laisser faire,laisser passer

人生は壮大なヒマつぶし。
楽しく気楽につぶして生きてます。

脱皮、そして巣立ちへ

2013-02-26 | kabuki en dehors de Tokio

博多座前楽、楽日見てきました。感想はいずれ。

 

いずれ、と書いたまま門司下関そして大宰府と遊びほうけ、東京に帰ってきてからもなぜか東京でもふぐ食ったり桃の節句やったり遊びほうけていたら、歌舞伎の感想、すっかり忘れてしまった・・・とりあえず良かったことは確かですw

ので詳細な感想を待ちわびていた方(恐らく皆無w)には申し訳ないのですが、昼夜二度ずつ分まとめて簡単にメモでまとめちゃいます。

特に勘ちゃんが出てない演目については二度目以降ってことですごーく適当に見てたので、ほぼ割愛w

1.身替座禅、初日近辺は不必要なまでに父親に寄せてなぞってきたなあ、という印象だったのですが、楽日はびっくりするほど父親から離れたと思った。おそらく意図的に、最初は教わったとおり、最後は自分らしく、と思ったのだと思う。
父親右京に比べて若いのはもちろん、ずるさが少なく、妻にも花子にもまっすぐ向かい合っている右京。具体的には出てこない花子への愛情がいっぱい感じられたのは父親にはなかった新しい右京の顔。
いわば「浮気じゃなくて本気」って感じね、タチ悪いw
仁左衛門の玉の井は本当に絶品。やりすぎず怖すぎず、でもやっぱり怖いw
この玉の井を得て、勘九郎の右京はまた一回り大きくなった、というか父親のそっくりさんから脱皮できたのだと思う。
七之助の太郎冠者はひたすらに軽い。存在感もない。それでいいのかもしれない、この役は。太郎冠者が主張しすぎると主題が薄まるような気もするのだ。そこを踏まえてあえての存在感のなさなら七之助天晴れ。

2.口上
楽だけに特別なことを言う人が何人か。内容はよく覚えてない。w
七之助が泣いて、めろめろになっていたのと、それを眺めて勘九郎が心配そうにしていたこと、弟に「いてくれてありがとう」と言ってたのが印象的だった。斜めから物を見ることしかしらないlavieのような人間すらちょっとほろっとしたのだから芝居ならたいしたもんだw
中村屋ご贔屓筋の方々が滝のような涙を流していたのはご推察どおり。

3.渡海屋・大物浦
渡海屋の颯爽とした大きいながら軽い感じは最後までちょっと出きらなかったかな。ちょっと重い。
まだまだ必死感が・・・
初役31歳の銀平にそこまで求めるファンのあたしがいけないんですね、はい。
大物浦の知盛はもはや何もいうことはない。良し悪しでいえばいいのか悪いのすらわからない。芝居じゃなくてそこに六道の苦しみにあえぐ知盛、そこから逃れて救われて行く知盛、そして潔く身を投げる知盛がいて、それをどうすることもなくただただ呆然と見守っている客のあたし、という図式。
六段目の勘平を初役で演じたときの勘太郎を見ていた気分にちょっと似てる。
とにかく、「こんな知盛みたことない!」の連続だったわけだが、中でもこれすげーと思ったのが、碇の縄を身体に巻きつける前に槍を海に投げるところ。じーっと槍を見つめ、思い入れの後に海に。この一瞬の小芝居(とあえて言おう)によって、荒れ狂った知盛が、武器を捨て、すべての雑事から解き放たれて仏の世界に向かうことが見事に表現されていたと思う。
綱を巻きつける間も、楽日以外はずーっと荒い息を派手に表現していたのが(うぅとかあぁとか)楽日はなぜか一言もそういう表現がなくて。息をつめて芝居する知盛を、同じく客も息をつめて見守る感じ。まさに息詰まる数分間だった。
ずーーーーーっと息をつめてみていた客席が知盛が碇とともにジャンプした直後に何かから解き放たれたように万雷の拍手を送り、その拍手は知盛の魂を救ってくれた義経と弁慶への感謝の拍手へと続いて、素晴らしい幕切れだった。これ、たまーに義経と弁慶の引っ込み前に帰っちゃう客とかいてとてもしらけるのだけれど、そんな人は誰一人としていなかった。そして梅玉と彌十郎が本当にすばらしい義経弁慶だった。勘九郎含めてこの三人で勧進帳みたいと思ってしまった。
特筆すべきなのが七之助。初日近辺はお柳がいいのに典侍局はまだまだ硬いなあと思っていたのだけれど、十二分に局になりきっていて。子役に向ける愛情のまなざしは、甥を可愛がっている日常から出てくるのかなあ。とにかく七之助も大人になった。丸本物ではいつも兄の足を引っ張っていた印象だったのに、ここに来て見事に相棒として成立しているのに、感謝および感心。それこそ「いてくれてよかった」。

