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KORAIL・南道海洋観光列車「S-train」(2)~車内編

2014-09-25 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

先日「MAKIKYUのページ」では、KORAILの南道海洋観光列車「S-train」に関して取り上げましたが、今日はその続編で車内の様子に関して取り上げたいと思います。

「S-train」の客車は、ムグンファ号用で使用している客車の中でも、通称「リミット」と呼ばれる比較的新しい車両を種車にしており、この車両は他のムグンファ号用客車と同様に、日本のJR在来線特急普通車並みのシートピッチながら、シートピッチの割にはリクライニング角度が比較的大きい回転式リクライニングシートを装備しています。
(リクライニング角度が大きいお陰で、長時間乗車でも比較的快適に過ごせ、夜行利用でもそこそこと感じる一方、座席を向かい合わせにした際には、座席を早く倒したモノ勝ちになってしまう弱点もあり、日本国内ではこの点を考慮して敢えてリクライニング角度を抑えている車両もありますので、この点は一長一短です)


客室の過半数はこの座席をそのまま活用しつつも、モケットやシート自体の装いを変える事で、観光列車ならではの華やいだ雰囲気に改められています。

内装もカッティングシート仕上げなどで随分印象が変わり、車両デッキに足を踏み入れるだけでも、一般列車とは異なる列車である事を実感させられる程です。


日よけがカーテンからブラインド(多少開閉に難儀するのが難点ですが…)に改められており、ブラインドは絵柄入りとなっていますので、これも観光列車ならではと感じる所です。

各座席に充電用コンセント(韓国国内用のCタイプのみ対応:日本国内用の電化製品を利用する際には要変換プラグ)が改造で追設されているのも特徴ですが、コンセントはあって困るものではないと思いますので、一般列車でも今後設置が拡大されれば…と感じます。

一般的なリクライニングシートが並ぶ客室でも、客車によって天井の絵柄を変えるなど、車内を動き回って眺めるのも楽しめる様にしていたり、一部座席を撤去してベンチを設置している辺りは、均質性が求められるビジネス向け列車などとは異なる観光列車ならでは…と感じる所です。


車内には自転車置き場も設置されており、KORAILでは観光列車だけでなく、首都圏を走る広域電鉄の通勤電車(4扉ロングシート)でも、一部でこの装備が見受けられますが、これは日本では余り見られない韓国らしい装備と言え、他にも車内でのイベント開催などを考慮してか、座席を撤廃してフリースペース化した空間も存在します。


客席もムグンファ号と同等のリクライニングシートが主流ながらも、一部はグループ客などの利用を想定したボックス席などに改められており、中にはカップル席と称したセミコンパートメント区画も存在します。


これらは座面がビニール貼りとなっており、当然ながらリクライニング機能などもありませんので、グループでの利用を除くと個人的には…と感じる所ですが、多様な設備を備え、多様な客層に応える観光列車という意味では、この様な区画が設けられるのも…と感じます。


また一般列車でも一昔前は食堂車を連結し、今日ではこれに変わってカフェ車を連結している列車も数多いKORAILだけあり、客車5両と言うさほど長い編成ではないにも関わらず、飲食物などの物販を行うコーナーも設置されています。


ここには日本の一部観光列車などと同様に、乗車記念スタンプも設置している辺りは、観光列車ならではと感じたものです。

物販は物凄く地域色のあるものは…という印象で、韓国では一般的なものばかり、値段も市価に比べると割高感は否めない気がしましたが、飲み物や菓子類だけでなく、レトルト食品や弁当(掛紙にS-trainがデザインされたプルコギ弁当)などもありましたので、比較的長時間の乗車で、乗車前に食料などを買いそびれて…といった場合などには有用かと思います。


「S-train」ではこの物販コーナーとは別の車両に、沿線の河東(Hadong)郡で取れた茶を提供する茶室も設けられており、客室以外の空間が「多過ぎる」と言っても過言ではない状況で、おまけに物販コーナー脇にも飲食スペースが設けられていましたので、車両数なども考慮すると、物販・飲食スペースは1箇所に集約しても…と感じたものでした。

MAKIKYUが乗車した際には、「S-train」所定運賃(セマウル号特室料金)よりも5000W割引されており、KORAILの運賃水準が比較的割安ですので、日本の感覚から見ればさほど割高感はありません。
(割引適用後の釜山~宝城間260km強の「S-train」片道乗車は、日本円相当額で2400円程度、ほぼ同等距離の釜田~宝城間ムグンファ号一般室乗車は、日本円相当額で1700円程度(曜日などによる若干の変動あり)で、割引なしの所定金額で「S-train」に釜山~宝城間を片道乗車した場合は、日本円相当額で3000円弱になります)

それでも同じリクライニングシートを装備しているムグンファ号一般列車(一般室)を、「S-train」と同一区間で利用するのに比べると、5000Wの割引がなければ、現地物価などを考慮すれば随分割高になりますので、フリースペースを若干縮小する代わりに、座席数を増やして値下げする事は考えても…と感じたものでした。

この「S-train」に関しては、続編記事をもう一つ近日中に公開したいと思います。



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