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[橋下市長]特区は社会保障に何をもたらすか
「自力で生活できない人を政府が助けてあげる必要はない」と考える人の割合が世界中で日本が最も多いという報告が以前に紹介されていました(参照)。いわゆる自己責任がもっとも浸透しているだろうと考えられるあのアメリカをも凌駕するとか。
この報告が正しいものだとすると、昨今のたとえばネット上でみられるような生活保護受給者への仮借のない非難やあるいは偏見がうなづけるところではあります。各国とは際立った国民の意識をうらづける背景に何があるのか、そこには日本での宗教の占める位置なんかも関係するのかもしれないとか思ったりもしますが、むろん定かではありません。
こうした日本の意識状況からみると、大阪市が今後やろうと考えていることは一見、これに逆らうかのようにもみえるものです。はたしてそうなのか。
橋下市長がすでに明らかにしていた西成区を特区にする構想に関して、同区の生活保護受給者の自立を支援する提案が予定されているそうです。特区とは、新自由主義的な構造改革の文脈で語られるのが一般的でしたから、それだけにどのような中身で事がすすむのか、関心をはらわざるをえません。
報道によれば、なんでも生活保護受給者の自立をうながすために、受給者が働いた場合、それにより得た収入をプールし、自立の際に返還するという「改革案」とされています。
先にのべたような提案の骨格は、ようするにワークフェア(workfare)とよばれるもの。大づかみにいえば、生活保護など福祉の受給者に、一定の就労を義務づけ、給付を労働の対価とすることにより、自立を促すと同時に、経済的自立のための技術・技能を身に着けさせようというものです。
そこで 思うのは、提案によって以下のような新たな矛盾が広がるだろうということです。
最低賃金と異なる金額を設定する根拠がないといいましたが、正確にいえば、実は最低賃金より低い金額を設定することで雇用を促進しようという意思があることは明確でしょう。結局、資本の習性としてより安価な労働力を求め企業が動くということになる(2.)。
しかし、生活保護受給者であっても、他の労働者と同じように働いて最低賃金制の適用から除外するという差異がそこにある以上、そもそもこれを制度として実施してはならないと考えてほしいものです。たしかに現行最低賃金制度にも適用除外事項があるのは承知していますが、それは、若年者、学生など端的にいえば労働生産性上、他と明確に区分できる場合だとされているのですから。だから生活保護受給者の就労は、これと同様の措置になるのか、そうではないだろうと考えるわけです。労働生産性が低いわけでもないのに最低賃金以下の賃金支払いが可能だとすると、明確な差別的扱いといわざるをえないでしょう。
付け加えれば、2007年に最低賃金法が改定されています。改定は、ワーキングプア解消を目指し最低賃金を決める際、「生活保護に係る施策との整合性に配慮する」ことを明記するものでした。また、憲法にうたう生存権を保障する立場を明確にするために、「労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう」との文言も新たに加えられたのです。
このように、最低賃金制と生活保護は表裏の関係にあるともいえ、したがって相互に影響するものです。だから、あえて最低賃金とは異なる体系を持ち込むことによって、生活保護にも、最低賃金制にも悪影響を及ぼしかねない提案だと思えます。
そもそも生活保護はさまざまな理由で就労できない人を対象にするものでしょう。しかも、潜在的な失業者もふくめて職につけない人が多数にのぼる現在の日本の状況は、最初に着手すべきなのは職を求める人びとに雇用を保障できる政策の具体化だと教えているのではないでしょうか。求職者が雇用される環境に今ない以上、こうした二階建てに近い最低賃金体系をもちこめば、状況が悪化しこそすれ、雇用環境の改善をのぞむべくはありません。
しかも、生活保護の本来の対象者を現状でとらえきれているのかという問題も存在します。この生活保護の捕捉率は諸外国に比較しても格段に低いことが指摘されているくらいですし(イギリス;87%、ドイツ:85~90%にたいして日本;19.7%、日弁連)、そもそも生活保護受給対象者をとらえきれずに大量に残したままで、生活保護からの「自立」をこうして上からうながす制度をつくろうとしても、本来の社会保障のあり方としては、木をみて森をみない態度のように思えないでもありません。
生活保護費総体を抑制しようとするあまり、少なからず影響を及ぼすような最低賃金制や雇用環境をいっさい視野に入れていないという、提案として不可欠な要件を欠いているのは否めないように思えます。
生活保護受給者の増加の背景に今日の雇用環境の悪化があることが明らかである以上、そこに着目しないでは、生活保護受給者の自立はもとより、そもそも社会保障を必要とする人のための施策の前提を欠くといってもよいのではないでしょうか。
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この報告が正しいものだとすると、昨今のたとえばネット上でみられるような生活保護受給者への仮借のない非難やあるいは偏見がうなづけるところではあります。各国とは際立った国民の意識をうらづける背景に何があるのか、そこには日本での宗教の占める位置なんかも関係するのかもしれないとか思ったりもしますが、むろん定かではありません。
こうした日本の意識状況からみると、大阪市が今後やろうと考えていることは一見、これに逆らうかのようにもみえるものです。はたしてそうなのか。