4、その他雑感
吹雪峠はやはり巧い役者がやると面白いという初日の感想に変わりなし。ただ梅玉さん主役の狂言が朝イチのこれかよ、という不満もあり。微妙なところ。
河内山は勘ちゃんでてるのに寝てしまったw勘九郎が舞台にいるのに寝てしまった経験は恐らく過去1-2度あるかないか、なのに。襲名興行なのに。なんかしつこくて長い狂言なのよね、これ。嫌いというわけじゃないけど、客に寝る隙を与えすぎというかw
俊寛はもうこれ、完成された、という領域ですな。仁左衛門も体調いまいちらしくその必死さがカブって見えるのは彼自身にとっては痛し痒しなんだろうけど、俊寛のタイプわけでいえば、まもなく死んでしまいそうな、だからこそ悲劇感の強いドラマチック俊寛だった。
芝翫奴。橋之助好きな人にとってはたまらないのかな?「顔で踊る」役者の踊りの典型のような橋之助の機嫌よさそうな笑顔は、大悲劇の大物浦から現実に戻る箸休めにはちょうどいいのかな?ハシノスケだけにw
個人的にはどよーんとしたまま外にでて歩き回るのも好きなのだけれど、楽は友人と一緒だったので、気分良く打ち上げて、巧い魚と酒を飲めてよかったのかな・・・

全体として本当に「捨てる演目」がほぼなくて、良質な公演だった。これ、東京だったら相当通っただろうなあ。いや、パリに行ってなければたぶんもう一度通ってただろう、福岡でも。

襲名最後がいい興行で本当によかった。「勘太郎改め」が取れて名実ともに勘九郎になった勘ちゃん、楽日の右京のオリジナリティに彼なりの覚悟を見たし、弟くんの成長ぶりにも頼もしさを感じ、たくさんの不安はあるものの、この役者の将来がまた楽しみになった。よかった。


2013な,おパリ

2013-02-20 | voyage

例によってたいしたことしてないんで、自分メモ用に箇条書き。あと、写真を何枚か。例によって観光に役に立つ情報は一切ありませんw

2013年2月6日から2月12日滞在

美術館・美術展

ピナコテークの広重展★★★★★(満点!)
ピナコテークのゴッホ展★★★★☆(ややこじつけが)
装飾美術館のヴァンクリフ&アーペル展★★★★(混雑しすぎ)
装飾美術館のトロンプルイユ展★★★★☆(ついでにみたのに面白かった!)
改装以来のオルセー美術館★★★(たいして変わってないやん)

…何か忘れてるかもしれないけど、これくらい。
帰国してからノエラ・ポントワ回顧展ってのがあったのを知り、ちょっと見たかったなあ、と悔しかった。
ピナコテークは個人的にお気に入りスポットだったのだけれど、数年前のがら空きと打って変わって超人気スポットになってしまっていた。残念。

エンタメ

既出のバレエと玉様のみ。今回映画見なかった・・・AMOURって奴を見ようと思ったんだけど、まもなく日本でやると聞いて、やめたw

機内映画

ANAの機内映画の充実してないことといったら・・・期待していた
TEDとかストロベリーナイトとか、東京家族とか・・・全然ないでやんの。
仕方なく見たのが

往路
ツナグ★★(これだけ泣ける素材でけっこういい役者がお涙頂戴の芝居してるのに、全然泣けないのも逆にすごい)
踊る大捜査線ファイナル★★☆(前の見てないと全然入り込めない)

復路
愛について、ある土曜の面会室★★★(淡々としたドキュメントタッチのフランス映画。結果的にこれがいちばんマシだった)。
その夜の侍★★☆(山田孝之の非道っぷりだけが見もの)

ほぼ全部はずれでありんした・・・

おまけ

映画のラインナップのしょぼさと逆に、ほぼただで仕入れてるであろう、民放OA済みの番組ビデオばかり充実していてケッって感じだったんですが、ケッと思いながら見た「youは何しにニッポンへ?」(だっけ?うろ覚え)というテレ東の番組が凄く面白かった。水曜深夜やってるのね。昨日偶然知った。成田に到着したばかりの外人を捕まえてインタビュー、場合によってはついてっちゃうってだけの単純なバラドキュなんだけど、外人のキャラと、邪魔しないバナナマンのスタジオ突込みが絶妙。テレ東ってついつい忘れちゃうんだけど、いい番組作るのね。

写真など

冬のパリ、けっこう好きなんです。色がなくて・・・一時期毎年年明けのSOLDE狙いで行ってた事もあり(懐かしい!)ほほを切る冷たいパリ、久々で楽しかった。

オルセー横のルイヴィトンの大看板。横からだからわからないねw

冬枯れのラ・セーヌ


雲の間に漏れる日がとてもいとしく感じられる季節

工事中の壁もこういう風にしちゃうのがパリっぽい、と思うのです。本当は自分を中に入れ込んで写真採りたかった!!!一人旅はこういうとき不便。普段は一人のほうが気楽でいいんだけどね。

CDGターミナル1のウェルカムボード。ブリッジの???お前は何が言いたい!?

