laisser faire,laisser passer

人生は壮大なヒマつぶし。
楽しく気楽につぶして生きてます。

八月まとめ

2007-08-30 | agenda

今月のMVP

福助

千秋楽のゆうれい貸屋・お染にはいろいろ言いたいこともありましたが、
それ以外の役については、今月とてもよかった!特に裏先代萩のお竹

次点

勘太郎

勘太郎ひとりの出来なら、MVP級だったかも。大熱演ばかりじゃなく、肩の力の抜けた芝居に進歩が見られた。ただ、どうせならあの作品じゃなくて、古典歌舞伎、あるいは新歌舞伎でももう少し骨格のきちんとした作品で一幕主役をやらせてやりたかったという残念部分で次点。

次次点

勘三郎

楽の政岡は絶品だったけど、そこまでがちょっと…だったし。ある意味勘三郎ならあれくらい出来ても当然かとも思うので。

今月のMIP

徳松

ある意味MVPでもいいくらい。だけど今月発見したばかりなので、やっぱりimpressiveってところにポイントをおきたいのでこちらへ。このおっさんに今度はいつどこで会えるのでしょうか?

今月のMDP

personはとくになし。
本当はMOST DAME PROGRAMってことで『舌切雀』かと思ってたんだけど、
千秋楽の出来がなかなかよかったので、該当者も該当作もなしってことで。めでたいめでたい。

今月の一押し作品

うーん。微妙だなあ。
カンタファンとしては磯異人館といいたいところだけど、力不足'(作品のね)の感もあるし。
裏表先代萩は、普通の先代萩で見たかったし。
これまた、該当作品なし。こちらは残念だけど。


幸せな楽日

2007-08-29 | kabuki a Tokio

どんなに疲れるかと思ってましたけど、疲労は疲労でも心地よい疲労感です。

1-3部すべて(ちょこちょこ例外はあるけど全体として)今月いちばんのできでした。
総合的に思ったこと。

今月の歌舞伎、通してみたほうが面白いかも。新派風の芝居、一風変わった舞踊劇、人情新歌舞伎、びっくり新作、そしてこってり時代+世話てんこ盛り歌舞伎。現代の歌舞伎の要素のほとんどが一日に詰め込まれていて、良かれ悪しかれ、現代歌舞伎の諸相が一日で俯瞰できる仕掛けになってる。

全部再見、再々見なのでできるだけ簡単に。

1部

磯異人館

いまさらながら猿弥がいい。彼が受けてくれていなければカンタの芝居も空回りに終わった部分が大きかったと思う。ああいういい脇がいつもいてくれるといいんだけど。
カンタびっこはやはりちょっと気になったけど、もう今日は気にしないことにした。
後半新しい演出として、爆発事故の後遺症が残った、ってことにしたのかもしれない。そう思ったほうが、気分も楽だし。

この芝居について、今月ずーーーっとあたしの中にあり続けた疑問として「これっていい芝居だけど、歌舞伎座でやるようなもの?」というのがあったのだが。
きょう、あたしなりに結論が出た。
途中まではいざ知らず、カンタ一人になって盆が回ってからは、どこからどう見ても歌舞伎ですね。
船を見送るところなど、まさに俊寛だったし、立腹の所作の美しさは歌舞伎舞踊を見ているようだった。断末魔の表情は歌舞伎役者の見得以外の何ものでもなかった。
まだまだ早いと思っていたけど、カンタの俊寛が激しく見たくなった本日大詰めでした。

8/31付記
よくよく考えてみたらやはりびっこは、後半に付け加えられた芝居の一環だったような気がしてきた。楽日の最初のシーンでは足をひきずっていなかったように思うし、(気づかなかっただけかもしれないが)後遺症が残ってよけい、自棄になっている、という設定もありえるから。
琉璃の台詞の割愛や、ガラス拾い参加など、細かい部分が違ってきているのに気づいたので、びっこもそれの一部、と考えることにした。
何よりそのほうがあたしの気がやすまるし。

しかし、演出にしても、びっこは勘弁してよ。愛のあるファン(あたしだよ、あたし!)は、カンタが足をひきずってるだけで心配しちゃうんだからさあ。

越前一乗谷

またまたいまさらながら、橋之助って踊りけっこう巧いのね。一部観劇5回目にして初めてちゃんと見たような。ははは。だって郎党とか福助を見るのに忙しくてさ・・・
顔もいいし、芝居も踊りもそんなに下手じゃないのにちっとも魅力を感じない、謎の人ナンバー1です、橋之助。
福ちゃんは今月どれもこれもとてもいい。とくに小少将は今まででいちばん神妙で綺麗だった。神々しさすら感じたほど。福ちゃんに神々しさを感じるとは、我ながら意外です。

2部

ゆうれい貸屋

うーん。福助ちょっとはじけすぎ?
前半くらいでよかったのに。むりやりおかしくしようとすると、下品になるんだよ、あんたは。芝居サーモメータがついてないんだから
相手が三津五郎でよかった。福ちゃんがはじけても、つられずにちゃんと普通に芝居をしてくれるので、押さえになってる。
この芝居に関しては初見と(福ちゃん以外は)あまり印象変わらず。
脇の勘三郎が全部もってちゃった感。で、そんなに面白い芝居だとも思わない。

舌切雀

腹が立って途中で席を立った(トイレだけどね)ほどの前回と比べてびっくりするほどよくなっていた。
第一にテンポ。かなり枝葉を切り落としたところがあったように見受けられる。すっきりして、話がわかりやすくなっていた。
第二に演じる側に照れとか戸惑いがまったく感じられなくなっていたこと。前回は、役者の何人かに「こんなことやりたくねーんだよ」「恥ずかしいよ」感が感じられて、見てるこちらまでいたたまれなくなったところがあったのだが、今回は、みんな納得したのか、開き直ったのか、とことんやってて、見てて気持ちよかった。
第三はこちらの要因。前回は二階の袖だったので舞台にいまいち入り込めず、花道はまったく見えず、と「引く」要因満々だった。今回は一階前方センター。どうしたって伝わり方は違いますよね?
不覚にも?与太郎(三津五郎)が意地悪婆さん(勘三郎)に「ぼくがいなくてさびしくないのぉ?」と聞くところで涙しちゃいましたよ。意地悪婆に必要以上に自己投影しちゃったせいだという噂もありますが、まさか雀で泣くとは思ってなかったので虚を衝かれた感じ。
ちなみに今日は磯異人館・舌切り雀・御殿と各部一回ずつ気持ちよく泣きました。涙腺緩みすぎ。
蓮の精の説教臭さも、センターで見てると絵の美しさであまり気にならないものですね。
カンタ七の善人夫婦、さわやかでよろしいなあ。

3部

裏表先代萩

きょうの勘三郎は凄かった。特に政岡。
栄御前が去っていったあとを見つめての花道の芝居。
今まで見てきた勘三郎の芝居のなかでいちばんよかったような。
りりしくて張り詰めていて、でもけなげで哀れで。
女であり母であり、同時に若君を守るという至上の任務を帯びた忠誠の人であり。
そのすべての要素を、数十秒、少しのしぐさで過不足なく見事に表現しきっていた。やっぱこの人凄いわ。
そこの部分を見ただけで満足。
裏では福のお竹と父親の菊十郎が好演。福助、好調なだけに、ゆうれい貸屋のやりすぎが惜しまれる。
できれば裏じゃなくて表だけの普通の先代萩でやって欲しかった。
カンタ@男之助は三回のうちではいちばんよかった。顔としぐさの迫力、忠義心の表現は満点。声があとひとつ迫力があればねぇ・・・・

