laisser faire,laisser passer

人生は壮大なヒマつぶし。
楽しく気楽につぶして生きてます。

_| ̄|○ ○| ̄|_

2006-09-29 | monologue

歌舞伎座からメールがきた。メルマガ登録してるから、不思議はない。

12月発表にしたら早いなあ、とぼーっと目を通して、我と我が目を疑ったのは、あたしだけじゃない、と思う。いや、信じる。以下メールのコピペ。


  「歌舞伎座メールマガジン」は、
  10月19日(木)配信号より
  名称と発行元が以下のように変わります。

  名称   : 「歌舞伎美人メールマガジン」
  発行元 : 松竹株式会社 歌舞伎美人編集部

  詳細は、随時お知らせいたしますので、
  これからもご愛顧よろしくお願いいたします。

あああああーた歌舞伎美人て。
歌舞伎ブスや歌舞伎ハンサム、歌舞伎爺の立場は??

ってそういうことじゃなくて、こういうネーミングをするセンスの会社に、歌舞伎が興行の命運を握られてるかと思うと、なんかお先真っ暗な気持ちになってくる。

「あたしってば歌舞伎美人だから、ぴったり!」って、この名称変更に違和感を持たないような、似非和の負け犬ばかりの歌舞伎になったら、あたしゃ、悲しい。
名称って、意味がないようで、実はすごく大切だよ。
昔の人はいいこといってる。「名は体を表わす

これから定期的に「歌舞伎美人」が我がPCに送り込まれてくるかと思うと、情けない気持ちになってくる・・・
歌舞伎座関係者もなんとか再考してくれないものだろうか。歌舞伎への冒涜とすら思える、最低のネーミングだよぉおおおおおお。   



文楽は江戸時代、男のAVだった?

2006-09-28 | monologue

歌舞伎でも特に丸本物(文楽を基にした歌舞伎)が好きだ。
太夫(竹本)さんの力をこめた語りや、太棹の強い響きが好きなことが第一の要因だが、ストーリーの中で、女上位というか、女性が男を口説きまくるという展開が多いのも、痛快でよかったりする。
最近見た丸本物でも、すし屋のお里、十種香の八重垣姫、貴賎を問わず積極的だし、丸本物の、代表的カップル、お軽勘平、お染久松、みんな女がリーダーシップを取ってるじゃないですか。
彼女たちを見ている限り、むしろ現代のカップルより、女性が強いというイメージすらある。江戸時代の女性はつつましいというイメージが、歌舞伎を見始めてずいぶん変わったものだった。

ところが、遅ればせながら、文楽を見始めて、あちこちのブログやサイトを見ていたら、どっかで(すみません覚えてません)
江戸時代、文楽の観客はほとんどが男性だった」という一節を目にしたのね。
歌舞伎は女性ファンも多かったが、なぜか文楽は男の社交場で、女性は入りにくい雰囲気だったらしい。

ここで、lavieはひらめきました。
文楽作品(もしくは歌舞伎の丸本物)に、女性が男性を口説きまくるシーンが多いのは、男性観客の願望の現われだったのでは?
もてないオタクくんが、文楽見て、美女(人形だけど)が男を口説きまくるシーンに我とわが身を重ねて、満足して帰るために、あの設定は考えられていたのでは?
現代のオタクくんたちが、AVで女性がフェ○チオしたり、文字通りの女性上位してくれる(お下品失礼!)のを観て、ささやかな満足に浸っているのと、同じような関係が、文楽の男性客と、台本設定にあったのではなかっただろうか・・・

これって、超初心者ゆえの妄想?

ところで、文楽で今はほとんど上演されることのない(今回もカットされていた)お軽勘平の濡れ場では、本当に勘平がお軽の裾に手をつっこんでまさぐっちゃうらしいです。
一度観てみたい。歌舞伎ではさすがにやばいだろうけど。
そういうシーンのあとだと

「色にふけったばっかりに」の名セリフが
別の意味で説得力を持ってきちゃうわけだが!


ひとりぼっちの勘太郎

2006-09-27 | kabuki en dehors de Tokio

勘三郎巡業楽日、名古屋平成中村座に行ってきました。
勘太郎不在の巡業、無駄遣いドサ廻りその3であります。
芝居の感想はもう書きません。はっきりいって飽きてるし。
そうそう、ダメダメ勘ノ丞さんが、過労で倒れたゲンザエモンさんの代役で
十種香の謙信をやっていたのだけど、押し出しもいいし、声も太いし、で意外なことに悪くなかったといことだけ書いておこう。

で、カンタです。名古屋には来ていたそうなんだけど、あたしは目撃できず。というかすれ違いで東京に帰っちゃったみたい。目撃談を聞きますと、普通に歩いて階段も昇ったり降りたりしていたらしいから、回復はしつつあるみたい。ただパパの口上は「正座がおぼつかない」
「正座ができない」から出世したといえば出世しましたけど、本当にこんなことで、あと
一月半後に激しい踊りが踊れるだろうか?もしできたとしても、完治状態でないのに無理はたたらないんだろうか?