 

そして、冒頭の画像、ちょうど中国の旧正月(春節)の時期だったせいか、パリの二階建て観光バスまで中国語でお祝いを!こういう「今旬な相手」に身も世もなく媚びる娼婦っぷりも、あたしの好きなパリなんです!!!
いつかシャンゼリゼのクリスマスイルミネーションを見て、「厚化粧の娼婦みたいだ」と言った御仁がおりまして。
そのときは若気の至りで、パリを軽く貶められたようで喧嘩してしまったのですが、今になってみると実にパリの本質をついた、深いコトバだったのだなあ、と。


lavie、大人になりました・・・


未明の観劇

2013-02-15 | kabuki a Tokio

フランス時間の午前3時から7時前まで。
当然のことながら・・・日生劇場三月大歌舞伎を「寝て」きましたw

感想は無きに等しいのですが、覚えてることだけ、なんせほとんどないのであっという間の箇条書き。

 

口上

幸四郎がひとりで、染五郎が回復して初めての舞台で云々かんぬん。子供じゃあるまいし自分で挨拶すればいいのに、と思ったのはあたしだけ?

吉野山

福助がやたらきれいに見えてびっくりして、染五郎がすっぽんから出てくるのを確認して、あららセリから落ちてセリから復帰なのね、と思ったあたりで意識が遠のいたw
見せ場の里踊りも戦物語もまったく記憶になし。
目覚めたら亀鶴クンが台詞言ってた。えらいあたし!w
亀鶴クンの藤太は本当に巧い、ちょっと嫌味なほど巧い。
花四天に見るべき人(lavieの個人的趣味において)がいないのを確認してまた寝たw
ほとんど見てないのになんですが、福助は神妙に、染五郎は神妙を通り越して及び腰に見えた。

魚屋宗五郎半通し

最初に児太郎が出ていて、ちょっと目が覚めたけどw思ったほどびっくり演技でもなくて、残念ながらショック療法で完全に覚醒する効果はなかった。
で、めったに出ないお蔦殺しとか、ちゃんと見たかったのにやはり熟睡・・・
お神酒徳利の由次郎を欠いた桂三とか、あちこちで便利に使われてる第二の梅玉w友衛門とか地味ーずな脇はやっぱり地味だなあとか、福ちゃんが責められるとこ見なくちゃ、とか思いながらzzzzzzzzzzzz。
休憩後のいつもの宗五郎の場面の覚醒率がいちばん高かったのは、やはりこの場面がいちばん面白いからなのか、単にフランス時間が夜明けになってきて目覚めやすくなったのかは謎。
幸四郎の宗五郎がとてもいい。いなせなようで卑屈な屈折した感じが合ってる。亀鶴の小奴がまた本当に腰の軽いいい奴ぶりで、本当に巧いなあ。福ちゃん二役目のおはまは、似合ってるけど、声が地声すぎて、なんというか、えなり。
芝のぶちゃんはやっぱりかわいいなあとか夜の部だったら丁稚で金太郎が見られたのになあなどと思っているうちにまたまた転寝。熟睡ではなく転寝なだけましかw
起きたら磯部屋敷だった。またしても見所(酔っ払っていくところ)のがしてるし。でもたぶん幸四郎のいちばんいいところはそこじゃないと思うんで、そんなに惜しくない。
磯部の殿様の染五郎、この役はとてもいい。ちょっとエキセントリックないい男の馬鹿殿、似合いすぎ。
5月明治座の将軍江戸を去るでの勘ちゃんとの競演が楽しみ。似たようなので御浜御殿もなかなかよかったもんねぇ。
左團次さんが出てるのに、さとぴーがどこにもいなかったのはちょっとザンネンだった。あたしが寝てる間に出たのか?と思ってずっと起きてたヒトに確認したけど、出てなかったって。


…ってことでほとんど寝てた割には語ってしまいました。

思い入れもほとんどないし、そんなに肩の凝る演目でもないし、ニッポン時間へのリハビリにはちょうどよかったかも。
ホロヴィッツは惜しいことしたけれど、きっと昨日昼間のホロヴィッツはもっと悲惨なことになってたような気もするので、ま、いっか。

よくないよ・・・(涙)。

 


ホロヴィッツやーい

2013-02-14 | la vie quotidienne

確かに発券したはずなのに。見た覚えもあるのに。チケット引き出しから『ホロヴィッツとの対話』のチケット様がいなくなってる。

コアな盗賊wが留守中にホロヴィッツだけ盗んでいったのか?

PARCOまで行って紛失主張するのも疲れるので、縁がなかったとあきらめることにした。さて、菊ちゃんとよーこちゃんの婚約会見(というより見たいのは父親カップルw)どこかで中継しないかな?


雪のち雪

2013-02-12 | voyage
昨日はパリに雪が降り、CDGの出発便もかなり乱れたようです。
到着日の夜から東京でもまた雪の予報だとか。雪と雪の間をうまくかいくぐれるといいのですが…。
画像は空港で買ったラデュレのマカロン。ビールと一緒におやつです。ちなみにお土産には買いませんW

これはいいコラボ

2013-02-11 | spectacles

悪いコラボが何かはべつにして。オペラガルニエにてKAGUYAHIME見ました。おもしろかっこよかった。観客もブラボー連発。

画像は開演前のオケピと幕。オケピには和太鼓、幕には月が。期待が高まりますよね。上げ上げ。

開幕すぐ、舞台中央奥にでかい人影が。

ん?竹取の翁?かと思いきやこれがマリ=アニエス・ジロ姐さん。ででででかっ!ってことは最初からかぐや姫は成人なのか。
じいさんばあさんは出てこないのか。

下手に原作を知っちゃってる日本人ならではの違和感だと思います。
ま、そうじゃなくてもジロ姐さんはでかい。美しすぎて求婚者があまた、というにはちと貫禄ありすぎのような気もしないではない。
誰よりでかい、という意味である意味「異界のひと」っぽさは漂っていたかな。ガリバーじゃないての。

