先日「MAKIKYUのページ」では、韓国全羅南道・長興(Jangheung)郡にある老力(Noryeok)港と、済州(Jeju)島の城山(Seongsan)港の間を結ぶJHフェリー「オレンジ1号」に関して取り上げましたが、今日はその続編で船内の様子に関して取り上げたいと思います。
オレンジ1号は時速50km/hを超える高速航行を行い、韓国本土と済州島の間を比較的短時間で結ぶ船ながらも、ジェットフォイルなどの小型高速船とは異なり、全長81m・全幅26mという比較的大柄の船体が特徴で、外観も一般的なフェリーと双胴型高速船を足して2で割ったと言っても過言ではない、比較的整ったスタイルが特徴です。
オーストラリアのIncat社が建造した双胴型の高速フェリーは、オレンジ1号やナッチャンRera/Worldなど、世界各地で就航している各船を合わせると、就航船数はジェットフォイルを凌ぐ程ですので、世界各地を探せば結構あるのですが、日本や韓国など東アジアに限れば、導入事業者や乗船可能な航路は限られたものになっています。
全長81m程度の「オレンジ1号」は、Incat社製双胴型高速フェリーの中では、小柄な部類に入るのですが、それでも総トン数は4000tを超えており、大型車両積載も可能なフェリーですので、空間的なゆとりは200tクラスの高速船などとは比べ物になりません。
ただ乗船時間が2時間20分と、韓国本土から離島の済州島へ向かう航路にしてはさほど長くない事もあってか、客席はフェリーでは一般的なカーペット区画が設けられておらず、進行方向向きで固定されたリクライニングシートのみとなっているのが特徴です。
この座席は韓国では高速バスなどでもお馴染みと言えるビニール張りとなっており、一般席と5000W増しの優等席で異なるものとなっています。
MAKIKYUは一般席の方を利用し、乗船時間などを考えるとこれでも充分と感じるレベルですが、座席グレードは一般席で一般高速バスとほぼ同レベル、リクライニング角度もまずまずと感じるものです。
優等席で優等高速バスとほぼ同レベルと言っても良く、見るからに差別化が図られた座席と言う雰囲気ですが、またJHフェリーを利用する機会があるならば、今度は優等席を試してみるのも…と感じたものでした。
船内の付帯設備なども、比較的乗船時間が短い高速フェリーという事もあり、充実しているとまでは言い難いものの、オレンジマートと称した売店コーナーに加え、DUNKIN' DONUTSも営業しており、ドーナツは韓国の物価を考えると高めの気もしますが、船内でちょっとおやつやカフェタイムを…と思った時には、利用するのも悪くないかと思います。
また船内には「オレンジ1号 運航情報システム」と称した現在航行位置などを表示するモニターも設置されているのですが、出航して暫くの間船内の様子などを視察し、少しだけ座席で昼寝をしている内に海域表示が「全南海域」(写真)から、6月に初訪問となった「済州海域」に変わっている有様で、高速フェリーならではの速さを実感させられたものでした。
オレンジ1号は高速フェリーだけあり、一般的なフェリーに比べると運賃はやや割高感があり、航海中はデッキに出て外の空気に触れる事ができず、老力港を出港してから暫くの間見られる多島海(Dadohae)の小島が拡がる姿なども、ガラス越しにしか眺められないのは少々残念な気もしましたが、建造からは結構な年数を経ている割には、スマートな外観だけでなく、船内も比較的綺麗な印象を受けたものでした。
航海中に多少の揺れは感じたものの、片道2時間20分の航海はあっという間で、ローカルバスなどと組み合わせて済州島へ足を運ぶ旅行を検討している方には、絶好の航路なのでは…とも感じたものでした。
ただ中国(大陸本土)籍旅行者が、現在韓国では済州島内のみビザなし渡航可能になっている事などもあってか、済州島発着航路の乗船券購入や乗船時には、身分証(外国人の場合はパスポート)の確認を行っており、乗船券購入窓口では外国人の乗船券購入者名簿も作成している様でしたが、JAPANの人物は余り利用していない様な雰囲気でした。
済州島は日本での知名度もそこそこあり、観光で足を運ぶ日本人旅行者も決して少なくない割には、日本ではJHフェリーの存在が余り知られていない様で、発着港のアクセスが余り良いとは言い難い難点もあるとは言えども、日本でも済州島へのアクセスとしてJHフェリーがもっと注目されても…と感じたものでした。
またJHフェリーの乗船券半券は、下船後も回収されずに手元に残るのですが、乗船後1週間以内に済州島内や長興郡内の一部観光施設・飲食店などでこの半券を提示すると、割引などの特典も受けられますので、JHフェリーを利用して済州島観光を検討している方は、この事も知っていると便利かと思います。
ちなみにMAKIKYUが6月に済州島を訪問した際には、済州から韓国本土へ戻る際に別航路を利用しているのですが、こちらに関しても近日中に追って取り上げたいと思います。