laisser faire,laisser passer

人生は壮大なヒマつぶし。
楽しく気楽につぶして生きてます。

10月歌舞伎まとめ

2009-10-30 | agenda

今月のMVP

 

勘太郎

芯は歌舞伎公演ではないので迷いましたが、二人椀久は歌舞伎舞踊だからいいか、と。

とにかく個人的に久々に生き生きと踊る勘太郎を見られたことと、まあ結婚ご祝儀もあわせ技ってことで。

 

次点はいまさらの大御所お二人

藤十郎  「色っぽい紙くず」さん

吉右衛門 「血まみれなのに落ち着いてる知盛」さん

 

 

 

今月のMIP

豊作だったなあ・・・

どうしても絞り込めずに二人。

三津之助@蜘蛛の中の人(蜘蛛拍子舞@歌舞伎座)←違う

梅丸@花かたみ(人間豹@国立)

 

次点もいっぱいいる。

とりあえず年齢順で

寿治郎(河庄@歌舞伎座)

萬太郎(三役奮闘ごくろうさん@歌舞伎座)

錦成(丁稚@国立)

大河(よくできました@歌舞伎座)

 

今月のMDP

幸四郎

作品が駄作なのはしょうがないとしても演出の幸四郎がやる気なさそうで、本当に魅力がなかった。気力のない歌舞伎役者なんて見たくないわ!

次点

菊之助

うーむ。と一言のみ。こちらはやる気がないわけではないと思うんだけどね。

 

今月の作品賞

 

全体的な出来としては文句なく

 

河庄

今現在考えられるベストに近い配役でした。

 

次点

大物浦

玉三郎が芝翫か魁春だったらねぇ・・・後半の吉右衛門に関しては非の打ち所なしなんだけど。
玉三郎ファンの人もほかの役のほうがうれしいと思うし。

 

 

 

 


赤い靴を履いた少年は・・・

2009-10-24 | kabuki en dehors de Tokio

異人さんに連れられて行っちゃった・・・ほうではなくて、バレエシューズのほうですが。少女じゃなくて、少年ですが。

 

運命のように踊り続ける存在としての踊り手。勘太郎のことをあたしはそうだと思っているので。

たぶん本人もそう思っているので。

楽だから、なんでしょうが、いつもより激しい振り付け(壇上から飛び降りたり)があって、ひえ~っと思わないでもなかったのですが、もう、赤い靴が一生脱げないのだから壊れるまで踊り続ければいい、と思いました。

 

芯の芯、あたしにとってもう一人。林英哲、57歳。

底知れぬ体力と胆力ですね。

この人もまた、一生太鼓をたたき続けるために生まれてきたのだな、と。

年齢とかジャンルとかを超えて「天命」「天職」ということばを感じさせる二人でした。

 

英哲の大太鼓と勘太郎の踊りの対決を、英哲の肩がはずれるか、勘太郎のひざが壊れるまで永遠に見せてほしい、あたしが古代ローマ皇帝だったとしたら、剣闘士とライオンの対決よりそっちが見たいな、などと脳内でよだれをたらした一日でした。

すみません、ほかの顔ぶれについては、これまで二回も感想かいてますんで、パスってことで。

 

さて、赤い靴を履いた少年は、立派な青年に成長し、明日妻を娶るわけですが。
今後どんな踊りを、芝居を見せてくれることになるんでしょうか。
99パーセントの期待と1パーセントの不安で見守っていこうと思います。


海と山

2009-10-23 | kabuki a Tokio

感動というか感触は中3日はさんでちょっと薄まったけれど、「海と山」の意味は覚えてました。よかったよかった。

 

千本桜の知盛編から渡海屋・大物浦を、忠信編から吉野山・四の切をやったわけなんだけど、知盛編では「海」=大物浦、忠信編では「山」=吉野山がよかったという意味でごじゃいます。では順に。

 

渡海屋・大物浦

 

前半ややテンポがかったるいと感じたのはベテランぞろいゆえかな?
特に芸達者で期待した歌・歌兄弟が、ある意味安定しすぎていて面白みにかけたような。
あと、玉三郎がまったく船宿の女房に見えない。むしろ世話っぽい役のほうが似合う人だとおもうのだけれど、無理やり「お局の本性」を見せようとしている感があって、なんだかとても不自然。かといって世話にくだけすぎては品がなくなるだろうし、玉三郎のような質の役者にとってはこの役はとても難役なのかもしれない。

