laisser faire,laisser passer

人生は壮大なヒマつぶし。
楽しく気楽につぶして生きてます。

日本語の甘い罠

2016-04-27 | cinema

最高の花婿見てきました。

数年前、台湾に行く飛行機の中で見たこの映画。
機内映画としてはかなり気に入ったので、日本に来たら是非再見しようと思っていたのでした。とはいえ、アメリカでは上映禁止になったという噂も知り、差別的会話もかなりどぎつかったので、日本でも難しいのかなあ・・・とほぼわすれかけていた今さら(この映画2013年制作です!)、ひっそりと上映されているのを知ってあわてて出かけました。

大体のあらすじは前回書いたので知りたい方はこちら、或いは映画のHPでw

そのときはフランス語&英語の字幕しかなかったので、理解しきれなかった部分を日本語字幕で!と思っていたのですが。

いやあ甘かった。いや甘いというか、読みが間違っていました。

日本語の字幕って、たぶん世界一無難というかいい加減wというか。
差別的な内容なんてきちんと訳してくれるはず、なかったのですよね。
前回一生懸命聞き取っていたから家族のカオスを「FUKUSHIMA」と表現してたのも気づいたのだけれど、
楽ちん日本語字幕を追っていたら、まったく聞き取れなかったw
というわけで、どこがアメリカさんの逆鱗に触れたのかとか、どの民族に対していちばん過激なのか、とか微妙なニュアンスは、前回よりももっとわかりませんでしたとさ。

やっぱりブンガクも映画も、本当は他人様(翻訳者)の世話にならずに直接触れないと、なんだなあ・・・だけどそんなこと言い出したら世界に何百とある言語すべてに精通しなきゃいけなくなるし。
うーん。字数制限とか差別表現規制とかいろいろあるんだろうけど、日本語字幕翻訳者さん、もう少しニュアンスある表現をお願いできないものでしょうか。

フランス語ヴァージョンを見たときに感じた「おかしさ」の部分はかなり伝わったと思うのだけれど、「毒」の部分はもう、薄められるだけ薄めてみました、って感じちゃったのだけれども。これが意図的なものなのか。そうじゃないのかはあえて詮索しませんが、日本公開まで3年かかってる、というところになんらかの「意味」は感じてしまったりもするのです。

…なんて突込み好きだからいろいろ書きましたが、毒が薄まっていても、それなりに楽しい、ちょっとだけ考えさせられる成功した映画であることに変わりはなかったです。
あちこちにものすごーく嫌味で差別的表現がちりばめられていても、映画全体を貫く「人間肯定」のトーンがしっかりしてるからこそ、後味のいい、いや、ある意味よすぎる映画となったのだと思います。

ちなみに、後味悪い映画が好きなワタクシ、一度見ているにも関わらず、ラストにもう一ひねりあって、後味悪くなるような記憶補填がされていましたの。
残念ながら、とってもとっても後味のいい、フランス映画らしからぬエンディングでありました。

ま、途中たくさんビターだから最後はスィーテストでもいいのか。


遠くの三階より近くの一階

2016-04-26 | kabuki a Tokio

当たり前じゃんと言うべからず。まあ当たり前なんですがw例外もあるってことなんです、の明治座夜の部楽。

浮かれ心中

こんなのいらない!という根本的な感想は変わらないんですがw
それこそタイトルどおり、一階前方で見たら、いろいろ伝わってくるものがあって、それなりに楽しめました。
ま、一階前方じゃなきゃ伝わらないって時点でたいしたことないとは思うんだけどね(あくまで毒づく)。

軽い芝居だからこそ、の楽スペシャルお楽しみ。
勘ちゃんや亀蔵さんが地味にあちこちでやってたけど、すべて吹っ飛ぶくらいびっくりしたのが、萬太郎。
兄に?勘ちゃんに?菊ちゃん・・・はないなw、楽だから開き直ってなんかやれ、とそそのかされたのだろうか。
棚作りの大工の場面でいきなり、ドラミング。ご、ゴリラ?と思いきや、ワンワン鳴いてるしw
ゴリラ犬のまま、どすんと二重の上に飛び乗り、兄と亀三郎を引かせる引かせる。
兄はそのまま爆笑してましたけど。
客席も、あまりのことにどう反応してよいか、一瞬凍りついてから、やさしい人は笑ってましたw
私も一応笑ったけど、あの笑いはなんだったのかな?冷笑?www
今月本当に手も足も出ない役回りで、ストレスたまってたのか、それにしてもあの役どころで、開き直ってのギャグ。しかも不器用wどうなんだろう?