ってことで、タイトル。
地方興行にはのぼりがつきもので、出演役者さんののぼりが小屋の周りにはためいているのですね。もちろんそこには勘太郎ののぼりはない。
いままでの巡業でも勘太郎ののぼりは一度もみかけなかった。
だけど、今回、巡業大楽だから、なのか、勘太郎自身が名古屋まで来たからなのか、単なる偶然なのか、とにかく勘太郎のぼりを発見したのです。

もちろん出演者ののぼりと一緒の場所ではなく、別の場所にたくさん立っていた「平成中村座」ののぼりの中にひとつだけ隠れるように「中村勘太郎丈」ののぼりが!
見つけたときは正直興奮して涙が出そうになりました。
嬉しいようなさびしいような。ありがたいような、迷惑なような。
なんとも表現しにくい複雑な気持ちでしたよ。こんな感じ。

はい、もちろん一緒に写真は撮ってきました。のぼり単体も撮ったのでアップしようとしたら、新しいカメラの設定が間違っていて容量オーバーでアップできません。圧縮とやらしてみたのだけど、やっぱりできない。

追記
コメント欄に見られるような試行錯誤?の結果、一応アップできました。
遠くから望遠で取ったので、ひとりぼっちぶりがまったく表現できてませんが・・・

ひとりぼっちのカンタのぼり、早くみんなののぼりと一緒に掲げられますように!


秀山祭九月歌舞伎座昼の部二回目

2006-09-25 | kabukiza

二回目の昼の部。

とりあえず感じたことをメモで。後日まとめなおすかどうかは未定。

染五郎の踊りは七之助に似ている。
身体能力抜群。
技巧OK。外見OK。では何が足りないのか。

寺子屋。芝翫が浮いている。
幸四郎と芝居の質が違いすぎ。
全体にはとてもよかった。

 

個人的に今月のMVPをあげるなら

意外なことに芝雀。MVPというよりMIPかもしれないが。


視聴計画

2006-09-24 | agenda

秋の視聴計画
◎絶対見る○見たい△できれば

映画

トリノ24時からの恋人たち
ゆれる
以上二つは絶対に見ます。ゆれるはもう何ヶ月も見ようとしているのだが。
そろそろ空いたかな?

プラダを着た悪魔○(モデルになった編集者に興味アリ)
地下鉄に乗って○(近所の映画館に降りてくるまで待てるか?)
涙そうそう○(近所の映画館に降りてくるまで待ちます♪)
幸福のスケッチ△(近所の映画館には降りてこないだろう)
太陽△(イッセー尾形の怪演に興味ある)
ストロベリーショートケイクス△(ちいちゃん好きなんだよなあ)
薬指の標本△(日本文学をフランス人が作るとどうなるのか激しく不安&ちょっと興味)
なぜか、日本映画が多い。ハリウッド映画に興味がないと
こういう傾向になっちゃうのよね。

テレビ

CXは見たいドラマだらけ。
月9のだめカンタービレ
火9役者魂
火10僕の歩く道
木10Dr.コトー
TBSではひとつだけ。
金10セーラー服と機関銃
日テレテレ朝テレ東ではいまのところ特になし。

こんなに見たいテレビがあるクールは久しぶりだ。最後までいくつ残るでしょうか?
今期は結局最終回まで見たのは結婚できない男だけだった。


仮名手本忠臣蔵2部・3部

2006-09-24 | spectacles

本当はこういうイベント付きだったんだけど、一緒にいく友人が、時間的に難しいということで、あたしも一緒にイベントはパス。で、ゆっくりランチしてたら、二部の開演にまで遅刻してしまいました。
まあ、二部は二回目だったのであたし的には無問題。
しかもしかも…二度目の油断か退屈か、はたまた満腹がたたったか、5,6段目の70パーセントは爆睡してしまったとな。
まあ、二部は二回目だったのであたし的には無問題×2
というわけで、二部の感想はなしです。

義太夫が圧倒的だったのが三部。思わずぱっちりお目目が醒めましたですよ。人間国宝のおじいちゃん(住大夫さんですね)のど迫力、国宝目前(なのか?)の咲大夫(咲甫さんのおっしょさん)の芝居力。いやあ山科閑居すごかった。九段目前段の咲甫さんも、若々しくて正確で、なかなかよかった。
九段目は圧倒的に義太夫を聞く段ですね。
人形遣いさんも頑張っていたけど、閑居の狭苦しい座敷に3×5人も入ってくると狭苦しくて、さすがに人形だけに集中できなかった。