あと、キリなんちゃらさんの振り付けの癖なんだと思うが、なんかこう、爬虫類的なしぐさが多すぎて。タモリのイグアナか。ジロ姐さんはテクニック抜群だからどんな振り付けでも出来ちゃうだけに、こんなのさせなくてもいいのに、と思っちゃった。

…と、ほぼ不満点をまとめて最初にあげちゃった。

あとはもう大満足っす。

特に音楽。

変に和を意識するわけでもなく、雅楽の音も、鼓童の和太鼓も、とても自然にオペラ座バレエの動きになじんでいて。特に白と黒、地球と月、和と洋に分かれての和太鼓とティンパニー合戦はすごかったなあ。

装置・照明もよかった。
求婚シーンでの、御簾から覗くようなしかけの幕の使い方、大太鼓の打面を満月に見立ててスポットを当てた照明、とにかく幻想的でかつシンプルで、おフランスのジャポニスム志向も生半可じゃないなあ、と感心しちゃった。
衣装はもうシンプルの極致。かぐや姫なんてもう少しきれいなの着せてあげても、と思ったくらいw

えっと、コメントで先に書いたとおり、ダンサーとしてはジロ姐さん以外誰も知らなかったのですがw五人の求婚者のなかの一人、割とポマードぺったり七三わけみたいな人の踊りが気に入りました。ってこれだけの情報で誰だかわかったらえらいですが。
ミカドのラインナップにはエルヴェたんも入っているようでしたが、たぶんジロ姐さんとは組まないので(組めないので?w)どっちか選ぶんだったらジロ姐さんのかぐや姫を見られてよかったです。

エルヴェたんはもう、健在を確認するだけでいいや、って感じなのでw

鼓童の和太鼓はどことコラボしても踊りや芝居を食っちゃいかねない勢いなのですが、(夏祭浪速鑑でも、アマテラスでも食ってたもんねw)今回、やりすぎない演出のせいか、バレエダンサーの底力なのか、本当にいい感じで調和していて、戦いのシーンの迫力たるや、音がかけてもバレエがかけても駄目ってくらい、絶妙の調和を見せていて、和の代表wとしてもとても嬉しかった。
いや、冗談じゃなく、今までオペラ座で見たどのバレエより、日本人率が低かった(つまりは地元民の評価が高い?)のが不思議なくらいだったので。日本人バレエファンはむしろちゃんとしたクラシックバレエwが見たいのかもね。

画像をPCに取り込んだのでいくつかアップします。

全員でのカーテンコール。真ん中の雅楽奏者が異彩を放ってますw

ダンサーたち。中央のジロ姐さん。でかい。

天井桟敷も鈴なりの人(休憩時間なのでそうでもないかw)。

ただ、これ、和物だからといって東京バレエ団あたりがやったら違っちゃうんだと思うのね。表現が難しいんだけど、西洋人のプロポーションと顔でやるからこそ面白いんであって、たとえば「祭のシーン」など、祭囃子に似た音楽で群舞の場面があるんだけれど、あれ、日本人がやっちゃったら本当にぴーひゃらどんどんになっちゃうと思うんです。DNAがそうなってるから。バレエじゃなくて盆踊り色が強すぎになっちゃうと思う。

ってことで、ベジャールのKABUKIみたいな風に日本人版があったとしても、あたしは見ない。

そうそう、大好きなジロ姐さんですが、そろそろ「オペラ座バレエ団エトワール」という枠から離れてひとりのソロダンサーとして自立したほうがいいんじゃないのかなあ。技量は抜群なんだから、もうクラシックで男にリフトされたり、そういうことから自由にしてあげたいw
ところでオペラ座バレエ団も総監督?が変わってますますモダン風味を増すとか?だったらジロ姐さんの居場所もまだまだ広がるのだろうか・・・

 


素敵な片想い

2013-02-08 | kabuki en dehors de Tokio

パリ人(フランス人では絶対無い。パリの中でもごく一部のインテリちゃんだと思うけど)は最近本当に日本が好き。

中心部では中華料理より日本料理(SUSHI BARなども含む)のほうが多いし、かなりださめのスーパー(franp○○xとか)にも普通に寿司が置いてある。アンパンカレーパン焼きそばパンなどが人気のboulangerieにも行って見たけど、フランス人が並んでた。

そうそう、あたしが好き(だった)フランス人は絶対列なんて作らない孤高の人々だったんだけどなあ・・・

広重展とゴッホ展を同時開催して、広重がゴッホにいかに影響を与えたか、をいささかこじつけっぽく解説してる展覧会にも長蛇の列ができてるし。これはこれでとても面白かったのでパリにいらっしゃるかたにはとてもお勧め。

今の日本の若い子はフランス?何それダサい?みたいな感じが多いと聞いたのだが、数十年前の日本からフランスへの圧倒的な片想いのリベンジを今果たしているのだろうか?ちっともうれしくない。片想いは永遠に片想いだから美しいのにw

