昨日の夜のこと、ある番組のタイトルに思わず目がいきました。
建築の仕事をしながらオペラのタイトルロールを(それも日生劇場・・・)務める方の話題を新聞で読んだことがありました。医師でありながら歌手という2足草鞋の方も聞いたことがあります。男性だと、本業と並行して趣味の域を超えたセミプロというのか、ある程度も音楽も認められるレベルの活動をしていらっしゃる方がたまにいらっしゃいます。メディアに取り上げられる人って、そんな人かしら、それとも私の友人たちみたいに、営業マンとして仕事しながらアマチュアではあるけど音楽活動している人?まあ、そんなイメージでチャンネルを合わせると・・・・
その逆でした。
音大の声楽科を出ながら、自動車販売会社のセールスレディとなった女性が、業績低迷から抜け出して実績を上げセールスレディとして成長していく姿をドキュメンタリー的に紹介したもの。
最初の場面を見逃したので、なぜセールスレディに?というインタビューを聞き逃したのですが、優秀な成績で卒業した先輩たちでも厳しい道にあることを見ていて、特に成績優秀だったわけでない自分ではさらに困難だろうと、客観的に考えて、自由度もある営業を選んだような話をしていました。そして音楽はボランティアや趣味としてやっているとのことで、合唱指導をしている姿も紹介されていました。
業績が伸びない彼女に先輩がアドバイス。
「表情が暗い。もっと笑顔で。女優になったつもりで笑顔でお客さんに接する、相手の要求を考えて情報提供する、それを継続することで、お客さんともコミュニケーションがとれるし、自分のモチベーションも上がる・・・」
そして、アドヴァイスされたことを実践しているうちに成約を取ることができました。その車をメンテナンスに来たお客様にインタビューすると、「○○さんが一生懸命誠意をもって対応してくれたので彼女の世話になってもいいかなと思って決めました」
もちろん製品のよさも前提にあるとは思うけど、結局は人と人のコミュニケーションの中で共感する部分があって、それが販売につながった。芸術活動とモノの販売という、対極にあると思いがちなことも、実は根底にあるものは同じなのかもしれません・・・
営業マンは営業の場がステージ、主婦は家族団らんの場や生活シーンがそのままステージなのです。
よく歌うことは特別なことでない、と先生方に言われることがありますが、きっとそんなことなんでしょうね。
私自身、だから本業でプロフェショナルを極めることをすれば、多少乱暴な言い方ではありますが、いわゆるジャンルとしての音楽家ではなくても、音楽家に匹敵するのではないかと最近思うようになっていたので、「歌う営業マン」というタイトルの意味がわかるような気がしました。
「営業は断られたときに始まる。」
営業マン教育ではよく聞く言葉ですが、「選ばれること」にチャレンジし続けるというサバイバルな職業であることは音楽家と似ているようにも思いますので、案外、音楽家は営業マンという仕事は向いているかもしれません。
最後のシーンは「あと1台軽自動車を売るまで戻るな」と言われ営業活動に向います。彼女はプロの音楽家は断念しましたが、営業ステージで歌う音楽家として活躍できたらいいね、と思ったのでした。
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