大詰めの栄次郎殺しのときの表情が、今月いちばんよかっただけに(本当に必死の殺意が見えた)、なんであんなことやったんだろう、といささか残念に思ったのも事実。マンちゃんじゃなければ、激怒してたwww

とりあえず「戯作者のサガと、そのなれの果て」というテーマ感は、至近距離の客(ワタクシ)には伝わったから、ひと月やっただけのことはあったのかも。と最後まであまり好意的にはなれないのでした。

 

予定ではここまでで帰ろうかと思ってたのだけど、ちょいと出来がいいのでご機嫌になり。ワイン一杯飲んだら
「家に帰るがイヤになった~」

で、

 

ニ人椀久

 

これがね~

前で見たら、綺麗な顔だけ見ればいいからそれなりに楽しいか、と思ったのだけれど。

あんまり息があってないのが見えてしまったり、
椀久の物狂いがイマイチ見えなかったり(至近距離なのに)。
初日には富十郎の面影を感じられた菊椀久、楽はなんだかすごーく淡々としてた。

実は三回見たなかで(うち一回はほぼ寝ていた)、いちばん感心しなかったのですよね。

伝わるものが多いということはアラも見えやすいということでもあるのですね。

うーん。ちょいと残念。

 



 


びみょーなまま

2016-04-22 | kabuki a Tokio

明治座昼の部、2度目にしてたぶん(いや絶対)最後。

最近恒例の一部割愛。本日は葛の葉欠席にて。一度見れば十分なのだ。

末広がり

とにかく、勘九郎の春風駘蕩たる馥郁とした踊りを堪能。
あともう少しふんわりとした色気があれば完璧。
ご愛嬌の玉ころがしwが、初回よりずっと上達していた。このまま続ければ海老一染九せ郎襲名も夢じゃない?w

鶴松・亀蔵は安定。
感心したのが国生。かたさが取れて、いい感じの踊り手になってきた。

ま、楽しい踊りなんでどうこう言いたくないけれど、昼夜通じて明治座でこれが一番っていうのがどうにももったいなくてねぇ・・・

 

油地獄

 

こちらも本音を言えば一度見れば十分。だったのだけれど、一応勉強家菊之助だから、何か工夫が見られるかも、と思ったのだけれど。

今月明治座の手も足も出ないシリーズ筆頭が萬太郎の大工だとすれば、ナンバー2は菊ちゃんだったね。

こっちのほうがちっとも悪くない分、悪質かも。むしろ声・品格・年齢・すべてが与兵衛をやるには「良すぎる」とも言えるw。
台詞はあちこち、はっとするほど仁左衛門写し。つまり、よーくお勉強してるな、ということは分かる。
だからこそ、違和感が際立つ、というのが残念ポイントの困ったところ。

ま、記念受験じゃなくて記念上演だと思えば、菊ちゃんと菊ちゃんファンはいいのかもしれないけどさ。

全体の不満感のもう一つの大きな要因が、橘三郎と吉弥の父母。
どちらも巧い役者だし、吉弥さんは基本大好きなのだけれど、なんというか情が薄くて、どうにも入り込めなかった。
吉弥って上方女形なのにクールな持ち味で、そこが好きだったのだけれど、この役には裏目に出てしまった。
竹三郎や秀太郎と比べてもしょうがないけれど、とにかく、父母の愁嘆場で一ミリも感情が動かなかったのは初めてです。