九段目付記
個人的に二年くらい前に歌舞伎座でみた勘九郎(当時)と玉三郎のお石と戸無瀬コンビが圧倒的で、九段目は女性上位の印象があったんですが、意外と加古川本蔵と由良之助の男同士ドラマでもあったのですね。役者の存在感で、狂言の印象が大きく違ってくるのが、歌舞伎の特徴でもあると思いました(ちなみに歌舞伎で見たときは団十郎と幸四郎がそれぞれの役をやっていた)。

大詰めの花水橋勢ぞろいでも、当たり前とはいいながら、47人はいないわけで(狭くて入らない)、こういうところは歌舞伎の大舞台のほうが迫力があるなあ、と思いました。

超初心者が通しで見た感想としては、人形遣いの面白さを見るなら一部、物語を楽しむなら二部、義太夫に酔いたいなら三部がお勧め。ってもう今日で楽なのでなんの参考にもならないんですが。

本日の

勘平切腹にちなんで(笑)切腹最中をお土産に買ったのに、置き忘れてきた
切腹しろ、自分。

追記。本日未明、吉田玉男師が死去されたとのこと。
結局一度も見られませんでした…
歌舞伎役者さんが、楽から初日の間に葬式が出来るタイミングでなくなる、という謎は聞いたことがありますが、玉男師も、まさにそんな感じですね。
ある意味すばらしい大往生ではないでしょうか。


福助讃

2006-09-22 | kabukiza

結局夜の部も再見。一度目の感想はこちら。←の最後で予想したとおり、福ちゃん玉ちゃん見たい!の欲望に屈したのです。欲望を抑制してると、ストレス溜まるからねぇ

出先から回ったので菊畑は後半しか観られなかった。感想はパス。最前列で見たら芝雀さんの皆鶴姫はあんましかわいくなかった。芝雀さんは後列からの鑑賞向き、とメモメモ。

圧巻は籠釣瓶。歌舞伎チャンネルの中継がはいっていたせいかどうか、しらないが、吉右衛門の出来が前回と大きく違う。この人って、常に水準維持の役者さんかと思ってたら、けっこうムラがあるというのをはじめて知った。そういえば吉右衛門さんを一月に複数回見るのははじめてかも。
台詞回し、目力、所作、どれひとつとっても手抜き一切なし。さすがの芝居見せてもらいました
前回もよかった福助が、吉右衛門の芝居を受けて、ますますグレードアップ
高慢で狷介なだけじゃなくて、弱くてちょっとだけ投げやりな、福ちゃんならではの八ツ橋像が、ほぼ完成の域に達したという感じ。
愛想づかしの部分は、次郎左衛門に対する思いやりや、自分の置かれた環境へのあきらめににた達観まで感じさせる、稀代の名演といってもいいと思う。福ちゃんファンの贔屓目ではなく、昨日の一瞬はまさにそういうことを感じさせてくれた。
たった4年ではあるが、「好きなんだけどなんだかなあ」の芝居を見せられ続けてきた偏屈なファンにとっては最大のプレゼントだった。
あたしが生で見た福助のなかでは、絶対に最高のパフォーマンスだった。たぶん血圧下がってたと思う(あたしは興奮すると血圧が下がる異常体質)。

何よりこの人は立っているだけで哀れさをかもし出すのがいい。
声がなんとかなってくれれば怖いものなしなんだが。
しかし、日ごろ感じる声への不満も、愛想尽かしの場面では忘れていたわけで、圧倒的な空間の支配力の前では、小さな欠点などどうでもよくなってしまうということをつくづく思い知らされた。

ちなみにあたしは昨日最前列だったので、圧倒的に支配されやすい空間に位置していたことを付け加えておかずばなりますまい。この支配力が三階四階までつたわっていたかどうかは定かではありません。

そしてそして鬼さんたちの紅葉狩(勝手に改題)で、
待ってましたらぶりー玉ちゃんとの再会!上の写真見てね。
見得の極まりも、ますます進歩していて、おばちゃん大感激です。
ふとした所作が東蔵さんに似ていて、ああそうだ、この子は紫さんにも似ているかもしれない、と思い当たりました。紫さんといえば絶世の美女であると同時に稀代の踊り手だった方(過去形では怒られる?)ですよね。大伯母ちゃんの血を受け継いで、名優になれる?期待ちゃっていいかしらんらん。
とにかく、ラブリーさだけは維持しつつ、芸を磨いてくださいな。パパとおじいちゃん、どうぞよろしく。