というわけで画像のとおり、JIUTAと題された玉三郎舞踊公演も超満員。

いわゆる日本からの玉様追っかけおばさまはほとんど見かけず、8割フランス人、1割5分在仏日本人、残りが追っかけさまと怪しい観光客(あたし!)って感じ。後援会がツアー組んだりしなくても地元民で埋まるのよね、さすがは玉様。

年に一度はパリ詣で、をほぼ義務化しているわけだが、実は別にもうどうでもいいんである。長年の片想いは前述したように変な形で報われて、いまやパリは昔のパリならず、で特に魅力的な存在でもなくなってしまった。だが一度行かなくなると超めんどがりの自分は一生行かないような気もして・・・

ここ数年歌舞伎関係の行事にかこつけては行脚してるんで、今回は玉三郎に感謝。

しかし・・・地唄舞三題って・・・渋すぎでしょ。日本でもファンくらいしか行かないような。

(梅津振り付け)


前に見たときも「お前は晩年の雀右衛門か」と言いたくなるほど動かない舞踊で。
立ち腰気味の玉三郎には動かない舞踊は似合わない。

葵上

三つのなかではいちばん好きだったかな。
これも前に見たと思うけど、ますます装置もシンプルになっていて、おすべらかしの玉三郎はふけて見えて、その分六条御息所のかなしみが深く感じられた。

鐘が岬

いちばん動きがあった分、いちばん受けていた。いくらzenの精神が大好きなフランス人インテリさんたちも、最初の二つではちょっと戸惑っていたようなw
でもきっとこの静けさがzenなのよ、みたいな言い聞かせ感を感じてしまっていたのだが、鐘が岬終わりでは心からわー綺麗、わーよかった、って雰囲気を感じられた。無理すんなよフランス人w

玉さまもわずか三日の公演なんだから、娘道成寺くらいやってやれよ、と思ってしまったのだった。絶対喜ぶよこの人たち。

しかしこのプログラムどうなの?

15分踊って15分休憩、×3.20時開演、21時半終演。
私は下から二番目の席だったので4000円弱だったけど、高い席は1万円以上。bottakuriじゃないすか?

tresor national vivantさまがいらしてくださるのだからこれくらいは当然?数十年前のアダモ来日公演wとかもぼったくってたんだろうか? リベンジなのか?そうなのか?

大喜びでスタンディングしてるフランス人を横目に、なんだかとても複雑な気分だったのでした。

画像をようやくPCに取り込んだのでスタオベ風景をこっそりアップ。ボケボケでごめんね。雰囲気のみ。

 

ちなみに安い割りに一階正面席だったのにはからくりがあって。

こんなんでした。

 柱が真正面で舞台が二分割w

 

しかもすとらぽんたん。あんぽんたんじゃなくて、フランス語で「補助椅子」。立つと自動的にたたまれるから結構面倒くさい。

これ、長時間だったらお尻もたいへんだったかも、であたしには優しい玉三郎さま、ってことでしたのねw

そうそう、JIUTAのJIUTAさんたち、なかでもそれこそTRESOR NATIONAL VIVANTの先輩である富山清琴さんの、特に唄は心にしみました。

この後、玉三郎は昆劇を同じ劇場(シャトレ)でやるわけで、彼的にはそっちがメインなのかもしれない。日本でシェイクスピアをスペイン人がやる、見たいな感じなのだろうか。なんとなく違和感がある。ちなみにこっちはあまり売れてないんじゃないかな?

JIUTAをネット予約した客あてに昆劇半額のお知らせが来てたりしたもん。半額ならみてもいいかな?とちらっと思ったのだが、唯一観劇可能な日はガルニエでバレエを見る予定を入れてしまったのだった。残念。

おまけ。

こちらがアンパン(左上)とメロンパン(左下)とkabukiという名前のケーキ。


オペラをチョコレートじゃなくて抹茶で作ったからkabukiなのね。日本人にはちょっと甘すぎるところがフランス人向け?

メロンパンがとっても美味しかった。これはリピートするかもw 


雪や来ん来ん

2013-02-06 | voyage

取り越し苦労の小心者ゆえ、ほぼ始発で自宅をでましたならば、なんということでしょう!

成田空港に8時前についてしまいました。フライトは11時50分ですから延々4時間のひまつぶし。暇つぶしは得意中の得意ではありますが、いかんせん長すぎる。免税品にも興味ないし。

ってことでクレジットカードのしょぼいラウンジでコーヒーお代わりしすぎて、だぼだぼの胃袋を持て余しつつ、ブログ更新しちゃってるわけです。現在9時半。あと二時間だあああああああ。


さて、お立会い!

