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北陸鉄道・石川線の末端区間~鶴来以遠は明日限りで…

2009-10-30 | 鉄道[北陸]

 
  

先月初めにMAKIKYUが青春18きっぷを使い、北陸を訪問した際には、10月31日限りでの廃止が表明されている北陸鉄道石川線の末端区間(鶴来~加賀一の宮間:2.1km)にも乗車する機会がありましたので、今日は廃止が迫る同区間の様子に関して取り上げたいと思います。

北陸鉄道石川線は、金沢市内の中心部から少し外れた野町を基点に、JR西金沢駅に隣接する新西金沢駅や、旧鶴来町の中心に位置し、車庫も併設するなど同線運行の要にもなっている鶴来駅などを経て、加賀一の宮まで至る15.9kmの路線です。

過去には鶴来から能見線の分岐があり、加賀一の宮から先も金名線と呼ばれる路線(一部列車は石川線野町から直通)も存在した事などを考えると、随分衰退した印象もあります。

とはいえ1990年に東急から中古のステンレス車を購入し、雑多な旧型車を淘汰して大半が冷房車での運行となるなど、金沢近郊の郊外電車として現代の水準に見合うサービスの提供に努めるなどの輸送改善が行われ、今日に至っていますが、北陸鉄道が運行するもう一つの路線で、比較的近年になって金沢駅地下化による車両入れ替えと合わせ、直流1500Vへの昇圧を行った浅野川線に比べると、600Vという低電圧のまま残された路線だけあって、設備面はやや貧弱な印象を受けたものでした。

路線長も浅野川線の倍以上あるだけに、金沢市内の中心部から離れると長閑な田園風景が広がる区間もあるなど、ややローカルな印象が趣味的に魅力を感じる路線でもあり、鶴来までの区間は地方私鉄とはいえそこそこの利用があるのか、列車本数も概ね毎時2本程度が確保され、軌道設備などもそれなりに近代化された印象を受けたものです。

しかしながら末端の鶴来~加賀一の宮間は、街中を外れて山間へ入っていく雰囲気の区間という事もあって、列車本数は概ね毎時1本程度と半減し、一部では終点・加賀一の宮駅近くにある白山比神社への正月の参拝客輸送のために存在しているとまで言われていた程です。

MAKIKYUも9月に石川線に乗車した際は、北陸鉄道の鉄道線全線(浅野川線も含む)に乗車可能な一日乗車券を持ち歩いていた事もあって、運行本数の少ない末端区間にも乗車して来ましたが、乗客の数は数える程という有様でした。

その上数少ない乗客も、遠方からわざわざ乗りに来た印象の乗客が多数という雰囲気、終点まで乗った列車でそのまま折り返す姿が散見され、正月の参拝以外の利用はどれだけあるのか…と感じたものです。

廃線となる末端区間では、軌道設備なども木枕木に木製の架線柱(石川線では廃線対象外の区間でも一部に見受けられます)が至る所で見受けられ、低速で走行しているにも関わらず乗り心地が悪くなるなど、ローカル線の雰囲気が強く感じられる同区間は趣味的には非常に魅力的で、鶴来で朽ちている旧型車両(形は留めているものの、まず稼動出来ないと思います)でも走ればピッタリという印象を受けたものの、素人目に見ても鶴来以北の区間に比べて大きな格差を感じる程でした。

北陸鉄道が公式HPで表明している廃線事由に関しても、乗客減少に加えて老朽化した施設の取替えが迫っている事を挙げているのも納得できるもので、この程度の輸送量ではMAKIKYUも鉄道を存続する事自体が…と感じてしまい、廃線自体は止む無しと感じたものです。

ただ石川線末端区間の廃線後は、輸送量が僅少という事もあってか、新たに代行バスの運行などは行わず、鶴来駅から一の宮(加賀一の宮駅前にあるバス停留所)を経て瀬女方面へ向かう既存路線バス(北陸鉄道の子会社・加賀白山バスが運行)を代行手段とする旨が発表されていますが、同路線は運行回数が少ない上に終車時刻も早く、金沢市内~加賀一の宮間での利便性は、鉄道に比べて大幅低下が避けられない状況となっており、この辺りは今後問題にならないのか気になる所です。

また日頃は輸送量の少ない廃線区間に関しても、白山比神社への正月の参拝客輸送時期には今後どの様に対応するのかも気になる所で、鶴来駅から臨時バスを走らせて対応するのであれば、一の宮までではなく神社(加賀一の宮駅から坂道を10分程歩きます)の近くまで直接乗り入れるなどの施策が取られるのか否かも注目点かもしれません。

遂に明日で廃止となる石川線・鶴来~加賀一の宮間は、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中には、既に何度も乗車したと言う方から、乗車機会がなく廃線になってしまって残念という方まで様々かと思いますが、この記事を見て廃線区間の雰囲気を少しでも感じて頂き、11月以降は鶴来までの運行となる石川線が、加賀一の宮まで走っていた事を記憶に留めていただければ…と思います。

写真は廃線区間と終着・加賀一の宮駅の様子です。