今日のそっくりさん
玉ちゃんが東蔵さんに似ている←おじいちゃんだから当たり前。
歌昇さんが悪役の顔だと歌六さんに似ている←おにいちゃんだから当たり前。
だけど歌昇さん@治六が、どうしても加藤茶に見えてしまったのは謎です。


ブラジル映画祭

2006-09-19 | cinema

ひっそり開催中です。詳細はこちら

在日ブラジル人は多いだろうに、小さな会場で、ブラジル人もそんなに多いとは思えなかった。ニッケイは、見た目でわからないせいもあるかもしれないけど、こういう映画↓を観る層とはちょっと違うのかもしれない。

20本の映画のなかから、いちばんメジャーっぽい(HPで人気がありそうだった)『オルガ』を拝見。例によってなんの前知識もなく行ったので、あっけに取られました。ポルトガル語じゃなければ、ドイツ映画か東欧の映画だと思ったに違いない。

小雪舞い散るベルリンの風景・政治集会でのインターナショナル♪の合唱…画面はあくまでも(一部を除いて)地味で寒々しく・・・いやあ、当たり前っちゃ当たり前なんだけど、こういう映画を作るブラジル人もいるんだわなあ。

一応ものすごくあらっぽいあらすじ。
金持ちの家庭に育った政治少女(笑)オルガが、ブラジル人の左翼活動家と恋に落ち、子供を生み、夫は革命失敗で投獄、あげく本人はユダヤ人ゆえにドイツに強制送還・収容所で死亡。

ね、ブラジル映画じゃないみたいでしょ。

つまらない映画ではなかったが、秀作とは呼びがたい。なにより、映画の焦点がどこに当てられているのかがわからなかった。
政治的な要素も、コミュニスト活動を描く部分と、反ナチ的な部分とに焦点が分かれていて、どっちつかずだったし、かといって、一人の女性の人生をきちんと描けているかというと。。。革命!革命!と叫んでいたヒロインが恋に墜ち、子供を産むと同時に女の幸せを第一に考えるようにも見えてしまったしなあ。おもわず「ええか、それでええのんか、オルガはん!」となぜか関西弁で突っ込んでましたよあたし。もちろん心の中でですがね。
実話を下敷きにしたベストセラーの映画化ということで、ドラマ仕立てにするにはかえって不自然な部分があったのかもしれない。まさに事実は小説より奇なり、というか、事実は映画みたいに起承転結どおりには進まない、というか。

あと、最後まで納得できなかったのが、会話が終始ポルトガル語で行われていること。
途中でリスボンが出てきたので、主人公はユダヤ系ポルトガル人なのか、と納得しかかったのだが、どっかのブログで観たところによるとユダヤ系ドイツ人らしい。ドイツ人とすると、ドイツを背景に描いている前半(周囲も全部ドイツ人)の会話がすべてポルトガル語って・・・これがもし日本語だったら、絶対日本人は不自然に感じるよね。そこの部分はドイツ語で、字幕日本語にするよね?
中盤のブラジル舞台の部分はまだしも、前半ドイツ舞台ドイツ人設定・後半ナチ収容所での会話すべてがポルトガル語・・・絶対どうしても不自然だわ。
いまだにほとんどのロードショー館で吹き替え上映しちゃうお国柄(フランスとかイタリアでも最近までそうだったよね?)だから、こういうことに違和感を感じないのだろうか?ブラジル人にちょっと聞いてみたくなった。

ブラジル映画じゃないような画面・ドイツなのに全員ポルトガル語。
この2点が気になって、特に前半は画面に没頭できなかった。
いいことも書いておこう。
ヒロインを演じた女優さん(カミーラ・モルガード)は意思的で魅力的だった。
夫の母親を演じた女優さんもすごく理知的だったし、娘役の赤ちゃんwも
とても可愛くて、思わず泣かされた。全体として女優さんはみんなよかったなあ。

だけど、ブラジル通でもない一般ニッポン人としては、どうせならブラジルっぽい陽気なヤツがみたかったというのが本音でもあります。

今日のあたりまえなこと再確認

ニッポン人がみんなメガネをかけてカメラを持っていると限らないように、
フランス人がみんなベレーを被ってカフェオレ飲んでいると限らないように、
ブラジル人がみんなお陽気にサンバ踊っているわけでもないのですね。


お知らせ

2006-09-18 | la vie quotidienne

コメントがすぐ反映されるように設定を変えました。

ブログを始めて二ヶ月経ちますが、今の所防衛線を突破して入り込んだよそ者は、確認できませんので、ちょっと安心して、コメントがすぐ反映されるように致しました。今までとっても感じ悪くてごめんね

実は、皆様のコメントがあるのかどうか確認するにも、それに返答するための自分のコメントも、すべて一度編集画面に戻って作業しないといけないので、とても面倒臭かった、というのが設定を変えた動機だったりするのですが。

相変わらず歌舞伎のことがほとんどの、他人を省みない書きっぱなし状態ですが、お互い様ということで今後は、自由気ままに毒舌コメント、どうぞ。気に入らなければ削除しますから


好感度大!

