laisser faire,laisser passer

人生は壮大なヒマつぶし。
楽しく気楽につぶして生きてます。

さらばウルトラカンタロウ

2011-12-26 | kabuki a Tokio

中村座楽、そして最後の勘太郎を見てきました。

楽日は夜の部がないので、もう一度関の扉を見ることはかなわなかった・・・昨日なんとか抜け出そうとしたんだけど、無理だった・・・生きてくってつらい。

で、

車引

彌十郎@松王が楽にして、ようやく松王らしくなって。梅・桜と三人そろってこその車引なんで、ああ、よかった。
勘太郎@梅王は紅隈が濃くなってた。渡辺保しの評に答えたのか。あたしは薄い紅隈でも、血管切れそうな梅王が好きだったんだけどなあ。あの芝居に、派手な化粧やアクションは必要ないよ。
菊之助@桜丸は声ががらがらだけど、その分丁寧な芝居で、本当に、いい桜丸。ただ、最初の梅王との花道の引っ込みで、思わず、さよなら公演での芝翫丈のちょこちょこ歩きの桜丸の引っ込みを思い出して泣いてしまったのをきっかけに「なぜ芝翫じゃないんだ!」と理不尽な思いにとらわれてなんだか変な感じになってしまったのはあたしの個人責任。

賀の祝

これこそ、最後の勘太郎。
途中までは、少し風邪薬のせいで眠気がさしたり、いつもどおりの余裕の観劇だったのですが、大詰め、桜丸のオチイリのあたりで、黒御簾の中に勘三郎の姿を見つけ、「ああ、息子の勘太郎としての最後の舞台を見てるんだな」と思ったり、最後の最後、大向こうの「中村屋!」の掛け声にまじって、普通の女のヒトの声で「かんたろう!」っていうのを聞いて、思わずぐぐっと来てしまいました。しろーとや女の大向こうは嫌いだけれど、今日ばかりは許す。てか、あたしも勇気があったらやりたかった。かんたろう!最後なんだね、かんたろう!

寺子屋

というわけで力尽き果て、ほとんど寝てしまったのでした。
寺子屋好きだし、今月の中村屋の寺子屋、出来がよかったと思うんだけど、眠りから醒めたら松王と千代が嘆き悲しんでいて、周りでは中村屋のご贔屓がむせび泣いていて、はい、もうついていけなかったです。
ちょっとうるっとしかけたんだけど、扇雀の千代のオーバーアクションがなんだか滑稽で・・・泣くより笑ってしまったりして。
今月の扇雀は本格的にlavieのなかで困ったチャンでしたよ。
戸浪の七之助がかなりよくなったと思ったら、源蔵@菊之助がいささかオーバーアクションで。中村座の臭い芝居に巻き込まれてしまったのか。のどがやられてるのをカバーしようと思うあまり臭い芝居になってしまったのか。
いずれにしても役者のみなさん、そして、特に関の扉に通い詰めたあたし、お疲れ様!

 

そしてそしてそして・・・勘太郎という名前で舞台にあがるのはたぶんこれが最後(俳優祭は模擬店だけ?)の波野雅行さん、たくさんの感動をありがとう。たぶん勘九郎のことは勘太郎ほど好きにならない予感がするのですが、その予感を裏切る勘九郎になってくださるよう、期待しています。

 


ピーピーピー

2011-12-23 | spectacles

ジュリーwithほとんど虎@パシフィコ横浜見てまいりました。

やっつけ箇条書き感想

1.なぜかピー先生ファン地帯に入ってしまっていたらしく、周りはピーピーピー大騒ぎ。
これは一応ジュリーのライブだろっ!と「元」ファンとしてはちょっとむかついた。

1.前半は正直なんで横浜くんだりまでこんなもん見に来ちまったんだろうという悔恨と眠気に襲われた。暇人lavieだって年末は飲み会とか子守とか飲み会とか子守とか(ほかにすることはないらしい)忙しいのだ。
ジュリーは声がさがさだし、なんだかメンバー個々の楽しそうな感じが初期のころほどじゃないし。

1.そのジュリー、声は例によって後半になるにしたがって出てきましたが、出てきたといえば、腹。たぶん今まで最大級じゃないかしらん。アンコールで上着を脱いで出てきたのをみて、あたしの周囲からは失笑が起きてたよ。まあピーピーピー地帯だったから余計かもしれないが。
ハンプティ・ダンプティという単語が脳裏を走り、あわてて打ち消した。一応「元」ファンなのでね。まあある意味かわいいっちゃかわいい。

1.クリスマススペシャルバージョンと思われるへたくそパントマイムは不発だったし、本当のスペシャルバージョンのホワイトクリスマスはドスの聞いた歌声でちっとも純粋な感じがなかった。会場の音響のせいか、いつもにまして透明感のない歌声だったなあ。タイガースの歌って透明感が必要なのが多いと思うんだが。
『怒りの鐘を鳴らせ』のときのサリーのベースボーカルもくぐもって、なんか隣のおっさんがうがいしてるみたいで興をそがれた。

