国立劇場でいわゆる稚魚の会見て来ました。面白かった!
○○は2文字とは限らないので、今月やってるアレやコレを勝手に当てはめてみてください!
対面
いろいろな役が一度に出てきて、絵面も綺麗だし、勉強会で出される率ナンバー1じゃないの?という演目。
五郎の新八十郎のやえ亮ともにいっぱいいっぱいながら好感が持てる。素晴らしかったのは祐経の仲助。まさか二〇代でここまで座頭感が出せるとは思ってもなかった。勘ちゃんもお喜びでしょう、って見に来るヒマあったのかな。見てもらって褒めてもらったことを祈る。
桂太郎の鯰とか吉兵衛の朝比奈・升吉の大磯の虎はもはや貫禄の芸達者ぶり。
化粧坂少将が七之助ばりの美女でだれ?と思った。好蝶くんというらしい。
とにかく一生懸命&芸達者のバランスが良くて、下手な御曹司芝居よりずっと上質だったんじゃないかな。
勢獅子
新十郎さんは音の会に続いて踊り。鳶のほうが五郎より数段ニンだわ、なんつかイナセが似合う。
踊りそのものは誰かが飛び抜けて巧いということもなく、まあアンサンブルで見せる感じ。芸者四人が四様に魅力があって素敵だった。古風な升吉(なぜ成田屋にいる?成駒屋に来いw)、ぽってり蝶次、モダン美人の好蝶、そして貫禄芝のぶ。福ちゃんがああなっちゃったいい真、芸者やらせると日本一かもしれないなあ。
個人的に研修生のときから応援している一人、桂太郎は相変わらず何やらせても巧い。なぜ十字屋にいる?w
矢口渡
くどい芝居が嫌いなワタクシ。芝のぶのお舟はこってりとくどいのギリギリ境界線かな。
さすがではあるけれど、世間知らずのうぶな感じがちょっと嘘くさく見えてしまうお年頃。逆にもっと年取ったらそれはそれで味がでると思うんだけど。中途半端に見た目が若いだけに余計、ね。
義太夫狂言にありがちな、勝手に思い込んで自己犠牲になるおねえちゃんの話。(勝手にミドリ系と呼んでる。緑の衣装の女の子の事がおおいから)。今回のお舟ちゃんはミドリちゃんではありませんでしたが。
新田義峰と傾城うてな、新次も蝶次もいい役者なんだけど、女の子が一目惚れして、命賭けるほどの魅力とかオーラがあるかというと・・・こればっかりは難しいよねぇ。いい男ならいいかというと、だいぶ前クダンジ(薪車時代かも)で見たときもやっぱり義峰が難しかった。難役なんだななにげに。
個人的にはこの狂言はお舟ちゃんより、頓兵衛で決まると思ってる。橋吾の頓兵衛が素晴らしかった。この人は勉強会で大きい役を見るたびに(熊谷・毛抜)團十郎の系譜を継ぐ存在感があると思ってるんだけど。眼力。華やかさ。
そして以前見た段四郎(元気かなあ・・・)の頓兵衛にはちょっと及ばないながらも圧倒的な「信条としての悪」感。かっこえがった!
以上三つ。
それぞれ派手さが足りないとか、若さが勝ちすぎとかいろいろあるものの、全体のレベルとエネルギーは正直今月見たどの舞台よりちゃんと歌舞伎していて。
満足度ナンバーワン(消えていくなら朝は別格ね)となったのでした。