずらりと並んでいますが、日本海に沿って走る海岸線の絶景を売りにしている観光列車だけに、窓が非常に大きく取られています。

また座席の造りは特急普通車レベルながらも、前後の座席間隔がグリーン車並に広く、非常にゆったりとしているのは、MAKIKYUが今年初めに乗車した仙台地区のリゾート気動車「みのり」と共通しています。

この広い座席間隔は、秋田~弘前・青森間などを乗り通すと、新幹線で首都圏から秋田へ到達するのに匹敵する程長い所要時間でも、快適に過ごせる様に設計した事も一因かと思いますが、座席を回転させた状態で最大角度までリクライニングした場合に、最大角度までリクライニングさせた背後の座席と干渉しないという実用面も兼ねており、観光列車らしく「先に倒したもの勝ち」にならない様に配慮したものと感じたものでした。
(「先に倒したもの勝ち」にならない様に配慮した座席としては、小田急の特急ロマンスカーが有名ですが、こちらはリクライニングの角度を小さめにして座席数を確保していますので、長時間乗車だと厳しいものの、観光利用が多く1~2時間程度の乗車であればこれも一つの配慮と言えます。
逆に韓国鉄道(KORAIL)のムグンファ号などは、座席間隔がさほど広くない割にリクライニング角度が大きいですので、夜行列車などでの乗車時は結構快適に過ごせるのですが、座席を回転させた先客が最大角度まで座席を倒した場合などは、その至近の座席に当たると厄介です)


編成両端を占める座席車の運転席寄りには、前面or最後尾の展望と共に、車窓を楽しむ事も出来る展望スペースが設けられ、これも観光列車らしさを感じさせる設備です。

五能線は「日本海に沿って走る海岸線の絶景」が売りだけあって、ロングシート形状の座席は、五能線内で海側を向くように背もたれが固定されており、「みのり」の様な転換式ロングシートにはなっていません。

ただ観光向けに特化した「リゾートしらかみ」号の性質も考えると、日本海に沿って走る区間で敢えて海に背を向けたがる乗客はまずいないかと思いますので、「リゾートしらかみ」号で走らせる限りは現行設備で充分ですが、他線区で走らせる事も考えると、転換式ロングシートの方が便利ですので、他地域へ転用ともなれば、座席の取替えや配置転換(それぞれの座席を窓側に向けて配置するなど)も検討の余地がありそうです。


真ん中の2号車はボックス席となっており、山側に通路を寄せた座席配列になっていますが、各ボックスには扉こそ設けられていないとはいえ、ボックス毎に仕切りが設置されており、半個室状態の車両と言っても過言ではありません。

MAKIKYUが乗車した「リゾートしらかみ」号は、時間帯の関係で最も乗車率が悪いらしいという事もあって、途中で車掌氏がボックスの空席利用を薦める程でしたので、少しだけ座り心地を試してみました。

このボックス席は、各ボックスの定員が4名しか取られていませんので、1両の定員は寝台車並に少なく、空間の広さと言う観点では座席車以上ですので、これで快速列車の普通車扱いともなれば、非常に贅沢なものです。

その上ボックス全体をカーペットカーの如く平面化できるのも大きな特徴で、グループ旅行などでは結構良いかもしれませんが、ただの座席状態では当然ながらリクライニングの機能などはなく、座り心地は座席車の方に軍配が上がると感じたものですし、混雑時の1人旅で3人グループが使用しているボックスに当たるともなれば…とも感じたものでした。


MAKIKYUは「リゾートしらかみ」号乗車時に食料を調達していなかった事もあり、一応停車時間の長い鯵ヶ沢駅で、駅前にあるスーパーに立ち寄る事も出来たものの、せっかくの機会と言う事で車内販売の弁当も購入してみました。

さすがICカードに力を入れているJR東日本だけあって、本州の果てに近いローカル線を走る列車でも、手持ちのSUGOCAで購入できたのはさすがですが、車内販売員によると、販売している弁当は850円の「白神浪漫」1種類のみとの事でした。

これも売り切れになる事がある様ですし、五能線途中駅での食料調達も、停車駅や停車時間次第では厳しいのが現状ですので、出来れば乗車前に何かしら確保した方が無難ですが、「キノコが好きな方であれば…」と車内販売員が薦めた「白神浪漫」は美味と感じ、観光列車の弁当にしてはまあまあの価格といった所ですので、機会があればまた購入しても…と感じたものでした。

 
また「リゾートしらかみ」号は、記念スタンプの設置や景色の良い箇所での徐行運転なども行われ、車両設備以外にも観光列車らしい取り組みが行われていますが、記念スタンプは展望スペースに置かれているだけ、車窓や観光に関する案内も車掌放送で原稿を読み上げているといった雰囲気が漂っていたのは感心できないもので、天気が良ければ絶景の夕日が楽しめる区間を通った際も、生憎の天気だったのは惜しい限りでした。

同じJR東日本が走らせており、MAKIKYUが今年初めに乗車した仙台地区の「みのり」と相通じる印象を受けたもので、ハードは良くてもソフト面が…というのが実情で、この点では特徴的なデザインや観光列車を次々と走らせ、大成功を収めているJR他社などに比べると、「観光列車ならではのサービスに関してはまだまだ」と感じてしまうのは残念な所です。

とはいえ全席指定席で定期券利用が不可とはいえ、快速列車の普通車にしては破格の設備を提供している事は大いに評価できる事で、列車単独の収支だけを考えたら…と感じてしまう程(恐らくJR東日本も、遠方から新幹線などで五能線沿線まで乗客を呼び込む効果を狙っているハズです)でした。

「リゾートしらかみ」号は列車設備をはじめ、運行路線である五能線の沿線景観や観光資源なども素晴らしいものですし、今後新幹線新青森開業の暁には新型車両導入も計画され、より充実したものになるかと思います。

今後の展開にも注目すると共に、機会があれば「青池」以外の編成に乗車しても…と思ったものですが、ハード面だけでなくソフト面でのサービス充実にも期待したいと感じたものです。