この芝居の二大柱は与兵衛のくずっぷりと、父母の哀れな情だと思うのだけれど、どちらもダメじゃ、もう他がどう頑張ろうが面白くなるはずがない。

七之助のお吉は初回に比べてあっさり。このあっさりぶりは七之助っぽくて、嫌いじゃないんだけれど、他がこってりしてないと引き立たないし。

せっかくの三人全員登場の芝居、他に何かなかったのかなあ。(いや、いっぱいあるぞ、の反語w)。


いろいろ、楽しい

2016-04-19 | kabukiza

特にどうということはないのですがw小さな楽しみがちりばめられた、そんな歌舞伎座昼の部でした。

ゆる~い、ゆるすぎる気分で。ゆるすぎて、遅刻しましたw
三番叟半分以上終わってたので、途中入場は控えて二つ目の演目から。

不知火検校

数年前に見た記憶が。

主要座組もたぶんほぼ同じ?
魁春さんとか孝太郎とか、印象的な女形さんについては確信があるのだけれど、なぜか立役については記憶が薄いw

それだけ、主役の悪の華wが立ってたってことなのかしら。
わたしの玉ちゃんが幸四郎さんの少年時代ってのも同じだけど、前回は子供の声だったのが、すっかり声変わりしていて。
芝居は子役芝居で、声が大人の声って、なんかとても違和感。ただの下手な若い役者に見えてしまう。まさかただの下手な若い役者になっちゃったわけじゃないと思いたい。ま、数年後大人になって戻ってくるのを楽しみに。声だけじゃなくて背もちょっぴりw伸びてたのは嬉しい。永遠の小学五年生なのかと思ってたから。

座頭がとんでもない悪者っていうので、井上ひさしの薮原検校をどうしても思い浮かべちゃうわけだけど、
「歌舞伎」であるせいか、リアルなエログロが描かれない分、お茶の間向きというかw客席で安心して寝られるというかwww

寝てる人多かったなあ。客電消えて実際安眠環境ってのもあると思うけど。
そんな中、やっぱり幸四郎の存在感は凄い。

大詰めのへこたれない「悪」っぷり、これ今できる人、息子も含めて誰もいないだろうなあ。

 

身替座禅

 

不知火検校でかなり、満足したし、ニザさんの松羽目物ってちっとも惹かれないので、帰っちゃおうかと思ったのだけどw遅刻早退ってのも不良みたいだしwと思ってとりあえず居残ってみた。

いや~残ってよかったです。

 

特に目覚しい出来だったというわけではなくて。ニザさん右京は、通常運転の顔(のみ)で芝居する、愛嬌たっぷりヴァージョンで、ニザさまかわいい!というレベルでは大成功。
後半、踊りで見せる場面は不問に付すw
とはいえ、息切れが三階まで伝わるようなのはどうかと思いますが。
無理スンナおじいちゃん、と思ってしまった・・・
左團次玉の井も、やりすぎず、(彼の場合、見た目だけで十分存在感あるから)、いい感じでした。

素晴らしかったのが太郎冠者の又五郎。
唯一踊れるwww主要登場人物で、松羽目物に必要とされると私が思う

1.品格
2.愛嬌
3.所作の美しさ

を完璧に備えている。
たぶん今まで見たすべての身替座禅の中の、ベストオブ太郎冠者。


千枝小枝の米吉児太郎も綺麗で、ここでもコタ見られると思ってなかったので嬉しかった。

そして何よりのビッグサプライズが、

 

さとぴー後見!

 

又五郎さんに後見がいなかった(珍しいよね?)ので、太郎冠者と玉の井の後見を一人で兼ねる大活躍。
八面六臂の活躍のあまり、所作板の上で滑ったりwしてましたけど、顔に出さないクールさがやっぱり素敵。
そういえば素顔のさとぴーを見たのも数年ぶりのような気が致します。
もう50過ぎてるのよねぇたぶん。そしてもはやさとぴーですらないのよね。

名前変わってもすぐなじめる役者さんもいるけれど、段ちゃんとさとぴーは私にとって永遠に段ちゃんとさとぴーなのだ。要するに思い入れが強いってことかw

 

はい、身替座禅後半はほぼほぼワタクシの目はさとぴーカメラだったので、ニザさんの息切れも見てみぬ振りできたんだと思います。

番外。

舞台写真を見にいって、そういえば京蔵さんご活躍だったから京蔵ファンさんのためにチェックしていたら・・・
なんとなんと、京純くんの忍びの写真が!
京蔵さんは名題さんだから舞台写真でお見かけすることもあるのだけれど、まだ三階さんの純くんの単独写真は初めて!

