ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

地下鉄でテレビを見る-映像版iPodはあるか?

2005年08月18日 | コンテンツビジネス
個人的には通勤電車でテレビを見たいという気にはなれないのだけれど、先日たまたま小型PDAで「動画」を見ながら電車に乗っているお客さんを、同じ車両で2人見た。1人見かけるだけでさえ稀だというのに、同じ車両で二人というのは…僕の気付かないところで「動画」をいつでも・どこでも見たいという潜在的なニーズが広がりつつあるのであろうか。

1つの契機として考えられるのが「HDDレコーダー」の急速な普及だろう。この手軽に「タイムシフト(いつでも見れる)」を可能にするデバイスの登場は、確かにテレビを見る時間を増やしているのだろう。まず感覚として、「とりあえず」録ってしまう。今までのビデオデッキだと、どうしてもテープの空時間や面倒くさいテープの巻き戻しや早送りなどの処理が必要で、どちらかというと「見たいもの」を録るといった感覚に近かった。HDRの登場は、利用者の感覚を変えてしまったのだ。また「スゴ録」のようにキーワードを入れておくと関連する番組を勝手に録画してくれるという商品だと、録り忘れることさえしなくなる。その結果、タイムシフトをベースにテレビ視聴時間がのびているのだろう。

改めてテレビを見て、テレビが意外と面白かったことに気付いた人も多いのだろう。もちろん本当にテレビが面白いかと聞かれると、「No」と答える。しかしポイントは「意外と」という点と、テレビ局が「習慣化」させる番組作りを徹底している点だろう。別に見なければ見ないで何ともないのだが、毎週録画されていると、つい見てしまうのだ。

こうした動きもあって、何となくいつでも・どこでもテレビを見たいという欲求が強くなってきているのかもしれない。

ではどういうデバイスであればこういう動きが広がっていくのだろうか。

考えられるパターンとしては、1)「モバ放」「1セグ」などの専用デバイス、2)映像版iPodとでも呼ぶべき専用PDP、3)携帯電話、4)PSPといったところか。このうち1)は個人的にはないだろうと思う。先にも書いたが、「いつでも」(タイムシフト)がまずあり、「どこでも」(ユビキタス)へのニーズがあるのであって、本当に「リアルタイム」にテレビを見たいものなど、サッカーの国際試合かよほどのイベントくらいだろう。そのためにそのような専用デバイスを用意することはない。で、2)~4)なわけだけれど、正直、どれも決め手が欠けるといったところか。

音楽配信の場合、決め手は「デバイス」に合ったわけだけれど、今回の場合、ポイントとなるのはこの「タイムシフト」した映像と「どう繋がるか」なのではないだろうか。つまり1番理想はHDRに録画した映像をそのままデバイスに転送し、持ち歩けるといった形だ。これであれば、「テレビ」で見るか持ち運び可能な「デバイス」で見るかも含めてユーザーの「好み」に合わせられるからだ。

とはいえ、HDRはあくまで「家電」的な発想で作られている。必ずしもネットワーク的な発想の広がりに強い部隊が作っているわけではない。そういう意味では、PC上にそういった「録画」、デバイスへの「書き出し」機能を備えたソフトを用意するというのもありかもしれない。特にこれからは「地上波デジタル over IP」が現実化しようとしており、当然、PCなどへの配信(放送)へも拡大されうるであろう。そうなると、外部デバイス向けにはPCで録画というのもしやすくなるかもしれない。意外とこうした機能が「PC向けテレビポータル」のキーになるのかもしれない。

まぁ、こうしたニーズがあったとしても「手軽さ」や「メリット感」が十分になければ、すぐに広がるものではない。PC向けテレビポータルと同様、これからのサービスなのだろう。


 地上波デジタルのIP再送信の課題

 PCからTVを攻める-「TVポータル」の可能性


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