 

全体として終わって見れば満足のいく八月、となりました。
よかったよかった。

画像は白黒衣雀さんと森彦さん。変則2ショットですな

 

 


悲喜こもごも

2007-08-27 | kabuki a Tokio

単なるカンタ観察記で芝居の感想はほとんど書いてません。為念

磯異人館

途中までは凄く良かった。
踊りに関しては100点つけたいカンタですが、芝居ではときどき、パパ譲り?の臭さと若さゆえのやりすぎのミックスされたちょっと行き過ぎなかんじを受けることもあったりするのです。
精之介にも二回目観劇のときにちらっとそれを感じたのですが、きょうはもう、完璧に大人の抑えた演技で、静かで穏やかで、でも裡には桜島のマグマのようなたぎる情熱を秘めていて・・・ってのが過不足なく表現できていた。
ああ。よかった・・・・と至福のときをすごしていたのですが。
ガラス炉の暴発でけがするシーンで、ほんのちょっとやりすぎ?と思わせる芝居がありまして。階段を転げ落ちるような振りが、臭かったの。

で、次の幕、なんとびっこをひいているカンタがそこにいました。
暴発のケガのせい。じゃあるわけもなく。明らかに右足をかばっていた。
階段を転げ落ちた拍子にひねっちゃったのか。まさかまた膝やっちゃったんじゃ?

ともう心配で心配で、残念ながら後半のお芝居にはまったくのめり込めませんでした。
びっこといっても、それは上手にカバーしていたので、ほとんどのお客には気づかれていなかったと思います。あたしみたいにカンタの一挙手一投足を注視していて、しかもそこの場面での通常の動きも知ってる人間にしか分からなかったと思う。

動きが激しくて、素足に下駄って言う感じの衣装だから、膝にサポーターがつけられない。余計負担がかかりやすいんだから、もう無茶すんなよ。と泣きそうになりながら舞台を観続けました。

はい、芝居では全然泣けなかったけど、きっちり涙は浮かんだのですよ。とほほほ。

越前一乗谷

前半寝かせてもらいました。だって心配で疲れちゃったんだもん
後半、とりあえず出てきただけでほっとして。
その後、藤吉郎がびっこをひいていないのでまたほっとした。
もちろん出番も動きも少ないお役なので、どの程度回復したのかはわかりませんが、大事に至ってないことは確認して、一安心。
藤吉郎、やっぱりヒヒ爺には見えなかったけど、考えようによっては、この時代の藤吉郎はまだまだ若い。いきなり朝倉義景のめかけの超美女をあてがわれて当惑してる、って感じでもいいのかも。
出家されてどうしよう?っていう戸惑いぶりはまさにそんな感じでした。

だけど、納涼が終わって一週間もしたら、踊りの公演でしょ。
大丈夫なのかね。あたしゃぐらっとするたんびに心配の塊になって、娯楽じゃなくて苦痛になってきそうだよ、カンタの芝居見物が。
兄弟公演を続けたい意地は分かるけど、無理だけはしないで欲しい。
「幻の名優」なんて伝説になってほしくないから。老いさらばえて本物のひひ爺になるまで舞台に立っていて欲しいから。

 

GOETHE

ぎょえてとはオレのことかとゲーテいい。っていう戯言が頭に浮かんでしまいます。
特集が「品格のある仕事」
普通絶対かわねぇ、つか読みもしないタイプの雑誌ですが、パパとアクターズ・スタジオのリプトン氏(だれ?)の対談でカンタが褒められてるとの噂を聞きつけ、立ち読み(のつもりだった)。
あまりにもあたしがいいたいことを、リプトンじいさんが代弁してくれていたので、感動して買っちゃいましたよ。以下○○権を恐れずに長文引用。

リプトン  白塗りが「美しい」「ハンサム」「高貴」などを示しているんですね。また、白塗りした男性は女性的にも見えますね。それが美しさやりりしさを増幅している。私が目を見張ったのは、その白塗りの若者です。ヨウスケ(松若)を演じたあの青年。彼が登場するだけで舞台には特別な空気が満ちていく。派手な動きはないのに、観客の視線を自然に集めてしまう。あの静かなパワーに私はぶっ飛ばされましたよ

勘三郎  要助ですか!実はあれはうちの長男。中村勘太郎といいます。

リプトン  本当に!知らなかった。姿はもちろんですが、何しろ手が綺麗だった。手のしぐさを見ているだけでうっとりさせられました。彼には「沈黙の力」がありますね。これは騒々しいパワーの何倍も人をひき付ける。あの静寂を司る姿には脱帽しました。ますます素晴らしい俳優になっていくでしょう。

勘三郎 ありがとうございます。でも悔しい。あいつに嫉妬しちゃうよ(笑)。

 

リプトンさん、偉い!そしてありがとう!

初めて見ても分かる人は分かるんだなあ。
あの騒々しい法界坊のなかで、唯一矜持をもちつつ分をわきまえて淡々と芝居をしてたんだろうな。
テレビで見て「行かなくてよかった」と思ったけど、こういう評を聞くとやはり現場で見たかった。あたしの自前のカメラ(目)はカンタだけアップで映し続けられるもんね、なんたって。

カンタびっこ目撃でちょっと落ち込んでいたあたしの心にリプトンおじさん(いつのまにかじいさんからおじさんになってるし)の絶賛は、何よりのプレゼントでした!
この引用部分だけのために750円払ってギョエテ買っちゃったもんね!!!

リプトンたんに、カンタの踊りを見せてやりてえなあ・・・

 

楽のカンタはびっこひいてないといいなあ。祈り

 


NY中村座onTV

2007-08-26 | kabuki a Tokio

現地でたっぷり観るはずだったのですが・・・顛末はこちら

貧乏な我が家にはハイビジョンが映らないので、金持ち宅で、酔っ払いくっちゃベりながら観たので、かなり散漫な印象です。なのでごく簡単に。

一言で言えば「金と暇かけて出かけなくてよかった
台風と根性なしのアメリカンエアーとあたし自身に感謝!です。

中途半端な現地向けの演出(英語多用、ところどころに挟まれる寒いアメリカンギャグ、雷神の黒人など)がことごとく裏目に出ている感じ。
現地にいたら面白かったのか、といえばきっとそんなことはなくて、もっと引いていたに違いないと思う。
最後の双面の舞踊がいちばんの見ものではあったけれど、ほとんどの場面でお組の扮装のまま。法界坊と野分の霊が乗り移ってお組の姿を借りている、というのは、イヤホンガイドをよほどしっかり聞いていなければ現地のガイジンには理解できなかったと思う。なぜ双面演出をほとんど出さなかったのだろう。
道成寺や鳴神を思わせるぶっかえりのラスト、まあ派手で悪くはなかったけど、結局法界坊はどこにイッチャッタの?という感じ。
ガイジンじゃなかったとしても、法界坊を初めて観た人間だったら踊りはまったく別の演目だと思っちゃったんじゃなかろうか。

カンタは神妙に要助じつは松若を演じていましたが、やはりはんなりとした色気、若様ゆえの悪気のないエゴっぷりは前回法界坊のときの福助のほうがだいぶ上。
前回カンタが演じた勘十郎を今回笹野がやっていたんだけど、役者の持ち味が違うからとはいえ、やりすぎで下品。

「やりすぎで下品」はこの芝居全体の印象でもある。
法界坊という素材そのものが、ぎりぎり下品になるかならないかというものなのに、必要以上に粉飾して、とことん下品に堕してしまった。

残念。
こういうことを続けていてはNYでの歌舞伎の認識もずれてきてしまうんじゃないでしょうか。

再来年またアメリカ公演が決定しているとか。
今度こそ、変に媚びた演出ではなく、ストレートに中村座の内容をもっていって欲しいです。
十分演劇として世界に通じる水準なのですから、あなた方の芝居は。

 

前から気になっていたカンタのこの写真、二枚目要助がいったいいつこんな顔を・・・と思っていた謎が解けたのはよかったです。
「ワンといえ、ワンと」のところなのね。あそこならOK!


