札幌美術紀行(第三章 ブラック・スライド・マントラ)

お昼すぎにモエレ沼公園を出て、芸術の森を目指す。西南西に進め
ば札幌駅、そこからひたすら南下すれば良いだろう。往路でつかん
だ感覚で、いい加減に自転車を走らす。駅までは距離感があるので、
通りがかりのおじいさんやおばあさんやお嬢さんに道を聴き聞きサ
イクリング。

私：あ、すいません、あれってテレビ塔ですか？
おねえさん：そうですよ。

大通公園を発見したからそのまま直進。大通公園には、アサヒ、キ
リン、サントリー、各社簡易テーブル・簡易椅子でビアガーデンが
営業中。平日の昼間から飲んでる札幌市民、あるいは観光客を横目
でみながら向かうは八丁目、イサム・ノグチの『ブラック・スライ
ド・マントラ』。

丸い円筒形のすべり台、地元の子どもたちがぐるんぐるん並んでい
る、すべっている。そんなに大きくはないし、アールが急だからす
べり心地はどうなのだろう...だけど、その肌触りとその形が、子ど
も心をくすぐるのだろうな。ちょっと小高い緑の上のすべり台。ぐ
るり一周眺めながら、本当は一度くらい、滑ってみたかった...

そして自転車は、十五キロ先にある、芸術の森を目指す。