 

悪いことばかり書いてるようですが、後半、シーサイドバウンドからはまあまあ楽しい瞬間もありましたよ。ただ、寒風吹きすさぶ横浜までよろよろ出かけていくほどでもなかったかなあ、と。
後呑みが楽しかったから、ま、いっか。


「はいる!」瞬間

2011-12-22 | kabuki a Tokio

中村座夜の部、最後かも。ちょっとだけ覗いてきました。もう一度みたいなああああ。無理かなあああああ。年末ご多忙中につき簡略感想。本当はすごく感動したのですが。

葛の葉

もう見なくていいかと思ってたのですが、桜席から、回転屋台の謎が見えるかと思って、つい。
なぞは解けなかった。二人でまわしてるらしいのだけれど、一瞬姿が見えたのが一人。見事に桜席からも見えないところで、ぐるぐるしてるんだろうね。お疲れ様。

関の扉

桜席から、浅葱が落ちる直前までの関守をウォッチするためだけに、寒風吹きすさぶ浅草の町を駆け抜けたあたし。馬鹿だ。本当に馬鹿だ。

でも、行ってよかった!!!

定位置に座ってから、勘太郎が関兵衛に変わっていく様がつぶさに感じ取れて、もう幕開き前で大興奮。

のど関係の液体二種類、スプレー一種類、それをひっきりなしに口に含んで吐き出し、曽祖父祖父父?の名前を掌に書いては飲み、天を仰ぎ、手を合わせ、なにやらぶつぶつ祈り続ける。そして定式幕が開いてからも儀式は続く。
最後にお弟子さんに後ろにぎゅーっと引っ張ってもらってストレッチ&衣装の調整をして、のどスプレーをかけ、・・・・浅葱が落ちる寸前にきゅっと両腕を開き、こぶしを握る。そのこぶしがはらりと解ける瞬間、浅葱が落ちる・・・そして・・・笑うならお笑いなさい。
その解けたこぶしの隙間から、関兵衛のオーラがにゅ~~~~っと入っていくのがあたしには見えたのだ。
あ、今勘太郎が関兵衛になった。関兵衛が勘太郎に入った!って、はっきりわかった。

肝心の芝居は・・・やっぱり前半退屈だわ。七之助の踊りが相変わらず棒立ちなのがねぇ。扇雀は初日に比べるとだいぶ柔らか味が出てきたけど。
後半の圧巻ぶりはどんどん進化して。
今回特に進化してたと思ったのが菊之助。
色気と清潔さのバランスが絶妙で、女形としての身体が完成してる。七之助、ちゃんと見て盗みなさいよ。って、父・兄をず^------っと見てるんだけどアレなんだよなあ。
関兵衛との廓話の件が、前回はまだまだ硬かったのだけれど、今回いちばんの見ものになっていた。廓話を30代前半の役者二人で見せるって、相当の力量がないと無理だと思う。本当にこの二人、しょっちゅうがっつり組んで欲しいなあ。

 

そして、最後の最後。黒主を見顕す瞬間の表情の変化もまた凄かった。まあこれは桜じゃなくても見られるけど。
大まさかりの裏に青隈コンパクトwが潜んでいるのには気づかなかった。鏡だけがあって、隈取の化粧品は黒衣さんが渡してるのかと思ってた。

関の扉であまりにも満足&松浦の太鼓はそれほど桜から見たいものがなかった&連日の飲み会でお疲れ、だったので、早退してしまいました。勘三郎さんごめんなさいね。l


八人の女と二人の男

2011-12-21 | spectacles

豪華絢爛女優競演で話題の『八人の女たち』@ルテアトル銀座見てきました。その後見たものについての感想をアップしたのですが、こちらに関しては、つい最近wowowでOAされた映画版を再度見てから、あわせて感想を書こうと思っているので、いずれ近日中に。わすれたころにこっそりアップ、でしょうw

映画版はこちら。いやあ豪華だ。


この、高等遊民めらが!

2011-12-16 | spectacles

その妹@シアタートラム見てきました。タイトルの感想で二時間半イライライライラ・・・

なんでこの時代にこの芝居なんだろう。

役者陣(亀治郎・蒼井優・段田安則ほか)はそれぞれに好演なのだがなんせ、芝居の設定が、大時代であり、かつ、いかにも武者小路実篤だよなあという感じの金持ちぼっちゃんの甘えた芸術至上主義で、一見その犠牲になっていくように見える「その」妹も、これまた、金持ちの妻になるチョイス以外にもやれることはあるだろうが!と思わせる、所詮は生活力ゼロの華族の甘えたお嬢ちゃんで・・