2006-09-18 | la vie quotidienne

朝っぱらから、めったにならない家電話が鳴る。

出てみると、聞いたことのないなんか田舎のおばちゃんぽい声…間違い電話か、墓の売り込みか、と警戒してみた。

「エミサブ郎の後援会のものですけど…」

そうそう、エミサブさんの後援会(以前訪ねた明治座近辺の美濃地方にある)に、10月末の紫派舞踊会のチケットを頼んでいたんだったわ。なんだ、取れなかったのか?まあしょうがない、後援会員でもないんだから。

「○○日のチケットですけど、○列目の花外と、○○列めの中央だったらどっちがお好みでしょうかね。どっちもあんまりいい席じゃなくて申し訳ないんですけど」

えええええええええええ!
そんなこといちいち、会員でもない一見のあたくしに聞いてくださるんですかい!
で、恐縮しながら好みをお伝えすると

「私もそっちがをお勧めなんですけど、一応、お好みもありますのでねぇ」

・・・って、まさか頼んだ人ひとりひとりに電話をかけて、意向を聞いてからチケット配分してるのか?
もちろんあたしなんざ、最後の最後だろうけど、それでも「ご意向」聞いてくれただけで、大感激!
岐阜のおばちゃんぽいあの方、エミサブさんのお母様?お姉さま?おば様?
ちょっともたもたしてるけど、何より、お客のことを考えてくださる姿勢に、lavieカンゲキ!

なんだか、エミサブさん本人にまで好感を持ってしまった。


おもちろかった

2006-09-17 | spectacles

獅子虎阿吽堂vol3という伝統芸能公演に行ってきました。
能と歌舞伎の鳴り物をつかさどる亀井+田中三兄弟が企画プロデュースする歌舞伎と能の囃子方のコラボを主とする公演で、以前から興味はあったんですが、今年初観覧。
実は今年もパスしようと思ってた(でんざぶろーさんが不出演ということで)んだけど、うちのナンバー2こと段治郎と、春猿、その上昨年の三響会でほれぼれするような声を聞かせてくれた観世喜正さんがゲスト出演ということで急遽チケットを取った次第。

三兄弟ならぬ二兄弟はともかく(ともかくかい!)
だんじろさんと喜正さんを思いっきり堪能できましたよ。
だんじろさんはグリーン系、春猿さんはパープル系の袴姿。喜正さんはもちろん普通の(紋付)袴姿。
歌舞伎と能の所作と囃子というテーマだったのですが、喜正さんの謡曲井筒とか高砂、だんじろさんと春猿さんの名台詞シリーズ(弁天のツラネを二人で言い分けたり、ダンジロさんはほかに床下の男之助とか勧進帳の弁慶とか!)もうおなかいっぱい聞かせていただきましたよ。

ダンジロらーぶではあるものの、素顔はちょっとねぇ、のあたしとしては、拵えをした姿で見たかったけど、駄右衛門の台詞回しが仁左衛門さんを彷彿とさせたり、弁慶は海老蔵よりは巧いぞ、と思ったり…あはははは。
ああいうお立場ゆえ、本興行で見られることはなかなか難しいでしょうが、いつかどこかで、拵えした芝居のなかでお目にかかりたいです。

全体の雰囲気もなんかいい意味でゆるくって、またーりとした雰囲気が流れていました。三響会みたいに大きな小屋でぴんと張り詰めているのもいいけど、これもまたよかった。何よりいいのが、家から徒歩5分という小屋の立地!

来年もだんじろさんでないかなあああああああ

本日の懸念

傳左衛門さんのことをご兄弟がまったく言及しなかった。
都合で欠席なら、言うと思うんだけど。
浅草のカンタ不在のときなんて全員が挨拶でいってたもんなあ。
喧嘩別れなのか?だったら三響会もやらないよね?
身内だから、あえて触れなかったのかしら。