稚魚の会・歌舞伎会合同公演B班

2007-08-24 | kabuki a Tokio

A班の感想はこちら

全体にB班のほうが若手が多く、見た目フレッシュでした。

寺子屋

これは本当に明らかに若々しい四人。
若いゆえに荒さも目立ちましたが、必死さ、ぎりぎりの切実さは出ていたような。
先日のように徳松の千代だけが傑出していたのよりは、全体のアンサンブルはよかったかも。
今回ものすごく感じたのはみんな旦那の芸をよく勉強してるなあということ。
特に千代の京紫・戸浪の春之助はそれぞれ雀右衛門と魁春にそっくり。春之助なんて、顔立ちは全然違うのに、首の振り方から腰の曲げ方まで、遠くから見れば魁春さん生き写しでしたよ
若いから余計、師匠をきちんとなぞっていて、気持ちよかった。
國矢の源蔵、芸達者がよく分かったけど、ときどき達者すぎて台詞を唄いすぎ、イヤミな感じもあったぞ。源蔵はただの実直な男じゃなくて、戸浪と駆け落ちするような色男なんだよね、というのを納得させられる色っぽさは新鮮でしたが。
錦次の松王、出から暫くは生彩なく、ああこっちも松王がはずれか・・とがっかりしましたが、後半びっくりするほど良くなって。
先日のが千代の母性愛で泣かされたとすれば、こっちバージョンは松王の父性愛に泣かされたような・・・
玄蕃がここでもいい。富彦。これまた富十郎に似た朗々たる台詞回し。
先日玄蕃をやっていた猿琉が捕手。一人微動だにしないみごとな蹲踞でした。
猿琉も今後注目の一人だわ。
涎くりの音二郎、愛嬌がいまいちだったかな。

千代の力技でぐいぐいひっぱられていったA班寺子屋。
みんなが一生懸命でこじんまりまとまったB班寺子屋という感じでしょうか。
個人的にはA班が好きでした。それほど徳松インパクトが強かったということでしょうね。

乗合船恵方万歳

これまたA班がかなり巧い人とかなり…な人の差が激しかったのにくらべ、コンパクトに器用にまとまってる人が多かった印象。
いいほうで目に付いたのは芸者の京珠。はんなりした色気があっていい女形ですね。大工の松男。立ち回りで巧いとは思っていたけれど、ここまで踊れるひとだとは。びっくり。一人ひとりが踊っているとき、控えている間もずっと役になりきっていたのはこの人と田舎侍のくらい。あとの人は素に戻っちゃってるよ。だめじゃん。
踊りは悪くないけどどうみても通人じゃないでしょ、だったのが辰巳。洒落ていて、粋で、色っぽくて、そこはかとなくおかしくて、大人に見えて・・・なんせ「通人」だもんねぇ。これはやっぱり難しいんだなあ。改めてカンタの偉大さを感じます。
京屋の美形新人コンビ、純くんと由くん越後獅子の踊りの拙さも含めてかわいいったらありゃしない。おばちゃんははんなり系の純クンが好き。
ほかに目に付いたのが獅一(獅童クンの弟子だよね?師匠より踊り上手じゃない?)。
この班は全員コンパクトにまとまっていたので、名前が出てない人もそんなに酷かったわけじゃないです。念のため。

というわけで踊りはこぎれいにまとまったB班のほうが好みかな。

 

C班の勧進帳はチケットを取るのをためらっているうちに満席になってしまったので見られません。ちょっと残念だけどまあ出し物としては好きじゃないので、いいか。暑いし。

 

徳松という名優を知れたこと。
それ以外では松男、猿琉というあらたな三階さん贔屓役者が増えたこと。
純くんと由くんの区別がはっきりできるようになったこと。
弟子は師匠にそっくりになるということ(似てるからといってすぐか○○子認定しないように>自分!)。

いろいろ収穫があってとてもいい体験でした。
来年もできれば観たいと思います。


徳松讃&入江讃

2007-08-23 | monologue

このHPはさとぴーインタビューがあるのでブックマークしてたんですが、不覚にも徳松さんも出てたことに気づかなかった。
尾上徳松でぐぐったら出てくるじゃないですか!

20代で単身渡米。演劇を学んで帰国。なんと歌舞伎界に入ったのは40歳のころだそうですよ!あーたこういう人もいるのね、歌舞伎ってやっぱ懐が深いわ。

全部読むのもめんどいというかたのためにハイライトを一部抜粋。

 

小さな頃から役者さんになろうと思ってらしたんですか?
 あのね、小さい頃から観てたから興味はあるわけよ。
でもね、歌舞伎って家柄が良くなきゃ絶対出られないって思ってたし、
セリフももらえないってわかってたから、20代で入ったって
若いうちは我慢できないじゃない。私、ものすごくわがままな人間だから、
その時入ってたら、たぶんもう辞めてたと思う。
やっぱり反抗したでしょうね。それならもう、自分で芝居勉強して
自分でスターになってみせるとか(笑)、そんなこと思うわけよ、
若い頃って。でも、結局最終的には、歌舞伎が大好きなんだけど。
 いろいろ考えたんだけど、やっぱり歌舞伎じゃダメかしら、と思って
ニューヨークに行っちゃったの。私って昔っから行動力だけはあるのよ。
ニューヨークなんて一人も知らなかったのに、決めちゃうと行っちゃう
人なの。そこで演劇学校入って、芝居勉強してやっていこうと思ったけど、
日本人だからなかなかチャンスが巡ってこないし。
だんだんこのままでいいのかわからなくなってきて、それで、
「ねえ、あんた、本当にやりたいことはなの?」って、
一生懸命自分の部屋で自問自答したわけ。そしたら、
「なあんだ、結局歌舞伎やりたいんじゃない! 
あなたやりたいことを隠して、なんだかんだ言ってカバーして、
こっちの線に行こう、こっちの線に行こうって、枝葉でこうやって
分れて行こうったって、ルーツが言ってるじゃない! 
歌舞伎、やりたいんでしょ? じゃあ帰ればいいじゃない」
ってさっさと帰っちゃったのよ。
 赤裸々な自分を見ないと、納得できないのね、私って。
英語でINSIDE OUTって言うんですけど、わかるでしょ?
 一度、内臓から何から全部ひっくるめてぐるるんってぜーんぶさらけ出して、一回転してピャッておさまった段階で、
「あっ、じゃ歌舞伎やりたいんなら帰りなさい!」
って。INSIDE OUTしなかったらそこまではできなかったのね。
「そこまでINSIDE OUTできた自分」が帰ってきたわけよ、日本に。

そう思えるまで、期間はどのぐらいかかりましたか?
 27才ぐらいの時に羽田空港から発って、それから8年半よ。

やはりそのぐらいかかりますか?