チャレンジ?しなくていいから、どちらかというとこの役は魁春がやって、昼のだんまりと夜の静(四の切)を玉三郎がごちそうで出てくれたらよかったのに。

憂いの貴公子義経で富十郎が出てきたときにはえええええええええええええって感じだったんだけど、せりふを言い出したら、もう感動。終始伏し目がちで何一つ目立つことはしてないのに、なぜか周囲に貴公子オーラが漂う。千本桜の義経の勘太郎フェチのlavieとしてもこれは脱帽するしかないです。

さて、肝心の吉右衛門は出の部分はまことにおおらか・立派でいいんだけれど、衣装を銀白に変えてでてくる場ではやはりぱっとした華には欠ける。まあそんなもの最初から期待してないんだけど、あの部分だけは海老蔵や獅童のほうが絵になっていたなあ。

というわけで前半、顔そろえの割りにいまいちだなあと思っていたら、後半、特に碇知盛のシーンは圧巻でした。

ここでまたしてもけちをつけてしまうわけですが、玉三郎は典持局にモドッてからも、やはり変だった。サムライ魂?を見せようとすると、男にみえちゃうんだね。玉三郎が男に見えたのは初めてかもしれない。
なんちゃらかんちゃら御幸なるぞ~~の名せりふは裏声ひっくりかえっちゃってたし。
腰元がそろっていただけにちょっと残念でした。

 

あとはほめるだけ。

 

吉右衛門、決してうなったり、血糊吐いたりしなくても迫力が出せるのだ、ということをあそこやここの御曹司に教えてやってほしい。
そして、知盛は決してうらみ骨髄で死んでいくのではなくて、ある意味納得&満足して死ねたのだ、と初めて思わせてくれた。
なんというか、知盛みたいな人なんだろうな、吉右衛門って。
武勇と知力にすぐれつつも、あえて言えば自分の力に足をすくわれるというか。。。

そして、なんといっても「おさらば~」「さらば」の義経との最後の会話。
あの二言だけで二等席12000円の価値はあったといえるのではないだろうか。

 

おっと、大事な人を忘れていた。

弁慶の段四郎
往年の弁慶役者第一人者だと聞いていた。知盛での弁慶は脇役とはいえ、生で段四郎の弁慶を初めて見て、なんとなくその意味がわかった気がする。体以前に全体の雰囲気が雄雄しいのだ。もう勧進帳の弁慶はやらないのかな。一度見てみたい。

 

 

吉野山

 

正直年寄りと生硬の組み合わせには何も期待していなかったのだが。

これがよかったのよ。

年寄り=菊五郎には年齢を感じさせない色気が横溢していて、色気がなんともいえないラブリーなかわいらしさをかもし出し、踊りの動きがちょっとくらいいい加減なところなんて、どうでもいいと思ってしまった。もともといい加減なところが魅力(lavie調べ)な役者さんだしね。
戦物語はさすがにつらそうだったんだけど、まあいっか。
また、生硬=菊之助もそのきっちりした踊りが、静の主君格としての品を感じさせて、なかなかよかった。ただ、ちょっと太った?父親よりどんどん祖父に似てきた気がする。
なによりよかったのが逸見藤太の松緑。不安定だった声がまことに朗々と安定して、しかもひょうきんな動きが、踊りがきっちりしている人だけに安心して見ていられる。
愛嬌と飄々とした雰囲気を楽しみました。
菊五郎のへなちょこ笠をジャンプして受けとったのもえらいっちゃえらいw
あたしがよく見てる藤太バージョンとはせりふも動きも少しずつ違ったし、幕切れまでご健在wだったのも珍しくて興味深かった。

全体にほんわかとしていかにも吉野の春、という雰囲気で楽しく見られました!