カラミの忍びという特別な役だから?ニザ様のお許しが出た?
ニザ様なのか松竹さんなのか、旦那の雀右衛門さんなのか、とにかくありがとう!
ワタクシは、無駄遣いしてしまいましたけどねw
(夜の部の感想の頁に、こっそり純くん忍びアップしました。こっそりご覧ください)

 

 

あー本当にいろいろ楽しかったw

 

 


なぜ、つまらないのか

2016-04-15 | kabuki a Tokio

明治座夜の部二度目です。ま、そのうちに何か書くでしょう。

 

…と思ったけど、別に分析するほどのこともないや。浮かれ心中何百回見ても、どんだけ役者が熱演しても、
たぶん私には一生響かない。

どこかで誰かが書いていたのを読んだんだけど、原作自体が今の時代には響かなくなってるってのもあるかも。
茶番は本気にかなわない→本気で茶番をやれば、本気に勝つ事だってありうる、みたいな逆説的真実、
もう日常的に茶番が本気に勝っちゃってるような時代には通用しないのかも。

 

なんて理屈を書いてみようかと思ったんだけど。(ちょっと書いちゃったw)

 

ま、分析するほどでもない。うん。
ワタシはこの芝居が好きじゃないです。

 

で、チュウ乗りお迎えの変な席取っちゃったので、前回とても気に入った椀久の出も見られなかったから

ニ人椀久については何もいうことありません、っていうことで。七は極まり極まりは綺麗なのに、どうしていきなりドタドタ「歩く」んだろう?永遠の謎だわ

 

あ、そうそう。

こんなのばっかりなら、もう勘ちゃんのファンもやめてもいいかな・・・と思ってた矢先、勘ちゃんが夢に出てきました。
しかもとてもやさしいオットという役割でw

というわけで勘ちゃんに引き止められた気がするので(違 もう少しファンは続けるつもりです。ははは。はは。


くうかい、くわないかい

2016-04-08 | kabukiza

すみません。とりあえずオヤジギャグでお茶を濁してみた。毛谷村はなかなかよかったです、の歌舞伎座夜の部。

まずは

毛谷村

 

…って?

今月夜の部は染ちゃんの新作!と思い込んでたので。
いきなりどこかの峠みたいな設定でえらい地味な幕開きやなあ。新作ぽくないなあ、と思ってたら
ニザ様の六助とか出てくるし、どうも展開が毛谷村っぽい。
なかなか分からなかったのはいつも六助さんちから始まるのに、前段がくっついてたからなのよ、と言い訳。
いやーびっくらした。と同時に、なんだよ、毛谷村なら六助スカート着てきたのに!と。
この柄。六助の衣装に似てません?

というわけで、サプライズプレゼントw、楽しかったです。
六助という役、とにかく機嫌のいい役者にやってもらいたいので、実は播磨屋のはあまり好きじゃない。菊五郎さんもこないだやってたけど、ちょいとちっちゃすぎて、体重じゃなくなんとなく軽い。
実は團十郎の六助とかかなり好きだったのですが。
ニザ様六助も、若い頃だとイケメンすぎたんだろうけど、今は程よくゆるんできて、なんだかとってもいいじゃないですか。
なにより、お園の孝太郎が。
女丈夫のときより、女房さんになってから、妙にかわいい。色っぽい。
そして、立ち回りながらのクドキが素晴らしい。
立ち回りの忍び、ご贔屓京純くんだったのも嬉しかった。ふくらはぎの筋肉、ブラボーでした。
弾正歌六、後室東蔵はいうまでもなく、久しぶりにさとぴーも見られて、なんだかものすごーく得した気になったのでした。

 後日談。

なんと舞台写真で純くんのしのびが!
すごーく得した、のか、500円損したのかw知りませんが、頭を垂れて購入しました。だってだって、このふくらはぎ!鍛え抜かれた筋肉、本当綺麗。

空海がなんとかかんとか

例によって外題ちゃんと調べる気がないんで失礼。

得しちゃって気持ちよくなってたんだけど・・・なってたんだけど・・・

うーん。

ここ最近みた新作の中では1,2を争う駄作かなあ。
猿ちゃんの仏師スーパーと最下位争い繰り広げてますって感じ。
陰陽師の劣化版ともいえる。

劇中劇というか、長恨歌の世界を説明する役割の娘義太夫のくだり「だけ」が目覚しく楽しかった。
京蔵と芝のぶにまたしても大ブラボー(ブラビー)。

空海と逸勢が全体の狂言回しになってる構成は陰陽師と同じなのだけれど、陰陽師のときよりもっと主人公(たち)の影が薄い。まあ中国人役の脇筋役者たち(歌六・又五郎・雀右衛門)の貫録勝ちという気もするけれど。
陰陽師のとき、ほぼ30-40代の御曹司だけで成立させていた世界に10代と60代がはいったことで、逆にバランスが崩れちゃったのかなあ、という気もしました。
超若手の中では児太郎が圧倒的によかった。なんなんだあの妖気は。
児太郎、ひょっとすると福ちゃんを超える恐ろしい子、かもしれない。


あと、膨大な世界を整理しきれてない脚本ももったいない。
空海がまったく偉大に見えてこないのも、全体としてはどうなんだろう?