涙腺弱ってる

2006-09-15 | monologue

スカパーの歌舞伎チャンネルデジカメニュースという番組がありまして。松竹関連の宣伝兼ねたニュース速報?みたいなものなんですが。

今日までのニュースが、例の小市民的映画『出口のない海』の歌舞伎座での試写会だったのね。興味がないのでずっと見てなかったんだけど、偶然さっき見ちゃったの。

号泣しちゃいました。

海老蔵とはまったく関係なく。

共演(好演でした)の香川照之が、舞台挨拶のために歌舞伎座に来たんだけど、挨拶で「40にして初めて歌舞伎座の舞台に上がれた・・・」と紅潮した顔で言ってたの。

知ってる人は知ってることだけど、彼は市川猿之助の実子。世が世なら、澤瀉屋の御曹司として、活躍していたこと間違いなしなんだけど、両親の離婚その他の事情により、梨園から離れて育ったので、いまさら歌舞伎役者に戻ることはほぼ不可能。
そういう存在の彼が、目を潤ませながら言った上の一言、


そして何よりもその前の花道からの登場時、
役者が花道を登場する、というのに
前も客席も見ず、(ほかの役者はみんな前を見るか、客席に挨拶をしていた)
じっと 、一歩一歩確認するかのように、唇をかみしめながら、足 元 の 花 道 を 見 据 え な が ら 歩んできたあの表情を思い出すと

なんだかたまらなくなってむせび泣いちゃったんです・・・

なんなんだろう、これって。

母子もの(瞼の母とか?)を見てばあちゃんが泣いてるのと同じ感覚のような気がしないでもないでもない。
香川にとってはまさに「瞼の父」の戦場だった場所だからねぇ・・・。・゜・(ノД`)・゜・。

涙腺、確実にゆるんできてますなあ・・・



 

翌朝の感想

涙腺が緩んだのは年のせいもありますが、酒のせいもあるみたい。
どう考えても泣くほどのことじゃないわなあ。
しかも、香川ほどの狸が、「歌舞伎座に初めて立っている猿之助の息子の僕」を演じないとも思えない。そう考えると、あの表情は見事な演技だったわけで。
…してやられた、と思いつつ、してやられちゃった昨夜の酔っ払った自分のほうが
性格はいい、ような気もしたりするので、このまま文章は残しておくことにします。


九月歌舞伎座秀山祭昼の部

2006-09-15 | kabukiza

待望の昼の部。
期待はずれもあれば、期待以上のものもあった。絵文字で表わしてみたよ。

車引

よかった。
生では勘太郎・七之助・海老蔵ver.と猿弥・春猿・段治郎ver.を見たことがある。
映像では旧三之助と新三之助など見ている。
アンサンブルおよび芝居としての総合的完成度という点からは、今日のが一番だったように思う。
なにより、染五郎の松王が新鮮だった。今まで見た松王は、ほとんどが梅王に敵対することのみを主眼にしていたように見えたのに対し、染五郎松王は、敵対しつつも底に兄弟愛をきちんと感じさせた。台詞術のなせる業だろう。段治郎松王も、そういうにおいは感じさせたのだが、役者としての未熟さゆえ、そこまでいたらずに終わったという感じだった。
梅王の松緑も、最近の成長を感じさせるいい出来。勘太郎と比べるとどことなく落ち着きを感じさせる梅王だった。
桜丸の亀治郎、出の足取りを見たときは「すごい!」と思った。台詞なしなのはもちろん、笠を被って顔すら見えない状態なのに、歩き姿だけで100パーセント桜丸だったから。
逆にそれで期待しすぎたのか、全体としては可もなく不可もなく。
これは、あくまで亀治郎に対しての評価である。あたしが見た三人の桜丸のなかではぬきんでた技量の持ち主であることは間違いない。
鳴門太夫の竹本がすばらしかったことも付け加えておきたい。

若手三人のトリオはそれはそれでよかったのだが、自分が若手でしか車引を見ていないので、秀山祭だったら、吉右衛門梅王・幸四郎松王で見たかった。桜は今月の座組なら芝翫さん、無理なら魁春で。


引窓

すばらしかった!!!
本当に久しぶりに歌舞伎というものを堪能した。
すべての優が、本当にいい味を出し、その上で芝居として見事に板の上で調和していた。もう至福のひととき。
吉右衛門吉之丞もよかったが、なんといっても富十郎の濡髪と芝雀のお早に尽きる。富十郎がいいのはある程度予想できたが、芝雀、夜の部の皆鶴姫に引き続き絶好調。赤姫は当然として、女郎上がりの色香を匂わせつつ、貞淑な女房という難しい役をここまで愛らしく、けなげに演じられるとは、意外な拾い物をした思い。今後に注目したい。

業平小町・文屋(まあ予想通り)

小町の雀右衛門は、もはや元気で板の上にいるだけでありがたい存在になりつつある。こういう役者が認められるのも伝統芸能の世界の特殊性かもしれない。
業平役の梅玉は、歌右衛門の介護(失礼)が身についているから、じゃっきー介護も手馴れたものであった。
文屋。本来はもっと面白い踊りだと思うのだが、立役の腰元もおかし味が薄く、舞踊がずっと不調な染五郎が、夜よりはましだったとはいえ、まだまだ本来の調子ではなかった。


