MAKIKYUのページ

MAKIKYUの公共交通を主体とした気紛れなページ。
初めてアクセスされた方はまず「このページについて」をご覧下さい。

韓国・SRT試乗に参加(車両編)

2016-11-26 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

今月MAKIKYUは韓国へ足を運ぶ機会があり、韓国内の知り合いに訪問の旨を伝えたら、SRT試乗の乗車券予約を余分に確保してあり、もし良かったら一緒にSRT乗車を…という誘いがありましたので、SRTに試乗したものでした。

SRTは来月開業予定の新高速鉄道で、ソウル市内南部の水西(Suseo)を起点に、平沢(Pyongtaek)市に位置する既存高速鉄道(KTX)との合流点までの60㎞強が新規開業区間、以南は既存高速鉄道と線路を共用する運行形態となっています。

車両規格的にはKORAIL電化区間なら広域電鉄の一部区間(一山線など)以外は可能かと思いますが、現段階では水西~大田~東大邱~釜山(京釜線)と水西~益山~光州松汀~木浦(湖南線)で営業予定となっており、KTXが運行するそれ以外の区間(麗水・馬山・浦項など)への運行予定はない模様です。

SRT試乗も実際の営業予定区間と同様に水西~釜山と水西~木浦の2区間(途中停車駅降車可)で実施され、運行本数も京釜線の方が多かったものの、需要も旺盛な事から京釜山線の方が確保し難い状況となっており、MAKIKYUが乗車したのは湖南線の方でした。

SRTの新規開業区間は開発の進んだ地域も多いソウル市内や南郊という事もあり、水西駅を出発してから50㎞強はずっと地下区間(トンネル)を走り、地上区間は10㎞程度しかないのが特徴で、水西駅から50㎞強にわたって続くトンネルは青函トンネルよりはやや距離が短いものの、鉄道トンネルでは新ゴッタルドトンネル(スイス)・青函トンネルに次いで世界第3位の長さを誇ります。

新規開業区間の途中には東灘(Dongtan)と芝制(Jije)の2駅も設置、東灘駅は長大地下区間に位置する地下駅ですが、芝制駅は既存のKORAIL京釜電鉄線に隣接する箇所に新駅が設けられ、KTX駅までのアクセスに難がある京畿道南部からの高速鉄道利用もかなり便利になります。


使用車両は既存KTX-山川をベースに、内装などを変えた130000番台の車両が新規に導入されたほか、KTX-山川の中でも昨年登場し、現在KORAILが暫定使用している120000番台の車両(通称ダリアン)もSRTに移籍して充当される事になっています。

新規導入された130000番台の車両は、外観はロゴを除くと塗装などもダリアンと同一で、両先頭車(動力車)と3号車(特室)を除く全ての車両が一般室(JRの普通車相当)、ダリアンとは客室定員なども同様です。


ただ試乗で乗車したSRT車両は、座席などがダリアンとは異なったものとなっており、乗車した編成では一般室でも特室車両の隣に位置する4号車だけが異なる形状の座席となっていたのが特徴で、最近JR東日本などが好んで導入している可動枕付(近年の韓国ではitx-セマウルなどでも導入)、モケットは黄緑色と茶色を基調とした落ち着いた雰囲気となっています。

 
それ以外の一般室座席はダリアン一般室と同様に可動枕なしながらも、角張った印象のダリアン一般室とは異なり、丸みを帯びた形状となっているのが特徴で、モケットも赤基調の華やいだ雰囲気となっていました。

座り心地に関しては個人的にはダリアン・SRT4号車・SRT4号車以外の普通車共に大差なくJR在来線特急やミニ新幹線の普通車とほぼ同レベル、シートピッチの面などで日本の新幹線最新型車両(N700系やE5系など)に比べると若干見劣りが否めないものの、足元空間の広さなどの面で既存KTX-山川よりは優れていると感じており、悪評名高いKTX一般室座席は比較対象外と言っても過言ではない位です。

  
乗車券予約の関係で同日中に往復乗車となり、当初は往復共に一般室乗車予定でしたが、復路は特室に空席があり、同行者が交渉して特室に乗車する事ができ、一般室との乗り比べも出来たものでしたが、こちらもダリアン特室とは座席モケットなどが異なっていたのは大きな特徴と感じたものでした。

ダリアン乗車は一般室のみで、MAKIKYUは特室に乗車した事はありませんが、KTX-山川の特室には一度だけ乗車した事があり、2+1配列で電動リクライニングを装備した座席というスペック自体は同様、乗車した際の感想もKTX-山川特室に乗車した際と同様にフル規格新幹線の普通車2+2列座席(N700系山陽~九州新幹線用車両や山陽新幹線700系レールスターの指定席車・九州新幹線800系車両など)とほぼ同レベルでした。