2013-02-05 | monologue

古くから読んでくださってる方はご存知の通り、数々の台風に邪魔されてきたlavieの飛行機旅ですが今回は雪ですか。さすがは数え切れない小さな不幸せを呼ぶ女w

明日朝リムジンもNEXも動いてなかったらパリ行くのやめちゃうぞ。そこまで行きたくないんだぞ。って何いばってんだか。

さて、今から寝て5時に起きてみる。じゃーね。ぼなのって(なぜかイタリア語w)


悲喜こもごも

2013-02-04 | la vie quotidienne

昨日のあまりに圧倒的な感動も覚めやらぬまま、今朝6時に目覚めてホテルのテレビをつけたら團十郎死去のニュースが。

何がなんだかわからないまま、チェックアウトして、向かったのがここ。一風堂博多駅店。

勘九郎襲名記念ラーメンを博多座公演中限定で食べられるのだ。
 

肝心のラーメンはこちら。お箸もちゃんと寿ですw             

どこがラーメン?と思いますよね。サラダ麺風の合え麺に赤飯と鮭、卵焼きつきで880円。歌舞伎ファンのおばさま(lavieも含む)向けのヘルシーなお味で、思ったよりずっと美味しかったです。とんこつラーメンはいつでも食べられるけんね。

で、よろよろ東京に帰ってきたら、勘九郎読売演劇賞最優秀男優賞のニュースが!これはめでたい。
弟くんも新人賞にあたる杉村春子賞(勘ちゃんも二年前くらいに取ったね)でダブル受賞。
勘ちゃんの受賞対象演目が土蜘と天日坊ってのも文句なし。今年だったら大物浦も!って思うけどねw 

染五郎の復帰舞台初日もあったりして(ニュース飛んじゃうね、ちょっと気の毒)なんだか乱高下の一日でした。

團十郎については最後に見た石切梶原で、ようやく丸本物もいい感じなってきたなあと思った矢先のことだったので、勘三郎のときとはまた違った意味で残念。本当の意味での大器晩成、見られたかもしれないのになあ。

しかし、歌舞伎座の怪人は何人連れて行けば気が済むんだ? 

 

 


魂の救済の記録

2013-02-03 | kabuki en dehors de Tokio

博多座二日目。私にとっては前半最後。

どえらいものを見せられました。昨日のもすごく良かったんだけど、今日の知盛は常軌を逸していた。いや褒めてるんですが。こんな歌舞伎初めて見た。正直震えました。

大物浦、これって餓鬼道に堕ちたひとりの青年の魂の救済の記録だったのね。吉右衛門とか仁左衛門がやったときには気づかなかった・・・
義経と安徳帝によって救われた魂を持って安らかに海に飛び込む知盛・・・もちろん碇知盛の場面はすばらしいのだけれど、あそこなくてもいいや、と思ったのも初めてでした。

それほど、安徳帝を守る、と義経に言われたときの安らかな表情がたまらなかった・・・ずいぶん長いあいだ、いろんな舞台を見てきましたが、歌舞伎によって自分の魂まで浄化された、と感じたのははじめてかも。

旅先の小さなbook相手に、とにかく今日のこの興奮だけは語りたくて、キーボードを叩いています。

できることならばパリなんぞに行かずに、ずっと福岡にとどまって知盛を見続けたい。いや、ここまですばらしい奇跡的なパフォーマンスが毎日あるわけはないんで、当分この記憶だけを胸に我慢したほうがいいのかもしれない。そんないろいろな思いが胸中を駆け巡り、とにかく、興奮しています。

人は本当に感動すると口数が少なくなるのかもしれない。

どーのこーの言わずに、時間と金に余裕のある方は博多にきんしゃい。どえらいものを見ることができますよ。 

 あ、ひとつだけ書いちゃおうかな。

 

血を飲み、義経を呪い、餓鬼道に堕ちる寸前の知盛の目が血走っている。まさかどこぞの御曹司のようにカラコン入れたりしてないよな?と思ってオペラグラスで見たけど、実際の血走った目だった。それが、義経の暖かい心に触れ、平静な死を迎える瞬間には、穏やかな白目に戻ってる。役者が役に入り込むって、肉体の生理まで変えちゃうんだな、と圧倒されたのでした。

具体例はこれだけにしとく。

誰にも教えたくない、勘九郎とlavieの2013年2月3日の一期一会の魂の記録。


30分前で

2013-02-03 | voyage

こんな感じ。櫛田神社の豆まき。勘ちゃん見物です。
ひとりで待てるのは30分が限界です。
写真が撮れたらお慰み。

 

「こんな感じ」は勘ちゃん待ちの人ごみを撮影したのですが、携帯から送信しそこないました。どころか、携帯に保存すら失敗した模様。デジカメの写真を取り込んでそのうちにアップします。弟君のもあるから、弟さまのファンの方もお楽しみになさいませw

とりあえず携帯に残っていたちっちゃなちっちゃな二人。アンティークな携帯でほとんどズームが利かないのだw真ん中あたりで赤い手拭かけてる二人です。どっちがどっちか・・・わかる?w

そのうちはそのうちです・・・念のため。

そのうち、は今です(18日後)ようやく画像をPCに取り込んだのでアップします。でかいままにしておいたので見にくいかもしれませんが。ご兄弟が知り合い?(勝手に七くんの彼女と妄想して会話考えると面白いかもw)を見つけて会話してるところの連続写真を。もっと見たい方は直接連絡くださいw

 

しかしひどい混雑でした。数年前の博多座で亀ちゃんとか亀鶴くんとからぶりんとかと一緒だったときよりずっとすごい。死ぬかと思った(人ごみに入ると必ず死ぬかと思う女)。

兄弟もメジャーになったものじゃ(遠い目)


surprise!