 

四の切

 

うーむ。吉野山ではらぶりー方面に有効に発せられた年寄りパワー、さすがに四の切ではちょっときつかったのか。

というか、吉野山でらぶりーだと思えたのは、菊五郎自身がとても楽しそうに踊っていたからなんだな、と痛感。

なんだか四の切の菊五郎は楽しそうじゃなかったのよ。体力の限界でつらかったのかもしれないが、個人的には実はこの役(四の切の狐忠信)、菊五郎はあまり好きじゃないんじゃないの?と思ってしまったのです。
家の芸じゃなかったら絶対やんねーよ!って全身で言ってる感じ。

一度そう感じてしまうと、菊五郎の「いい加減」さが「やる気のなさ」に見えてきてしまって・・・もうだめだった。

前半の佐藤忠信はいつものことながら品位といい憂いといいすばらしいのですがね。

同じように菊之助の生硬ぶりが四の切の静には物足りないことおびただしい。特に義経が時蔵では、お互いに情を交し合った恋人同士にはどうやっても見えないわけで。狐が親の話を物語るときもずっと無表情で、とても情を惹かれているように見えないし・・・

十二夜や犬神家など仮面をかぶる役が多い菊之助だけど、かぶってなくても仮面顔なんだよなあ・・・

この幕でいちばんよかったのはあっという間に消えてしまった河連法眼の彦三郎だったかなあ。

 

というわけで最初と最後がいまいち、まんなか二つは極上!と波の多い半日でした。


口も体も達者やのう

2009-10-20 | cinema

うーん。長かった。

 

三時間になんなんとする大作。

ナレーションつけたくなる衝動に負けずに淡々と、オペラ座のドキュメントを作り上げた度胸は感心するけれど、やっぱり長すぎる。

パリ・オペラ座のすべて、じゃなくてパリ・オペラ座バレエのすべてなら納得するんだけど、バレエの稽古シーン(これは面白かった)と本番シーンの割合が邦題の割には多すぎる。

特に本番シーンは、あんなに長々とやる必要あり?

どんだけ長くやったって、所詮はほんのハイライトシーンでしかないわけで。
本番バレエを見たければ、バレエ番組やDVDや、いくらでもほかの手段はあるわけで。

 

バレエシーンをカットして、後30分短くしてくれれば相当楽しい映画だったと思う。

あくまで、パリ好き、オペラ座好き、そして裏幕実録好きのあたしにとって、ですが。

 

 

一番印象に残ったのは、ダンサーから芸術監督から振付家からイベンターから、みんなしゃべる、しゃべる。

主張しないと始まらないお国柄と知ってはいるものの、「あんた、しゃべると馬鹿がばれちゃうからだまってるほうがいいんじゃない?」
と思うような人までとにかくしゃべる。
中でも芸術監督のブリジットは、もう口から先に生まれてきたとしか思えないしゃべりっぷり。
「くどい、あんたの話はくどい」と茶々をいれたくなるほどだった。

そして、こちらは当たり前だがダンサー、バレリーナたちの肉体のしなやかさ、敏捷さ。こちらはもう感動的な肉体の饒舌ぶり。

 

イケメンコーチ(あとでローランイレールだと教えてもらいました。名前だけは聞いたことあったけど、エトワールを引退後も踊り続けてるのね。で、コーチもやってるのね)と、マリ=アニエス・ジローの知性あふれる動きに特に感動しました。

来年のオペラ座公演ではマリ=アニエス狙いにしようかしらん。

 

内幕好き的にはアメリカ人スポンサー狙いの興行打ち合わせシーンがとっても面白かった。

オペラ座の伝統は崩したくない、だけど金持ちスポンサーのご機嫌は取りたい・・・ここでもブリジットのしゃべりっぷりがおかしかった。
歌舞伎(成田屋)を呼んだときもこんな感じで日本のスポンサー狙いだったんだろうな、と歌舞伎ファン的にほろ苦く、薄い笑いを浮かべつつながめてしまったり。

 

いやあ、とにかく面白かったんだけど、もう少し短ければねぇ・・・

 

しゃべりすぎ、踊りすぎ、くどすぎのオペラ座の怪人wたちを皮肉ってわざと長めに編集してたんだったら、監督の皮肉、効きすぎですぜ。


じゅるじゃら万歳

2009-10-19 | kabuki a Tokio

昼の部は河庄につきます!

