河口龍夫展『言葉・時間・生命』(東京国立近代美術館)

河口龍夫展のブロガー特別内覧会に参加してきました...

展示は『ものと言葉』『時間』『生命』の３つのチャプターに分け
られていて、それぞれのチャプターで旧作から最新作がおりまぜて
展示されています。

作品の素材は鉛、蜜蝋、光、闇、種子...

それらの素材はとてもシンプルに提示されます。しかし、シンプル
な素材は単に『もの』として提示されるのではなく、どの作品から
も人や自然の営みへの好奇心が感じられます。そして、それは展示
会場を通奏低音のように流れています...

展示会場自体がまるでひとつの作品のようです...

以下、写真入りで展示の紹介を...
※ 会場内の画像は主催者に許可をとり撮影したものです。

Chapter 1. ものと言葉

『DARK BOX』の素材は鉄と闇(iron and darkness)。箱の中に封印さ
れた闇、3000年に封印される闇...観る人の想像力にゆだねられる作
品は本展の特徴です...

※『DARK BOX』制作：1975年－、いわき市立美術館他収蔵

こちらは鉄の中に光を封印した作品...

※『光(電球)』制作：1975年

闇の中の彩色ドローイングという観客が参加できるコーナーがあり
ます。暗闇の中での色鉛筆を使ったドローイング。一緒に回ったブ
ロガーさんにも心象風景を描く人もいれば複数本の色鉛筆を同時に
使って抽象画を描く人もいて...ちなみに私が描いたのはこれ。

＃ 能天気でごめんなさい...(^^;

『関係－地中からのボーダーライン』は国境をモチーフにした作品
です。小さな展示室は地球の内側から世界を眺めるような造りにな
っています。国境の線のにじみは、人が決めた実際には目に見えな
い境界のあいまいさを示しているそうです。

※『関係－地中からのボーダーライン』制作：2009年


Chapter 2. 時間

『関係－質』は時間ともに腐食する金属を作品にしたもの。鉄の錆
や銅の緑青が不思議と美しいイメージを作っています。

※『関係－質』制作：1977年－1988年、いわき市立美術館他収蔵

『太陽の点』は虫眼鏡で集めた光で木材を焦がして作った作品...

※『太陽の点』制作：1975年


Chapter 3. 生命

『関係－種子、土、水』は奥からアルミニウムに入れられた空気、
銅に入れられた水、真鍮に入れられた土...シンプルでとても美し
い作品だと思いました。

※『関係－種子、土、水』制作：1986-1989年

『関係－無関係・立ち枯れのひまわり』は死を感じさせる作品...

※『関係－無関係・立ち枯れのひまわり』制作：1998年

『7000粒のいのち』は7000粒の種子を並べた作品です。いろいろと
視点を変えるととても面白い...こんなのとか...

※『7000粒のいのち』制作：2009年

こんなの...

※『7000粒のいのち』制作：2009年

『関係－蓮の時・3000年の夢』は鉛のベッドの上に横たわる鉛の蓮
の花と種子...今回、一番好きだった作品かな...

※『関係－蓮の時・3000年の夢』制作：1994年

最後の作品は『時の航海』。もとは日本海で使われていた漁船だそ
うです。こうして写真で見ると、船体にびっしりつけられた蓮の種
が波の飛沫のように見えます...

※『時の航海』制作：2009年


この展覧会は単に観に行くというよりも、体験したり感じたりする
つもりで行くといいのではないかな...私はとても楽しめました。

会場を案内してくださったのは東京国立近代美術館の大谷省吾さん。
どうもありがとうございました。

・河口龍夫展『言葉・時間・生命』 (東京国立近代美術館) - 12/13


期間中、河口龍夫さんのトークイベントがいくつか。河口さんはと
ても気さくな方です。興味のある方は是非。
> ◆河口龍夫×松本透（当館副館長）×大谷省吾（当館主任研究員）
> 日程： 2009年11月14日(土)
> 時間： 14:00-15:30
> 場所： 講堂（地下1階）
>
> ◆河口龍夫
> 日程： 2009年11月22日(日)
> 時間： 14:00-15:30
> 場所： 講堂（地下1階）
>
> ◆河口龍夫×谷新（宇都宮美術館館長）
> 日程： 2009年12月5日(土)
> 時間： 14:00-15:30
> 場所： 講堂（地下1階）
>
> ＊いずれも聴講無料・申込不要（先着150名）

河口龍夫さんのオフィシャルサイトはこちら。
・河口龍夫 オフィシャルサイト


蛇足 落書き
そういえば越後妻有にもあった黒板の作品。これは河口さんが子ど
も頃、黒板に落書きをして怒られたことがあって、そんな思い出か
ら落書きできる黒板を作品にしようと思ったのだそうです。

なんかそんな話を聞いたら元気が出てきたので私が越後妻有に残し
てきた落書きを紹介。

＃ 普通に落書きだなぁ...(^^;