 自分に正直になるまでね。


 

うーん。おもろいおっさんおばはんや。友達になりてぇ。
政岡もよかったでしょうねぇ。古風で温かくて。またやってくれないかしら。
(楽屋では菊ちゃんや松也くんに「ママ」ってよばれてるらしいし)

 

付け足しのようですが、たったいま青田買いでチェック済みの背泳ぎ入江くんが世界競泳で一位!
そして日本新まであと一歩の大記録!

まだ17歳でイケメン。マスコミが持ち上げてぐちゃぐちゃにされるだろうけど、
負けないでがんばってください!
…さっそくバランス王子とかいってるし松岡のバカが

 

 

 


 

 


稚魚の会歌舞伎会合同公演初日(A班)

2007-08-22 | kabuki a Tokio

何回かチケットを取ったけど、当日用ができたり、行く気がなくなったりで、初めての稚魚の会。

最初に感じたことのまとめを。

稚魚の会っていっても、もはや研修も19期になれば、芸歴30年を超すおっさんも大勢いて、成魚どころか枯魚もちらほら。歌舞伎会も入れればもう、どこが稚魚やねんの世界でありまして。
芸歴の長い名題さんたちはさすがに上手いんだけど、ほんものの稚魚たちの若さ&稚拙さゆえの必死さをめでるのもこれまた楽しいわけで。

そういうのが混在しちゃってるのがどうかと思いました。
どうせなら、芸歴20年(15年?)以上とそれ以下とかいうわけ方で、別立ててやってくれないかなあ。枯淡の芸も好きだけど、必死な若者も面白い。もちろん本物の稚魚は1000円くらいとか、で。

興行的に成立しないとか、スケジュールが無理とかいろいろ問題はありそうですが、一日に、しかも同じ狂言のなかで稚魚と成魚、古魚が混在してると、客のほうもどっちに焦点を当てて鑑賞すればいいのか混乱しちゃうんだな。

…というわけで簡単な感想と、よかった役者について(勉強会なので、lavie得意のダメ出しは極力控えます)

寺子屋

とっても面白かったです。あたしこの狂言好きなんだわ、と再確認させられました。
主要四役のなかでは千代の徳松ピカ一!もうすごくすごくすごく∞巧いです。
名前くらいしか知らなかったのでいまかぶき手帖で調べましたよ。
なんだこの人。NYアクターズスタジオを出るって・・・どういう経歴やねん。
そんなバタ臭い(死語)経歴とは全然思えないほど古風な味のするしっとりしたお顔立ち&芸風で、めちゃめちゃ感動しました。これからファンになろう。っていっても並び腰元で探すしかないんだろうけど。松助さんの弟子ってところも渋い。松也クンをサポートしてあげてね。
あとの三人では吉六@源蔵が、まあまあ。吉右衛門直伝の台詞回しはなかなかなんだけど、花道の出の存在感がなかったなあ。あと、戸浪(歌女之丞)と並んで顔が。二人で寺子屋の弟子を吟味してるところなんて忠義の夫婦というより、人買い商人に見えちゃったよ。
肝心な松王(竜之助)が・・・・うーん。武士の情け。触れずに置く。
涎くりの辰巳、若すぎて普通に図体がでかいだけの子供として不自然じゃないのはいいことなのか?いっぱいいっぱいで、まあ可愛かった。
玄蕃の猿琉。押し出しも口跡もいいし、実はこの人が松王だったらよかったのになあ、と思いながら見ていましたよ。おもだかチームは歌舞伎座と国立に分かれてるのね。がんばれ。

捕手で並んでる京屋の二人組(京純・京由)、初々しくて綺麗でよろしいなあ。

全般にとても丁寧にやっていて、迫力もあり、寺入りからやってくれるので、きちんと筋も分かりやすく、はい、気持ちよく泣けました。
しつこいようだが徳松は本当にすごい。風情が梅幸そのもの。菊五郎門下だったらもっともっと重用されているのかもしれないね。惜しい。

 

乗合船恵方万歳

あたしにとってはカンタ復活の才人!に尽きる観劇体験(感動のレポはこちら)がすりこまれていて、どうしてもそれと比べちゃう。そら見劣りするに決まっとりますがな。

それにしても寺子屋と比べて稚魚成分が多いせいか、拙さが目立った一幕でした。
なかでよかったのは白酒売の喜昇くん。おもだかさんちの名バイプレーヤー。一度見たら忘れぬ面立ちなのですが、きょうは妙に綺麗に見えたなあ(失礼)。踊りはいちばん巧かったかも。あと、女船頭のまつ葉くんというのがすごく粋で綺麗だった。松江さんの弟子で女形?ご苦労様です。(他意はない)
今年出たての本物の稚魚は、京屋コンビと、この幕で越後獅子やってる猿治郎(おもだか)と桂太郎(十字屋)。
桂太郎は卵時代にから目をつけてたのに、なぜに十字屋?と疑問を持ってたんですが、筋書きに「少しでも十字屋の雰囲気を・・・」と書いていて、なにやら物凄い意気込みを感じてしまったので、これから精一杯応援したいと思います。素人なので、十字屋の雰囲気が何かは分からないけれど、小柄ながらtpてもキレのいい踊り。lavie的には喜昇クンの次くらいに評価しましたよ。
ほかにまあ目立ったのは音之助(才造)・音二郎(大工)くらい。
ここに書いてない人についてはそれなりにご想像ください。武士の情けその2.
あ、でもこれだけ書いとこう。

いつも綺麗な立ち回りを見せてくれる翔次くんが万歳役で期待したんですが。。。うーん。。。ヒトコトだけ。
運動神経と踊りの神経は違うのね

勝手なこと言いましたが、みんな必死でやってて、気持ちいいので見ていて腹は立ちませんでしたよ。lavieもそんなに狭量ではないのよ。ふふん。

 

B班も鑑賞予定なので楽しみです。

 


歌舞伎座三部二回目

2007-08-20 | kabuki a Tokio

通し狂言裏表先代萩二回目です。一度目の感想はこちら

今回、感じたことをまとめると大きく2つ。

1.やっぱり裏より表
頻繁にかかる狂言はそれだけの価値があるというか、表(普通)の時代物のほうがずっと面白い。中村屋だから世話物、という固定観念がこちらにあったのか、初めてみる演目だからか、初回は裏に期待しすぎていたのかも。
一度見て「たいしたことない」と思ったせいか、きょうは裏をゆったりした気分で(居眠りまでして)見たので、余力を持って表に付き合えたような。いや、面白かったっす。

2.新しい政岡
これもまたあたしの固定観念なのか、政岡は立派で上品でなければいけない、と思っていたような。前回見たときはどうしても菊五郎とか玉三郎と比べてしまい、あららお下品、と思っちゃったんだが、二回目にして早くも慣れたのか、なんだろう、これもありじゃん、って思っちゃいました。
つまりは世話物の母親・おんばさんとしての政岡。いつも居住まいを正している真女形の最高峰の政岡じゃなくて、忠義の塊でもなくて、ただただ実の子の千松と、乳をやって赤子から育て上げた鶴千代を愛している政岡。
だから、鶴千代をかばうときには着物の乱れなんて気にしないのね。品とかどうでもいいのね。
次回もそう思うかどうかは別にして、今日の政岡は、格とか品とかそんなにない政岡もありだなあ、と思わせてくれました(一応、というか絶賛のつもり)。

 