絵の才能があったのに、戦争で「めくら」になって、絶望するところまではわかるが、その後ずーーーーっと「おれはめくらだから何もできない」とぼやき続け、たった一人の妹を「おれが頭でお前は手だ」とこき使い、挙句、金に困って金持ちの縁談に乗ろうとする妹にかける言葉が「おれの世話は誰がするんだ?」って。
もうあきれるしかないでしょう。
妹も妹で、他人の世話になるのは嫌だといっておきながら、内職ひとつするわけでもなし、困った困ったの挙句に金のために望まぬ結婚、というある意味いちばん楽な逃げ道を選んでるとしか思えないし。
舞台に駆け上っていって、亀治郎と蒼井優に「おまえらもっとしっかりせんかい!」と平手打ちしたくなりました。

大時代でアナクロな芝居もたくさん見ているけれど、それなりにテーマや登場人物、どこかに共感をもてたりするところがあるものだけれど、この芝居に関しては、誰にも、どこにも共感する隙間がなかったわ。

なまじ役者陣が健闘しているだけに、余計、イライライライラ・・・なのだった。

立ち見までしてこの芝居を見た人、どう思ったんだろうか。


コスパ最高!

2011-12-15 | kabuki a Tokio

中村座試演会を見てきました。楽しかった!あんまり楽しかったので、過去の歌舞伎の感想がまだのまま、これだけ書いちゃうね!

何が楽しかったって、歌舞伎のみかたと称していつものやつかと思ってたら、梅王丸の着付けをライブでみせてくれて、これがもうすごいパフォーマンス。てか本当にそうやって着付けてるらしいんだけど、5-6人がかりで横綱の綱締めるみたいな感じで、帯にぶら下がったり、背中叩いたり、脚に飛びついたり、せーの!って掛け声かけて、力技やるし、もうちょっとした格闘技風の大騒ぎ。
着付けるほうも着付けられるほうも大汗かいてた、見てるほうもあれは手に汗握ります。
ちなみに、梅王のモデルは本役さんではなくて、歌舞伎のみかた実演出演の橋吾くんでした。
試演会の松王、抽選で外れたそうで、こっちで汗かいてました。
いやあ、車引の梅王は舞台上でのパフォーマンスも大汗ものだと思ってたけれど、舞台に上がるまでにあんだけ大変だとは!
試演会チケット3000円分、これでOK!と思うほど大満足の着付け実演でした。
進行役の彌十郎さんも出ず入らずでいい感じでした。

そして、肝心の寺子屋ですが、
まあ・・・芝居のレベルは・・・ともかくとして。
特に立役がちょっと苦しかったけど。
それぞれがぎりぎりの緊張感で生きてるこの芝居と、ぴーんと張り詰めたお弟子さんたちの緊張感がリンクして、なんというか、これまた手に汗握る感じ。勉強会ならではの迫力ですね。
松王のいてうは、柄は勘三郎、顔は勘太郎そっくりでたたずまいはいいのだが台詞がちょいとねぇ。
源蔵の扇一郎は、逆に台詞はまあまあだったけど、ちょい小柄すぎ、童顔すぎで、特に戸浪があたしの徳松さんだからwどうしても母子にしか見えない。
その徳松さんは同じ狂言の千代で大感動して以来の「あたしの徳松さん」なんだけど、どうせなら千代をもう一度見たかった。千代をやった國久は國久でとてもよかったんだけど。
なんて思いながら見てたら、
思いがけないサプライズご馳走が!
寺子の親たちの役で、旦那・若旦那がずら~~っと。
順に亀蔵、勘太郎、彌十郎、松也、七之助、新悟。
勘太郎が白髪頭で「嫁にも食わさぬこの孫を♪」ってやったり、彌十郎がおんぶされたり(音三郎くんご苦労様)、七之助や新悟の老け立役が見られたり、もう楽しい!!!!


お楽しみ座談会は、まあ、たいしたことはなかったですが、菊之助がこの小屋はお客さんに包まれているようですごくいい!って5回も6回も言ってたのが凄く印象に残ったのと、いてうが出来が悪くてくやしい!ってほとんど泣いてたのが印象的。
座談会の最後にちょこっと出てきてしゃべった勘三郎に笑顔がほとんどなかったのがいささか気になりましたが、とにかく久々に猛烈に楽しいひと時でした。

本当にこれで3000円ぽっきりでいいの?申し訳ないみたいですぅ。

19日に二度目があるらしいけど、予定があっていけないのが残念。
お時間がある方、ぜひいらしてみるといいと思います。本当に楽しいから!
(遠いのが玉に瑕、ですが)。


距離感の不思議

2011-12-13 | kabuki a Tokio

日生の後は中村座夜の部。
画像は中村座名物なんちゃってミラーですが横のイラストが素人っぽくて可愛い。ちょっと芝のぶちゃんに似てるのもツボ。

松席なのに、(なので?)気分よくなりたかったので、葛の葉はパスしました。時間的には悠々間に合ったんですけどねw

関の扉

襲名前勘太郎の白眉と思っているのですが・・・ほぼかぶりつきで見た関兵衛=黒主の迫力がなぜか、竹席で見た初日のほうが凄かったような。
特に舞踊の場合、近けりゃいいってもんじゃないなあ、と。形の綺麗さ、全身の使い方、などある程度はなれてみたほうが楽しかったかも。
花道に出ている勘太郎の形を見ながら「ああ、こっちのほうがいい!」などと思ったのでした。
七之助がいくらか踊りの形になってきていて。ただこの人は日によるばらつきが激しいのでなんともいえませんが。
扇雀も初日よりはずっとよかった。そういえばこの人先月ずっと現代劇やってたんだよなあ、だから、初日はあんなに現代劇みたいな動きになってたんだろうか、などと思ったり。
菊之助は相変わらず安定していて綺麗なんだが、やはり「人外」の妖しさにやや欠ける気が。あと女形の声が枯れ始めていたのも気になる。5演目だもんなあ。女形の声はつらいかも。