寺子屋

いや、別に悪くはなかったんだけど。勝手に期待しすぎたってことだと思う。
それぞれに熱演だったし、なんの文句もないんだけど、水準以上の興奮させてくれる要素があまりなかったかな・・・
いつもは「いろは送り」あたりでになってしまうのだが、今日は、なんと、千代の入りのあたりで墜ちてしまったので、泣かせどころを逃してしまったのもマイナス評価に繋がっている。芝翫@千代はとっても楽しみにしていたのに、なぜか芝翫さんの登場と同時に睡魔が・・・
寝ていたくせに偉そうなことはいえないが、芝翫さん、ちょっと元気なかった?
12月、カンタだけじゃなくて、芝翫爺も心配になってきたよ
幸四郎はよかった、と思う。寝ていたときのことはわからないが。
大落としの部分も、大げさすぎずに、彼のもつ具象力がいい方向に出たと思う。
吉右衛門はよくなかった。個人的に、源蔵役者によって、寺子屋の出来は決まると思っているので、余計辛口になるんだが。
「せまじきものは宮仕え」とか「よい子じゃ」の部分、なんだかエリートサラリーマンが仕方なく任務をこなしているように見えてしまって・・・。

寝ていた部分、特に芝翫さんの千代については、もう一度見るのでぜひリベンジしたいと思います。




 

 

 


オンライン試写会

2006-09-13 | cinema

…なるものがあるのを初めて知った。

たとえただでも、会場に赴く交通費すら惜しい程度の映画にはいいかもしれない。

まさにあたしにとって「その程度の映画」である『出口のない海』のyahooオンライン試写会、限定1000名ってのに応募したら当たっちゃった。たぶん全員当選じゃなかろうか。

きょうの0時から24時間オンデマンド方式で見られる。GYAOなんぞと違ってCMもなければ途中で停止や巻き戻しも自由自在。こりゃあいいや

今日は水曜日だから、本当は『ゆれる』を観にいくつもりだったんだけど、雨だし、寒いし、自宅映画鑑賞に切り替えました。

うーーーん。
なんだかなぁ。
ものっそい、地味な映画だった。悪い意味で。
すっげー!と褒めたくなるにしても、死ね!と貶したくなるにしても、なんらかの感情を揺さぶられる映画が後に残る作品だとしたら、これはもう、まったく後あと残らない、消化されて出たらおしまい、みたいな水のような作品ですね。

主演の海老蔵が、これまた地味。びっくりするほど下手なのか、好きになっちゃうほど魅力的なのか、と思っていたらどっちでもない。中途半端に若者軍団に埋もれていて、ワル目立ちはしてないんだが、逆に言えばまったく「華」を感じさせない
海老のダシガラみたいな感じ。
海老蔵と伊勢谷の二人の関係や、野球をあきらめるまでの海老蔵演じる並木の心理がきちんと描かれていない(二人の演技力に問題があるのかもしれないが)ので、主人公並木が回天乗務を志願するまでの心の綾が見えてこない。ヒロインの上野樹里がまったく魅力的じゃないのも、海老蔵と似合っていない(二人で歩いているところは親子のようだった)のも映画の魅力を半減させている。
脇役で三浦友和、香川照之、塩谷瞬がいい味を見せていたが、いかんせん数人の役者の力だけでは映画は魅力的にはなりえない。

海老蔵演じる主人公の台詞に
「オレは回天という存在を歴史に残し、後世に伝えるために死ぬんだ。それだけでいいんだ」
みたいなのがあったんだが、佐々部監督も
「この映画は、回天という存在を世間に知らしめるために作ったんだ。それだけでいいんだ」
というのだろうか。
少なくともあたしには、それ以上の存在意義がこの映画にあるとは思えなかった。

厖大な制作費と宣伝費を費やして、こんな地味でスケールが小さくて娯楽性のない(良心的だけがとりえのような)映画を作り上げた松竹さんになま温かく笑ってこういわせていただきます。
ヴォランティアかよ。

ただだから怒らないけどね。つか怒るほどの感情の起伏も得られなかったよ・・・

本日のベストショット

貶しっぱなしでもなんなので、唯一ほんのちょっと心を揺さぶられたシーン。
初めて訓練で回天に乗りこんだときの海老蔵の目の動きと、ボレロを口ずさむシーン。一瞬霊性みたいなものを感じさせた。
そのあと、操縦シーンになったら、引きこもりニートが、自分の部屋で戦闘ゲームやってる、みたいにしか見えなくなっちゃったんだけど・・・

