早くも開業から1週間以上が経過した成田スカイアクセス(京成成田空港線)ですが、MAKIKYUは開業初日に下り3本目の「アクセス特急」で初めて成田スカイアクセスの新規開業区間(印旛日本医大~空港第2ビル)に足を踏み入れたものでした。
下り3本目の「アクセス特急」を選んだ訳は、下り(都心→成田空港方面)の一般車両使用列車(アクセス特急)の中で、土休日ダイヤ運転日は1・2本目の列車が乗入先の他大手私鉄車両による運転で、せっかくの新規開業区間は、開業と共に稼動を開始する京成の新型車両(3050形)を狙いたいという目論見があったからです。
狙い通り下り3本目の「アクセス特急」は3050形が登場し、下り営業列車では京成一般車の一番列車、それも下り3050形の初運用と言う記念すべき列車で新規開業区間を踏破する事が出来ました。
世間での注目は「スカイライナー」の方に集まっていた事もあり、初日のスカイライナー1号(全車座席指定)は1ヶ月前の発売当日に満席となる程の盛況ぶりでしたが、MAKIKYUが乗車した下り3本目の「アクセス特急」は初物見物の乗客が多数見受けられるとは言え、元々の需要が限られる区間を走行する事もあり、さほどの混雑ではありませんでした。
ただMAKIKYUは開業初日の17日、諸事情もあって途中の北総監獄(千葉ニュータウン)中央駅から乗車した事もあり、当然ながら先頭部は初物見物の乗客で埋め尽くされている事が予想され、最後尾で新線の様子を視察したものでしたが、その際の成田スカイアクセス新規開業区間の様子を取り上げたいと思います。
下り3本目の「アクセス特急」はMAKIKYUが乗車した北総監獄中央駅を出発すると、「開発を止めた某鉄道」(元○○開発鉄道)の車庫へ向かう出入庫線のある印西牧の原駅を通過し、印旛日本医大駅に停車し、ここまでは既存の鉄道を走行しただけですが、印旛日本医大駅を出るといよいよ成田スカイアクセスの新規開業区間に入ります。
印旛日本医大駅は駅舎こそ特徴的な姿で知られていますが、少し前まで利用価値の乏しい辺境の終着駅で、都心方に渡り線を設けて1・2番線いずれかのホームから列車の発着を行っていましたが、成田スカイアクセス開業に合わせて成田空港方に2本の引き上げ線が設けられ、印旛日本医大発着の列車はこの引き上げ線で折り返す形態に改められています。
「アクセス特急」の停車駅に印西牧の原駅を加えておけば、「アクセス特急」通過の「開発を止めた某鉄道」普通停車駅→成田空港方面の旅客を印西牧の原で乗換可能とし、印旛日本医大まで走らせる普通列車の本数を減らす事で、引き上げ線を1本に済ます事も出来たのでは…と思うと、随分無駄が多いと感じてしまいますが、過剰設備などの無駄が多いのは「開発を止めた某鉄道」の大きな特徴です。
(それでも今までは単に無駄としか言い様がなかった空間が、成田スカイアクセス開業に伴ってようやく有効活用された所も多いのですが…)
この引き上げ線の脇から新規開業区間が始まりますが、引き上げ線と並行する箇所でも既に軌道や架線の構造が異なっており、160km/h運転(スカイライナーのみ)を行う区間は、軌道条件が別物である事が素人目にも容易に伺える程です。
印旛日本医大駅を出て暫くは、成田スカイアクセスと並行して建設が進められている並行道路が未完成のため、この工事が進められている開発途上の姿を眺めながら成田空港を目指す事になりますが、北総監獄では鉄道会社(元○○開発鉄道)が開発を止めても、監獄の開発自体は今も続いている事を、成田スカイアクセスを通過利用する空港利用客にPRしているかの様にも感じられます。
その後列車は印旛沼の湖畔を走り、田園風景の中に印旛沼を望む高架線を暫く走ると、成田スカイアクセスの新規開業区間で唯一の新駅・成田湯川駅に到着します。
成田湯川駅は真ん中に通過線を 配し、その両側にホームを設けた配線となっていますが、ホームへ入線する際にはポイントの分岐方がやや急なカーブとなっています。
そのため成田湯川駅は新幹線の様な駅と言われながらも、停車列車は新幹線の様な高速で駅には進入せず、停車前に減速を強いられますので、「アクセス特急」は本線を120km/hと比較的高速で走行(標準軌という事も考えると、もう少し最高速度が向上しても良いものですが…)しているにも関わらず、成田湯川駅到着の手前で急に速度がゆっくりになったと感じたものです。
成田湯川駅は先日の記事でも取り上げましたが、下りホームは都心方向への出発も可能となっており、駅の都心方には上り線に転線するポイントの姿も伺えましたが、現段階では北総監獄方面~成田空港間を運行する「アクセス特急」の途中停車駅に過ぎず、その運転本数も限られたものですので、今後この設備を生かした成田湯川駅発着の都心方面列車設定(特に早朝・深夜帯)にも期待したいものです。