あとは場面ごとに簡単に。

花水橋

あのぉ・・・ここ、いらないんじゃないでしょうか。
この場面があったからって、お家騒動の発端が分かりやすくなるわけでもないし、
単に頼兼役者の風情を楽しむためにあるような場面で、風情もへったくれもない棒立ちのカトンボみたいな兄ちゃんに出てこられても・・・
ここんとこ、あたしの中で右肩上がりの急上昇中だった七之助株、世間の株価と同様急落ですよ。もうどうしようもない。亀蔵が出てきてほっとするんだもの。

道益宅

かなりの部分居眠りしてましたので、ノーコメントで。
初日、段取りでいっぱいいっぱいだった勘三郎が、いい意味でこなれてきて、面白くなっていたように思います。でも寝ちゃったんだけど。

御殿

最初の部分で述べたとおりとても面白かったです。特に政岡が。目立たない役ながら、沖の井の孝太郎が、思いやりのあるキャリアウーマンって感じでよかった。竹の間からやればもっと為所あったのにね。扇雀の八汐は、いかにも意地悪そうな顔が似合ってるといえば似合ってるんだけど、なんかちょっとコメディちっく。秀太郎の栄御前。これこそ品がなくちゃいけない!品が足りない!と前々から思ってたんだけど、きょうは、これはこれでありかと思った。だって、この人どう考えても早とちりのオ馬鹿さんだよねぇ。きっと若いころは超可愛くて、色気で偉い人をたらしこんで奥方に納まっちゃったねーちゃんの成れの果てなんだわ。ひひひ。

床下

うーん。初日よりはよくなっていたけれどやはり勘太郎@男之助は力強さが足りないなあ。オペラグラスで覗く表情はすごくいいんだけど、一階後方で裸眼で見ると、強さが伝わってこない。やはり声が弱いのかしら。
…ってあたしが知る限り、世間に星の数ほどブログあれど、男之助カンタを褒めてないほぼ唯一のブログがあたしのブログなのよね。ひひひ。勘太郎に関しては超レベルの高い要求水準になっちゃってるのかも。
勘三郎の仁木は、動きは綺麗だし、妖しさも出てるんだけど、どうにもちっちゃいなあという感じ。幸四郎とかで見慣れちゃってるせいか?

問注所

初回よりかなり面白くなっていた。
とくに勘三郎がこなれてきたね。
だけど、これが表の「対決」のパロディになってるってどんだけの人がわかってるんだろう、と思うと、別にわざわざ表裏にしなくても、普通に表だけで通し上演して、対決が見たかった、とも思ってしまったのも確か。表裏・・・に「ご趣向」以外の存在意味は見つけられないですね、今のところ。

刃傷

ここ、かなりテンポアップしていてよくなっていた。
特に勘三郎はこの場と御殿と、表がよくなった。
死体の早すぎる死後硬直ぶりはお見事!
ここまでなんとなく遠慮がちだった三津五郎もここは幕切れで思う様発散していた。
しかし、今月三津五郎、二部の舌切雀、三部の問注所とこの場面と三階もラストの颯爽とした「捌き役」。飽きないんでしょうかね?

 

まとめ。

いろいろ書きました。面白かったけど、やっぱり表裏をわざわざ引っ張り出してくる必然性がわからない。普通の先代萩を通しでやってくれたほうがもっと面白かったように思います。できれば花水橋は勘三郎か三津五郎か福助でお願い。七はせいぜい松島あたりでしょう?

あと、今日は久々にイヤホンガイドを借りてみました。
前回「これ、初心者にはなにやってるか筋がわからないでしょう」と思ったので、イヤホンガイドを借りたら、分かるのだろうか?と興味を持った次第。

結論、イヤホンガイドでは、知りたい情報はなにも分からない
あれは、解説者のおしゃべりと、脇役の役者の名前を知るために借りるものですね。その役者の名前も、名題下はまったく教えてくれないし。
また当分借りなくていいや。


歌舞伎座一部早くも三度目

2007-08-16 | kabuki a Tokio

6日目で三度目ともなると、本当に書くことがないですね。

磯異人館で、二度目にちょっと感じた芝居のあざとさが、カンタからまたなくなっていたこと、見るたびにちょっとした台詞の工夫が見られることくらいが新しいポイント。
最後の自決シーンに持っている紫の帯、初日と今日は同じ色で、琉璃姫の締めていた帯を連想させましたが、二回目のときは、明らかに違う帯だったのはどういう意図だったのでしょうか。素直に琉璃からもらった帯、と考えさせていいと思うんですけど。

一乗谷は、三回目にして、気持ちよく寝かせてもらいました。
ターミネーターはっしーのあたりから、ひひ爺カンタの出番まで。
カンタのひひ声でちゃんと目が醒めるあたし、やっぱり愛があふれてます。

すいません、今回はこんなところで。


一部二度目と二部一度目

2007-08-13 | kabuki a Tokio

1部は初日にも観ました。初日ったって、一昨日ですから、芝居も感想もそんなに変わるわけもないので、とりあえずこちらを参照してください。

付け足すこととしては

磯異人館

勘太郎は初日のほうがよかったかな。淡々とした芝居が凄く良かったのに、いつもの熱演癖が出てきたような・・七之助は今日の方がよかった。初日はきゃぴきゃぴ娘に見えていたのが、しっとりと気品ある琉球の姫に見えました。
どっちも最良の状態なんて一ヶ月公演で何回あるんだろうね。そのときに出会いたいものです。
初日にして完成度が高かった芝居なので、これから後半に向かってどう磨かれていくのか、あと二回観る予定なので、とても楽しみです。勘七コンビが歌舞伎の名コンビと謳われるようになれか、そのスタート地点に立てるかどうか、そんなあたりの正念場だと思います。

越前一乗谷

ターミネーター橋之助とだるだる福助、覚悟していたせいか、少しはしょったのか、京はそんなに気になりませんでした。
やっぱり前半の戦場面が圧巻。
ひひおやじ勘太郎はひひ度を増していたような。どんどんひひになれ!

というわけで、今月1部は二つともけっこう好きです。

さて問題の?2部。

ゆうれい貸屋

前半とても楽しく、福ちゃんも持ち味全快で期待したんだけど、後半やや尻すぼみ。後味がいいのか悪いのかはっきりさせて欲しいと言う感じでした。(あれじゃ福ちゃん幽霊がかわいそうすぎ、という贔屓ゆえの感情も含めて、ですが)。
今月すべてのお役にいえることですが、福ちゃんがとても綺麗。立ち役や幽霊役のほうが綺麗ってどういうこと?って考えていたら思い当たった。口の紅がない、あるいは控えめだからなのね。真っ赤な口紅でにかっと笑う気持ち悪さ(ファンだけどあれは耐えられない)がないからなのね。
山本周五郎作ということで「泥棒と若殿」とか、あるいは
去年の納涼で大のお気に入りになった「吉原狐」とかを期待していたんですが、
どっちかというと後味の悪い「たぬき」という感じ。
悪くはないけど、通い詰めるほどの魅力はありませんでした。
3部の先代萩のときも思ったのですが三津五郎さんお疲れ?
どうも今月覇気がないような。
いつみてもレベルの高い芝居をしておられるだけにちょっと気になりました。
ちょっとだけ出てくる勘三郎がさすがに凄い。
一乗谷といい、これといい、勘三郎は脇役がいいなあ。いや、褒めてるんですよこれ、本当に。