松浦の太鼓

勘三郎、声も芝居もお疲れ気味?
やや精細を欠いていた。やっぱりところどころに以前にはなかったへんな間があくのも気になる。
どういう病気かはよくわからないのだが、メンタルとフィジカルのバランスが難しいのかな。
大きな身体を丸めての其角彌十郎がKY宗匠のいい味を出していて、おべんちゃら臣下の中村屋弟子ーずとともに、勘三郎殿を支えてる感じで、ちょっと心が温まりました。
女形で声が心配だった菊之助、地声でいける大高源吾はとてもよく、(そういえばこの日は討ち入り前夜。さおだけ~を売ってる日だね)、御大以外はがんばってたと思う。いかんせん御大に元気がないと盛り上がらない芝居なんだよね・・・


ご趣向は楽しい。が。

2011-12-13 | kabuki a Tokio

日生劇場七代目幸四郎曾孫対決歌舞伎昼の部。

もともとやる気のないw観劇だった上に三日も放置していたら、ほとんど忘れてるんで、超カンタン&いい加減です、いつもにもまして。

碁盤忠信

新作?復活上演?よく知らないのですが、例によって何を見せてもらえるのかも知らずにぼーっと舞台を見てたらあれ?鳥居前?鳥居前って雪なんて降ってないよなあ・・・と思ったら似た場面ではあるが、忠信はちゃんとした人間で、狐じゃないみたいだった。

エピソードとしては千本桜をなぞったどってことない話なんだけど、碁盤と碁石をつかったスペクタクルwな立ち回りがなかなか楽しめた。
染五郎の荒事修行編、といった趣なのだが、正直無理がある。七世幸四郎の追善で彼の当たり役をやる、というならともかくそうでもなさそうだから、いっそのこと、開き直って染五郎の得意ジャンル(和事?世話物?新作?→あ、新作なのかコレ)って自己完結しちゃいましたが、いずれにしても荒事勉強したい気持ちだけは痛いほどわかる感じでした。
そこそこ楽しかったじゃん、と思ってたらいきなり押し戻し的えびぞーくんが現れて、うわ、邪魔、と思ったら邪魔になるほどの迫力がなぜかなくw、口上代わりの台詞なども楽しかったです。
邪魔じゃないけど、もごもご迫力のない発声で、しかも、声が出てないのに目をむいたり唸ったりは相変わらずで、この人、何を目指してるんだろう、とは思いましたが。

立ち回りで猿琉くんや喜之助くんなどおもだかの美形を愛で、笑三郎猿弥の芸達者を愛で、あーあー、このチーム、こうやって便利に使いまわされていくのかなあ、などと段ちゃん(まもなく月ちゃん)のことも考えながらおもだかチームの将来も憂えちゃったりもしたのでした。

中村座で酷い葛の葉やってるけど、笑三郎がやってるのを見たいなあ。などとも。


茨木


変化舞踊できっとそのうち勘太郎も踊りそうなので、ついつい松緑を見ながら、カンタならどうやるんだろうか、などと思ってしまった。邪道ですな。
しかし、特に前半、難しい踊りですなあ。動きが最小限、かつ片手制限されながら、老女の気品と、鬼の怪しさも出さなければならないし。
松緑くんは顔をするのがどうにも上手じゃないねぇ。オトワヤ系は全員うまくないかもm、そういえば。ただでさえ丸顔の童顔を無理やりふけさせようとするあまり、皺を濃く描きすぎて、なんかなまずみたいになってた。
後ジテになってからの爆発力も、土蜘や紅葉狩りほどはないので、ますます難しい。そして迫力をださなければならないのに、片手しか使えないというのも大変そう。
うーん、これは松緑もまだまだ、それこそ手も足も出ない感じだなあ。勘太郎だとどうだろうなあ(ははは、結局こうなる)。
綱の海老蔵、相変わらずのこもった声に、肉をちょっと着すぎじゃないの?と思うほどのでっかいからだで、なんだかちっとも素敵じゃなくなって、世間様が言っていたところの「華」すら感じられなくなってたのが、さびしいというか、ほっとしたというか。これが試行錯誤、回り道の途中で、王道に戻って精進してくれるといいのですが、なんてほとんど期待してませんが。
海老蔵よりずっと綺麗!だったのが乙若の梅丸。小姓コンクール、不動のチャンピオンなので当たり前だけれど、本当にお小姓姿は綺麗でさまになる。名小姓から名優になれるかどうか、これから注目し続けなければ。女形作ると、小姓ほど綺麗じゃないのがちょっと残念なんだけどね。