とりあえず順番に。

毛抜

 

團十郎のおおらかな弾正とはまったく違った、探偵のような三津五郎弾正。
ハンチングかぶって虫眼鏡を持たせたほうが似合ったような。
ある意味新鮮だったけれど、やはりインプリント効果なのか、歌舞伎の毛抜は團十郎のおおらかな猥雑感のほうが似合う気がした。

巳之助萬太郎団蔵秀調とくればなんとなく座組が薄いようでもあるが、若菜と巻絹を割ってまで吉弥魁春を出すところはあまってる感じもしたり、妙な座組だった。
魁春、こことだんまりのみのあまりに小さな役。なんだかもったいないよ・・・

座頭のカラーなのか、全体に淡彩色の印象。

豊松緑に教わったということで、あちこちちょっとずつ成田屋型と違って面白かった。
この型の継承者は三津五郎じゃなくて、やはり現松緑だと思うので、しっかり学んで近々見せてもらいたい。

 

蜘蛛拍子舞

 

前シテがあんなに長く感じたのは初めて。

頼光の菊之助の生彩のなさはどうしたことだろう。松緑の綱は悪くないのだが、ペアの片割れがあそこまでつまらないとどうしても・・・
玉三郎の踊りはもともとあまり好きではないし(個人的に四角い部屋を丸く掃く・・・って感じで。好きな人はそこがいいんだろうけれど)、どこを見ればいいんだろうと思っていたら、イケメン発見。
一瞬だれだかわからなかったけれど右近だった。所作がきれいなのは相変わらずだが、ずいぶんすっきりきれいになったなあ。
隣のちびっこは萬太郎、いやあ今月昼の部大活躍(このときはまだ知らなかったが三演目連続出演だったのね)。なんというかとても素直で、いかにも教わったとおりにきっちりやってる感じで、おばちゃん、好きです。

てことで脇の二人をながめて退屈しのぎをするしかなかった前シテ。

間つなぎの蜘蛛の立ち回り。こういう演出は初めてだった。

これが、すばらしい。

ただの飛んだりはねたりではなくて、蜘蛛役者(三津之助だと聞いた)がちゃんと芝居ができているから、迫力もリアリティもあって。
この一幕の最大殊勲者は蜘蛛役者だと思った。

 

で、後シテ。

 

まあ糸撒いて足踏み鳴らして見得して・・・だから退屈はしないけれど。

ここでも菊之助に一切迫力がない。あれじゃ蜘蛛にやられちまうだろうよ。

ってわけで(そういうわけじゃない)助っ人押し戻しにまたしても三津五郎

三津五郎は今月、成田屋月間なのか。

押し戻しもやはり成田屋のほうが好きだけれど、まあきっちり型がきれいなので安心してみていられた。

蜘蛛の立ち回りがなければ正直がっかりの一幕ではありましたなあ。

 

 

河庄

 

 

三回目くらいなのだけれど、いつも途中で撃沈してしまっていた。

今回初めて意識を失わずに見たら・・・・

 

 

いやあ、すばらしい!

 

冒頭の小春と丁稚の掛け合い(丁稚にまたしても萬太郎。ご苦労様)の部分で小春の心理がきっちり理解できたのがまず勝因かな。

最初に見た小春は雀右衛門だったのだが、風情はまことにすばらしいものの、残念なことに当時から若干せりふが聞き取りにくくて、初心者だったあたしにはいまいち小春がどういう立場なのか(なんせ勉強ゼロで見に行くだめな客なので)理解できなかったのだと思う。

今回時蔵の小春の芝居(見事)から、実際に登場はしない治兵衛の妻おさんの姿まで容易に想像できて、芝居に奥行きと深みが増したと思う。

それは、孫右衛門の段四郎の芝居の手柄でもある。上方芝居に段四郎ってどうなの?と思ったけれど、実のある、ただただ弟を思う実直な男の像がくっきり浮かび上がって、見事な芝居だった。後半に見たのも、段四郎の唯一の?欠点であるせりふが入りにくいことをクリアしていてよかったのかも。

滑稽仇っぽい役で亀鶴
がんばっていたけれど、この座組ではいかんせん力不足。でも歌舞伎座でこの役をやれてよかったね、亀鶴くん。ひい祖父さんの当たり狂言だもんね。

 

