美術と本と映画好き...
徒然と(美術と本と映画好き...)




さて、これはインドの展覧会です。すでに二回も行っています...

このところアフリカやブラジルなど、これまであまり紹介されてこ
なかった国々の作品を観る機会が増えています。そんなときに私が
注意しているのが、同時代の表現にその国の地域性が作品がどう結
びついているのかということ...

いわゆるグローバル化な世の中にあって、都市にはビルが建ち並び、
インターネットで世界は結ばれています。人についても感じ方、考
え方が均質化されつつあるだろうし、バックボーンの異なる国々か
ら似てくる表現が生まれてきてもおかしくありません。

一方、そんな中からも、どうしたって似てこないモノがあります。
当然そこには彼らが負ってきた歴史...というものがあるのでしょう
が、どちらかと言えば私の関心は表現としての地域性・多様性の方
になります。

例えば、二年前に観たアフリカの展覧会には過去の歴史に引っ張ら
れた作品に辛さを感じたり、今年のブラジルの展覧会では地域性の
希薄さが気になったり...

そういう意味では今回のインドの展覧会はとてもバランスが取れて
いたように思います。

『ビンディ(インドの女性が額に貼る飾り)』を使ったバールティ・
ケールの『その皮膚は己の言語ではない言葉を語る』のゾウや、壁
面を埋め尽くす『心因性記憶喪失』。あるいは仏教の起源から脈々
と続くイメージをポップに表現したグラームモハンマド・シェイク
の作品。

ゴミによってゴミゴミした街を表現するヴィヴァン・スンダラムの
作品や、アルミ缶を無造作に組み合わせながら都市を表現してしま
うヘマ・ウパディヤイの『静かなる移動』。スタンプを使ったリー
ナ・サイニ・カッラトの作品もニッチな感じがとても面白かった。

ジャガンナート・パンダの孔雀のオブジェや叙事詩と名付けられた
鳥の巣のイメージもよかったな...

あと、新しい表現としては描かれたイメージと動画を重ねたランビ
ール・カレカ『クロッシング』や、スクリーン上に現れる観客のシ
ルエットと映像がインタラクションするシルパ・グプタの『無題(シ
ャドウ)』など。

そして私が最も心惹かれたのはシルパ・グプタのマイクがしゃべる
作品です...

『運命と密会の約束(制憲議会演説)』と名付けられた作品をちょっ
と観ただけでスルーする人は多いはず。だけど、機会があったらじ
っと耳をすましてみることをお勧めします。英語で再現される演説
には不思議な抑揚がついていて、それはあたかもお経のように聴こ
えるのです...

ひとことひとこと噛んで含んだような音の連なりを、会場に掲げら
れた文字を頼りに追いかけていきます。2500年の歴史を持つ仏教の
起源であるインドのコンテンポラリーアートな作品から、ニッポン
の我々が時々耳にする音が重なって聴こえることに、不思議な感動
を覚えたのでした...
# インドのお経もこんな風なのでしょうか...

うん。これはちょっとしたイベント感覚で楽しめる展覧会です。で
きれば 1/20 の MAMC ナイトにも行ってみたいと思っています。
MAMC ナイト

チャロー!インディア (森美術館) - 2009/3/15

コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
グローバリゼーション (Tak)
2008-12-28 16:21:30
こんにちは。

森美はこの手の展覧会
やらせると上手いですよね。

20日参加しようかな~
 
 
 
バランス (mizdesign)
2008-12-28 19:22:47
こんにちは。
演説、一応聴いたのですが、その奥の立体サイン越しに見える六本木の街に気がいってしまいました。
展示自体というよりも、インドという着眼点と、地域性とグローバリズムのバランスが上手かったです。
 
 
 
Re: グローバリゼーション (lysander)
2008-12-29 02:40:01
Takさん
こんばんは

> 20日参加しようかな~
是非!
私も仕事が片付いたらなんとかしたいと思います。
 
 
 
Re: バランス (lysander)
2008-12-29 02:42:33
mizさん
こんばんは

> 展示自体というよりも、インドという着眼点と、
> 地域性とグローバリズムのバランスが上手かったです。
作品としても面白いのがあってよかったと思いました。
せっかくの MAMC なので、もう何度か行ってみます。
 
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