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歌川広重のすべて 第一部(太田記念美術館)
美術
/
2005-04-24
今日もお天気だったので、大岡川沿いを二駅分歩きました。陽気の
せいかちょっと泥臭いのが残念ですが、それでも気持ちの良いもの
です。横浜方面からカヌーを操る人たちが向かってきます。先頭の
リーダーは真っ直ぐ進みます。二番手は力任せなので船体が左右に
ぶれまくりですが、パワーでついて行きます。三番手の女の子二人
はおしゃべりしながらゆったりと。しんがりの男の子は初めてなの
でしょうか。おっかなびっくり辛そうにパドルを操っています。
さて、今日は太田記念美術館の『歌川広重のすべて』を観てきまし
た。太田記念美術館は開館25周年で、今年は記念の展覧会が続きま
す。名品展は
前期
と
後期
、ともに観にいって、今回はそれに続く広
重の展覧会です。
全三部で構成される展覧会の内容はこちらです。
・
第一部 肉筆画・画稿・版本
・
第二部 版画
・
第三部 名所江戸百景
(全部!)
今日は第一部を観てきました。
広重は風景画だという思いを新たにしました。藍や墨を淡く淡く流
したような大気と水からは自然の息遣いが感じられます。油絵では
こういった感じは出せないでしょう。自然と近しいところに生活し
ていた江戸の人々が観ていた風景に、どこか懐かしさを感じます。
特に絹本の掛け軸を組にした作品がいい感じです。日光の滝を三箇
所描いたもの。春の嵐山と雪の隅田を対にしたもの。これは京都の
晴れやかな着物と、江戸の少し寒そうな厚手の着物の対比がとても
乙だと思います。また、浅草界隈で向島の桜と竹屋の渡の対。
竹屋
の渡
は現在スポーツセンターになっていて、今は見る影もありませ
んが、浮世絵の中では往時が偲ばれます。
こういった組になった作品では、季節の描きわけが素晴らしい。特
に『隅田川の雪、飛鳥山の花、品川の月』がいい感じでした。桜咲
く飛鳥山からは遠くに富士山が望めます。今は見る影もなくなって
いるのだな...単独の作品では『海辺遠望』と『曳舟』という作品が
印象に残りました。
広重の作品は頼まれ仕事がほとんどだと思うのですが、職人という
か、個々の風物を描く技術は確立されていて、何枚も何枚も描くう
ちに洗練されていったのでしょう。そうした技術の組み合せの妙が
彼の景の魅力なのだろう。そんな風に感じました。
さて、来月は第二部の版画です。また、はるか昔の江戸の風景に思
いをはせることになるでしょう...
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