橋下市長がすでに明らかにしていた西成区を特区にする構想に関して、同区の生活保護受給者の自立を支援する提案が予定されているそうです。特区とは、新自由主義的な構造改革の文脈で語られるのが一般的でしたから、それだけにどのような中身で事がすすむのか、関心をはらわざるをえません。
報道によれば、なんでも生活保護受給者の自立をうながすために、受給者が働いた場合、それにより得た収入をプールし、自立の際に返還するという「改革案」とされています。
大阪市の橋下徹市長が活性化に向けた特区構想を打ち出した同市西成区で、生活保護受給者が働いて得た収入を行政側で積み立て、生活保護から抜ける自立時に一括返還して初期生活費に充ててもらう制度を導入するという改革案を、特区構想担当の市特別顧問、鈴木亘・学習院大教授(社会保障論)がまとめたことが7日、分かった。区民の4人に1人が生活保護受給者という状況の中、受給者の就労・自立を促し、市財政を圧迫する生活保護費の縮減にもつながる一石二鳥の案としており、鈴木氏は近く橋下市長に提示する。
不況を背景に、生活保護受給者数は全国的にも過去最多の更新が続いており、厚生労働省も同様の制度創設の検討に入ったが、自治体の事務量増大などの課題がある。西成区で制度が導入されれば全国のモデルケースとなる可能性もあり、成否が注目される。
………
鈴木氏の案では、西成区の受給者に自立支援プログラムによる5年間の就労義務を課し、収入は区の福祉事務所で貯蓄。自立時に返却するとしている。就労報酬額は、3年程度は最低賃金(大阪府は時給786円)の適用除外として同400円程度とし、その後は最低賃金にすると仮定。企業側にも雇用義務を課し、若い労働者と雇用者のマッチングが図れるとともに、就労経験による技術習得にもつながるとしている。
「西成特区」で仰天改革案 生活保護受給者「就労所得貯蓄」で自立支援
先にのべたような提案の骨格は、ようするにワークフェア(workfare)とよばれるもの。大づかみにいえば、生活保護など福祉の受給者に、一定の就労を義務づけ、給付を労働の対価とすることにより、自立を促すと同時に、経済的自立のための技術・技能を身に着けさせようというものです。
そこで 思うのは、提案によって以下のような新たな矛盾が広がるだろうということです。
- 就労して最初の3カ月にしろ最低賃金と異なる賃金を設定しなければならないそれらしき根拠がなく、むしろ最低賃金制を形骸化させる恐れがあること
- 企業側のインセンティブが安価な受給者雇用に働きかねず、むしろ雇用環境に混乱をもたらすこと
最低賃金と異なる金額を設定する根拠がないといいましたが、正確にいえば、実は最低賃金より低い金額を設定することで雇用を促進しようという意思があることは明確でしょう。結局、資本の習性としてより安価な労働力を求め企業が動くということになる(2.)。
しかし、生活保護受給者であっても、他の労働者と同じように働いて最低賃金制の適用から除外するという差異がそこにある以上、そもそもこれを制度として実施してはならないと考えてほしいものです。たしかに現行最低賃金制度にも適用除外事項があるのは承知していますが、それは、若年者、学生など端的にいえば労働生産性上、他と明確に区分できる場合だとされているのですから。だから生活保護受給者の就労は、これと同様の措置になるのか、そうではないだろうと考えるわけです。労働生産性が低いわけでもないのに最低賃金以下の賃金支払いが可能だとすると、明確な差別的扱いといわざるをえないでしょう。
付け加えれば、2007年に最低賃金法が改定されています。改定は、ワーキングプア解消を目指し最低賃金を決める際、「生活保護に係る施策との整合性に配慮する」ことを明記するものでした。また、憲法にうたう生存権を保障する立場を明確にするために、「労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう」との文言も新たに加えられたのです。
このように、最低賃金制と生活保護は表裏の関係にあるともいえ、したがって相互に影響するものです。だから、あえて最低賃金とは異なる体系を持ち込むことによって、生活保護にも、最低賃金制にも悪影響を及ぼしかねない提案だと思えます。
そもそも生活保護はさまざまな理由で就労できない人を対象にするものでしょう。しかも、潜在的な失業者もふくめて職につけない人が多数にのぼる現在の日本の状況は、最初に着手すべきなのは職を求める人びとに雇用を保障できる政策の具体化だと教えているのではないでしょうか。求職者が雇用される環境に今ない以上、こうした二階建てに近い最低賃金体系をもちこめば、状況が悪化しこそすれ、雇用環境の改善をのぞむべくはありません。
しかも、生活保護の本来の対象者を現状でとらえきれているのかという問題も存在します。この生活保護の捕捉率は諸外国に比較しても格段に低いことが指摘されているくらいですし(イギリス;87%、ドイツ:85~90%にたいして日本;19.7%、日弁連)、そもそも生活保護受給対象者をとらえきれずに大量に残したままで、生活保護からの「自立」をこうして上からうながす制度をつくろうとしても、本来の社会保障のあり方としては、木をみて森をみない態度のように思えないでもありません。
生活保護費総体を抑制しようとするあまり、少なからず影響を及ぼすような最低賃金制や雇用環境をいっさい視野に入れていないという、提案として不可欠な要件を欠いているのは否めないように思えます。
生活保護受給者の増加の背景に今日の雇用環境の悪化があることが明らかである以上、そこに着目しないでは、生活保護受給者の自立はもとより、そもそも社会保障を必要とする人のための施策の前提を欠くといってもよいのではないでしょうか。
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