…面白かったら後半もう一度見てみようと思ったんですが、もういいですw

京蔵と芝のぶ(と功一)のファンなら何度でも見たいでしょうけれど。

 

というわけで、くうかい、くわないかい。

「ワタクシはくわない!」

 

三階ロビーがめちゃめちゃインターナショナルというかカオスでした。

英語とフランス語は最近よく聞くんだけど、タイ語と中国語が聞こえてきたのは初めてのような・・・
なんで?と思ったらきっと、おそらく、空海なんとかの舞台が中国だから?なのかな?
私も外国で何か見てみようと思ったときに日本が舞台になってる芝居があったら見ちゃうかも。

ってことで松竹さん、ある意味この企画成功だったのかもしれません!


はじめてのどいちゅおぺら

2016-04-07 | spectacles

じーくふりーと

みてきまちた。おもちろかったよ!

 

ジークフリート(ニーベルングの指環第三部)

 

歌舞伎にはまる前の一時期、かなりオペラを見ていたのだけれど、イタリア・フランスに偏っていて。
英語大嫌い、はリアル知り合いならよくご存知だと思うのだけれど、実はドイツ語も(音が)好きじゃない。
ので、ワーグナーとか興味なくはないのだけれど、金出してみる気が起きなかったのです。

で、今回も金は出してないw
知人からの席埋め要員依頼。ま、暇だからタダならいっか。もぎりだけ通過して出席証明したら、つまらなかったら途中で帰ればいいや、的な軽い気持ちで。
例によってなんの予習もせず、というかオペラだから見れば分かると思ってたら、当日になって演奏会形式だと知って、かなり不安も募ったりもしたのだけれど。

いや~

 

いや~

 

面白いじゃないか。

ジークフリートとかワルキューレとか、そういえばゲームの主人公にいがちな名前だなあと思ってたんだけど、特に前半。これ、まんまドラクエの世界観じゃないですか!
てかワーグナーの世界観をドラクエがぱくったのか?いやオマージュしたんですよね、順番的にはw

ドラゴンラスボスを少年が退治する話だ!と誤解してた前半は本当に面白かった。
下賎な小人とはいえ、育ての親を軽蔑してあざ笑うクズみたいなジークフリート。育ての親は親で善人じゃなくて、ジークフリートを利用していろいろたくらんでるらしいし。
魔剣、炎に包まれた岩山、主人公を導く小鳥たち、そして岩山に幽閉されたお姫様。いやあ楽しい。

ラストがなんかちょい哲学的になって、ワタクシのイメージしていたドイツオペラっぽかったので、いささか不安は残ったりもするのですが、ジークフリートを含む大作、ニーベルングの指環がこういう雰囲気なら、全部見てみたいもんだ、と一瞬思ってしまった。今はそうでもないけど(爆)。

そして大嫌いだったドイツ語、音楽に乗せると、嫌いな破裂音が気にならなくて、むしろ美しい。
ドイツ語習おうかと一瞬思ってしまった。今はまったく思わないけど(爆2)。

イタリアオペラだってそんなに数見てるわけじゃないのだけれど、私が見ていたイタリアオペラと圧倒的に違う、と感じたのが音楽と台詞の量の多さ。
オケはずーーーーーーーーっと演奏しっぱなし。
曲と曲の合間というものがほとんどない。
そして「アリア」的な独立した詠唱が皆無、とは言わないまでも本当に少ない。
つまり、歌い手もずーーーーーっとレチタティーボ的に語りっぱなし。
台詞の量的には歌舞伎の竹本と素浄瑠璃の量の差くらいあるんじゃ(と、どうしても自分のフィールドに引きずり込みたいワタクシ)。

こりゃ、オケの人も、歌い手さんも、めっちゃ体力いるわ。
指揮者のおじいちゃん(70代後半!)なんて後半、指揮台から降りるときよろよろしてたもん。よーがんばらはった!