 

昼の部は三人そろっての演目がなかったのがちょっとさびしいかな。夜は三人そろって勧進帳&口上と二つもあるのにね。
勧進帳も三人日替わり、みたいな工夫をしてくれたら楽しかったし、せっかくの久々の曾孫トリオなら、もっとご趣向に徹してもよかったんじゃないかなあ、そこらへん染五郎巧そうなんだけど。


海と月と猿と

2011-12-11 | la vie quotidienne

なんか季語か時代小説みたいなタイトルですが。

wowowで三島村の俊寛(すんばらしかった!)見て、月蝕見て、寝たら、なぜか春猿さんと結婚することになりました。

おうちにご挨拶に行ったら、ご両親がスノッブを絵に描いたようないやな奴らで、いじめられました。
着ていった服がファミリア(子供服だよ!)なのが、安っぽいといわれたような記憶があります。

 

しかし、勘ちゃん段ちゃんほか、好きな役者はほぼ決して夢にでてきませんなあ。

段ちゃんが改名して歌舞伎からいなくなるという噂を聞きましたが、本当なんでしょうか。

ファンクラブの方、通りすがったら教えてくださいませませ。


通しの功罪

2011-12-09 | kabuki a Tokio

中村座昼の部二回目見てきました。感想は二度目につきごくカンタン。

車引

正面で見なかったので、黒衣の動きを中心に。
座ったまま見得をする梅王の高引を支える黒衣の全身を使ったばねに驚嘆。
表に見せる芸の裏にはこういう見えない芸(とあえて呼ぶ)が隠れているのだな、と。
勘太郎がほんのちょっとした後ろをむいた隙にものどスプレーをしていたのが気になった。
今日は声がそんなに気になる状態ではなかったので、予防あるいは癖だといいのですが。

芝居そのものは初日より勘太郎の元気が出てたような。
杉王(虎之介)が、甲の声を出すのをやめていて、発声は安定してきたけど、ちょっとつまらなくなった。
松王と時平はやっぱり役違いという印象は変わらず。時平なんてよさそうに思うんだけどね、脳内キャスティングだとw

 

賀の祝

よくも悪くも初日の印象とほぼ変わらず。手抜きですんません。


寺子屋

特に前半、勘三郎がお疲れ気味なのが気になった。
力がはいってないというより、どことなく台詞が流れ気味で、なんというか「早く終わらせたい」感が。
後半はさすがに見せてくれたが。
まだまだ本調子じゃないなあ、という感じと、本調子じゃなくてもこれだけやれるってすごいなあ、という感じが半々。
逆に菊之助はちょっと入れ込みすぎ?特に前半。勘三郎の力を抜いてるのとのバランスがちょっと・・・
生まれて初めて菊之助の芝居を「ちょっとうざい、くさい」と思ってしまったw
どちらも後半はよくて、千代の扇雀のぼたぼた汗もやや後方だったためそれほど気にならず。
亀蔵の玄蕃、こういう役は本当にいいよなあ。


ってことで、あとは楽に見ます。さて、またどう変わってるかな?

 

と、果てしなくいい加減に締めたあとで、タイトルに気づいたw

またどなたかに突っ込まれる前にタイトルがらみの駄文を追加。

通しで見ると、たとえば、いつも寺子屋で「ここに居ないやつのことなに言ってんだか」みたいな感じだった「桜丸が哀れでござる、桜丸、桜丸・・・」の台詞が実感を持って涙で聞ける。その代わり、桜丸(やってた役者)そこにいるじゃん、みたいな別の興ざめがあるけど。通しといっても、全部やれるわけじゃないので、結局話がつながらなかったり、あれだけ若様と奥様を探しに行くって意気込んでた梅王はどうなっちゃったんだよ、結局全部松王がやってるじゃん、とか。まあ勉強すればつながるのかもしれませんが、何せ日本で二番目に勉強嫌いな歌舞伎ファンなものでwww
見取りでやったときは個々の芝居として、重い役を幹部がやって、軽い役(賀の祝いでいうと、松王はさほど重要ではない)は脇の役者が、みたいな予定調和が不自然には感じないのだが、通しで見せられると、歌舞伎の配役のご都合主義みたいなものが透けて見えちゃうのもちょっといやだ。こっちのほうは、たとえ予定調和な配役でも、有無を言わさぬいい芝居が見られればなんでもないんだろうけどね。
同じく通しで演じられた国立ではほとんどそういう不満は感じなかったしさあ。まあ座組が厚くて不自然な二役や入れ代わりがなかったってこともあるかもしれませんが。

今回、車引きの松王・時平、寺子屋の千代に特にそういった「なんだかなな」感があったので。タイトルは即日つけてるんで、たぶん鑑賞直後はその感想が強かったのだと思います。


地味?滋味?