で、なんといっても藤十郎

 

こんだけくだらない、こんだけだめな役を、ある意味魅力的に見せられるのはすごいとしか言いようがない。

近松の男は本当にだめ男ばかりなのだが、その中でもこの治兵衛はだめんずぶりから言ってもナンバー1ではなかろうか。
女房を泣かせ、借金つくりまくり、周りの人の心配をよそに色狂い、相手の女郎の真実の心にも気づかずに嫉妬に狂ったり、特にこの河庄の段ではいいところゼロなのである。正直小春がこいつのどこがよくて、こんな尽くすのか、あんた正気に戻りなさい、と説教したくなるほどなのである。

だけどね・・・

藤十郎という役者の芝居を見ていると、なんだかそんなことはどうでもよくなってしまう。

世話物といえば決定的に世話物なのだけれど、この芝居は、ストーリー云々ではなくて、藤十郎という役者の「色」だけをめでればいいのだ、という気になってきてしまうのだ。

こういう見方はきっと「正しく」はないのだと思う。

世話物なのだからストーリーを芝居として楽しむのが「正しい芝居の見方」なのだと思う。

まあ、そんなことは素人客としてはどうでもいいわけで。

もう、ひたすらに藤十郎のじゃらじゃらとじゅるじゅるを目を皿のようにして(正確にはオペラグラスを駆使して)楽しませてもらいました。

 

しかし、この芝居、藤十郎ができなくなったら、誰もやれないだろうなあ。

同じ上方狂言でも油地獄や曽根崎心中は松嶋屋系や、藤十郎の息子たちが受け継げる気がするけれど、治兵衛は・・・
翫雀じゃ魅力なさすぎ、愛之助じゃ地味すぎ、ひょっとして亀鶴が化ければ?という気がしないではないが少なくとも数十年後のことだろうし。

 

うーん。そういうことを考えれば考えるほど、今の「藤十郎の治兵衛」をたっぷり愛でたいという気持ちにさせられてしまうのだった。

 

音羽嶽だんまり

 

松緑息子大河のけっこういい面構えがみられたのと、

超ひさしぶり?に田之助さんの女形(大好き!)が見られたのが

大収穫だったけれど、あまりにあっという間で、あれれれれという感じ。

 

藤十郎と田之助だけもう一度見に行きたいけれど・・・

久々の幕見でもしてみようかな。


悲しくてやりきれない

2009-10-19 | monologue

ベストソングインマイライフを選んだら確実に常にベスト10に入る中の一曲が

『悲しくてやりきれない』

(ちなみにきみの朝と人間はひとりの方がいいと並んで三大愛唱歌でもあります)

加藤和彦というスタイリッシュで癖のある人間はあまり好きではなかったけれど、あの曲を作ってくれただけで、lavieの人生にも潤いをくれたかたでした。

 

そして、最近では猿之助歌舞伎の音楽担当としてもお世話になりました。

 

スタイリッシュ、と書いたけれど、

ホテルで首吊り、なんてちっともスタイリッシュじゃないよ・・・・

 

悲しくて、悲しくて、やりきれない

 

 

 


毎週号泣?

2009-10-19 | passe-temps divers

久々に毎週絶対見よう!と思えるテレビドラマに出会いました。

 

『仁』。日曜21時TBS系放映中。

大好きな大沢たかおくん主演なので見始めましたが、初回、面白くて面白くて・・・息もつかずに二時間もテレビドラマを見たのは何年ぶりでしょうか?
『愛しているといってくれ』以来か?

二回目の昨日も引き続きとても楽しめた(というか号泣でした!)ので、もう大丈夫(初回だけ面白いっていう作品も結構多いので)でしょう。

見てない方、お勧めです!

