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かしてつバスの専用道路~鉄道時代の面影も…

2011-01-26 | バス[北関東]

今月MAKIKYUが茨城県内に出向いた際、乗車機会のあった鹿島鉄道代替バス(かしてつバス)は、鉄道廃止以来暫くの間、全国各地を走る他の鉄道代替バスと同様に、旧鹿島鉄道線に比較的近い道路を走る運行でした。

しかし昨年になって、石岡駅南側にあるJR常磐線踏切付近~旧四箇村駅間でバス専用道路が整備され、これに伴ってごく一部の便を除いてバス専用道路経由に経路が変更された事は、かしてつバスの大きな特徴となっています。

このバス専用道路は最近地方のローカル私鉄などでよく耳にする「上下分離方式」で整備され、民間のバス事業者(関鉄グリーンバス)が運行する路線バスのみが通行可能な道路ながらも、日本のバス専用道路では初の公設民営方式となっています。


かしてつバスの専用道路は、旧鹿島鉄道の廃線跡をバス専用道路として整備している事もあり、石岡駅南側で並行しているJR常磐線から離れ、石岡南台駅へ向かう際の緩やかなカーブなどは、鉄道の廃線跡を転用したバス専用道路ならではの雰囲気が漂います。


鹿島鉄道は単線だった事もあって、バス専用道の道路幅はバス1台分強しかなく、随所に設けられた行き違い箇所で上下の便が交換する運行形態や、バス専用道路と一般道路との境目では遮断機が設置され、車内からリモコン操作で遮断機を操作するのも大きな特徴です。


バス専用道路転用区間では、鉄道時代に交換駅だった玉里駅をはじめ、幾つかのバス停や、バス停以外でも用地の確保できる箇所に多数の行き違い箇所を設け、単線でダイヤ設定に制約のあった旧鹿島鉄道時代以上の本数を運行できる事に加え、バス専用道では一般車両の通行が禁止(一度だけバイクが進入している姿を目撃していますが…)されており、バス専用道区間では渋滞の恐れがなく定時性確保の点でも優れたものとなっています。

それにバス専用道路経由の路線バスは旧鹿島鉄道の代替目的だけでなく、バスならではの機動性を生かし、バス専用道区間で旧鉄道駅以外にも停留所が幾つも設けられたり、バス専用道を経由して茨城空港へ向かう路線も設定されるなど、利便性の面では旧鹿島鉄道時代や一般道路経由の路線バスを大きく凌ぐものとなっています。

 
またかしてつバス専用道路は新形態の交通システムとして注目の存在であるだけでなく、鉄道時代に石岡を出発して一つ目の駅だった石岡南台駅は、行き違い可能駅だった上下線ホームと、上下線ホーム間を結ぶ跨線橋(封鎖されており通行不可)が残り、かつて鉄道がこの地を走っていた事を強く印象付ける雰囲気が漂っています。
(右側の写真は現在と対比出来る様に掲載した鹿島鉄道末期の様子で、かしてつバス石岡南台駅の写真とは逆側から撮影したものです)

石岡南台から先、東田中~四箇村までの各駅はバス専用道整備に伴ってホームなどの構造物は撤去され、木材を用いた特徴的なデザインの真新しい待合室が幾つも見られる状況です。

こちらは鉄道時代を偲ぶには物足りない印象があるかもしれませんが、旧鉄道駅だった箇所は全て同名のバス停(玉里駅・新高浜駅など、バス停名に「駅」も含まれます)となっているのが大きな特徴です。


代替バス専用道は現在四箇村駅で終わり、四箇村駅ではその先へ続く線路などが撤去された廃線跡が目撃できます。

石岡~茨城空港間の路線バス最短ルート(玉里辻から空港直行)における定時性確保の為には、かしてつバス専用道も現在の整備状況で充分と言えますが、かしてつバスはこの先の小川駅までが本数頻発区間となっています。

バス専用道も小川駅まで整備するという話も聞いた事があり、用地は当然容易に確保できる状況かと思いますので、今後バス専用道が更に小川駅まで整備されるのかどうかも気になる所です。

あとかしてつバスでは、専用道以外の区間では鉄道時代の主要駅だった常陸小川・玉造町・鉾田のみが「駅」を名乗り、それも常陸小川と玉造町は「小川駅」「玉造駅」の名称となっています。

バス専用道路区間以外で、鉄道時代の名称をそのまま使っているのは終点の鉾田駅のみ(「駅」の付かないバス停名だけならば、「八木蒔」「坂戸」など幾つもあるのですが…)になりますので、かしてつバス専用道区間の旧鉄道駅で、全て旧鉄道駅の名称を踏襲しているのも興味深いものです。

かしてつバスは鉄道時代より大幅に乗客数が減少し、小川駅以遠で運行間隔が2時間程度開く時間帯も存在するなど、鉾田方面への公共交通の利便性は鹿島鉄道が健在だった頃に比べると…という状況が否めません。

しかしながら石岡駅~小川駅間では、同区間のみの便や茨城空港発着便を含めると、かしてつバスは鉄道時代よりも至便なのではと感じる程で、鹿島鉄道の廃線跡を利用したバス専用道路も非常に興味深いものです。

土休日にはかしてつバス全線(鉄道代替区間+小川~茨城空港間)が乗り放題で1000円の一日乗車券(バス車内でも販売)が発売され、石岡自体も首都圏各地からJRなどで比較的容易に訪問できます(首都圏各地からはホリデーパスが土浦まで通用し、土浦~石岡は至近距離ですので、駅次第では利用価値大です)ので、かしてつバスに興味を持たれた方は是非一度乗車してみては如何でしょうか?



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