セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」

2024-05-13 21:02:34 | 映画感想
 「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」(2018年、日本)
   監督 湯浅弘章
   脚本 足立紳
   原作 押見修造 「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」
   撮影 今村圭佑
   音楽 まつきあゆむ
   出演 南沙良
      蒔田彩珠
      萩原利久
      
 高校へ入学した大島志乃、重度の吃音でホームルームでの自己紹介が出来ず皆に笑われてしまう、ふとした事でクラスメイトの岡崎加代と友達になるがミュージシャンを夢見る彼女は音痴というコンプレックスを抱えていた、志乃のボーカル、加代のギターで秋の文化祭を目指そうと特訓中に空気が読めず友達なしの菊池が割り込んできた事で二人の立ち位置が壊れていく・・・。

  予告編 https://www.youtube.com/watch?v=mRFXamqu0fw

 心踊る作品ではないけど世間の評判よりは良質な青春映画だと思う。
 配給がビダーズ・エンドという会社だからか爽やかな大団円ではないのだけど味のあるハッピーエンド、劇的な変化のない日常が三人それぞれに訪れるが確実に一歩、或いは半歩前進した日常生活を迎えるので其々の成長が見て取れるし非常に現実的な終わり方をしていて、そこに好感が持てる。
 只、物語に欠点はないのだけどディティールがいい加減過ぎる、重度の吃音の子が入学するのに親が事前に学校と相談しないなんてあり得ないし、放っぽりぱなしというのも不自然、中学から高校への申し送りに吃音を書かないのも変だ、狭い地方都市の高校に中学時代の同期生が入学していないのも話の都合としか思えない、そこがどうしても引っ掛かって作品の足を引っ張ってるのが勿体ないと思う。
 演技についてはメイン三人の演技は上手くて申し分ない中、岡崎加代を演じた蒔田彩珠が何とも言えない味わいのある演技で💮、主演の大島志乃役の南沙良の鼻水厭わない熱演も良いのだけど特徴ある役は演じやすいから、これだけでは何とも言えないかな、お邪魔虫の菊池役萩原利久もウザくて良かったです。

  乗らなけりゃ 何処へも行けぬと 知りながら
    遠ざかるバス 今日も見送る

 R6.5.13
 DVD
コメント
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