2013-02-02 | kabuki en dehors de Tokio

いろいろびっくり!の博多座初日。画像は勘九郎博多人形。あまりにリアル、というか今はこれほど「お岩さん」じゃないよねぇ。もう少し綺麗めに作ってくれたら有閑まだーむlavieの財布の紐も緩んだかもしれないのに。って売り物じゃないみたいw

昼も夜もいろいろびっくりしたけど大満足!でしたよ。

びっくりの90パーセントは配役について、なので、チラシやプログラムを読んでればなんてことはないんだけどねw
勘ちゃん以外ほとんど役も、いや演目すらさだかでない状態で行くのがlavie流。って単に面倒&物忘れが激しいだけなんだけど。

初日のサプライズ、二日目の弛緩、まとめて書いちゃいます。二日目の魂消た(まさに魂が消えた!)芝居の感想は↑に当日アップしましたのでダブルかもしれませんが。

昼の部

吹雪峠

以前に二度見たことがあって、七之助孝太郎愛之助獅童あたりで見た覚えが・・・どういう順列組み合わせだったかは忘れた。女はわかるけどw

で、なんかくだらないブラックコメディ、くらいの印象しかなかったんだけど、これがなかなか面白かったんですよ。
孝太郎以外の二人、扇雀(女を寝取る二枚目)と玉(寝取られ亭主、複雑な性格)がなかなかよくて。あ、孝太郎が悪いという意味ではなくて新しく参入した二人の役者によってここまで芝居は深くなるんだな、と改めて感じさせられた、という意味。
特に梅玉の、自分で自分をどうしようもできないもどかしさ、自己分裂していくさまなど、本当に面白かった。上質な心理劇を見せてもらった気分。

ここでのサプライズ、ほっかむりを取るまで「なりこまや!」といわれてるんで「橋之助?それにしたらちっちゃいな」と思ってたら扇雀で、あげく兄貴分こそ橋之助かと思ったらまさかの梅玉さん。梅玉さんが一座してるのもしらんかったよw

身替座禅

本当にあたし勘ちゃん以外なにも覚えてなかったのだな、と痛感したのがここでのサプライズ。玉の井は彌十郎かな?扇雀じゃちっちゃすぎるよな?とか思ってたらいきなり仁左衛門。ここでつきあってくれてたのか?

やれありがたや。
作りすぎてない、かわこわい超年上女房vs別に嫌いじゃないんだけど女房に頭の上がらない若い燕的亭主、の図式がなんだかとってもほほえましくて、なんだいい夫婦じゃん、と思ってしまった。

朝帰りの右京のにおうような色気、前回前々回と回を重ねるほどにいい感じになってきたのが、今回、本当に勘三郎が乗り移った?と思うほどの色っぽさで。
勘九郎自身の個性であるところのさっぱりしたさわやかさは維持しつつ、男の色気が出てきて、またまた大人になったなあ、と。
超年上の玉の井(きっと金持ち)が惚れぬくのも分かるわと納得してしまったのだったw

河内山

嫌いじゃないけど長すぎて、ほぼ9割の睡眠率を誇るw芝居。
なぜか今回寝なかったなあ。勘九郎が松江侯で出てたから、というわけでもない。こないだは勘ちゃんが出てる舞台で初居眠りを打ち立てた演目なんだから。と威張ってもしょうがないが。
仁左衛門の河内山は悪というより、老けた一休さんのよう。もちろん私腹を肥やすためではあるのだが、建前を気にする権力者をぎゃふんといわせるためのとんち坊主。花道でアイデアを練ってる姿に「ポクポクポクポク」と脳内でBGMつけてたのはあたしだけだろうか?
勘ちゃんは世間知らずの我侭っぷりがちょっと足りないかな。前回よりはよかったけど。しかし、二ザさん主役で勉強のために脇で出していただくなら俊寛のほうがよかったなあ。ニザ俊寛で少将勘九郎千鳥七之助なんてーのも襲名ならでは。あ、でもそれだと中村屋ご贔屓が勘三郎思い出して泣いちゃうか・・・

ここでもサプライズ。浪路は予想通りの新悟なのだけれど、数馬がびびびびっくりのここだけ出演の松江さん。なぜ?いきなり?
わざわざこの役だけのために出演いただいて恐縮なのだが、ふすまの陰から聞こえる声が一瞬佳次郎さんかと思ってしまい。途中の台詞回しは進之介に似てるなあと思ってしまい。これ以上言いませんが言いたいことはわかってくださいw
正直夜の部しか出てない錦ちゃんでも七でもよかったし、新悟くんと二人して名題披露なんだから松十郎くんにやらしてあげてもよかったんじゃ、と思ってしまったのだった。

夜の部

俊寛

仁左衛門の俊寛は大分以前に見たきりなのだが、そのときの印象はまだまだ色っぽくてひとりで島に残っても新しい女くらい見つけられそうな感じがあったのだけれどw
年齢のせいか、内面が変わったのか、今回の仁左衛門俊寛は孤独な老人で、細っこいからだとあいまって見ていて終始胸が締め付けられるようだった。
千鳥孝太郎は妥当だと思うし、なんか最近かわいくなった?w
緑系娘(わかるよね?)は孝太郎いいよね。また神霊矢口渡がみたい。猿之助も勘九郎も女形が減ってきた現在若手緑っこは彼の独壇場じゃないかしらん。
赤系はやめといたほうがいいようにも思いますがw
ここでもなんとなくサプライズというか違和感のあるキャスティング。少将が扇雀はまあいいとして、康頼が錦之助?どっちかというと二人少将に見えた。
そして瀬尾の彌十郎はともかく、朝見た梅玉さんだと信じて疑わなかった基康が橋之助!?
朝イチとこれ逆のほうが普通だよねぇ。まあ結果的に朝イチの芝居が深みを増したんでよかったんだけど、ちょっとびっくりした。