成田湯川駅を出ると、空港方向は程なく単線区間となり、成田空港への速達アクセス手段となる「スカイライナー」の高速運行が確保されれば、あとは最小限の設備で充分と言う京成の考え方が明確に感じられるものです。
成田湯川駅の成田空港方にある本線上のポイントは、日本でもここ以外には高崎の上越・長野新幹線岐箇所程度にしか存在しない分岐方を160km/hで走行可能な特殊ポイントで、新幹線では車両構造上、一般旅客が前面や最後尾からの展望を望む事はできませんので、この様な特殊ポイントを渡る姿を乗車中の列車から観察できる所は他になく、非常に希少な存在と言えます。
この特殊なポイントの先は、単線区間を進む事になり、標準軌の単線で真新しい区間を高速で疾走する様は、日本では他に類がないと言っても良く、MAKIKYUは近隣諸国の鉄道を連想したものですが、純粋な単線区間はAEONなどの店舗が集積し、JR成田線の空港方面路線が合流する地点(土屋)までです。
土屋ではJRの線路との間の高架上に随分空間の余裕があり、もう一本線路を敷設して信号所を設けたり、それどころかホームも設置して駅を開設するのにも不自由なさそうな雰囲気です。
駅周辺にはAEONなどの店舗も集積する事から、ここに成田スカイアクセス・JR成田線成田空港方面・佐原方面(佐原方面もこの近くで分岐ですので、用地さえ確保できれば通路連絡で近くにホームを設けるのは困難ではないと思います)各線のホームを設け、新駅を開設すれば新たな交通結節点として至便な気もしますが、成田周辺は車社会の典型で公共交通機関の利用が限られ、新駅を開設しても費用に見合う効果が期待できないと見込まれているのか、現時点で新駅建設の話などが出てこないのは残念な限りです。
土屋を過ぎるとJR線と並行し、一見複線の様に見えながらも、軌道幅が異なり相互に乗り入れできない事もあって、関西国際空港の様なJR・私鉄相互での軌道共用ではなく、単線並列の状態が成田空港まで続きます。
こんな光景は日本中を探しても、他には秋田県内の奥羽本線大曲~秋田間程度ですので、成田湯川駅の成田空港方にある特殊ポイントと併せ、趣味的には非常に興味深い光景と言えます。
この区間の途中には信号所(新根古屋信号場)が存在し、MAKIKYUが乗車した「アクセス特急」もこの信号所で反対方向からの「アクセス特急」行き違いのために数分停車したのですが、この信号所からの列車発車時は駅でもないのに発車ベルが鳴るのはユニークなものです。
その後もずっとJR線と並行する形で空港を目指し、ここでも160km/hでの運行を行う成田スカイアクセスと、JR線との軌道条件の違いは一目瞭然です。
その途中では成田スカイアクセスの信号所設置に伴い、立ち退きを余儀なくされた信号所(根古屋信号場)の代わりに建設された、JRの堀之内信号場の姿も見る事ができ、MAKIKYUが乗車した「アクセス特急」車内からは、丁度交換待ちのために信号所に停車していたJR車両の姿も見る事が出来ました。
JRの堀之内信号所脇を通り過ぎると、まもなくトンネル区間に入って京成本線と合流し、(成田)空港第2ビル駅に到着して成田スカイアクセスの新規開業区間は終わりとなります。
(成田スカイアクセスの列車自体は、京成本線と同じ線路を通り成田空港(第1ターミナル)駅まで運行します)
成田スカイアクセスは東京都心~成田空港間の途中に位置する北総監獄など、とても住む気にはならないどころか、足早に通り過ぎたいと感じる方も多いかと思いますし、航空機で海外へ飛ばれる方々は、とにかく早く目的地に…という事で、なるべく早く走る「スカイライナー」で通過するだけで充分と感じる方も多いかと思います。
「アクセス特急」では途中駅(成田湯川駅)に停車し、列車によっては更に信号所(新根古屋信号場)での交換待ち停車もあるため、「スカイライナー」よりも時間は随分余計にかかります。
そのため「成田空港から飛行機で早く海外に飛んで…」という方には余りオススメできず、時間がかかっても安く…という方にもオススメできませんが、路線の途中には趣味的に注目すべき点が色々見受けられ、高額運賃故に高頻度で乗車する気にはならない路線ではあるものの、一度「アクセス特急」で新規開業区間を乗り通す価値はあるのでは…と感じたものでした。
ただ成田スカイアクセスへの乗車自体は問題なしとはいえ、飛行機嫌いのMAKIKYUとしては、この路線の主たる目的である「スカイ(空)」へのアクセス手段として利用する機会が巡ってこない事を願いたいと感じたもので、この事は成田スカイアクセスに限らず、他の空港連絡鉄道に乗車する際にも感じてしまう事ですが、こんな事を考えてしまうのはMAKIKYUだけでしょうか?
(韓国などへはまた機会があれば足を運ぶ事も…と思っていますが、その際は幾ら成田空港アクセスが便利になったとは言っても、成田スカイアクセス&成田空港利用は避け、首都圏在住とはいえでも今までと同様に西鉄バス&博多港を利用したいものです)