ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

ネット選挙の本当の可能性

2013年07月01日 | Weblog
今年の参院選では初の「ネット選挙」解禁だと騒がれている。しかし今回解禁されたのは、①選挙期間中に有権者が自らのHPやブログ、ツイッターを通じて特定の政党や政治家を応援できるようになった、②候補者・政党が選挙期間中にHPやブログ、ツイッター、「メール」を通じて選挙運動が可能になった、という点のみ。

本来、ITやネットを選挙に使った場合の可能性というのはもっと大きいはずだ。そのインパクトから「3+1」STEPで考えることができると思っている。

1)ネットを使った選挙活動が可能となる。立候補者だけでなく有権者側からも草の根的な応援が可能となる。
2)投票が紙から電子データによって行われる。(投票所はそのまま)
3)モバイル端末やPCなどを通じて有権者が場所にとらわれずに投票できる

STEP1が今回の「ネット選挙」と言われている段階。ネット「選挙」というよりもネット「選挙運動」という言い方が正しいだろう。これはこれで大きな意味がある。選挙でもっとも大事なプロセスはどの政党、どの候補者を選択するかを決めるところであり、このプロセスに直接働きかける部分であり、有権者が「草の根」として、能動的に働きかけることが可能だからだ。

STEP2は、投票時に「紙」ではなく電子データによって投票しようというもの。現在の選挙ではマスコミの出口調査が進んでおり、投票終了とほぼ同時に高い確率で候補者の当落を予測することができる。とはいえ、実際の開票には時間がかかっており、最終的に確定するのは深夜に及ぶということも珍しくない。これは開票作業が人手を介さざろうえないからだ。

これがそもそも電子投票になれば、開票後、即時、結果が分かることになる。文字ではどちらに投票したかわからないような票もでるが、デジタルでは0/1だ。曖昧な投票は存在しないし、開票に必要な人件費も削減することができる。

もちろんそのためには、データの保全性の確保、改竄の防止やNWの秘匿性の確保など課題はあるだろう。しかし選挙のIT化・ネット化で最も効果の上げやすい部分でもある。

STEP3は個人の端末、PCやモバイル端末から投票を可能にするというもの。こうすることで投票所へ行く必要はなくなることから投票率の底上げも期待できる。投票そのものは技術的に難しいことは何もない。問題は、本人性確認をどのように行うかということだ。現在であれば、投票所で本人性を確認した後に投票用紙を渡される。

しかし自宅のPCにしろ、モバイル端末にしろ、誰がその端末を使って投票してるかがわからない。仮に有権者1人1IDを発行したとしても、その端末を使っているのか、なりすましでないことを確認することが難しい。技術的には指紋認証や顔認証などもあるが、いずれも導入するにはハードルが高い。

これらのSTEPを経ることで、ネット選挙は効率的となり、また参加率も高めることが可能になる。今はまだ「選挙活動」でしか利用されないが、ネット選挙ではこれだけの可能性があるのだ。

冒頭で僕はネット選挙は「3+1」STEPあると書いた。

この最後のSTEPは実は最もインパクトが強いものだ。民主主義の在り方を根本から変えるものだ。

4)直接民主制の導入

日本の議会制民主主義体制は選挙で議員を選ぶ「間接民主主義」だ。これはもちろん、市民みんなが直接参加する「直接民主主義」ではコストがかかりすぎるからだ。しかしIT機器の普及はこうした制度をひっくり返す可能性がある。PCやモバイル端末の普及により、政策意思決定の過程に市民が直接参加することも夢ではないのだ。

もちろん全ての議論に参加するとなると時間もかかる。しかし市民が直接政策決定過程に参加することに意味があると考えるならば、例えば、大きな方向性の決定にはのみ参加し、細かい制度的な議論については行政やその他の機関に任せるといった方法論もあるだろう。

僕らがネット選挙・IT選挙について考えるならば、本来は、こうした将来のあるべき論から考えるべきなのだろう。目先の「選挙活動」の話だけでなく、IT選挙の可能性についての議論に育てたいところだ。

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