2011-12-08 | kabuki a Tokio

元禄忠臣蔵@国立劇場見てきました。(刃傷・御浜御殿・大石最後の一日)

個人的に新歌舞伎、特に真山ものは好みじゃないんだが、吉右衛門だし、若手ごっちゃり出てるし、で一応参加。って感じの気の無い観劇でした。

まだ前半ということもあり、御大吉右衛門丈のせりふは、なんつか、いろいろ面白いことになってました。初日に見た人に聞くと、プロンプべったりだったということだったんですが、この日はそこまでプロンプは気にならず。逆にプロンプがないゆえのオリジナリティwwwが爆発してまして。
主語をあちこちで取り違えていて、なんとか述語で挽回しようとしてかえってぐちゃぐちゃになったり、同じ台詞を違う場面で二回言っちゃったり。どっちが正しい位置だたのか不勉強でわかりませんでしたがw。
主語の取り違えにより、浅野内匠頭が存命みたいなことになったりしたときにはさすがにやばかったです。途中からあまり台詞の中身を聞かずに(爆)名調子だけに酔うことにしました。
そしたら気持ちよすぎて眠りそうに・・・ははは。

まあうまいことは確かだし、新歌舞伎に名調子の台詞は不可欠だからいいんじゃないでしょうか。

この御大を支える脇役陣がどれもこれもすばらしい。いやすんばらしいといってもいい。なんかわかんないけど、「ん」をプレゼントしたくなるほどすばらしいのです。
特に御浜御殿・又五郎の助右衛門はあたしが生で見た中でのベスト助右衛門。絶対に!
台詞の緩急(しかもスーパー自由な吉右衛門の台詞の相手しながら!)といい、感情のほとばしりといい、技術と情感のバランスが絶妙で、もう、台詞劇の醍醐味を見せられてただうっとり。
能舞台の場面で叢に隠れる所作なんかは思わず、テレビでしか見ることが出来なかった富十郎の助右衛門をおもい出してしまった。体型も似てるし、なにより魂を受け継いでると思った。
同じく御浜御殿のお喜世と、最後の一日のおみのの芝雀も、ものすんごく(ここでも「ん」をプレゼント!)よかった。
お喜世なんて対して重要じゃない役かと思ってたんだけど、この日の芝雀の存在感で、はっきりと、綱豊への愛と信頼、助右衛門と浅野家への忠節と義理、そんななかで武家の娘として悩んでいる姿がとてもよくわかった。今までの喜世ちゃんってただ綺麗でなよなよしてるだけだったからわーーーっっと泣き崩れるところが唐突だったんだけど。
おみのも同じ。ただ可愛くて磯貝(錦之助もとてもよかった)への愛を確かめたい!だけじゃなくて、きっちり武士の娘としての意地を通してるおみの。だからこそかえっていじらしくて悲しい。
そしていわずもがなの渋い役どころをきっちりこなす歌六。さしたる見せ場はなかったけど、最後の日の堀内はさすがの芝居で大詰めを閉める。

吉右衛門が少々台詞でふらふらしていても、微動だにしない、「吉右衛門劇団」の底力を見たような気がした。
吉右衛門と勘三郎が今後本格的に仲良しwになれば、歌六や又五郎とも共演のチャンスが増えるかも、と思うと新勘九郎ファンとしても楽しみだ。


さて、こっからはミーハー部門。

吉右衛門が飼育中wの若手ぼっちゃんウォッチングも楽しみの一つなのだが、今回若手はあまり見せ場がなかったかな。種之助なんて台詞いっこくらいしかなかったし、ちっちゃいから目立たない。種太郎歌昇はちっちゃいけど頭がでかいから目立つけどw。頭がでかいといえば、内記で初めて大人の役に取り組んだ鷹之資。もちろん子供だから固いし棒読みなんだけど、端々に気品が感じられてなかなか良かった。中村座の虎ちゃんと、国立の鷹ちゃんと。平成二桁生まれも出てきますなあ。って今調べて虎ちゃんは二桁生まれだと知ってびっくり。タカノスケといっこ、玉ちゃんと二個しか違わないのね。しっかりしてるわ、やっぱり。
太刀持ちの米吉はときどきぷるぷるしてた。梅丸ならそんなことはなんだろうけど、今月は日生に出稼ぎに行っちゃってるからなあ梅丸は。
御曹司ウォッチャーとしては痛恨だったのが、玉太郎に気づかなかったこと。巡礼の子で出てたのだが、自分が下手側に座っていたので下手から出てきて上手に去っていく巡礼の顔が一度も見えなかったのよ。まあ、通常の子役だと思ったってことはへたっぴじゃなかったんだわ、と自分で自分を慰める。

ちょこちょこ寝たり、やっぱり新歌舞伎はたるいなあと思ったりもしながら、いい役者のいい芝居をしっとり(たまに寝ながら)みるのもこれはコレで歌舞伎の楽しみの一つだなあとも思った。
勘太郎の関の扉なんて、毎日見てたら神経磨り減るか、血管切れるか、しちゃうもんなあ。

 

