ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

「選択と集中」 負け組は何を選択すべきか。

2004年08月05日 | ビジネス
「選択と集中」という言葉が大手をふりはじめたのはいつの頃からだろう。企業という限られたリソースを考えれば、所謂プロダクト・ポートフォリオ・マトリックス上の「スター」にを中心に「負け犬」部分から撤退するのは当たり前だ。しかし現実にはなかなかそうはいかない。一つには、いったん出来上がった組織・商品ラインナップである以上、簡単にやめることができないといった消極的な理由の場合と、もう一つには、その市場が今後再び伸びる可能性がある、もしくはそこでノウハウを培うことが他の分野での成長に繋がる、といった積極的な理由からだ。

特にネットビジネスやITビジネスの場合、参入障壁が低い割に、一度「勝ち組」が決まってしまうと「一強多弱」で形作られる傾向が多ある。この時「負け組」となってしまったら、果たしてどのような選択がいいのだろうか。

1)負けている事業領域を諦めて勝てる事業領域に集中する(完全撤退)。この場合その組織は売却もしくは閉鎖となり、ノウハウなどは残りにくい。

2)負けている事業領域の中で勝てる分野を見つけ、差別化を行うことで独自のポジショニングを確立する(差別化戦略)。こちらは組織が縮小されるかもしれないが、組織知としてノウハウ等は残る。

但しこちらは「言うが安し行う難し」で、常に強者からの攻撃にさらされつつ、独自性を維持しなねばならない。そこには強者が同じようなサービス、商品を提供した場合でも対抗できるだけの仕掛や仕組み、工夫といったものが必要となる。それは目に見えるようなものの場合もあるだろうし、「ブランド」や「特許」といった無形資産価値として把握されるものもあるだろう。またちょっとしたユーザビリティ、プロモーションの差といった「ナレッジ」や「センス」に起因することかもしれない。

いずれにしろ、強者に対抗できる「何か」が必要となる。

3)強者と同じ路線の縮小版として継続していく。組織やノウハウは残るかもしれないが、これは、正直、これは意味がないことだろう。しかし現実的には、この選択を行うことは少なくない。

1)は市場からの徹底であり、再チャレンジには多大なコストを必要とする。最近では「時間を買う」ために積極的にM&Aが行われているが、決して、決して安い買い物ではない。

では市場に残ることを選んだ、2)と3)の違いとは何か。

おそらく3)の場合でも担当者は決して遊んでいるわけではない。ユーザーのことを考え、強者を分析し、少しでも「強者」の商品やサービスに近づこうとする。努力をしているのだ。

しかし実はこの「強者」に近づこうとすること、が「強者の縮小版」として「負け組」から脱却できない理由となる場合がある。同じルールで戦っている以上、仮に全く同じ力になったとしても、勝敗は「強者」に有利なのだから。

2)と3)の違いは、強者に対抗できる「何か」があること、というよりも、異なるルールで対抗しようという姿勢ではないだろうか。「強者」との差を認めつつ違う土壌で勝負する。そのためには「強者」にはない「何か」を見つけ出す必要がある…

もちろんこれは並大抵のことではない。
強者が強者たるのは、少なくともその時代のニーズを読み取り、いち早く商品やサービスとして成立させたからに他ならない。一番求められているからこそ「強者」なのだ。しかし今日の最良の商品は明日の最良の商品とは限らない。市場は日々変化し、消費者は常に我儘なのだから。

違う「何か」を見つけ生き残ること、それが成功するのであれば、市場と「強者」が乖離し始めた時に、新しい勝負に勝つことができるかもしれない。

その時までに力を蓄えることも必要なのだろう。


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