年金不安の一方で、企業に食い物にされてよいのか

消えた年金問題にこれだけの国民の不安と関心が高まるなかで、１兆４千億円もの莫大な金が企業のもとに還元されている事実は衝撃的でした。新聞各社もそのもようを伝えました。
たとえば、
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2007061502024292.html

１兆４千億円ものカネは、データ処理システムと事務所の賃貸料として企業に還流するものでした。法外な賃貸料に疑問の声があがるのも当たり前。
しかも、東京新聞によれば、契約は随意で、賃貸料は電話料で払うなどというずさんなものでした。当ブログでは、社保庁；年金保険料１兆４千億円が企業にでこれを取り上げました。

しんぶん赤旗（６・１９）が、カネの流れをふくむ社保庁と年金保険料にからむ構図を分かりやすく図示し掲載しています（上図、クリックすると拡大します）。
国民が支払った年金保険料を、たとえば欠陥だらけのシステムに投資し、法外な賃貸料の名目で、企業にカネを流すしくみです。

ところが、同紙によれば、この癒着の構図が、国家公務員法改悪案でいっそう加速することが懸念されるわけです。
天下りについて現在は、離職後２年間について密接な関係のある営利企業を規制するだけのもの。現実には特殊法人を通じておこなわれています。
提出されている法案は、厚労省からの天下りも「交流センター」を経由すれば自由。つまり、天下りはやりたい放題になります。
ここまで考えると、社保庁解体後、新たにつくられることになっている年金機構もまた天下りの受け皿になるのがすぐに分かります。
その上、「交流センター」は民間に委ねられる予定ですから、ここを経由して就職先を探してもらうと転職者の年収の３０％前後が報酬として「交流センター」にころがりこむしくみです。

同紙の試算では、年収１０００万円の公務員が１万人転職すれば、実に３００億円程度が報酬として入るわけです。
規制緩和、市場開放が天下りと結びつく構図をここにみるのです。
年金保険料を食い物にする規制緩和、市場開放という路線そのものをあらためて問う必要があるのではないでしょうか。

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