で、ただなのにw歌い手さんたちもほとんどがとても良質かつ元気で!
ジークフリート役のアンドレアスなんとかさん、若い頃のクズ少年がとても良かった。
ミーメ(小人)役のちっちゃいおっさんも素晴らしかったし、小人のお兄さん役の人、幽閉されたお姫様役の人もそれぞれとても良かった。
ま、ちょっと???だった人もいるけれど、主要登場人物のほとんどが素晴らしかったので、楽しいRPGを圧倒的な音楽で、本当に、娯楽として楽しめました。

アンドレアスなんとかさん、ずーーーっと誰かに似てると思ってたのだけどこの写真見て解決。

ジーコ。

似てません?

 

結果的にこの日の演奏会形式ジークフリートは、すっごく楽しかった!のだけれど、今後金出して、ニーベルング・・・のほかのパートを見るか、といわれると・・・うーん・オペラ高いしなあ。
今回も後半はちょいと退屈だったしなあ。

もう一回どなたかドイツオペラ(出来ればニーベルングのほかのパート)のただ券くださいませんかねぇ。
ニ度続けて面白ければ、投資する勇気がでるのですけれど・・・

 

とりあえず、知識ゼロのまま感想を書いたので、これからちょいとニーベルングとかワーグナーとかドイツオペラについてwikiって見てからゆっくり考えよう。うん、そうしよう(たぶん何もしないのだった・・・)

 


筆・鞠・油

2016-04-04 | kabuki en dehors de Tokio

明治座昼の部見てきました。

筆・こと葛の葉

 

よかったところ

七之助の狐文字。悪筆で有名な中村屋のなかではいちばん上手なんじゃ?w
七之助が狐に似てるところ。
梅枝がまあ巧い巧い。巧すぎてこの人の葛の葉見たくなった。

悪かったところ

七之助の子供への愛、梅枝の葛の葉への愛、がともにちっとも感じられなかった。

…ので、結果とってもつまらなかった。

 

鞠・こと末広がり

自分で鞠という字をチョイスしておきながら、コウジと読んでしまうw
まり、です。まり。
高坏のアレンジ版みたいな、たわいもない話。
高坏と間違えた下駄でのアクロバットダンスwが見所の高坏と比較するなら
タイトルは傘とすべきなのだけれど、印象的だったのがお嬢様へのお土産に選んだ手毬。
おじょうさまと太郎冠者が二人で鞠をつきながら踊るくだりがいちばん好き。
踊る勘九郎の周りにはふわっと春風が吹くのだなあ、これが本当に不思議。
それに引けをとらずにふんわり踊る鶴松がまた素晴らしい。
正直踊りの相手はこれからずっと弟じゃなくて鶴松のほうがいいんじゃないか?

高坏のタップにあたる?傘と鞠の「いつもより余計に回しております~」ダンスは、勘ちゃんあまり器用じゃないし、つまらなかったけど、鞠歌の踊りを見られただけでワタクシ的には十分満足。
でも満足できる勘九郎の出し物が昼夜通じてこれだけどはねぇ・・・コスパ悪すぎ。

 

油・こと女殺油地獄

これまたストレートすぎますが。

うーん。

タイトル考えるほどの熱ももてなかった。その程度の出来だったということで。

菊之助はなんでもやりたがりすぎ。どう見たって不良息子にも、理不尽な殺人する人にも見えない。
そして暗闇に浮かび上がる白塗りの顔が、でか過ぎてなんかちょうちんみたい。綺麗なひとだけど、与兵衛ではない。絶対にない。

七之助は昼夜の中でお吉がいちばん。
無自覚なおせっかいの美しい人妻っていう感じがとてもいい具合に出てきた。

実は菊之助があまり・・・なので、萬太郎の殿様まで必死で起きていてその後寝ちゃったのだw
なので河内屋店先の新悟くんとか一切記憶にないwごめんなさいよ。
殺し場、油で滑るときに笑いが沸くと、いつもは殺意が起きるのだけれど、このくらいの芝居なら
笑っちゃうのもしょうがないか、と妙に納得してしまったり。

いやあ、苦痛な長帳場でした・・・

 

ってことで昼夜通していちばんだったのが

軽ーい踊りの末広がりというなんだかなあ、の結果。
葛の葉と浮かれ心中にはまだ良くなる要素がありそうなのでもう一回は見てみようかなあと思いますが・・・


茶番は本気にかなわねぇ?

