美術と本と映画好き...
徒然と(美術と本と映画好き...)




今日もお天気だったので、大岡川沿いを二駅分歩きました。陽気の
せいかちょっと泥臭いのが残念ですが、それでも気持ちの良いもの
です。横浜方面からカヌーを操る人たちが向かってきます。先頭の
リーダーは真っ直ぐ進みます。二番手は力任せなので船体が左右に
ぶれまくりですが、パワーでついて行きます。三番手の女の子二人
はおしゃべりしながらゆったりと。しんがりの男の子は初めてなの
でしょうか。おっかなびっくり辛そうにパドルを操っています。

さて、今日は太田記念美術館の『歌川広重のすべて』を観てきまし
た。太田記念美術館は開館25周年で、今年は記念の展覧会が続きま
す。名品展は前期後期、ともに観にいって、今回はそれに続く広
重の展覧会です。

全三部で構成される展覧会の内容はこちらです。
第一部 肉筆画・画稿・版本
第二部 版画
第三部 名所江戸百景(全部!)
今日は第一部を観てきました。

広重は風景画だという思いを新たにしました。藍や墨を淡く淡く流
したような大気と水からは自然の息遣いが感じられます。油絵では
こういった感じは出せないでしょう。自然と近しいところに生活し
ていた江戸の人々が観ていた風景に、どこか懐かしさを感じます。

特に絹本の掛け軸を組にした作品がいい感じです。日光の滝を三箇
所描いたもの。春の嵐山と雪の隅田を対にしたもの。これは京都の
晴れやかな着物と、江戸の少し寒そうな厚手の着物の対比がとても
乙だと思います。また、浅草界隈で向島の桜と竹屋の渡の対。竹屋
の渡
は現在スポーツセンターになっていて、今は見る影もありませ
んが、浮世絵の中では往時が偲ばれます。

こういった組になった作品では、季節の描きわけが素晴らしい。特
に『隅田川の雪、飛鳥山の花、品川の月』がいい感じでした。桜咲
く飛鳥山からは遠くに富士山が望めます。今は見る影もなくなって
いるのだな...単独の作品では『海辺遠望』と『曳舟』という作品が
印象に残りました。

広重の作品は頼まれ仕事がほとんどだと思うのですが、職人という
か、個々の風物を描く技術は確立されていて、何枚も何枚も描くう
ちに洗練されていったのでしょう。そうした技術の組み合せの妙が
彼の景の魅力なのだろう。そんな風に感じました。

さて、来月は第二部の版画です。また、はるか昔の江戸の風景に思
いをはせることになるでしょう...

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