舌切り雀

…これに関しては、なんかあまり感想を書きたくない気分。
いや、中村屋のりのばかばかしい芝居はそんなに嫌いじゃないんです。前半の波野ファミリーコメディ(違う)なんかは楽しかったし、福ちゃん雀は愛らしいし、清大夫さんや三津五郎さんのご趣向遊びも、みんな嫌いじゃなかった。

ただ、どうにも笑いきれない大きなポイントが2つ。

1つは、原作者の好みなんだろうけど、どうしてもお笑いで終わらせたくないのか、妙な寓意とか「生きる意味」みたいなお説教仕上げになっている点。
生きる意味なんてのは、ゲラゲラ笑って、ああ面白かった!でうちに帰って、芝居を思い出したときにじんわり一人ひとりが考えるものであって、舞台の上からお説教で聞かされるものじゃない。そういうのが聞きたかったら瀬戸内寂聴辻説法でも聞きにいくつーの。

もう1つは実に個人的というか、やぶにらみ的愚痴です。

どうみてもくだらないフラミンゴ踊りとペンギン踊り、あれやらされてる人のかなりの部分、おもだかやの弟子だと思うんですが。(筋書きを買っていないので、立ち読みした知識と、自分の目のみが頼り。間違ってたらすみません)。
別にくだらないのが悪いってわけじゃなくて、ああいうところにしかおもだかやの弟子を使わない扱いがなんだかな、と思ったわけです。菊五郎劇団からも何人も借りてきてるけど、彼らは同じちょい役でも、扱われ方が違っていたと思うのですが。

あたしは特におもだかやさんのファンというわけではないです。猿之助さんはどちらかというと苦手ですし、アンチスーパー歌舞伎ですし、段治郎以外のお弟子さんにはなんの思い入れもない(笑三郎と猿弥は好き)のですが、なんというのでしょう、判官びいきというか、へそ曲がりというか、反体制というか、弱いものの味方いうか(あらら、だんだんかっこよくなってきた)後ろ盾のない彼らが、変なかっこさせられて観客の失笑を買っている(爆笑を取るならまだしも、あれは確かに失笑だったでしょう)のを観るのはとても辛かったです。

それでも仕事がないよりはいいんでしょうね、
と思うとよけいに・・・辛い。

 

あたしにとって、今月は、一部磯異人館の勘太郎、そして二部三部での福助だけが見ものになりそうです。
三部の勘三郎と勘太郎にはまだ期待は捨てていませんけど。


ミッシング・ピース

2007-08-12 | spectacles

同じキャストによる下町日和を先週見ました。感想はこちら
けっこう好きだったし、右近さんのベストロールが苫小牧トオルだと思っていたので、いきなり、ガイジン芸術家の役で来られたときにはちょっと面食らいました。

はい、例によってなんの前知識もなく見ています。

そのショックから立ち直るまでちょっと時間がかかりました。正直右近さんの台詞回しは臭すぎて、赤毛物(古すぎ)とは合わない気がして・・・

しかしそれに慣れてしまえば、とても面白い作品でした。
後半は、この台詞回しまで、この芝居の世界観を表わすためには有効かも、とまで好意的に受け取ってましたよ(たぶん意図してない。ただの癖)。
傑作といっても過言ではないんじゃないでしょうか。感心しました。最近のあたしの観劇の中では『コンフィダント』に次ぐレベルといってもいいんじゃ?

なにがよかったって、音楽を含めた構成。

ポーランドの夭折作曲家ヴィエニャフスキー(例によって無知蒙昧なあたしは知らなかったけど、実在するのね)の幻の作品をめぐって、ちょっと暗号ミステリ+ゴシックロマン風なストーリーが展開するのだけれど、幻の作品がフレーズごとにちょっとずつベールを脱いでくる様が、ライブのヴァイオリンで再現されていく。
ライブコンサートとミステリの謎解きとちょっとしたゲーム感覚を一度に味わえる。こんな贅沢なつくりの芝居、めったにない。
ヒロインの女性(春猿)がヴァイオリンを演奏するという設定で、実際はヴァイオリニスト(宮本笑里。これまた,寡聞にして知らなかった)が弾くんだけど、構成がいいからか、二人の役割分担が実に自然で、春猿の分身がちゃんと弾いているように感じられた。
宮本、とても美少女なので、音はあまり期待してなかったんだけど、どうしてどうして、かなりいい演奏家です。これでもう少し筋力というか体力がついて、音に厚みが出てくると、かなりいい線いくんじゃなかろうか。

うちに帰って調べたら宮本文昭の娘なんですね。カエルの子はカエルってことか。
去年の中村中といい、このシリーズの音楽関係はすごくいいところを衝いてるように思う。


壮大なロマンでありながら、暗号を解読するように、段治郎演じる留学生と春猿扮するヴァイオリニストが幻の作品をフレーズごとに探していくあたりのプロセスはまるでRPGのようでもあり、炎のような赤い幕の使い方は、これまたまるでスーパー歌舞伎を彷彿とされるようでもあり、段治郎まで女形の声を操ってみせる(なかなかのセクシーボイスでしたわ)ところは、歌舞伎役者の本領発揮でもあり。

音楽と芝居(それも歌舞伎的なものを多分に含んだ芝居)の融合という意味ではとても面白く実験的で、しかもかなり成功した例だといえると思いました。

今日が楽でなければ、きっと買い足していたでしょう。
正直、先月今月歌舞伎座でやってる作品(いや、磯異人館は大好きですけどね)のどれよりも、PLAYとしての質は上だと思いました。

と、ここまではまじめ路線。

ここからはミーハーコーナー。段ちゃんキライな方は読まないでね。ひひひ。

段ちゃんが超超かっこいいです。黒ずくめのスタイルにブーツだけが赤。これがいろいろな属性を暗示しているわけなんだけど。
黒主体の舞台に炎の赤幕が翻るなかにすっくと立つ段治郎、もう眼福。
朗読劇でも下町日和は、ずっとすわっていたので、彼の最大の魅力(lavie調べ)である立ち姿が見られなかったのですが、ミッシングピースでは何回も立って台詞を言う場面があり、もう、うっとりっす。この人、やっぱ立ってなんぼ、動いてナンボの役者はんやわ(なぜかうっとりすると関西弁になる)。
メフィストとかルシフェルとかいろんな名前であらわされるあの属性を表現するためか、強めのアイメイクをしてたのもポイント高いです。目をちょっと吊り上げるだけで本当にいい男になる。いや、普段のタレ目もかわいいっすけどね。

…というわけで、いい作品でいい男ぶりを見せてもらったのでミーハーファン的には大満足です。

たとえ、段ちゃんが大詰め近くすっごく大事な台詞を致命的に間違っていたとしても。(あれ、間違いだよね、絶対に)←誰に言ってる?

カーテンコールで一度も笑顔を見せなかったのは反省してるから、でしょうか?