2016-04-02 | kabuki a Tokio

明治座花形歌舞伎夜の部初日見てきました。

浮かれ心中

菊之助と勘九郎が唯一がっつり組む演目がこれって・・

もう嘆きや怒りを通り越して笑うしかない。

勘三郎の残した作品を継いで行かなければ、というのも分かるけれど、最近恵まれない古典歌舞伎をやる機会、しかも古典がしっかりしていて、相性もいい菊之助と共演するのも珍しいというのに・・・

劇中パロディっぽく登場する籠釣瓶もじりの寸劇中に勘九郎が「さのじろ、やりたいねぇ!」といれごと台詞言うのは、本音、というだけじゃなくて軽い抗議に聞こえてしまったw
菊之助の八ツ橋で、さのじろ、やらせてやりたいねぇ!!!

まあ、この芝居もただ軽いだけではなく、表現における虚と実wという、それなりに重いテーマを抱えているんだけど、そのテーマがちっとも浮き上がってこない。
初日で全体にふわふわしていて手探りってこともあるだろうし、なによりブログのタイトルにした
部分。。。茶番(若旦那と花魁の茶番心中)が本気(間夫の大工)にかなわない、というのが、ちっとも説得力を持たない。
大好きな萬太郎なのだけれど、こればっかりは歯が立たない、というかこんな役やらせるほうが悪いw
間夫としての引け目、屈折、嫉妬、その裏にある花魁への愛情・執着・・・そして、花魁を夢中にさせるだけの色気、うーん。今の萬ちゃんにはどうしたって荷が重過ぎる。勘三郎の浮かれ心中では橋之助がやってた役だよねぇ、これ。
いっそ七之助がやっても面白かったんじゃないか。

主役の勘九郎。これまた悪くはいいたくないし、別に悪くはないのだけれど、ちょっとした間や軽いなりに出ている味など、これまたしょうがないけど、父親には百歩足りない感じ。作品によっては父親にはない味をプラスしてくる工夫のできる役者だけに、これは後半また見るときに期待しておきたい。

菊之助は軽い役を楽しそうにやっていて、なかなかなだけに、勘九郎も奮闘してもらいたい。

亀蔵。彦三郎あたりが出番は少ないけれど確実に場を締めてくれていて、花形とは確実に違う。

 

ま、楽にどれだけ仕上がっていても「こんなのじゃないのが見たかった」という感想に変動はないど思いますがw
「それなり」にでいいから満足したいものです。

 

ニ人椀久

 

そしてまたごねるのですが。
狂言立てが変えられないのならせめて、最初の演目を勘七で、こちらを勘菊で、と思ってしまうのですよ。
菊之助が松山じゃなくて椀久やりたかったんだろうねぇ・・・ふん。

…と見る前は反発しかなかったのですが。

花道の椀久の出を見て、見直した。

なんだ菊之助いいじゃん。

凄くいい椀久でした。
はかなくて、美しくて、凛々しくて・・・
最近見たどの椀久より踊りがしっかりしていて。

惜しむらくは七之助の松山が・・・まあこの踊りは松山は椀久ほど踊れなくてもいいと思っているので見過ごしますが。
綺麗なだけで5割増し。

二人揃ってやっしっしwじゃなくて、手踊りのところ、菊之助が、七之助を見ながら合わせてやってるのが見えてしまって、ちょい萎えましたが。
これ、今なら痩せてるし、勘ちゃんが松山で見たい!と思ってしまいました(内緒)。
もちろん最初は勘ちゃん椀久菊ちゃん松山、と思ってたのだけど、今の菊ちゃんは確かに松山には貫禄つきすぎだわなあ、いろんな意味で。

…ってことで私にとってh永遠に富十郎雀右衛門を超えるニ人椀久は現れないのかも、しれない。

 

ああ、つまんない。

 

 

 

 


今は、もう、春

2016-04-01 | la vie quotidienne

誰もいない川・・・

というわけで夜はえらいことになってるらしい目黒川。午前中はだーれもおらん。
えびぞーがいるかと思ったけど、えびぞーもおらんw

今年は京都にも奈良にもどこにも行く予定がない。
花見酒は、自分ちのベランダから、かなあ。