 

 


中だるみ?+スペシャルサービス

2009-10-17 | spectacles

二度目の観劇。

ごく簡単に箇条書き。

 

1.太鼓の若い衆のアンサンブルがところどころいまいちだった。集中力がいるんだろうな・・・

2.椀久頭の「うろうろ」部分、前回はまったく退屈しなかったのに、今回ちょっと長く感じちゃいました。これまた飽きさせないで踊るには、役者のほうに相当な集中力というか求心力がいるんだろうな。

ってことで、微妙に初回のほうがよかったような・・・

まあこちらも二度目ということでそれこそ集中力が途切れてるのかもしれません。

双方のコンディションが相俟ってライブが成立するんですな。

 

ゆうぽうと限定ということで、コラボの前に十数分林・高橋・中村兄弟の四人のトークあり。短時間で内容はほとんどゼロに等しかったけれど、スーツ姿の竹童さんがなかなかかっこよかったのと(黒紋付に袴よりかっこいいのは、三味線弾きとしてはどうなのよ?)七之助のパンツの太もも部分がややパンパンになっていた(お稽古ちゃんとしてる?)のが収穫。

七之助、太もも太くなったなら、それだけの踊りをみせてくれい。頼む。


子役見学

2009-10-14 | kabuki a Tokio

今月の国立劇場はパスしようと思ってたのですが、lavie的にいまやラブリー玉ちゃんをしのいで子役ナンバー1になろうかというノーブル梅丸くんが女形で出てると聞いては、見ないわけにはいかないでしょう。

たまたま今日の予定がなくなったので、昨日webをのぞいたらば、一階二等席があっさりとれちまいました。売れてない?

 

なるほど、納得のつまらなさでした。

 

群舞を取り入れたり、BGMを工夫してたり、宙乗りも変形で新機軸を取り入れたり、いろいろ努力のあとは見えるんだけど、どんだけけれんを取り入れてもストーリーと役者に魅力がなければどうしようもないんだな、と痛感。

昨年の第一弾もあまり感心しなかったけれど、第二弾に比べればまだ乱歩の匂いが少しはしたかな、と。今回のは悪い意味で歌舞伎くさすぎて、乱歩の世界は一切といっていいほど感じられなかった。しいて言えば人形趣味の部分だろうけれど、なんせ、変態陰陽師が梅玉さんじゃ、怪しさが(妖しさ?)が足りなすぎ。若衆に化けた高麗蔵さんとの変態ラブシーンなんて、役者が変われば相当エロだろうに、なんだか段取りにしか見えなかったし。

デブ大女染五郎とちび馬鹿翫雀の恋物語部分がいちばん面白かったけれど、これまた中途半端だし。
染五郎は例によってのどをやられてるし、幸四郎はいちだんとふけ顔になっていて、こんな爺さんの明智小五郎なんていやだ!と思っちゃったし。

だいたい設定が京都で、まともな上方弁しゃべれる役者がほとんどでてないってのもなあ。なんで京都設定にしちゃったんだろう。幕末明智小五郎なら江戸で徹底する場よかったのに。せめて言葉の不自然さだけでもなくなったと思うんだけど。

 

という中で、お目当て梅丸

人形役だからせりふなし。ひょっとして最近せりふなしの役ばかりなのは、声変わり中?

もう子役というより、立派な女形。
梅玉さん(人形フェチの陰陽師で人形を妻にしようとしてる)よりよほど妖しい魅力を振りまいておりました。美貌だわ・・・
正直、歌舞伎の女形でいちばん容姿は好みかもしれない。見とれました。

つまらない芝居を見せられながら怒り狂わなくてすんだのはひとえに美貌の梅丸丈のおかげでございます。

 

もう一人、これまたちょっと注目してる高麗屋の部屋子、錦成くん。梅丸くんよりだいぶ小さかったから10歳くらいかな?
ユーモラスな芝居はまだまだいっぱいいっぱいといったところだけど、お得意の舞踊っぽいシーンはさすがにきれい。

玉太郎梅丸小吉鶴松と並んで五人目の注目株かしら。

 

つまらない、と感じたのはあたしだけじゃなかったらしく、客席の反応もめっちゃ鈍く、拍手がやみそうになって、あわてて予定通りのカーテンコール。

これ、再演だけはしないでほしいなあ。

梅丸の人形姿はもう一度見たい気もするけれど・・・


コストパフォーマンス最高!