まあかなり凄いミスではあったけど、気づいてない人も多かった(と思いたい)。

8/14追記

台詞の間違いについて、やはり具体的に書いたほうがいいと思いますので、ちゃんと書くことにします。

ラスト近く、おそらく自殺を決意した桧森の台詞で(一字一句は覚えてませんが)
「ボクがいたら(いれば?)最後のピースは見つからないんだ」というのがあるんです。その結果、彼は自分の存在を消すことで、周子が曲を完成させるのを邪魔しないことを選ぶのです。

そこの台詞を段ちゃんは「ボクがいなければ」と言っちゃったんです。
言った瞬間ほんの一瞬蒼白になって、(あたしも蒼白だったと思う)どう切り抜けるかと思ったら、結局後の台詞をそのまま言っちゃったので、ストーリー的に繋がらなくなっちゃった。
ちょっとは変でも「ボクがいなければ最後のピースは見つかる」と肯定と否定を入れ替えればよかったのに、と思いましたけど。もちろん後で思ったことでとっさにそれが出来れば本物の名優ですよね。

 


ヘヴィな一日

2007-08-11 | kabuki a Tokio

久々のトリプルヘッダー。納涼一部が終わってタクシーで音の会の山科閑居(惟だけはどうしても見たかったので)、そのあと歌舞伎座三部というハードなスケジュール。

後に行くほどなんだかなーの出来だったのは、あたしが疲労していたから、だけでは絶対ないと思います。時系列的に。

歌舞伎座納涼歌舞伎1部

磯異人館

これ、面白かったです。
幕末という時代設定、若手中心の座組、なんとなく途中から、團菊祭の「江戸の夕映え」を思い出しながら見ましたけど。
江戸の~も面白かったけどこちらも負けないくらい、よかった。
なにより、主人公の精之助(だっけ?、今チラシも手元にないのよ)が、勘太郎に当て書きなんじゃ?と思いたくなるほど(違う)、カンタにぴったり。誠実で、まじめで、ちょっと気が弱くて、くどくてw。
あまりにキャラにはまりすぎで、へそ曲がりカンタファンのあたしには物足りないくらい、よかったよ(このひねくれものが!)
いつもの熱血熱演ではなくて、途中まで抑えすぎ?と思うほど淡々とやわらかい芝居だったのが、とても新鮮で、ああ、成長してるな、と感じました。
最後の爆発がその分とても衝撃的だった。
脇もみんなよかった。七之助が着実に大人の芝居になってきてるし、弟役の松也も一本気な感じがでてて適役。親友役の猿弥が、これまた本当にいい親友。カンタとのカラミが多くて、すごく安心してみていられました。上手な役者同士って、本当にいいものですね。亀蔵が「ハリスン」役というのはとても心配だったけど、至極まともにやってました。笑いも最初の登場以外はそんなになかった。
とてもよくまとまった小佳品という感じ。
お薦めですよ!

越前一乗谷

途中まではとても面白かった。
朝倉義景と小少将の悲劇をつづった舞踊劇。なにより、福助が美しく、橋之助がりりしい。
郎党に扮した勘三郎三津五郎が扇のみを使った舞踊による立ち回りを見せるが、これがすばらしかった。まさに息詰まる動きの競演。
義景の死のあたりから、中だるみ。橋之助、ターミネーターじゃあるまいし、死ななすぎ。腹切って、喉刺して、腹刺して、まだ生きてる。その上血文字書いてるし。自動血文字も白けたなあ。
で、生き残った小少将をめかけにしようと迫るひひおやじ、秀吉が勘太郎
黒カンタは好きなんだけど、これはちっとも面白くなかった。つか、まったく為所なし。ただのいやなおやじ。つまらん。
ラストの福ちゃんもとても綺麗で哀れだったけど、これまた長すぎ。
成駒屋兄弟にはちょっと荷が重い難しい作品でしたね。

国立音の会より『山科閑居』

忠臣蔵でもいちばんすきな段を、あたし的にらぶりんと呼びたい愛太夫が語るので、ぜひとも見たかった(聞きたかった)。一部が終わってタクシーに飛び乗り、国立に到着したら、まさに愛ちゃんが語ってました。大馬鹿もののあたしは、上手より端っこを取っていたので結局愛ちゃんの顔は拝めなかったけど、朗々と切々といい語りでしたよ。
というわけで竹本目当てだったので役者はどうでもいいっちゃいいんだけど、やっぱり、大歌舞伎とは全然違うなあと(当たり前)改めて痛感。
戸無瀬の歌女之丞は上手いけどくどい。小波の玉朗はまるでダメ。お石の京妙は神妙だけどつまらない。大星の新蔵は通りいっぺん。力弥の左字郎は妙なシナが気持ち悪い。本蔵の吉三郎がいちばんよかったかな。
しかし全員が全員、自分の台詞のときは見事に書割状態。行儀がいいとも、本来の歌舞伎の演技ともいえるかもしれないが、今どき、ここまで自分の台詞以外で芝居をしないのは、やっぱり不自然だと思う。
もちろん脇役は余計な芝居をしない!が鉄則だからそれが身についてしまっているのだろうか。主役をやるときくらい、もう少し芝居っ気を出してもいいと思った。

歌舞伎座3部

『裏表先代萩』

これが・・・
つまらない。

今まで中村屋の芝居を数々見てきたが、
「ふざけすぎ」
「やりすぎ」
という不満を感じたことは多々あるが

「つまらない」
「ぐだぐだ」

と思ったことはまずなかったように思う。

今回、その2つとも感じちゃったのよね。

まず、すべての大前提として演目選定、ミスだと思います。
この狂言、そもそも先代萩を熟知して、見飽きた客が見ないと本当の面白さは分からないものでしょう?
たとえイヤホンの解説を聞いてああそうか、ここはそういうパロディなのね、と頭で理解したとしても、元歌を知らないものに本歌取りの面白さがわかろうはずもない。
初めて歌舞伎を見る人も多いであろう納涼でなぜこれを?
断言してもいいが、歌舞伎の初心者、あるいは初心者とはいえなくても、先代萩を通しで見たことのない人には、筋すらよく分からないと思う。
構成も悪いし、テンポも悪い。

その上、中村屋の公演ではほぼ初めてだけど、メインの役者にプロンプがガンガンついていた。三津五郎や弥十郎が台詞につまり、プロンプの世話にたびたびなっているのを見るのははじめてのように思う。

台詞の入りの悪さ、テンポの悪さは日がたてばある程度解消するかもしれないが、この演目自体の、納涼歌舞伎の観客への受けの悪さは、たぶん一月続くだろう。

いちばん悪いところだけを書いた。

役者もいまいちの人が多かったかな。
七之助の頼兼は色気が足りない。勘三郎は政岡は辛いなあ。仁木が意外によかったけど。世話の五助はさすがに手の内という感じだったけど。
福助のお竹がなかなか良かった。今月、福助いいかも。

そして個人的にとても楽しみだった勘太郎の男之助。

残念ながら初日は×ですね。
声の迫力がまったくない。声が弱い人であるというのは承知の上なのだが、車引の梅王丸がとてもよかっただけに、すごく期待したんだけど。中村屋で唯一荒事のできる役者だと思っているので・・・
初日ゆえの緊張なのか、梅王はできても男之助まで行くと無理なのか?

まだまだ期待は捨てずに待ちますけど、床下だけは楽しみにしておきます。

でも、この演目チョイスはやっぱりちょっと失敗だったじゃないですかね、勘三郎さん。


イタリア的、恋愛マニュアル

2007-08-10 | cinema

イタリア好きじゃなくても、ヨーロッパ的な皮肉な味が嫌いな人でも、きっとこの映画なら楽しめると思います。
かといって、あたしみたいなへそ曲がりに物足りないかというと、そんなこともなく、ちゃんと小じゃれていて、いかにも、って感じでにやっとするところもいっぱい。

ホント、誰にでも安心して薦められる楽しい映画でした。

例によってまったく前知識なしで出かけていったら、四篇の短編が、エピソードでつなぎ合わされたような、変形オムニバス映画でした。最近こういうの流行?