 


文楽に目覚める

2006-09-11 | spectacles

カンタの留守中に伝統芸能浮気中。今月は文楽強化月間です。国立劇場での忠臣蔵通し、まずは一部と二部を観てきました。三部は後半に観る予定。
生で文楽を観るのはたぶん三回目くらいなんだけど、初めて本気でオモロイ!と思った。

一部は大序~四段目まで。この部分は、歌舞伎でも生でみたことがまったくない。テレビでもちゃんと見たのは(カンタが出ていた)大序だけ。なので、かえって新鮮でとても面白かった。

大序、歌舞伎でも人形振りでやるので、竹本が名前を呼ぶまで、各役者は微動だにしないんだけど、文楽では同じ方式のくせに、人形の足がぷるぷる震えてる人(これてダメだよねぇ)がいて、なんじゃこら?、本家のくせに、と思っちゃったけど。
二段目以降は、義太夫さんと人形遣いさんを交互に見てたら、あっという間でした。二時間休憩なしだったのに、まったく苦痛じゃなかったよ。よほど面白かったらしい。
芝居にのめりこみすぎて、人がいることを忘れていて、ある場面で人形の後ろからいきなり人の顔が見えてぎゃっと思ったくらい。いないほうがよほど怖いつーの

二部は五段目~七段目。
こちらは歌舞伎では全部観たことがある。特に五・六段目はカンタ七ニザ菊五郎と生で、テレビでは勘九郎時代のパパとか十一代目ダンジュウロウとか、かなりいろいろ観てるから、逆に力が抜けて、ちょっとお休みタイムになっちゃいました。いただいたチケットでかなり前のほうだったのにごめんよ、紋寿さん。
起きてる間だけでも、かなり歌舞伎とは違っていた。まず、勘平と定九郎が地味。定九郎なんて、ただの山賊扱い。すごく柄が悪くて、しかも台詞がいっぱい。歌舞伎の定九郎は海老どんが適役だと思うけど、文楽をそのまま移すんだったら、亀蔵さんあたりのイメージかしら
勘平も、死ぬ直前まで垢抜けない狩人装束だし、死ぬときもけっこうおとなしい。
死んで幕切れじゃなくて、死んでからもけっこうわっぱさっぱ」あるから、スターさんがやる役としてはおとなしすぎるかも。

あくまで芝居としてのバランスを中心にかんがえてる文楽・スターを目立たせることを目的にしてる歌舞伎っていう芝居としての性格の違いがはっきりわかる部分だった。

七段目は、テレビでしか見たことがないせいか、五・六段目よりは歌舞伎に近い演出だったような…。この段好きなんですよ、華やかで、面白くて、歌舞伎でも早く生で観てみたい。

今日は筋書きを買ったので、お気に入りの義太夫さんチェックができた。
呂勢大夫さん。このひといい
高音の抜けがすばらしいし、台詞の感情のほとばしりもよかった。一部の三段目進物の段でいいじゃん、とチェックして、二部のおかる役で、決定的に気に入った。お顔もなかなかハンサムで、ただいまのところ、いちおしし大夫さんでありんす。その太夫じゃないって。
ほかにはおじいちゃんの伊達大夫さんとおじさんの南都大夫さんもよかったけど、やっぱ若くて顔もなかなかってことでロセさんには、かなわない。
ミーハー的にはロセさんより有名な咲甫大夫さん(こんな本まで出してる)、今日は地味な役回りだったので、三部の九段目が楽しみ。
人形遣いさんでは、やっぱり勘十郎さんがいい♪
クールに無表情で操る紋寿さんもけっこう気に入った。
前回すごい!と思った蓑助さん、(茶髪は黒に直ってたのでほっとした)今回はお疲れなのか、由良之助が向いてないのか(女人形が多いらしい)、生彩を欠いていたのが心配。

何しろ歌舞伎どころじゃなくおじいちゃんが多い世界らしく、今日も休演のお知らせと逝去!のお知らせが三枚も張り出されている始末。こりゃ、一期一会ですなあ。
観られるうちに観ておかにゃぁ。にゃぁ。にゃあ、

というわけで、文楽にもはまりそうな予感がしてまいりましたよ・・・どうする、自分。

今日の目撃

菊之助君を二部のロビーで発見。来月のおかるの勉強でしょうね。
どこぞのカンタも動けないわけじゃないんだから、こういうところで勉強すればいいのに。なんとなく、そういう勉強はしなさそうな気がする…いいのか、悪いのかよくわからん。
ひょっとすると彼のようなタイプはそれでいいのかもしれない(盲目愛)。」