新幹線グリーン車などに比べると見劣りは否めず、シートピッチだけでなくリクライニング角度もさほど大きくない事を考慮すると、電動リクライニングは必要なのか…とも感じましたが、一般室に比べると特別料金を設定しているだけありワンランク上の設備で、1人席は相席を気にしなくて済むのは大きなメリットかと思います。


乗車した際の総体的な感想としては、座席に関しては車両自体が新幹線よりも小柄な事に加え、乗車時間が短い事もあってか、日本のフル規格新幹線に比べるとやや見劣りが…という所で、動力集中方式の車両だけあって、鋭い加速が特徴的なN700系などに比べると、出足の遅さも否めない気がしましたが、デッキ脇の荷物収納スペースなどは新幹線よりも優れていると感じたもので、既存KTX-山川などと同様に立席客向けの補助席をデッキ脇に設けているのも評価できると感じたものです。


営業運転を想定した試乗という事もあり、駅構内の案内表示はTest Run表示などが見受けられたものの、車内外の案内も営業列車同様に行われており、車外のLED表示はフルカラーではなくKTX-山川などでお馴染みの3色LED(韓国ではバスのフルカラーLED導入はかなり進んでいますが、鉄道は…という状況です)でしたが、水西の行先表示などは新鮮に感じたものでした。

  
車内案内は既存KTX-山川などと同様に、LCDモニターによる多言語表示(韓国語・英語・日本語・中国語)で次駅案内などを行っている点も評価でき、日本の新幹線がLED文字案内による2ヵ国語表示に頑なに拘るのは…とも感じたものでしたが、車内放送が韓英2か国語のみだったのは少々残念とも感じたものでした。
(韓国では一部の都市鉄道などで4か国語放送を実施しており、KORAILも一部の観光列車などで実施しています)

SRTに関しては始発の水西駅や、車内で配布された物品等に関しても、近日中に別記事で取り上げたいと思っています。

またSRT向けに新規導入された130000番台車両と共に、今後SRTで運行予定となっている120000番台車両(通称ダリアン)に関しては、昨年MAKIKYUが乗車した際に取り上げたブログ記事もありますので、興味のある方はこちらも併せてご覧頂けると幸いです。
(該当記事をご覧になりたい方は、こちらをクリックして下さい)


(お断り)SRTはKORAIL(韓国鉄道)とは別の事業者が運行する高速列車ですが、便宜的に 鉄道[大韓民国・KORAIL列車] カテゴリーでの取り扱いとさせて頂きます。



最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
むらさき KTX山川 異動 完了 (Juno)
2016-12-16 18:05:52
KORAILの むらさき 山川 電車は 今 全部 SRTに移動完了しました. あの 車両は 200番台に なりました。車内は 300番台は 椅子の 色が 違います。4号車は 既存の椅子にヘッドレストが追加されました。
返信する
話は聞いた事がありますが… (MAKIKYU)
2016-12-16 23:31:23
Juno様はじめまして、情報ありがとうございます。

こちらが先月訪韓した際には、青色のKTX-山川と紫色のKTX-山川が並ぶ写真なども撮影していますが、紫色の方は一部編成が暫定的にKORAILで運用されているだけと聞いていましたので、SRTへの移動自体は特に驚く事ではないですが、早くも全部…というのは相当と感じます。

またこちらが先月試乗したSRTと、昨年乗車した紫色のKTX-山川は座席などが異なっており、また先月乗車した編成は一般室でも1両だけ仕様が異なっていました。

KTX-山川としてKORAILで暫定使用していた編成がSRTに移籍した際はどうなるのかも気になっていましたが、こちらも既存座席にヘッドレスト追加を行ったのは意外で、今度機会があれば実車を確認したいと思います。
返信する
リンク参照 (JUNO)
2016-12-20 01:48:11
利用客のブログリンクです。

http://blog.naver.com/cafe7626/220889822477

従来のシートにまくらを追加しました。
返信する
Unknown (タヨバスファン)
2020-08-08 10:46:05
これ知ってます?重要な話なんですけど、このSR130000形は、韓国で製作されたアニメ『ティティポ ティティポ』に登場する「シンシン」っていう名前のキャラクターのモデルになっているんです。が、最後尾の車両が運転室と客室が一体化していたり、連接構造ではなく連結器で繋がっていたりと実車とは異なる部分が幾つか見受けられるんです。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。