2009-10-08 | spectacles

台風直撃!、しかも都心じゃなくて町田という郊外開催、で行けなくなるんじゃと危ぶんでいたのだけれど、午後には強風ながらどピーカン。
なんか中村屋って雨のち晴れってパターン多い気がします。

昨年まで兄弟+お弟子さんで回っていた錦秋公演、今年は太鼓の林英哲(+仲間)、三味線の高橋竹童(+尺八など)を含めての豪華版。
林英哲は兄弟からすれば大先輩だろうによく付き合ってくれたな、と。

でその太鼓から。曲名は省きます。

鼓童の派手な連舞のような演奏を見慣れちゃっているので、ちょっと地味な感じはしたけれど、正統派っぽいきっちりした演奏で聴き応えありました。聴く、というより感じるっていったほうが近いかな。感じ応えありました。

林英哲の恐ろしいまでの若さ(たぶん60くらいはいってるはず)と、太鼓とたたいているときの魅力的な風貌と、プログラムで対談してるときの普通のおっさんっぷりの乖離にびっくりしました。

いいねぇ、こういう普通のおっさんが豹変するって。

 

 

三味線

 

津軽三味線だからどこまで派手に弾く、というか叩くかと思っていたら、割と静かだった。
胡弓と尺八+笛?の静かな演奏が心にしみた。
三味線ソロではやはり最後のアドリブ演奏がいちばん津軽っぽくて面白かった。
竹童もよかったけれど、津軽三味線なら中村兄弟に対抗して吉田兄弟ってのもどう?と思っちゃった。ギャラ高いかな。

 

歌舞伎舞踊『二人椀久』

 

ここ数年では仁左衛門と孝太郎でばかりみているような気がする。お手本としては、富十郎と雀右衛門なんだろうが、遅れてきた歌舞伎ファンとしては絶頂期は逃しているので・・・

てことであたしにとって二人椀久は椀久がやたらうろうろしてると思ったら居眠り始めて、きれい目のおばちゃん(ま、孝太郎だから)が出てきてばたばた踊ったと思ったら(ま、仁左衛門だから)おばちゃんに捨てられて、最後ふて寝、みたいなイメージだった。二人椀久ファンの方すみません。

なので、本日の出し物、とりあえず松山がきれいなだけで、OKだろうと思っていたら。

 

あらまあ、こんなに椀久の気持ちが手に取るようにわかるなんて。

あたしが勘太郎ファンで椀久を一生懸命見ていたということを差し引いても、踊りの力によってどれだけ客に伝わるか、っていうのがよくわかりました。

椀久の目は最初はっきり「いっちゃって」ましたし、松山が出てきてからは本当にらぶらぶ&時にさびしげ。
そして松山が消えてあとのただうつろな目・・・

仁左衛門とて名優なのだから顔ではきっちり、いや、たぶん勘太郎以上に芝居をしているに違いないのだが、目だけじゃなくて体全体で椀久の心を訴える力が確実に舞踊の力なのだなあ、と。

特に前半の物狂いの場面は、勘太郎が富十郎に見えました(絶賛です)。

さて、七之助の松山ですが、登場と退場はとてもよかった。
なんというかいつもの無表情っぷりが功を奏して、この世の人じゃない感じもたくまずして出ていて。
これまた最初の1分くらいは雀右衛門を彷彿とさせたけれど。

らぶらぶ踊りになってからは・・・

うーむ。

精進してください、とだけ言っておこうか。

ラストの物悲しい部分にあの過剰なえびぞりは似合わないんじゃないの?サービス過剰?と思ったのだけが椀久ではマイナスポイントですが。まあ客は沸いていたからいいのかな。地方も周ることだし。
相変わらずいいえびぞりであったことは確かだし。

 

久々に勘太郎らしい踊りを堪能させてもらいました。

 

と、これだけでも満足だったのだけれど。

 

コラボ

 

作品としてはもう少し練り上げてもいいような(特に前半の太鼓と三味線はもう少し早めに絡んだりしてもよかったんじゃ?)気がしたけれど、何しろ、太鼓のリズムに乗せて楽しそうに跳んだりはねたりくねったりする勘太郎の姿がうれしかった。

何度もあちこち怪我していて、見るほうもやるほうも実はひやひやだったりする勘太郎の舞踊なんだが。あれだけ楽しそうにやってくれると、もうこっちも怪我のことなんざ忘れて一緒に楽しんじゃえ!という気になってきた。

