Opera! Opera! Opera!

音楽知識ゼロ、しかし、メトロポリタン・オペラを心から愛する人間の、
独断と偏見によるNYオペラ感想日記。

フレミング企画盤の罠にまんまとはまる!

2008-10-19 | お知らせ・その他
メディア・サヴィーなゲルプ氏のおかげ/せいで、様々なタイ・アップ企画に積極的な最近のメト。

デッセイのイタリア・オペラ・アリア集が、
タイムズ・スクエアとリンカーン・センター前の広場でリアルタイム上映された
2007年シーズンのオープニング・ナイト『ランメルモールのルチア』の公演からの
狂乱の場をDVD付録としてつけて、再発行されたのも、このブログで以前取り上げた通り。

先月でしたか、冒頭の写真にある、フレミングの”四つの最後の歌”のCDを店頭で見かけました。
ティーレマンとミュンヘン・フィルという組み合わせに興味が引かれましたが、
フレミングは、出たCDは絶対買う!というほど好きではないし、
何より、すでに、歴史的名盤と言われている、シュワルツコップとセルの演奏による”四つの最後の歌”を
私の葬式で流してもらうつもりでいるほど溺愛しておりますので、
特に買うこともないか、、とその日は素通りしたのでした。

しかし、約一ヵ月後、同じ店頭で、奇妙な企画盤を発見!!



なんだ、これは??
写真では少し見えにくいかもしれませんが、
シュトラウス 四つの最後の歌 の下に、
SIGNATURE ROLES AT THE MET OPERA (メトでのシグネチャー・ロールたち)の文字!
そして、ジャケット写真は、メトの今シーズンの『タイス』(もちろん彼女が出演)からの
スチール写真ではありませんか!

ひっくり返すと、二枚のCDの抱き合わせ企画で、
一枚は、ぴんで発売されている”四つの最後の歌”のCDと全く同じ。
そして、二枚目のCDの解説として、
”エフゲニ・オネーギン、オテッロ、ルサルカ、タイース、カプリッチョなど、
ほとんどがメトで上演された彼女の代表作の数々!”てなことがプリントされています。
そして、その下にはご丁寧にメトのロゴまで、、。

しかし、頭にくることには、四つの最後の歌はきちんと指揮者、オケの名前が印刷されているのに、
二枚目のCDについては、クレジットが全くないので、誰の演奏なんだかさっぱり。

ここで、きちんとお店の方に確認すればよいのですが、突然何もかもが面倒臭くなることのある私は、
そのうえに、こんなにばっちりとメトのロゴまで入っているのだから、
もしかすると、今までのメトの公演のラジオやシリウスでの放送での音源を
コンピレーションにして発売したのでは??!と燃え上がってしまったのでした。
当然のことながら、お店の人に確認せず、お買い上げ。

家に帰って、愕然、、。
オネーギン、ルサルカ、オテッロは、ショルティ指揮ロンドン響。
タイスはアーベル指揮のフランス国立ボルドー・アキテーヌ管弦楽団。
カプリッチョはエッシェンバッハ指揮、ウィーン・フィル。

、、、、、、、、、、、、。

要は今までデッカから発売された盤の寄せ集め。
メトのアルカイブからのコンピなんて考えが甘かった!!!
しかし、こんな盤に、Signature Roles at the Met Operaと名づけ、
メトのロゴをつけるなんて、詐欺もいいとこ!金返せ!!です。
(←確認しない自分が一番悪い。)

ちなみに”四つの最後の歌”では、あいかわらず独自路線の歌唱で突っ走るフレミング。
ところどころ、かなり苦しそうなところもあり、なぜこの曲を録音したのか、、。
ティーレマンとミュンヘン・フィルのオケ演奏は、やたら人肌あたたかい感じ。
弦楽器のソロもあまりに思いいれたっぷりすぎて、私のような人間は少し引いてしまいます。

ちゃちな思い入れを廃棄し、孤高の演奏を繰り広げる
セル&ベルリン放送響とシュワルツコップの歌からは、彼岸の世界の音が聴こえるのとは対照的。
やっぱり葬式はこれで行く!と決意を固くするのでした。