
先日「MAKIKYUのページ」で、韓国の鉄道博物館に保存されているディーゼル動車に関する記事を公開した際、水仁線に関するコメントがあり、MAKIKYUも鉄道博物館で撮影した画像を振り返ってみたら、この路線の車両を撮影した写真がありましたので、今日取り上げたいと思います。
水仁線は名前の通り水原~仁川(仁川は現在の仁川駅とは別の場所で、特に京仁線との接続は考慮されていなかった模様)を結ぶ路線で、軌道幅762mmのナローゲージで日本統治下の時代に建設された路線ですが、道路網や路線バスが非常に発達している韓国の土地柄もあってか、1970年代以降は仁川方から路線の短縮が進み、最後に残った水原寄りの区間も95年に廃止されていますが、割合最近までこの様な路線が首都圏(ソウル大都市圏)で走っていた事自体が奇跡的ともいえます。
廃止直前の末期には専らディーゼル動車が用いられていた模様で、機関車牽引の客車列車はいつまで運行されていたのか分かりませんが、かつて使用されていた客車の1両が、水仁線沿線からさほど遠くない場所に立地する鉄道博物館に収蔵されています。
現在韓国(38度以南)で運行されている鉄道は全て標準軌で、ナローゲージが存在しない事は惜しまれますが、鉄道への関心もまだまだという感がある韓国において、過去にナローゲージの路線が存在した事を広く印象付ける貴重な証として姿を留め、容易にその姿を拝める事は有難い限りです。
また韓国では北韓と呼ばれる38度以北のエリア(通称:北朝鮮)では幾つものナローが存在する様ですが、ここはなかなか足を踏み入れる事はできず、仮に行けたとしても、現状では自由に行動できる土地柄ではなく、ナロー路線訪問もまず絶望的かと…
そういった意味では、東アジアの某島国は今でも現役のナロー路線も存在していますし、随分恵まれている様に感じられるのはMAKIKYUだけでしょうか?
バス窓と横須賀色が素敵な客車ですね!
こんな車輌に揺られて旅をしてみたいです。
この写真の車両や、以前取り上げたディーゼル動車は横須賀線に良く似た色を纏っていますが、これは昔のピドゥルギ(鳩)号(最下級種別列車の塗装)で、この塗装の現役車両自体が現在見られなくなっています。
ただ鉄道博物館には今まで取り上げた車両以外にも、この塗装の旧型客車の展示などもあり、確か車内に入れる車両もあったかと記憶していますので、もし機会があれば是非車内も視察されると良いかと思います。
またこちらもこんな車輌に揺られて…と思う事はあり、現在の韓国ではナローそのものが存在しない事は残念ですが、次々と新路線が開通するなど、今でも動きは活発ですのでなかなか目が離せません。
水仁線には、1988年11月の初訪韓の時に乗りにいったことがあります。当時は仁川市南部の海沿いの「松島」駅までの運行でした。以前は仁川駅まで線路がつながっていたようですね。私も松島駅から、廃線跡沿いに仁川駅まで歩きました。約1時間40分かかりましたが、途中までは線路も残っていました。
当時一日3往復だけの運行で、全部気動車だったはずです。唯一車両が留置されていた水原駅(ちょうど京釜線の駅の向かって右側、すなわち釜山方にあり、別駅でした)にも気動車しかいませんでしたから。
午後1時30分初発の松島行きの気動車2両編成(164+165)に乗りましたが、車内に入ってその幅の狭さにやはり驚きました。座席はオールロングでした。
乗客は座席がさらっと埋まるほどで、途中のホームと小さな待合室しかないような小駅で、それなりの乗り降りがありました。漢大前・古桟・安山駅などもそういった感じの駅で、今の立派な電鉄駅とは隔世の感があります。
安山の市街地も今とは比べ物もならないくらいだったと記憶しています。
途中駅での交換もなく、午後2時58分に松島駅に着きました。韓国唯一にナローということで、貴重な乗車体験でした。今でも懐かしく思い出します。
ちなみに水原~松島間全長46.3kmでした。