美術と本と映画好き...
徒然と(美術と本と映画好き...)




四年ぶりに山口薫展に行ってきました...

1907年生まれの山口薫は昭和の絵描きさん。若い頃の作品にはエコ
ール・ド・パリの影響が観てとれますが、だんだんとその作風を確
立させていきます。『紐』や『水』といった戦前の作品はモダンだ
なぁ...

戦後に描かれた牛の親子(『花子誕生』)やクモ(『孤独者のすまい』)
といった生きものの作品の、具象と抽象とをバランスさせた作品は
とても見事です。視覚的には新しいけど、そこにあるたたずまいは
余さず捉えられます...『季節の哀歓「田園と鳥」』なんてもう...

それらの作品は後期の作品に繋がっていきます...

『水田を飛ぶカーチス式軽飛行機』の高揚感、『サラサラ粉雪ふる』
の小雪の向こうに茫洋と浮かんだ木々...あるいはほとんど画面に溶
け込んでいる『沼面・春の雨』の光...線と色とに分解されて、形は
なくなりつつありますが、そんな大きな画面に残されたもの...それ
は詩情...と書いてしまうと一言で終わってしまうのですが、そうと
しか表現しようのない独特の空気感を持っています...

そして最後の一枚が『おぼろ月に輪舞する子供達』、この作品との
出会いを綴った何必館・館長の梶山芳友さんの短いエッセイがとて
もいい。山口薫の名前を初めて知ったのは四年前、東京ステーショ
ンギャラリーの回顧展でした。その時に比べると展示作品は抑えめ
でしたが、何年かぶりかの山口薫の個展を堪能してきました...

山口薫展『都市と田園のはざまで』 (世田谷美術館) - 12/23

おまけ
上で紹介した梶山さんのエッセイが以下で読めます。
山口薫作品室 (何必館)

コメント ( 5 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
遠いけれど (えみ丸)
2008-11-19 10:45:31
こうやって感想を聞くと、やっぱり観たいと思います
若い時には、花の像や紐に惹かれましたが、ステーションギャラリーの時には、葬送やサラサラ粉雪ふる、小さい氷湖矢ば羽など抽象とも付かない作品に惹かれました

2007年の「山口薫と故郷の人々」の記事をTBさせてもらいました

大琳派展でお会いでき嬉しく思っています
 
 
 
Re: 遠いけれど (lysander)
2008-11-19 23:49:27
えみ丸さん
こんばんは

先日はありがとうございました。

東京ステーションギャラリーの展覧会は
よかったですね。久しぶりに図録を出し
てきて思い出しました。

今回の展示もそこそこいいと思います。
タイミングが合うようなら出かけられる
といいですよ。

ではでは。
 
 
 
「はざま」の画家 (とら)
2008-11-22 08:15:02
こんにちは。
展覧会の副題は「都市と田園のはざま」となっていましたが、わたしは「具象と抽象のはざま」という画法の揺れのほうに集中してしまいました。画法だけではなく、「現実と空想のはざま」という精神の揺れなのかもしれませんが・・・。

そのほか、「酩酊と覚醒のはざま」や「戦争と平和のはざま」といったことも気になりました。
 
 
 
Re: 「はざま」の画家 (lysander)
2008-11-22 21:13:07
とらさん
こんばんは

たしかに『都市と田園のはざま』はあまり意識させませんでしたね...

> そのほか、「酩酊と覚醒のはざま」
むむむ。それは私の鑑賞態度のことでしょうか...(^^)
 
 
 
Unknown (チャンプ)
2011-06-05 12:14:43
始めまして僕はピカソやかまちに出会って絵を描き始めました
毎日毎日ふらふらになるまで絵を描いていますよかったらホームページを
のぞいて見てください
http://www.takayuki-oekakichamp.com/
「お絵かきチャンピオン小林孝至」でも
検索できますよろしくお願いします
よかったらメール(norakuro@wind.ocn.ne.jp
)&掲示板に書き込みも待ってます
 
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