久々に、本当に久々に「目が笑ってる」勘太郎を見たようで、こっちまで幸せな気分になれたのでした。

 

ああ、まだまだヌケラレナイワ

 

 

なんてうっとりしてる勘太郎ファンのおばちゃんはともかく、太鼓と三味線と歌舞伎舞踊とそのコラボ、それぞれがかなり上質で、たっぷり見られて6500円は、最近のエンタメ界ではかなりCPいいと思いました。

 

 


銀座えれじぃ

2009-10-05 | monologue

歌舞伎ボケしているので、いつものように11時開演と思い込んで銀座に10時50分くらいにやってきたらば。

なんと今回のお芝居は12時半開演だったわけで。

 

唖然呆然した末に、せっかくだからものすごーく久しぶりに銀ブラしてみたわけですよ。銀座には最低でも月2-3回は来てるわけだが、とおりを歩いて店を覗くなんて本当に1年ぶりくらいかも。

で、いろいろびっくりした。

びっくりした末に物悲しくなった。

 

平日午前中の銀座通り、誇張でもなんでもなくて、日本語が聞こえてこない。
前からやってくる人、横を通り過ぎていく人、正直通行人の8割は中国人だったんじゃないだろうか。目抜き通りの店頭にかなりの率で中国語表記があったりしたのも初めて目にする光景だった。

自国の繁華街を歩いているのにこのどうしようもないアウエイ感はなんなんだろう・・・

20年前のオペラ通りを歩いているパリジェンヌの気持ちがようやくわかったような。経済力の上り調子の国って、すごいねぇ・・・

逆に下り坂の国民は、外国人にお客に来てもらうしかないんだねぇ・・・

 

上り坂と下坂といえば、

ユニクロの銀座店が先週金曜にニューオープンしたというので、見に行ってみたのだが、なんと場所が銀座ワシントン。ワシントンの地上部分をユニクロが占領していて、本家ワシントンは地下にもぐっちゃったのね。

5階だか6階だかにあったワシントンホールでの展示会なんかよくお邪魔したものだったんだけど(遠い目)。

下り坂(失礼)のワシントンさんは上り坂のユニクロさんに店舗を借りていただいて、ようやく息をついてるんだろうな・・・

人生どう考えても下り坂のlavie的には銀座の町並みをながめつつわが身を振り返り、ついついため息ついてしまったひとときだったのでした。

 

しかし、たまには町を歩いてみないと、社会の動きってニュースだけじゃ実感できないもんですね。

 


壮大な薄ッペクタクル

2009-10-05 | spectacles

つまらなくはないけど、うっすいなあ。

 

というのが感想。

話のテンポはいいし、次から次へとスペクタクル要素は盛り込まれてるし、上川隆也は朗々と舞台人としての力量を見せるし、橋本じゅんはサービス精神たっぷりだし、高田聖子はもう脱帽の上手さだし、山内圭哉は男性ホルモンむんむんだし、脇も含めて役者それぞれの熱さ、厚みは文句ないんだけど。

ストーリーがいかにも(特に後半)強引すぎて。

面白ければいいんだろ、っていわれればそれまでなんだけど、あまりにつじつま合わないご都合主義の展開で、こんな薄いストーリーじゃ役者の熱演もかわいそうになってしまう感じだった。

 

堺雅人のニヤニヤ顔に宛書された「笑顔の悪魔」も、作り笑いでは魅力が半減。堺のニヤニヤ顔は素だからこそ面白いのに。
早乙女太一の台詞が棒なのと、動きのバラエティのなさ(立ち回りはきれいだけれど、いつもくるくる回ってるだけで、背後から演歌が聞こえてきそう)にもがっかりだったし、何よりこの作品の要となるべき稲森いずみがあまりにいろんな意味で「薄い」。

大王(おおきみ)としての覚悟も薄いし、存在感も薄いし美貌の魅力も薄い。ついでに身体も薄い。

あんな大王じゃ、上川を殺して天下に君臨するのは心もとなくてしょうがないんじゃなかろうか。

 

ま、数々の不満はありましたけれど、それなりには楽しめました。

3000円ならいいよね、

 

と思ってたら、なんと6000円以上も払っていたのだった!

 

それじゃ高いわ!!!