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シーワールド高速フェリー「ピンクドルフィン」~楸子島を経由する双胴型高速船

2014-12-16 | 船舶[海外関連]

先日「MAKIKYUのページ」では、韓国全羅南道・長興(Jangheung)~済州島を結ぶJHフェリーの高速フェリー「オレンジ1号」に関して取り上げましたが、韓国本土の中で済州島に最も近い全羅南道からは、他にも済州島へ向かう幾つかの航路が運航されています。

全羅南道と済州島の相互間の移動は勿論、KORAIL(韓国鉄道公社)の列車や都市間バス、自家用車などの陸路でソウルや釜山などから全羅南道各地へアクセスし、そこから船で済州を目指すのにも有用な存在で、現にKORAILではソウル市内の龍山(Yongsan)駅~済州間の列車と船をセットにして割引した乗車券の発売も行っている程です。
(この乗車券では龍山~木浦(Mokpo)間の高速列車(KTX)と、木浦~済州間フェリーがセットになっており、乗継利用と言う事もあって所要時間はやや長いですが、定価は航空運賃よりも割安な上に、昼行移動で日着可能ですので、韓国の首都圏(ソウル市内やその近郊の京畿道各市など)にお住まいの方が済州島へ足を運ぶ際などには、有用かと思います)

その中でも韓国の首都圏~済州間を陸路+海路で移動する際に、最も便利な航路は木浦~済州間の航路かと思います。
(特に鉄道旅行ともなれば断然他を凌ぐと思います)

現在この航路はシーワールド高速フェリーが運航を行っていますが、同航路ではフェリーと高速船という2タイプの船が用いられています。

シーワールド高速フェリーでは、同航路以外にも木浦の隣町・海南(Haenam)郡からも高速フェリーを運航しており、同社以外では莞島(Wando)郡から出航する韓一(Hanil)高速フェリーなども、全南~済州間航路としては有用な存在かと思います。
(莞島郡は木浦や光州などの全南各地からでも足を運び難く、ソウルや釜山からともなれば尚更ですが、済州への距離が近い上に高速フェリーも運航しており、運航本数など航路の充実度と言う点では他都市を凌いでいます)

これらの航路は高速フェリーも含め、大半が車両航送可能な「フェリー」となっており、特に仁川(Incheon)~済州間を直航運航していた「清海鎮(Cheonhaejin)海運」がセウォル号沈没事故以来運航休止となり、首都圏~済州間を直結する交通手段が航空便のみに限られている現状では、重要度が更に高まっていると感じますが、シーワールド高速フェリーが運航する高速船だけは車両航送ができない旅客輸送専用船となっています。
(それでも小荷物程度は積載するのですが…)


MAKIKYUが済州島から韓国本土へ向かう際に乗船した船は、この旅客輸送専用の高速船で、「ピンクドルフィン」という名称が付けられています。


ピンクドルフィンの総トン数は223t・旅客定員250名程、船長は33m・船幅11m程の双胴型で、MAKIKYUが韓国へ足を運ぶ際によく利用するJR九州高速船のジェットフォイル「BEETLE」に比べると、船体は一回り大きい程度です。

ジェットフォイルと異なり、高速航行中も船体は水面から浮上する事はなく、船体も決して大柄とは言い難い船ですので、外海で海況が芳しくない時には、その影響を大きく受けてしまうのが難点です。

MAKIKYUが済州から乗船した際には、済州港内から船内は大きく揺れ、出航前からその旨が案内される有様でしたが、済州島~韓国本土のほぼ中間に位置する離島・楸子(Chuja)島を過ぎて暫くしてようやく揺れが小さくなる状況でした。

そのため大揺れの間は、MAKIKYUも船酔い気味となり、少々辛い航海と感じたもので、小柄で高速航行中に船体が浮上しない高速船は、外海の航海には余り…とも感じたものでした。


船内設備も比較的小柄な高速船だけあり、進行方向を向いた座席がズラリと並ぶだけで、座席モケットこそ赤系統と青系統の2色が存在するものの、等級区分などはなくモノクラスです。


1階だけでなく2階にも客席が設けられているのですが、ジェットフォイルとは異なり、こちらは狭い空間となっており、客席の大半が1階席に集中しているのが特徴で、座席自体は1階席と大差ない様に見受けられたものでした。

この高速船の座席は、日本国内を就航するジェットフォイルなどと大差ない非リクライニングシートである上に、足を組んだ状態で座ると前の座席に膝が当たり、シートピッチも余り広くないなど、居住性の面では非常に芳しくないと言わざるを得ない代物です。

韓国では不評な事でも有名な高速列車(KTX)の一般室座席でも、進行方向で着席できればピンクドルフィンの座席に比べると…と感じる有様でした。


ただ座席は全て進行方向を向いているのではなく、幾つかの区画はグループ利用などを想定してか、テーブル付きで座席が向かい合わせに設置されており、座席配列の関係で向かい合わせ区画以外でも、前方に座席がなく足元が広い「当たり席」とも言える席は多数存在しています。

MAKIKYUの乗船時は比較的空いていた事もあり、MAKIKYUは指定座席から向かい合わせ区画に移動し、1ボックス占拠状態で利用できましたので、まだ幾分マシと感じたものでしたが、大揺れで船酔い状態が続く上に船内が満席だったら、かなり辛い航海になったのでは…とも感じたものでした。
(それでも船で容易に移動可能な済州~韓国本土間程度の距離で、わざわざ空を飛ぶ事を考えれば、船酔いに耐えながらの航海でもずっと良いのは言うまでもないのですが…)


また済州~木浦では定刻運航でも片道3時間超えとなる事から、船内には比較的簡易な設備ながら売店コーナーも設置され、最低限の飲料や菓子類などは調達可能ですが、こちらも大型フェリーなどに比べると…というのは高速船の性質上致し方ない気がします。
(ちなみにピンクドルフィンは木浦~済州間で途中楸子島以外にも、本土側で珍島(Chindo)にも寄港しています)

見た目は結構スマートで見栄えのする高速船である割には、乗船した際の居住性などは余り芳しいものではなく、運賃も割引キャンペーン中で定価より10000W以上割安だったとは言えども、それでも同区間のフェリーよりも割高でした。

そのため船旅を楽しむよりも、高速船ならではの速さを求める客層向けで、全南~済州間の航路乗船では、時間的余裕があればフェリー(高速フェリーを含む)の方が…とも感じたものでした。

楸子島付近は韓国本土~済州間を結ぶ船が多数行き交うものの、寄港する旅客航路はピンクドルフィンと莞島~済州間フェリーの1便のみ=島外への足は1日2往復だけという、交通の便が非常に不便な離島(勿論空港もありません)ですので、楸子島へのアクセスとしても重要な存在で、MAKIKYUの乗船時には、済州~楸子間の乗客も多数見かけたものでした。

この様な船ですので、何らかの用事でもなければ済州~木浦を再び乗り通すのは…とも感じたものでしたが、MAKIKYUはピンクドルフィンの情報を調べている際に初めて存在を知り、寄港時には下船せずに通り過ぎるだけだった楸子島へ足を運ぶ機会でもあれば、その際の手段として利用するのは…とも感じたものでした。

ピンクドルフィン乗船中に寄港した楸子島の様子などは、近日中に別記事で追って取り上げたいと思います。



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