ついでに追記。

自分用メモ。ひよこ御曹司(部屋子含む)学年表。平成23年12月現在推測。
平成5~15年生まれ。selected by lavie

高卒(大学行ってれば一年) 種之助
高3 広松 米吉 隼人 児太郎 
高2 小吉 錦成
高1 男寅 龍之助 鶴松 国生 
中3 梅丸
中2 宗生 虎之介 
中1 
小6 千之助 玉太郎 鷹之資
小5 吉太朗 
小4 宜生

かぶき手帖で調べてわかったこと。
役者の息子は結構早生まれが多い。学年計算するの面倒だった。間違ってるかもしれない。
うちのナオヤも早生まれだわ、そういえば。

 


ほどよく戻して

2011-12-02 | kabuki a Tokio

中村座12月公演初日、へとへとになりつつも通して見てきました。
今年一番の寒い日だったせいか、前回より中村座までの道が遠い・・・

昼の部

車引

ちびっこ杉王に「なりこまやっ!」ってかかってて、うー?誰だ?
橋之助んとこの三人、国生でないのは一目でわかるし、よっしーにしたらしっかりしてる。久々の宗生か、とか
思って、筋書きみたら虎ちゃんこと虎之介でした。
虎ちゃん、幡隋長兵衛の息子をやったときにすごくよくて、早くまた出てこないかなあと楽しみにしてたのに、気づかないとは一生の不覚。
変声期ゆえに高音部はつらいけど、所作が実に綺麗で、ちゃんと踊りのお稽古してるなあ、という感じです。
これから楽しみだああ。
というのが一番の印象ですかw

梅王勘太郎、桜丸菊之助のバランスはなかなかよろし。
桜にもう少し優美さがあってもいいかなあ。
紅隈いらないんじゃないの?と思うくらい血管切れそうな梅王も以前どおり。
ただ、なぜかときめかないんだよなあ。なんなんだろうこの恋の終わり状態は。
あなたが変わったんじゃないの、あたしが変わっただけなのよ、てか。
松王彌十郎にはいろんな意味で無理がある。
柄が大きいだけで選んだ?というか橋之助が一座してないとこういうことになってしまうのか。
所作がきごちないのは初日だからかもしれないが、なんというか決定的にオーラがない。
時平の亀蔵もおなじく。古怪な容貌はあっているはずなのに・・・そもそも車から姿を現すときに、うつむいたり装束を直したりしてるのが見えちゃった時点で・・・orz
薄い座組をやりくりしてるのはわかるんだけど。


賀の祝

薄い座組みやりくりしてるのはわかるんだけど(続き)、たった今松王やってた人が白大夫、はまだしも時平がいきなり松王って、いくらなんでもちょっとなじめない。
見取りだと思って割り切ればいいんだろうけど、明らかに物語りは続いているわけで。大人数の座組でやる忠臣蔵の通しのときなどはそれほど気にならない役人替名のだぶり、入れ替わり、この少人数だとなんだかすごく不自然。
ということを除けば、梅・桜はとてもよかったし、白大夫(彌十郎)はやはりこういう役だと安心してみてられるし。
桜丸と八重(七之助)の夫婦が初々しくて新婚に見えて、ますます悲劇性が際立った・・・と思ったんだけど、最後の泣き落としで七之助のわざとらしいこと。哀れなたたずまいが台無しだ。
女房トリオの後輩二人(新悟松也)がとてもよかっただけに、あんた本当にしっかりしてよ!といいたくなった。
菊之助は行儀のよい芸風が桜丸にぴったりで、梅玉よりいいんじゃないかとすら思った。今月五役大奮闘のなかではこの幕の桜と、後述する墨染がいいかなあ。どれもなかなかよかった。
勘太郎は前半の稚気あふれる部分がちょっと元気ない感じだったけど、後半、桜を見取るあたりは、すばらしかった。
勘太郎と菊之助は兼ねる役者同志だからなかなかコンビといっても限られるだろうが、とても空気が合うと思う。
襲名公演でも何か見せてくれることを期待したい。

寺子屋

病気以来、何かがそぎ落とされて、というか、単に余裕がないだけなのか、妙にまじめになっている勘三郎の松王、この芝居には余計な媚は一切いらないので、本当にすばらしかった。
今までも勘三郎の松王のなかでもベストじゃなかろうか。
立派すぎる播磨屋や高麗屋の松王より、等身大で悲劇性が高かったと思う。お家のためには平気で息子殺しちゃう、感じじゃなくて、本当に家で女房と肩抱き合って「吼えて」たんだろうな、と思わせる松王。
対するに菊之助の源蔵。役を聞いたときにはえ?と思ったけれど、梅玉系の色男源蔵で、これまた七之助の戸浪とはいかにも駆け落ちしたかも、と思わせる美形コンビで、淡々としてるのがかえって松王の悲劇を引き立てる感じ。
千代の扇雀が・・・とにかくものすごい汗で、泣いてるんだけど汗がぼたぼたで・・・
本当なら千代か源蔵で勘太郎が出て欲しかった。まあいろいろ事情があることはわかりますが。
主役以外で目立ったのは涎くりの國矢。先月の鳶頭といい、中村座になくてはならない脇役になったなあ。
正直試演会で松王、いてうより見たかったぞ!いてうごめん。