20代前半から40代くらいまでの四組のカップルをめぐる四つの恋愛話、と、まとめてしまえばそういうことなんだけど、それはそこ、イタリア映画だから、綺麗綺麗のお話ばかりじゃなく、かといって生々しすぎることもなく(フランス映画だったりすると、そこらへん行き過ぎてて、息が詰まったりすることもある)、見てる間は楽しく、見終わったらちょっとだけ胸の辺りが暖かくなる、そんな感じ。
現代版昨日・今日・明日みたいな感じもちょっとあり。ってことでイタリア映画フリークにも楽しめそう。

レディスデイのせいもあるでしょうが、99パーセントは女性。
デイトで見るより、一人で見るより、女友達と一緒に見て、あとでランチやお茶しながら、感想を語り合いたくなるようなそんな映画です。
見終わったあと、誰とも話をしたくなくなるような重い映画も好きなあたしですが、たまには(特に暑いしねぇ、最近は)こういう軽い映画もいいなあ、と素直に思いました。

もし見ようと思っている方がいらしたら、お薦めです。
安心してそう言えます。

画像はいちばん好きだった最後のエピソードより。このおっさん、ええ味出しとりましたで!


アマテラス

2007-08-06 | spectacles

去年の五月、SEPTで見て、玉三郎はともかく、太鼓に感動。その後鼓童の単独公演を観たかったんだけど、なんせ、地方公演ばかりで、めったに東京でやってくれない。やっと見つけた公演日はあたしが日本にいない日程だったりして。

というわけで、完全に鼓童目当てで歌舞伎座まで行ってきました。

今回、何よりも印象的だったのが

歌舞伎座ってこんなに音響も照明も優れた小屋だったんだ!

ということ。

SEPTでも十分感動した太鼓の響きでしたが、数倍、数十倍、壮大で深みのある音に聞こえました。
照明も、必要以上にシャープすぎない温かい光が、神話世界にぴったりで、本当に感心しました。コンピューター制御とかきっと何もなさそうな照明機器なんだけど、実にいい光の周り具合なんだなあ。
ふだん何気なく歌舞伎を見ているけれど、歌舞伎以外の出し物を見てみるとここまで小屋の性能がよくわかるのだな、と感心。
改装前に一度この小屋でオペラなんぞやってみても面白そう。トゥーランドットとかどうでしょうか?
口パクで玉様トゥーランドットでもええかしらん

もう改装が決定しているらしい歌舞伎座ですが、これだけの優れた音響・照明効果を台無しにしないように、デザインなんか二の次でいいから、歌舞伎小屋としての基本性能を落とさないように、そんなことを考えてしまいました。

お願いします松竹さん。

 

さて、肝心の中味ですが。

大筋はほぼ昨年と同じ。歌舞伎座ということで、前半の玉さんの出が少し早くなっていたような。玉さんが歌うのは昨年もあったかな?なかったような気もするんですが

鼓童の迫力は相変わらず。迫力がありすぎて、畳み掛けるような演奏が続くと、
海老蔵の鏡の精ばりに「くどい!」っていいたくなっちゃうほど。

二度目であたしがなれたせいなのか、歌舞伎座の音響のせいなのか、三階席から俯瞰していたせいなのか。

スサノオとの確執の末、天岩戸に隠れたアマテラスをアメノウズメと八百万の神々が踊りや太鼓でひきつけて、アマテラスが再び姿を表わすまで、という単純なストーリーなので、芝居としてどうこういうより、とにかく玉三郎の荘厳な美しさ、鼓童の力感あふれるパフォーマンスをひたすらめでればいいのですが、なんだろう?
いろんな意味で「くどかった」んだわ。二度目ですけど。

玉三郎はいつものようにザ・玉三郎でしたけど、こういうパフォーマンスでは、それがいい面に出ていたような。歌舞伎界でも、いや、日本の演劇界を見渡しても、この太鼓パフォーマンスにたった一人で対峙して存在感を見せられるパフォーマーはこの人くらいしかいないようにも思いました。
そう、坂東玉三郎って、あたしにとっては歌舞伎の立女形じゃなくて、パフォーマーなんだなあ価値があるとすれば。

楽ということで三回もカテコ。
挙句の果てにスタオベ。くれくれ拍手。客もくどいです(三回目ですけど)。

本日のキーワードくどい&歌舞伎座すごい」でお送りしました!

 


下町日和2007

2007-08-05 | spectacles

夏恒例(らしい)おもだか若手チームによるリーディングスペクタクル(要するに朗読劇)。

昨年観劇したときの感想は以下の通り。リンクするほど長くないので、コピペ。

 

『下町日和』

これ、よかった。前と同じ主人公のシリーズものなんだけど、こっちのほうがずっとずっと本の出来がいい。役者も配役もほぼ同じなのに、全然仕上がりのレベルが違う。右近、春猿、段治郎、ゲスト女優二人のうちひとりの高橋かおりがとてもいい。もう一人(情状酌量で特に匿名のH生M)は超大根だったけど、ソープ嬢という役にははまっていたので、とりあえずおまけ。
芝居の出来がいいと、なぜか前回これだけが見物聞き物だと思っていた歌が邪魔に思える、現金なあたし。
というか、一昨日の作品は幻想的で現実離れしていたから、あのトランスセクシュアル的な匂いのするディーヴァさんもぴったりしてたんだけど、今日の芝居はとても世話物(笑)だったので、下手な歌が入ることによって芝居世界の邪魔になる感じは否めなかった。声は好きなんだけどね。

まあ、段ちゃんファンとしては段ちゃんの「やっちゃいますよ、オレ」+満面の笑みが見られただけで、もう大大大大大満足!でしたけどね。

 

大筋今年も感想は変わりません。
強いて言えば、右近がとてもとてもとてもよかった

右近最大のはまり役じゃないですか、苫小牧トオル!!

あたしが常に右近について感じる「過度に歌舞伎的」(歌舞伎御曹司や大幹部と比べてすら、悪い意味で歌舞伎臭さを感じてしまうことが多い)なキャラが、現代劇、しかも不器用で人のいい貧しい青年という役をやるにあたって、妙にマッチして、いい感じのユーモアとまっすぐさを表現しきっていたように思う。
昨年初めて見たときに感じた春猿のナレーションも、今年はスムーズに入ってきた。
ディーヴァ中村中は一年でぐっと余裕が出た感じ。表情が柔らかくなり、表現力が豊かになってきた。ただ、去年の緊張感ある歌唱のほうが新鮮ではあったかな。

さて、ご贔屓段治郎ですが、うーん。
おもだかチームのなかではただ一人、去年のほうがよかったかも。なんつか、若々しさがちょっと足りなかったかな?
「やっちゃいますよ、オレ」も、いかにも「やっちゃいそう」に聞こえたし。ははは。
相手の高橋かおりがすごくよかっただけに(ちょっと不幸でちょっと悪い女を演じさせると、絶品ですなこの人)、ちょっと残念。
もう一人の宝生さん(もう名前出しちゃうぞ)は、一年なにをしてたの?といいたいほどの相変わらずの棒読みっぷり。芸達者のなかで、たった一人異彩を放ってました。

去年より、スライドを多用して、具象性を加えてましたが、あたしは去年くらいのヴィジュアルで、想像力を駆使させてくれたほうがよかった。
とくに右近と春猿のリーディングにはそれだけの力があったと思うので。

去年の例で行くと、下町日和が定番で、苫小牧をめぐるもうひとつのストーリーが毎年変わる?
来週やるミッシングピースがそれにあたるのかな?
去年の新作、優雅な秘密はあれれれ?の出来だっただけに来週がちょっと不安ですが。