ボッケニャンドリの思ったこと

思ったこと感じたことを書いているけど間違い、勘違い、思い込みも(^^;

山登り、高級寿司屋と同じで実力は時価

2010年12月12日 09時44分11秒 | 山とか壁を登る、その他運動
 15年ほど前、甲府の人達とフリークライミングを楽しんでいた。登るルートには難易度が付いているので皆それを目標にやる。自己記録を更新するとそのグレードを登ったということでイレブン・クライマーだのトウェルブ・クライマーなどともてはやされる。イレブンは eleven 、トウェルブ は twelve で数字が大きいほど登るのが困難になる。

 しかし言われて間もなく向こう1年以内に同じグレードを登らないと元イレブン・クライマーだの元トウェルブ・クライマーに格下げだぞと脅かされる。元と言われるのが実にプライドを傷つけるのだ。中にはサーティーン(thirteen)1本だけ登ったクライマーなんて言われたりする。サーティーンを1本でも登ること自体が凄いことなんだけど、それを登れない人達が元呼ばわりする。

 単に口の悪い連中が言う戯言なんだけど、過去のことなんて関係ないという評価方法は実に合理的なのだ。是非遭難続きのヘッポコ中高年登山者に参考にして欲しい。何をもってヘッポコかというと、自らの力を過信して自分はマイペースで行くので心配無いと言う人達だ。マイペースとか自分なりにというと聞こえが良いけれど、ものには限度というのがある。






 例えば甲斐駒ヶ岳を韮崎側から登るルート、これを麓から7合目の小屋まで10時間かかるような人は別の山でもっと力を付けた方が良い。というのも5合目辺りから鎖場だの梯子だの気を緩めると危ない場所が続くからだ。並の人の集中力が続くのはせいぜい5~6時間だと思うのだ。だからそんな場所を7~8時間歩いた後に通過するのは事故の元。てなわけでマイペースというのは自分の力の無さに対する言い訳の言葉としてよく使われる。

 特に若い頃に色々な山を登り歩いてたが定年頃までの20年くらいご無沙汰の人達が要注意。だいたい40、50になると世の中の全てが分った気になって人の話を聞かなくなる。俺もその口だ。世界で一番正しいのはこのオレサマ。

 ヨメも山登りということではちょっとブランクがある。それでも相変わらずヨメの脚力は凄いと言っている人達がいる。このオレサマは昔の凄かった頃のヨメは知らない。見えているのは常に今現在のヨメだ。確かにその辺の中高年よりはずっと足は速いけど、う~ん、凄いと言われるにはもうちょっとねって感じだ。凄いと言われるにはこのオバサンくらいでないと。






 先日近所の岩場に行った時、ヨメはこのオレサマにもう少しゆっくり歩けを連発した。そして岩場に着いた。今日は何時もよりちょっと難しいのをやろうということになった。といっても10年前だったらお互いウォーミングアップくらいのルートだ。ところがヨメはそれを登れないのだ。ここである決心をした。ヨメが近いうちに行こうと計画してた山登りを中止して貰うということだ。過去はともかく知らない間に随分とヨメは衰えていたのだ。しかも足の裏が変だといって整形外科に行ったりもした。

 登る予定の場所は八ヶ岳のバリエーション・ルート。バリエーション・ルートというのは一般の登山地図には出てないところだ。いわゆる人の道を外れた場所。冬のバリエーションと言ったら日頃ハァハァゼェゼェするようなトレーニング、とまではいかないけどまぁそれなりの準備で望んで欲しいのだ。そうでなきゃ家族として心配でやってらんない。でもヨメはそんな事はしてないし、ダメなら途中で戻って来ると気楽だ。

 まぁでも結果的にバリエーションは中止して代わりに別の易しい山を選んでくれた。そもそもヨメが山歩きからフリークライマーに転進したのは長年の山歩きで膝などに違和感が出たからだという。そんな話をしながら易しいけど距離の長いバリエーションは止めた方が良かったと言ってくれたので一安心。

 冬のバリエーションけっこう。でも久々にやる時はまずは簡単な事をして登る力があるのかどうか確認する、そのくらいの慎重さをもってやるのが正しい中高年ってもんだろう。
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