大詰め、花道で舟にさけぶところ、前回と同じように浪布をすっぽんまで引き込んで、海の中に入り込んで溺れるような演出。これって松嶋屋だけだよね?客席は受けていたけれど個人的にはあまり好きじゃない。
俊寛にけれんはいらないと思うんだけど。

そうそう、二日目は床のほぼまん前だったので、芝居そっちのけで竹本(葵太夫宏太郎)に注目してたんですが、いやああ床も凄いことになってますなあ。葵さんの熱演はまあわかってたけど、舞台上の役者の所作に終始目を配ってるのがあまりに鋭い目つきで怖かったり、三味線の宏太郎師の気合とグルーヴ振りが凄かった!もちろんこちらも役者に目を配りつつ、グルーヴしつつ、指を休ませつつ(弾いてない時に人差し指をぴんと伸ばしてるのはなぜかと思ったら物凄く不自然な形でさおを押さえてるから人差し指がえらい負担なのね。これは大変だ)

そこに付けうちさんのグルーヴが割って入り、いやあ上手グループには役者たちとはまた違うドラマチックな三角地帯が存在してますなあ。花道好きなので割りと下手を取ることが多いんで、上手三角地帯のドラマ、これまたサプライジングで面白かった。今度また面白そうな竹本のとき、上手取ってみよう。

口上

上手より扇雀、亀蔵、橋之助、七之助、勘九郎、仁左衛門、彌十郎、錦之助、梅玉。かなりコンパクトな陣容。仕切りが仁左衛門はともかく、下手の止めが扇雀で挨拶の端緒が彌十郎ってのはちょっとさびしいな。
孝太郎は今月出てないのね、その代わり、ずっと出してもらえなかった亀蔵なのね、とかいろいろ考えてるうちに終わった。初日、取材カメラが山のようにいたけれど、マスコミさんが期待したようなお涙頂戴系はもうおしまい、って感じでした。
二日目、節分だったので口上のあと豆まき。
かなり大量に撒いていて、役者さんも最後のほうは飽きてしまったみたいにやけになってぶん投げてました。
まったく欲しがらずにじっとしていたあたしの席にもぶち当たるぶち当たる。そのうち彌十郎さんがぶん投げたのだけいただきました。あとは床に落ちたままwいや、ほかの方が拾ってたので大丈夫ですよ。

義経千本桜より渡海屋・大物浦

二日目はどえらすぎて、私の筆力では描写しきれないので、ご勘弁。2/3の項に茫然自失のドキュメントwは書きましたが。

初日の感想。勘九郎に知盛は似合わないわけないと思ってたけど、思ってたよりどんぴしゃ。
ただ、渡海屋から全力でぶっとばしすぎw
あそこの段はもう少し柔らかく、船宿の親父(だが強い!)っぽい感じでもいいんじゃないかな。もうずーーーーーっと張り詰めてる感じで、見ていてちょっと疲れるw
大物浦はもう、いっくらでも疲れさせてくださいって感じの熱演で、それを受けてくださる義経の梅玉さんがまた最高で!本当にここんとこ梅玉さんが好きで好きでしょうがない私。後援会入っちゃおうかしら。
知盛と逆に七之助は船宿おかみお柳のときは凄くよかった。芝翫を髣髴とさせる台詞回しで、この人は本質的に姫じゃなくて女房だよなあ、と改めて確認。後段典持局は兄同様ちょっと力みが見られて、ザンネンだった。
彌十郎、前見たときも思ったけど自分で法螺貝吹いてるのはすごい。押し出しもいいし、所作もきれいだし、老けが多い役者だけど、一度勧進帳の弁慶とか見てみたい。親子会とかやらないのかな。新悟くん義経で。富樫にゲストで勘ちゃんとか。うん、絶対いいと思うのに。

…って感じで初日は割りと冷静に「普通の大物浦を勘九郎がよくやってる」感じだったのだけれど、二日目、いったいどうしちゃったんでしょうねぇ。あのすーぱーえくすとろーでぃなりーなぱふぉーまんすは!三日目以降どうなってるのかも知りたいなあ。うん、知りたい。

芝翫奴

これって結局供奴?赤面なところがちょっと違うのか?振りも細かくは違うのかもしれないけど、ど素人なのでよくわからん。
おもな振り、特に足拍子のあたりは供奴と同じだったと思う。
芝翫型って陣屋も赤面だったり、赤面を得意とする役者だったのかしら、芝翫型の芝翫さんは(何代目?)。勘ちゃんじいちゃんの、あの芝翫さんしか知らない人間には想像もできない。

 大物浦で息詰まった緊張感を芝翫、じゃなくて弛緩させるにはちょうどいい追い出し狂言かも。少し早めに劇場を出て美味しいもの食べるにも、いい時間かもw

初日は最後まで見ましたが二日目はパスしちゃいました。ごめんなさい安定の橋之助さん。