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伊勢鉄道 最前部から眺めた路線の様子(1)

2009-08-14 | 鉄道[東海]

先日「MAKIKYUのページ」では、伊勢鉄道の普通列車で活躍している新型気動車・イセⅢ形に関して取り上げましたが、今日はこの車両の車中から眺めた伊勢鉄道線の様子を取り上げたいと思います。

伊勢鉄道の起点は四日市から亀山寄りに2駅進んだ河原田駅ですが、同駅を始終着とする列車は平日のラッシュ時間帯に僅かに存在するだけで、普通列車でも殆どの列車はJR関西本線に2駅乗り入れた四日市となっていますので、実質的な起点は四日市駅と言えます。

四日市駅では島式ホームの津・亀山寄りに、ホーム片面を切り欠いた形状の3番線のホームが設けられており、ここには「伊勢鉄道のりば」という標記もあります。


構造上津・亀山方面の列車しか発着できない配線となっており、JR車両による特急や快速列車はこのホームを使用せず、名古屋~亀山間(四日市発着の区間列車も含む)の関西本線列車が発着するホームを使用しています。

また現在関西本線亀山方面への定期列車は、全て名古屋方面からの電車となっている上に、3番線ホームの線路は架線中こそあるものの、架線が張られず気動車専用となっている事から、このホームは通常JRの列車が発着する事はなく、伊勢鉄道車両のみが発着する状況です。

この3番線を発着する伊勢鉄道の普通列車に乗車すると、2駅先の河原田駅手前まではJR関西本線を走行します。

この区間はJR線に乗り入れる扱い(第3セクター鉄道車両がJR線を走行する区間の中には、井原鉄道車両による総社~清音間の様にJR線とは別個の線区扱いとなっているケースもありますので要注意です)となっており、伊勢鉄道車両による運行でも、四日市~河原田間のみであれば青春18きっぷでも別途運賃を支払わず、伊勢鉄道車両への試乗も可能です。

河原田駅の手前で伊勢鉄道線の列車は関西本線から分岐し、分岐して程なく頭上から架線が消えますが、その後少しずつ高度を上げながら盛り土の区間を走ると伊勢鉄道の河原田駅で、伊勢鉄道線の列車はJR線ホームとは少々離れた島式ホームを発着(写真右手の架線柱が見える辺りがJRホームです)します。


この駅が正式には伊勢鉄道の起点扱いで、JR線の乗り放題系乗車券(青春18きっぷなど)を所持している場合でも、伊勢鉄道線を経由する列車に乗車する場合は、河原田~津間の乗車券を別途購入する必要があります。

そのためこの駅を利用した事はなくても、駅名だけはどこかで聞いた事が…という方も居られるかと思いますが、伊勢鉄道では普通列車も殆どは四日市発着となっている上に、JRと伊勢鉄道の境界駅とはいえ特急はおろか快速すら停車しない有様です。

実態は単なる途中駅の一つと言っても過言ではなく、MAKIKYUが乗車した伊勢鉄道車両による普通列車は、伊勢鉄道の乗務員が四日市~津間を通し乗務していた程です。

河原田駅を出るといよいよ伊勢鉄道線に入りますが、伊勢鉄道は非電化で専ら気動車が走る路線ながらも、伊勢鉄道への転換後に河原田寄りの一部区間が複線化されているのが大きな特徴です。

日本国内の鉄道でそこそこの輸送力を誇り、複線化されている路線はJR・私鉄を問わず殆どが電化され、複線非電化の路線は数える程という有様です。


国内で非電化複線という路線は、普通列車が毎時3~4本以上運転される都市型線区や、都市間輸送や貨物輸送の大動脈となっている北海道の函館本線一部区間などを除くと、極めて限られたものとなっています。

非電化第3セクター鉄道では、伊勢鉄道を除くと城北線(東海交通事業)や平成筑豊鉄道の一部区間が思い浮かぶ程度で、伊勢鉄道の場合は後に線増(複線化)した点も極めて異色です。

複線にも関わらず線内普通列車は1両ワンマンというのは、専らバイパス線としての役割に徹しているこの路線の性質を現していると言っても過言ではなく、軌道と車両のギャップは伊勢鉄道ならではの光景と言えます。

河原田を出発して1駅目が鈴鹿で、伊勢鉄道線内の途中駅では唯一の特急・快速停車駅であるだけに、主要駅とも言える存在です。


ホームも特急や快速が増結された際に備えてか、そこそこの長さが確保されており、他の伊勢鉄道各駅とは様相が大きく異なりますが、列車の運転本数などを考えると、近隣の大手私鉄(支線ですが…)とは利便性に格段の差があります。

そのため駅前に列車利用者向けの無料駐車場を整備し、名古屋方面へは快速列車利用の大幅割引回数券設定といった施策で、利用者の確保に努めていますが、名古屋方面へ特急利用となると、通過駅の河原田から1駅だけの伊勢鉄道乗車でも、JRとは別に伊勢鉄道の特急料金が必要となりますので、鈴鹿駅で特急を利用する乗客がどの程度いるのかも気になる所です。


鈴鹿を出ると次は玉垣、この駅は伊勢鉄道の車庫も併設しており、玉垣を始終着とする列車も存在しますので、駅名だけは聞いた事が…という方も多いかと思いますが、伊勢鉄道のメインを占めるJR直通の特急と快速はJR車両による運行で、自社車両による普通列車用車両(現在は全てイセⅢ形)は4両しかない事もあり、車庫も極めて小規模なものです。

玉垣の次は鈴鹿サーキット稲生(Suzuka-Circuit-Inou)、長く特徴的な駅名だけに、この駅も名前は知っている方も多いかと思います。


普段は普通列車しか停車しない無人駅で、閑散とした雰囲気が漂っていますが、サーキット開催時における長編成の臨時停車に備え、ホームの長さは結構長くなっており、イベント対策駅ならではの姿と言えます。

鈴鹿サーキット稲生の次は徳田、2両編成がやっと停車可能な程度のホームがあるだけで、複線の軌道には見合わない雰囲気の小駅です。


鈴鹿・玉垣・鈴鹿サーキット稲生といった特徴的な駅に比べると、印象が薄い駅ですが、この先の各駅もこの様な雰囲気の駅が多く、伊勢鉄道の典型と言えます。

徳田の次は中瀬古、この駅で特徴的な複線区間は終わりとなり、伊勢鉄道の中瀬古以遠は単線となります。


中瀬古駅はJR直通列車の殆どが通過するものの、快速「みえ」号の中には僅かに中瀬古停車となっている列車も設定されており、この事もあってかホームは片側だけややホーム長が長く、上下線ホームの長さが異なるのは異色と言えます。

中瀬古以遠の単線区間の様子に関しては、近日中に別記事で取り上げたいと思います。