 

夜の部

葛の葉


いやあ久しぶりにいたたまれなくなりました。
あたし、酷い芝居(あくまでlavieの私見)見ると、腹立つかいたたまれなくなるか、なんだけど、扇雀さんはあたしをいたたまれなくするタイプの役者さん。いつぞや上方で見た封印切の忠兵衛の引っ込みでもいたたまれなくなって下向いちゃったし、今回は葛の葉のクドキの件で、見てられなくて筋書き熟読しちゃったw
前半と大詰めは割りと普通に見ていられたんですけどねぇ。
女形のクドキのすばらしさを先月の孝太郎のお米で見ちゃった直後だけに、同年代の女形でここまで義太夫味がないのも凄すぎる、と。
初役でもないはずなのに、いや、初役じゃないから誰かにきちんと習わなくてあんなことになっちゃったんだろうか。
曲書きとか妖術とか派手な演出が目立つ芝居だけど、糸に乗ったクドキがきちんtあってこそのけれんなのだということを痛感してしまった。
まあ今後夜の部は遅刻できるということがわかっただけでもよかったか。
保名の松也がここでもしっとりと色っぽい夫でなかなかいい。今月松也、いいかも。


関の扉


個人的には今月の目玉。
いや、個人的じゃなくても目玉なんじゃないかなあ。
とにかく終わりよければすべてよし、というか。
いや、前半は・・・困ったチャンの次男コンビがさあ。
こういう古典の中の古典、みたいな舞踊に妙に現代的なロボットダンスを持ち込んだような違和感で・・・
この二人、京人形は巧いだろうなあ。ははは。大皮肉。
宗貞をパパがやってくれて(無理は承知だ!)、小町姫は菊之助が二役でやればどんだけよかったかと。
百歩譲って小町姫は七之助で親子トリオでもよかったなあ。
とりあえず今月の扇雀はなんだかどーしよーもないぞ。
まあ愚痴と悪口はこれくらいにしますが、正直足は引っ張らないでいただきたい。
勘太郎は前半はちょっと愛嬌がわざとらしいかと。関守でありながらジツハ、のジツハの部分を見せつつ、ちゃんと滑稽ぶりも見せるってあたりのさじ加減、難しいよね。


墨染が出て、二人の舞踊になってからはもう圧巻。
浄瑠璃節が身体に入ってないとどうしようもなくなる大夫とのあて振りといい、ぶっかえってからの恐ろしいほどの迫力といい、
久々に「勘ちゃんかっこいい!!!」でした。←実際叫んだしwww
菊之助も妖しさがやや足りないものの、しっとりした古風なたたずまいは、世界にはまっている。
菊之助と勘太郎の吉野山が見たいなあ。
菊之助と勘太郎の二人椀久が見たいなあ。
菊之助と勘太郎の弁天(この場合弁天菊で)も見たいなあ。
菊之助と勘太郎の六段目が見たいなあ。・・・以下略。
このコンビ、かなり好きだ!!!


松浦の太鼓


正直どこが面白いのかよくわからなかったこの芝居、今回初めてそこそこ面白かった。
何がよかったって、勘三郎
寺子屋みたいな芝居と違って、最初から客席にこびた変な笑いが満ち満ちていた印象があったんだけど、今回の松浦候は、必要な愛嬌はちゃんとありつつ、余計な媚が一切見られない。
そして悪気がなくてわがままな殿様は、まさにニンだなあ、と。
ニンだけにやりすぎてうざくなってたのがこれまでのこの芝居だったのかなあ。
ここでも立役、フル回転の菊之助の大高源吾が、すっきりしていていい。其角の彌十郎はもうお手の物。七之助のお縫も、安心してみていられる。全体にすっきりして嫌味のない座組みのなかで、勘三郎の芸が光る。
まあ本音をいえば、ところどころで以前にはなかった微妙な間があったり、?と思う部分が皆無ではないのだけれど、着々と復活への道を歩んでいることは実感できた。
源吾があだ討ちの様子を語る際、松浦候が家来たちに「よう聞けよ!」という台詞があるのだが、そこで桜席の客たちに「そちたちもよう聞けよ!」みたいなアドリブを飛ばしていた。
以前だとまたやってるよ!と顔をしかめたくなっていただろうが、今回ばかりは、ああ、客いじりができるほど余裕がでてきたのかなあ、とほほえましく、安心してしまったりする自分がいて、自分に苦笑。

元気になってもらいたいけれど、あの臭ーいくすぐりは復活してもらいたくない。
戻り具合でいえば、あと一息の戻りで、それ以上戻さないように、って春雨ですかw

 

初日のベストは昼寺子屋夜関の扉。時点が松浦の太鼓。
葛の葉だけパスすれば夜の部はとても優秀w