このブログを書き始めたころ、毎回の観劇とは「別に」毎月のベストやMVPなんか決める「まとめ」ブログも書いてたなあ、とふと思った。
今や毎回の観劇の感想すら、いや、見たというエントリーすらたまにしかしなくなってしまったけど、なんだかだ言って今月、昼の部は四回見てます。夜の部は一回
というわけで今年中になんとか簡単にまとめとこうと思います。
昼の部は5日16日20日26日に見ました。もちろん二人道成寺目当て。昼の部といっても、16日は道成寺のみ、20日は道成寺と毛抜のみ、26日は鞘当と道成寺のみ。完全に見たのは初日だけ。つまり道成寺4回、毛抜と鞘当は各2回。
昼の部
道成寺
初日(二階最前列から)→それぞれ自由に踊ってて、めっちゃ違うのにでも変じゃない。合ってる。玉三郎に教わったからなのか、女形らしい色っぽい菊之助の踊りと、勘九郎の六代目写しのパキパキ動く体育会系w花子との対比。面白い。
16日(三階席)→あれ?勘九郎の踊りが少しおとなしくなってる?先輩に合わせようと思ったのか。合わせてよと言われたのか、単に疲れてるのかw
20日と26日は一階前方席だったのでもう勘九郎花子のみガン見。20日はやはりちょっと疲れてる?のかおとなしく、26日はラストなので開き直ったのか。ガンガン攻めてた。
個人的にはただ頼めは勘九郎で見たかった。
あ、押し戻しに関してはノーコメントw
鞘当
まさに歌舞伎の様式美を絵に描いたような狂言なのだけど、それをうっとりと楽しむには技見た目ともに中途半端なお二人だったかなあ。(松緑と幸四郎)。留男留女が日替わりで猿之助と中車。
初日に猿之助を見てしまったので中車は不利なんだけど、なんか中車の周りだけ書き物というか活劇風になっていた。ここまでのザ・歌舞伎(良い意味でも悪い意味でも内容がない)は彼のような役者にとって難物なのだろうなあ。
毛抜
新之助という役者がやる気と器用さがある、ということは大変結構なことだけれど。
やはりこの狂言をなぜ今やらなければいけないのか、という疑問は終始つきまとった。
彼が熱演すればするほど(お客さまは大喜び)痛々しく感じてしまったのはなにもセクハラじみた内容だけのせいではなく、台詞を飛ばしたりしてもその飛ばし方で本人が内容をまったく理解してないことがわかってしまって、白けてしまったというのもある。
もう一つ、一座している役者がそれぞれ実にはまっていてこれでちゃんとした弾正だったらいい舞台になっただろうなあ、と惜しむ気分もあった。
どうせおこちゃまを愛でるのなら、いっそ20歳?15歳?以下限定おこちゃま歌舞伎にしてしまえば、良い大人の芝居のなかで新之助だけが浮くという事態は避けられたのではなかろうか。結構人材はいると思うし、お客さまは間違いなく喜ぶだろう。まあ襲名の一等23000円の1演目としてどうなのかと言われると微妙なのだけどもね。
夜の部
口上 三階席から見たら柿色裃がずらーーーっと4列?並んで壮観というかとても美しかった。
團十郎娘 ぼたん、小学生にしたら踊れるし、行儀がよくて可愛いけど、それこそ歌舞伎座一等23000円の一幕としてはどうなのかなあ。ご贔屓だけを集めてやる家族会とかならいいんだけどね。
助六
夜の部一度しか取ってないことを大後悔した。なんでって?
勘ちゃんに決まってるでしょ!
白酒売の柔らかさ、まだ無理じゃないかなあとか、色気とかいい男ぶりに一抹の不安があったしそもそもこの狂言立てで23000円(しつこい。しかも夜の部三階席しか買ってないw)のするのに何度も見られるか!というのもあって。
23日に見て、また見たいと思ったのだけど口上と助六があるからか?夜の部は売り切れてて買えなかったのだ。
はい、白酒売、絶品でした。この人は本当に役によって顔変える名人だねぇ。
そのほかのお役で良いなあと思ったのが
かつぎの巳之助。本当に久しぶりに見たのだ活きが良くて鯔背な江戸っ子ぶりが、それこそいつの日か助六やって欲しいと思わせた。
白玉の梅枝。本当に巧い。巧すぎて嫌味だった若い頃と違って、巧さをちゃんとオブラートにくるんでお出しするwすべを覚えたなあという感じ。ちゃんと揚巻を立てている。とはいえ揚巻より揚巻感があるのは否めない。
その揚巻の七之助も決して悪くなかった。花道の出のゆらゆら酔ってる感じは今まで見た揚巻のなかでいちばんだと思った。悪態つくあたりの台詞回しだけ梅枝と交替したら完璧だったのだけどw
通人の猿之助。密かに勘ちゃん通人やらないかなあと思ってたのだけど、いやあ通人は猿さんで正解。そして
勘ちゃんの白酒売も大正解だったので、松竹さんこの配役にしてくれてありがとう!
そうそう、玉さんの満江もとても良かった。ちゃんと武家の妻だった。ここ数年の玉三郎でいちばん好きかも。
助六さんについてはここでもノーコメントで。と思ったけど一言だけ。
どこかでも書いたのだけど気持ち悪い裏声を封印して、地声のみでやってるのは、どうなんだろう?ヒト耳wでわかる気持ち悪さはなくなったのだけど、いわゆるカンの声を使わないことによってものすごく単調かつ迫力に欠ける仕上がりになっていて。
一生この迫力にかける発声の白猿さんで行くつもりなのだろうか。はなはだ疑問に感じた。
というわけでますます先細り気味の歌舞伎鑑賞ですが、まあ来年も細々と続けていくつもりです。
歌舞伎だけじゃなくブログも人生も先細りですけれど身体だけはまだまだ太め残りで元気なので来年もたまに更新すると思います。どうぞよろしくお願いします。